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戀する者と酒飲みは地獄に行くという  根も葉もないたわごとに過ぎぬ
戀する者と酒飲みが地獄に墜ちたら  天國は人影もなくさびれよう
Omar Khayyam

 2002.0531(金) 「硝子戸の中」

朝5時に起床する。ウェブショップ の受注をこなし、数通のeメイルを送受信するのみにて2時間を過ごす。

朝飯は、ビール酵母とヨーグルトのシェイク

今日は事務室の人員がいつものほぼ半分のため、普段は人任せにしている日常の仕事を休まずに続ける。

月末の集金に来る取引先、数日前に投函した 「夏のギフトのご案内」 効果による電話とファクシミリ、eメイルに貼付された "Word" の書類など、人や物や情報が、次々に飛び込んでくる。

昼飯は、キュウリのぬか漬け、シシャモの丸焼き、ナスとピーマンの油炒め、ホウレンソウと鶏肉のおひたし、湯波とヒジキの炊きもの、メシ、豆腐とワカメとミョウガの味噌汁

午後の仕事の合間を縫って、ようやくきのうの日記を作成し、サーヴァーに転送する。

明日まわしにしようと考えていた仕事を夕刻に仕上げ、終業時も更に他の作業を続ける。

いつもより少し遅れて晩飯を食べる。刺身湯波、冷や奴、厚揚げ豆腐とコマツナの炊きものナスとピーマンの炒り煮、茹でたブロッコリー、シシャモの素揚げ にて、泡盛請福を飲む。

鰹節と鶏肉の出汁、キュウリとミョウガとオクラの薬味による素麺にて締める

テレビのスイッチを入れると、韓国の大きな競技場にて、サッカーのワールドカップ開会式が始まっている。君が代が流れると同時に、日の丸の旗を持った韓国人の旗手が、芝生にサッと膝を折る。僕は右翼ではないが、ある種の感動を覚える。

入浴してアミールSを飲む。テレビがフランス対セネガルの開幕戦を映している。それをチラリと横目で見て寝室へ入る。世間のお祭り騒ぎについて、そのほとんどに興味を持つことができない。硝子戸の中から庭のバショウやウメモドキばかりを眺めていた晩年の漱石のようなもので、これは僕が持つ多くの短所のひとつだろう。

9時前に就寝する。


 2002.0530(水) 腹どけい

朝5時に起床する。ウェブショップ の受注やきのうの日記の作成、部屋の整理などに手間取り、8時をかなり回って甘木庵を出る。

「たつみ屋」 で朝飯を食べている時間は無い。春日通りを本郷三丁目へ向かう途中にある弁当屋 「腹どけい」 にて、おにぎりを2個買う。「腹どけい」 という店名から爆弾製造の指南書を思い出すのは、ほとんど50歳以上の人に限られるだろうか。

丸の内線を御茶ノ水にて下車する。おにぎりの紙包みを持ったまま山の上ホテルの裏手を抜け、錦華坂を下りる。神保町の "Computer Lib" へは、9時1分すぎに着いた。

今月の初めから1週間おきにここへ通って行っている ウェブショップの増強作業を、今日も続ける。

新しいシステムを採用する。新しいペイジができる。そのたびに、これまでのペイジとの整合性を考え、残すべきは残して、捨てるべきは捨てる。新しい文言を考え、それを新しいペイジに当てはめていく。

当初の計画では本日、完成したペイジを新しいサーヴァーに載せて稼働開始となるはずだったが、"SSL" の装備など、こちらのみの都合では運ばない諸事も多い。社長の中島マヒマヒ氏に、拙速を嫌って完璧を求める僕の性格を伝える。

次回は、いよいよ現在のサーヴァーから "Computer Lib" のサーヴァーに、ウチのすべてのペイジの移し替えを行うことになる。デザインや使われている言葉について、僕が更に詰めていくべきペイジのURLを、マヒマヒ氏が僕のアドレスに送って、本日の作業を終了する。

神保町から三越前を経て新橋に出る。銀座8丁目の 「たくみ」 にて、小久慈焼の片口を購う。ふたたび銀座線に乗って浅草へ至る。

5月になってから半袖のTシャツのみを着ているが、今朝はたまたま、長袖のTシャツを着て甘木庵を出てしまった。それが今日の蒸し暑さに拍車をかける。"Gallery ef" にて、タンブラーに1杯の生ビールを飲む

「光家」 へ移動をする。店内には4人の先客がいた。そのほとんどが、ウズラの卵とウインナーソーセージを頼んでいる。「みんなガキのころから、食い物の好みが変わってねぇんじゃねえか?」 と感じつつ、僕も同じようなものを取る

15本の串揚げと共に、3杯の焼酎をオンザロックスにて飲む。

浅草駅19:00発の、下り特急スペーシアに乗る。9時前に帰宅し、入浴して10時に就寝する。


 2002.0529(水) 都市の散歩

何時に目が覚めたのかは知らない。ふたたび眠ろうとして静かにしていたが、目は冴えるばかりだ。起きて時計を見ると、4時になっている。きのうの夜し残した、ウェブショップ の受注作業をし、日記を作成する。

マスクや調理用髪の毛覆い、ゴムの前掛けを "Eagle Creek" の靴入れに入れる。甘木庵から池袋に出る。西武池袋線の急行に乗り、7時20分に自由学園の正門を入る。今日は男子部の昼飯当番だ。

食堂ホールの鍵はいまだ開いていないため、テニスコートを見おろす崖の上まで歩いていく。木々のあいだから、朝の練習をするテニス部、そしてその向こうの体操館には、バスケットボール部の面々が見える。背後の教室からは、オーボエの音が聞こえてくる。

「みんな真面目だなぁ」 と、感心をする。あるいは真面目な生徒のみが、いまの時間から学校へ出てきているのだろう。20数年前の僕は、いつも始業時ギリギリに男子部へ駆け込んでいたような気がする。

自由学園の初等部と男子部、それに学部の昼飯は、むかしから生徒の親が作り続けている。今日は僕が、その当番の一員になる。

軽いミーティングの後、8時から7人のメンバーが調理場に降りる。僕にはカボチャを切る役割が与えられる。あらかじめ半割にして種を除いたカボチャを洗い、それを16等分にする。カボチャの固い皮の処理はなかなかに厄介だが、甘く煮たカボチャを食べるよりは、楽な作業だ。

切ったカボチャをティルティングパンに並べ、水と調味料を入れて火を点ける。リーダーや栄養士の先生に仕事の段取りを訊き、種々の仕事をこなす。

ニンジンの千切りをするよう申し渡される。既にしてふたりの母親が、その仕事を担っている。僕の刻んだニンジンは千切りではく、田舎のキンピラのような、無骨な棒状のものに仕上がる。それを綺麗な千切りの入ったザルにザーッと空ける。

ふたりの母親から 「あぁっ!」 という声が漏れる。髪の毛覆いとマスクの間にのぞいている目が、明らかに動揺している。僕はシレッとして 「まずいスかね?」 と訊く。やりとりを聞いていた栄養士の先生が 「大丈夫よ」 と、おっしゃる。

大丈夫に決まっている。どのみち食べるのは男子部の生徒だ。教師もこれをお召し上がりにはなるが、教師の半数は男子部の出身だ。どうということはない。

食事当番の日には、時間がどんどん過ぎる。あっという間に9時になり、10時になり、11時になり、そして12時になる。準備の生徒が調理場へ入ってくる。ワゴンに載せられた料理が、瞬く間に食堂へと運ばれていく。

「母のテーブル」 と呼ばれるテイブルにて、鶏肉のニンニク長ネギ風味、ワカメとキュウリとニンジンの和風サラダ、カボチャの甘煮、牛乳、お茶 の昼食を、ありがたくいただく。

食器洗いは生徒が行う。食事当番のメンバーは簡単な後かたづけの後に短い反省会を持ち、解散をする。午後の授業が始まった、静かな男子部を去る

甘木庵へ戻り、シャワーを浴びる。シャツを着替えてひと休みする。

5時をすぎて外へ出る。歩いて御茶ノ水へ移動する。御茶ノ水橋から眺める秋葉原は、僕の好きな風景のひとつだ。東京ドームホテルを望遠しながら、神田川沿いの濃い緑の中を進む。水道橋からは外堀通りと、それに並行して走る裏道を歩き、飯田橋へ至る

僕にとって、住んでいる街の散歩は気が進まない。知っている道、歩いたことのある道ばかりを、ただ体に良いからと歩くことは、なんとも面白味のない仕事だ。散歩は、知らない道を行くに限る。

外堀を左手に見て歩き続ける。空が徐々に暮れていく。市谷田町から右手に折れて、牛込中央通りを上がる。かなり歩いたところに、紅虎餃子房と胡同四合坊、それに隣り合ってカルミネの店が2軒ある。「KIWAグループ」 の店は、どこまで増殖していくのだろう。

牛込中町という都市の僻地において、これら4軒の店は外から窺っただけでも、かなりの客を飲み込んで賑わっている。はやる店の条件とは、何だろう、そして、流行らない店の条件とは、何だろう。

最高裁長官公邸の高い塀を見上げつつ、日仏学院横の急な坂を下る。ふたたび外堀通りへ出る。神楽坂を上がって、裏通りに "RUBAIYAT"という店を見つける 。"RUBAIYAT" とは、Omar-Khayyamが得意とした四行詩を指す言葉だ。

上ったばかりの神楽坂を降りて、昼間の立ち食い蕎麦屋から夜はワインバーに変わる "LE TRAIN BLUE" にて小酌を為す。「外道の群れ 責め絵師・伊藤晴雨伝」 を読む。

飯田橋から大江戸線に乗り、甘木庵へ帰る。今日は一体、どれほどの距離を歩いただろう? 朝からの分も含めれば、8Kmを超えるだろうか。

シャワーを浴びて、10時に就寝する。


 2002.0528(火) 根津のポスター

朝3時30分に起床する。

携帯電話を見ると、昨夜9時30分に 本酒会 のイチモトケンイチ会長から2度の着信が入っている。その時間には僕は大抵眠っているし、携帯電話も廊下に置いてあるため、応答することは不可能だ。

事務室へ降り、いつもの仕事をこなす。

"romanza"  Andrea Bocelli  PHCP-11051  \2,548

を聴く。このアルバムの中の何曲かに用いられている、1970年代のポップスを思わせるアレンジは、懐かしくてロマンティックで、まったく悪くない。

思い立って、今日も隠居の庭へ行ってみる。夏草をかき分けて歩く。僕は造った庭というものが、どうもあまり好きではない。その第一は、手入れを要するというところだ。ただの原っぱにしておけば、維持に大した手間も経費もかからないばかりか、近所の子どもたちの遊び場にもすることができるだろう。

せせらぎを模した水路に、ナガシマトウコさんの放流したホタルを見ることはできなかった。ただし、なにやら生き物の気配だけは、確かにあった。

朝飯は、シシトウと鶏挽肉の煮びたし、キュウリとカブのぬか漬け、納豆、ひじきの煮付け、カワハギのフリットと玉ネギとピーマンのマリネ、サバの味噌煮と茹でたオクラ、メシ、お麩とミツバの味噌汁

普段、ウェブショップ への注文は深夜に入る。これを明け方に処理して、顧客には 「ご注文御礼」 というサブジェクトの受注確認書をお送りし、会社のpatioには事務係が出勤して後に伝票化できるよう、これをアップする。

今日はどうしたことか、日中に限ってインターネット経由の注文が多く入る。曜日や季節、あるいはお天気などが知らず知らずのうちに人を誘導する、なにか波動のようなものがあるのだろうか。

昼飯に、「しょうがのたまり漬」 を薬味にした冷や奴 と、「にんにくのたまり漬」 のバターライス を食べる。これらの画像は数週間以内に、ウェブショップの 「たまり漬を使ったメニュ」 にて使われることになる。

午前中はボチボチと、午後に入ると明瞭に、きのう投函した 「夏のギフトのご案内」 の効果があらわれてくる。電話やファクシミリによる注文が、目立って増えてくる。有り難いことだと、お客様のほか諸事万端に感謝をする。

下今市18:01発の、上り特急スペーシアに乗る。車内で数通のeメイルを書く。

今回は甘木庵に2泊するため、いつもより持ち物が多い。エディバウアーの3ウェイパックではなく、久しぶりにグレゴリーのミッションパックを使う。このザックの長所は、重さを感じさせない優れた設計にある。短所も3点ほどはあるが、ここには書かない。

北千住から乗った千代田線を、根津にて降りる。改札口に、竹久夢二記念館のポスターが貼ってある。変態伊藤晴雨のモデル兼愛人の兼代を、女たらしの夢二が寝取ってお葉と名を替えさせた。

夢二の傑作には、このお葉をモデルにしたものが多い。ポスターの、お葉の写真を見る。いずれにしても、僕の好みではない。

この日記を毎日読んでくださっているという未知の方に教えていただいた、根津駅ちかくの 「鳥兆」 へ行く。焼酎をオンザロックスで頼むと、オールドファッションドグラスの倍以上はある、大きな器にてこれが出てくる。突きだしは、厚揚げ豆腐と豚薄切り肉の煮びたし、生のキャベツとニンジン

テレビには、巨人ヤクルト戦が映っている。テレビを置く飲み屋を嫌う人がいるけれど、僕は何とも思わない。大衆的な飲み屋に、テレビはむしろよく似合う。

「外道の群れ 責め絵師・伊藤晴雨伝」 を読む。

鶏と野菜の串焼きを6本、冷やしトマトとニラタマ、焼酎計2杯にて、3500円ほどを支払う。なるほどここは良い飲み屋だ。1年に何度かは、寄ることもあるだろう。

不忍通りから無縁坂を上がり、9時30分に甘木庵へ帰着する。入浴してウェブショップからの受注をこなしはじめるが、眠くてまったくはかどらない。これを明朝の仕事として、10時30分に就寝する。


 2002.0527(月) 夏の麺

朝4時に起床する。

いつもの習慣から、事務室へ移動しつつ携帯電話を見る。昨夜から今朝にかけて、ウェブショップに入った注文が 大量に転送されてきている。短い時間に転送メイルが集中しているときには、ひとりの顧客が注文確定ボタンを何度もクリックしている可能性が高い。

一昨日から、郵便番号のみを入力してあとは白紙という注文が届き続けている。顧客名簿を検索すると、同じ郵便番号を持つふたりの顧客がヒットする。そのうちのおひとりに目星をつける。9時を過ぎたら電話連絡をすることとし、他の注文の処理に移る。

数通のメイルを送受信し、きのうの日記を作成する。余った時間で 「民藝美論 平易なる解説」 を読む。

朝飯は、ワカメと玉ネギの鰹節かけ、キュウリとカブのぬか漬け、納豆、カワハギのフリットとトマトとオクラのマリネ、カブの葉と油揚げの炒め煮、メシ、ダイコンと万能ネギの味噌汁

床屋へ行こうとして、時機を逸する。曇っていた空からいっとき、激しい雨が降る。販売のオオシマヒサコさんから、日光での用事があったことを知らされる。目的地までの7Kmを走るあいだに空は晴れ、新緑の山々が輝きを増していく。

昼飯には、鰹節と鶏肉による透き通った出汁に素麺を沈め、キュウリや万能ネギやミョウガのみじん切りを飾った冷たい麺を食べる

この上品な冷麺を食べることは、僕の夏の大いなる楽しみだ。「市之蔵」 で飲酒を為すときには、「あぁ、あの麺があったらなぁ」 と、いつも思う。

午後、銀行を回って帰ってくると、オヤジが 「いま成文社印刷が帰ったところなんだよ」 と言う。頼んでおいた品の最終校正を持ってきたのだろう。成文社印刷に電話をし、再度の来訪を請う。

連絡もせずに相手を訪ねるという悪習によって日本人が失っている無駄な時間を、はかり知ることはできない。準備さえしっかりすれば、たいていの人は仕事を数時間はやく切り上げて、左うちわで酒を飲んでいられるものだ。段取りの悪さが、日本人の労働時間の長さを生んでいる。

口を開けたままカルテの記入をする、明らかに不摂生の目立つ肥満した医者に 「1週間に7日も酒を飲むとは、立派なアルコール中毒患者だ」 などと言われては片腹痛い。ヨーグルトとビール酵母のシェイクを晩飯とする

入浴し、「外道の群れ 責め絵師・伊藤晴雨伝」 を読む。8時30分に就寝する。


 2002.0526(日) グラス1杯の晩飯

寝室に入ってくる家内の足音で目を覚ます。時間を訊くと午前0時だという。そのままうつらうつらするが、深くは眠れない。起きだして服を着ると、2時30分になっていた。

事務室へ降り、ウェブショップ の受注を処理する。数通のメイルを送受信し、きのうの日記を作成する。

明け方にいたり、

「民藝美論 平易なる解説」  池田三四郎篇  用美社

を読み返す。なにしろほとんど午前0時に目を覚ましているため、3、4行ほども読み進むと眠ってしまう。気がついて読み始めて、また4、5行ほどで眠りに落ちる。ナルコレプシーという病気は、こんなものなのだろうかと想像をする。

6時も近くなってきたため外へ出る。久しぶりに隠居の庭へ行ってみる。

しばらく見ないうちに、庭は夏草とでもいうべきものに覆い尽くされていた。藤の葉は、その棚からあふれ出さんばかりに茂っている

池の縁に花が枯れかけている。僕には、アヤメとショウブとカキツバタの区別もつかない。

テッセンが咲いているキウイの実がふくらみ始めている梅の実も大きくなりつつある

家に帰り、昨夜のコンソメトマト豚シャブの残りスープで作った雑炊を食べる。

数時間の仕事の後に、次男が自ら希望して引き受けたという、虫歯予防のポスター描きにつきあう。画を描くそばで本を読んだり他のことをしようとしたが、それはままならなかった。

今夜7時から、町内の総会がある。こういう日には、スパゲティなど簡単な1皿と共に、そそくさとワインを飲んで出かけることにしている。どうせそそくさとした食事しか叶わないのなら、これを断食の晩に充てようと考える。

そう考えていたところに、福井の港から魚の定期便が届く。家内がこれを、昼飯に仕立てる。

白バイ貝の酒蒸しを 酒肴としてではなく、単体で食べるのは妙な気分のものだ。キュウリとカブのぬか漬け、カレイの煮付け、イナダの叩き、茎ワカメの炊きもの、メシ、お麩と万能ネギの味噌汁

夕刻、販売のトチギポコさんが 自前のThinkPadで、アイテム別粗利総額対前年度比を算出している

「トチギ君、そこでそうやってコンピュータ使ってると、頭が良さそうに見えるよ」
「良さそうに、ですか?」

「あ、良さそうにじゃなくて、ホントに良いってか? エヘヘ」
「エヘヘじゃないですよ」

「アハハ」
「アハハじゃないですよ」

というわけで、閉店後、短いミーティングを持って解散をする。

自室へ戻り、ヨーグルトとビール酵母をシェイカーに入れて、これを強く振る。シェイカーの表面に、カクテルグラスへダイキリを注ぎ込んだ直後のような、白い霜が降りる

グラス1杯のヨーグルトを飲んで、晩飯を終了する。

7時前に春日町公民館へ出かけ、8時に戻る。入浴して8時30分に就寝する。


 2002.0525(土) コンソメトマト豚シャブ

朝4時に起床する。

ウェブショップ の受注を処理し、顧客に 「ご注文御礼」 を送付する。自分のpatioに9通の返信を書き、きのうの日記を作成する。

空は晴れた。山が、夏の色をしている

先日、岡村医院にて採血をされたが、今日はその結果の診断と、肝臓エコーや心電図、レントゲンの検査がある。看護婦さんから、メシはおろか水も飲まずに来るよう伝えられていたため、朝飯も水分もとらず、9時に岡村医院へ行く。

若くて太った医者は、自身が酒の飲めない体質ででもあるのか、「毎日飲酒をするとは、立派なアルコール中毒患者だ」 と言い放ち、血圧降下剤を処方しながら、減塩とカロリー制限、適度な運動と週2日の断酒を薦めた。

塩分を控えれば血圧が下がるという説は、あてにならない。高血圧の殆どは、遺伝によるものだろう。

カロリー制限については、我慢をしつつ食事をすよりも、いっそのことメシを抜いてしまった方が楽だ。数日に1度ずつ晩メシを抜けば、減塩、カロリー制限、断酒の3つが同時に達成されることになる。

運動不足を補うものは、ウォーキングだろうか。しかし田舎の歩行は退屈だ。道の数は少なく、風景も変化に乏しい。僕は東京では1日に5キロも6キロも歩くが、それは、路地や坂や地下道が、本屋や食べ物屋やショウウインドウが、そしてなによりも多くの人々が、街を巨大なジグソーパズルにしているためだ。

いずれにしてもこれからは、いや、明らかに運動が不足していそうな太った医者は遅きに失したような物言いをしたが、少しは節制をしなければいけないらしい。

知り合いのクマキトクマサさんは 断酒をしているとき、「酒のないメシってのは、ありゃぁエサだね」 と言っていたが、そのうちに断酒どころか半断食まで進んでしまった。クマキトクマサさんの奥さんによれば、旦那はある種の苦行オタクだという。

塩分を控えよと言われた1時間後に、街の美味しいもの屋さん の写真を撮ることもあり、「ラーメンふじや」 にて 豆板醤入り味噌ラーメン 「雷」 を食べる

昼休みに、団鬼六の 「外道の群れ 責め絵師・伊藤晴雨伝」 を読む。

文字の色を間違えたために納期の延びていた看板工事が、ようやく終わろうとしている。10日以内に、他の3ヶ所の看板も、塗り替えられることになっている。

お客様用の女子トイレも、来週中にはリフォームが完了するはずだ

きのう印刷した 「夏のギフトのご案内」 のためのタックシールを、早くも社員が封筒に貼り始める。昨年の投函は5月28日だった。ことしも同じころには、これを郵便局員に手渡すことができるだろう。

燈刻、ニラのおひたし、キュウリとカブのぬか漬け、冷や奴、茎ワカメの炊きものにて

請福酒造 「請福」 沖縄県石垣市新川148-3 TEL.09808-2-3166

を飲む。コンソメスープに完熟トマトを刻み入れた鍋を仕立て、豚シャブをする。

1991年4月、僕はカトマンドゥで扁桃腺を腫らし、39℃ちかい熱を出して1日、寝ていたことがある。このとき僕に栄養を補給したのは、ホテルの小さな厨房で作られた "tomato egg drop soup" だった。それ以来、僕はトマトのスープを好んで食べるようになった。

入浴してアミールSとイチョウ葉エキス6粒を飲む。9時に就寝する。


 2002.0524(金) カッチーニの "Ave Maria"

4時に起床する。

4時30分から1時間30分をかけて、顧客名簿から、「夏のギフトのご案内」 をお送りする顧客を抽出する。この作業は、ひとつでも間違いを犯した場合、最初からやり直さなければならない種類のものだ。

電話の応対や、「近くまで来ましたのでお寄りしました。私、こちらへ参るのは初めてですが、こういう者です」 などという営業マンの来訪が無い時間に行う必要がある。

ウェブショップ の受注をこなし、きのうの日記を作成する。

朝飯は、トマトとポテトのサラダ、キュウリとカブのぬか漬け、油揚げとカブの葉の炒め煮、刻みオクラ、温泉玉子、納豆、アサリの佃煮、メシ、シジミと万能ネギの味噌汁

この数日内に届いたアンドレア・ボチェッリの4枚のCDの白眉は、宗教アリアを集めた "Sacred Arias" だ。

400年前の作曲家カッチーニによる 「アヴェ・マリア」 を聴けば、浅草の場外馬券売場で朝からモツ煮を食べ、靴下から出した硬貨にて支払いをしているオジサンについては知らないが、ほとんどの人は凝然として立ちつくすのではないだろうか。

家内が 「自分の葬式には、これを流してくれ」 と言うので、「如来寺の住職クワカドシュウコウさんは友達なので、相談をしておく」 と、答える。

ウェブショップからの受注高を調べると、今月の今日までの数字が、既にして4月合計の3倍を記録している。その理由について、思い当たることはまったくない。

夕刻、日光の山が後ろから日に照らされる。「やまぎわ」 は山の稜線で、「やまのは」 はそれと接する空の線だったななどと、むかし覚えたことの復習をする。

7時前より、タコとトマトのマリネ、ポテトとキュウリのサラダワカメと玉ネギの鰹節かけ、オクラのおひたし、サバの甘い干物にて、泡盛琉球を飲む。

サツマイモの黒砂糖煮こそは、泡盛を伴う食事に似合いの惣菜と思われるが、これは1片にて留める。

入浴してアミールSとイチョウ葉エキス6粒を飲み、9時前に就寝する。


 2002.0523(木) 3枚のCD

朝5時に起床する。次男も目を覚まして 「遠足だ、遠足だ」 と、騒いでいる。もう1度眠るように言う。

事務室にて、いつもの朝の仕事をこなす。起床時間が遅かったため、きのうの日記作成までは手が回らない。

朝飯は、ソーセージと赤ピーマンの油炒め、油揚げとカブの葉の炒め煮、納豆、ナスの油炒めと大根おろし、卵焼き、納豆、メシ、カブとミツバの味噌汁

国道121号線沿いの看板に、手入れが施される。塗り直された文字が再び取り付けられていくときになって、いままでのものとは色が違っていることに、塚原看板の二代目が気づく。これを再塗装することに決め、今日の工事はとりあえず中止にする。

数日前に "amazon" へ発注した、3枚のCDが届く

"Per Amore"   Andrea Bocelli   POCP-7491   \2,548
"romanza"   Andrea Bocelli   PHCP-11051   \2,548
"TOSCANA"   Andrea Bocelli   UICO-1022   \2,548

このうちの1枚、"TOSCANA" を聴きながら、昼飯を食べる。

きのう今日と、近隣の高等学校の先生が、当方の求人状況を訊くために来社される。僕は1980年代からバブル期まで、ずっと新人の確保には苦労をしてきた。そのころのことを考えれば、いまの状況には隔世の感がある。

買物かごを備える新しいウェブペイジのデザインや階層、ボタンの文言(もんごん)につき、現在までに気が付いていることを詳細なeメイルにし、"Computer Lib" の中島マヒマヒ氏に送る。

外注SEのカトーノさんからは、画像イメイジによるボタンの、最後の2個が送られてくる。

ずいぶんと日が延びた。いまだ空に明るさの残るうちから、タコとトマトのマリネ、ポテトサラダ、冷や奴にて、泡盛琉球を飲む。ブタの生姜焼きを食べる

入浴後、オールドパーを生で1杯飲む。その後、アミールSとイチョウ葉エキス6粒を飲む。

9時に就寝する。


 2002.0522(水) 都市のケモノミチ

朝5時に起床し、熱いお茶を飲む。

ウェブショップ の顧客に受注確認書や質問状を送り、会社のpatioにアップする。きのうの日記を作成し、サーヴァーに転送する。

8時を過ぎて玄関を出る。定食の 「たつみ屋」 にて、トマトサラダ、ポテトサラダ、温泉玉子、メシ、ワカメと油揚げとホウレンソウの味噌汁 をとる。

甘木庵から神保町の "Computer Lib" までは2.5Kmほどの距離にて、歩いて歩けないことはない。ただし今日は、ちと荷物が多い。タクシーを停める。

運転手さんに 「靖国通り、専大前の交差点まで」 と言っても、よく分からないという。訊けば、一昨日からタクシーの運転手を始めたという。逐一、道順を説明する。

この運転手さんは今朝、飯能の家を4時30分に出たという。練馬のタクシー会社から7時に出だし、上がりは明朝の5時。目標はこの22時間以内に都内を350Km走り、6万円の売り上げを達成することだそうだ。休憩時間は3時間。その労働の厳しさに、僕は驚倒する。

靖国通りに平行する裏道でタクシーを降りる。神保町駅のA2出口裏に、都市のケモノミチを発見する。僕もここを抜けようとするが、コンピュータ入りのザックを背負っているため、それがままならない。普通の道へ迂回する。

"Computer Lib" へは、9時10分前に着いた。9時10分過ぎから、現行のウェブショップに、買い物かごやSSLを装備する作業が始まる。新しい階層や新設するペイジのデザインについて、社長の中島マヒマヒ氏と質疑応答を繰り返し、徐々に形を整えていく。

eメイルのやりとりのみにてウェブペイジの作成をしようとしたとき、階層などの論理的なことは別として、ことデザインに関しては、チャットでも用いない限り、能率的な作業は望めないだろう。やはり実際に顔をつきあわせながらの仕事が、もっとも早い納期を実現する。

マヒマヒ氏には本日、3時すぎに横浜での仕事が控えているという。午後2時まで、昼飯抜きの作業を続ける。頭を使いすぎて脳が酸素欠乏を起こすたびに、窓を開けて 右下の靖国通りを見おろし左下にある江戸前鮨の名店 「鶴八」 を見おろしながら、深呼吸をする。

この1週間の宿題を確認し、来週の仕事を約して、神保町を後にする。

銀座4丁目の東芝ビルで、次男の夏の帽子を買う。8丁目の 「たくみ」 にて、店舗の試食入れに使う片口を調べる。ここは民藝の店だけあって、片口の在庫は多い。

新橋から東十条へ至り、「埼玉屋」 の、いま下げられたばかりのノレンをくぐる。

この店では、焼酎のビンを冷凍庫に保存している。中の焼酎は、シャーベット状に凍っている。そのため、僕がこういうところで好んで頼む 「焼酎のオンザロックス」 は、出してくれない。しかたなく生ビールを注文する。

レヴァ、上シロ、ダイコンとクレソンのサラダ、生ワカメ から始める。レヴァはごく短い時間だけ焼き台の上に載せられた、表面のみ色の変わったほとんど生の状態で供される。

「今朝殺したもんをよ、今日出さなきゃ意味ねぇじゃん」 と、オヤジが言う。
「商売やってる以上はよ、ベストをつくさねぇとよ」 とも、オヤジは言う。

「次、何する?」
「チレとズイ」

「いーねー、チレ。ズイはダメだわ」
「どうして? 壁に貼ってあんじゃん」

「面倒くせぇから、はがさねぇだけだよ。もうズイは一生、食えねぇな、狂牛病でよ」
「一生ってことも、ねぇだろう」

「いや、まいんち屠殺場に行ってんだろ、わかるんだよ、雰囲気でよ」
「へぇ」

「コブクロ、食わない?」
「うん、頼む」

太くてプリプリした、空洞のほとんど無いコブクロが焼き上がる。

「コブクロは酢味噌だな。酢味噌、出してー」

オヤジが奥の調理場へ声を張り上げる。コブクロに酢味噌が載せられる。酢味噌は僕が苦手とする、数少ない食べ物のひとつだ。

「チレはガーリックバターだな。いい?」
「うん、いいよ」

僕は正直なところ、脾臓(チレ)はタレで食べたい。しかし、オヤジの言うことをきかないわけにはいかない。

「お客さん、焼酎好きならよ、レモンハイのダブルにしなよ、焼酎2発、入れっからよ。それなら濃くなるだろ」

僕は本来チューハイを好まないが、オヤジの言うことには、従がわざるを得ない。

ジョッキに注がれたソーダ水に、これでもかというほどのレモンを絞り入れる。その上に、シャーベット状に凍った焼酎を2玉入れる。オヤジはジョッキの縁に、スーッと塩を引く。

凍った焼酎がソーダ水の上へ浮くため、しばらくは焼酎シャーベットのみを食べることになる。もちろん、オヤジに文句を言うことはできない。

次々に客が入ってくる。コの字形のカウンター16席が、ほぼ満杯になる。

「よー、書記長、どうした最近? ダメ? あんたがダメだったらよ、日本の組合はどうなちゃうの」
「よー、色男。この前はイイオンナ連れてたねー、言葉がちょっと、違ってたけどよ」

「外道の群れ 責め絵師・伊藤晴雨伝」  団鬼六著  幻冬舎アウトロー文庫  \495

この作家の筆による秘密めいた導入部にはさすがのものがあるけれど、夕刻の 「埼玉屋」 は賑やかで楽しく、文字を追うことが中々できない。活字の上にドレッシングや肉の脂が垂れて、本が汚れるばかりだ。

「生酒ください」
「はいよ!」

以前ここで飲んだことのある 「純米酒」 と 「生酒」 を、うっかり間違えて頼んでしまう。純米酒は90CCほどのグラスで供されたが、生酒はなんと、300CCの小瓶にて出てきた。「やっぱりいらない」 とは言えない。これを飲み干して勘定を頼む。

東十条から北千住へ移動しても、空はまだ明るかった。北千住18:11発の、下り特急スペーシアに乗る。

8時前に帰宅し、入浴してアミールSとイチョウ葉エキス6粒を飲む。9時前に就寝する。


 2002.0521(火) 「はん亭」 の裏壁

イギリス中西部の町にいる。木賃宿で、その町についての案内書を読んでいる。例によって、誤った解釈によってその英文を読み進み、勝手に納得をしている。

翌朝、町を北から南へ向かって歩く。東の城門をくぐると、そこはもはやイギリスではなく、どこか知らないイスラムの町だった。数万坪にも及ぶ広大な広場では、折しも数十万人からなる礼拝が行われていた。

ごく少数の、アメリカから来た白人の巡礼を見かける。彼らはメッカに向かってひざまずくことをせず、立ったまま、頂部にのみ葉を持つ奇妙な形の木に頭を下げている。

知らない町で異教徒が寺院に紛れ込むことは危険だ。僕は先ほど通り抜けた城門を東から西へと抜け、本来のイギリスの町に戻る。

目が覚める。しばらくは横になったまま休む。起きだして時計を見ると、3時30分だった。事務室へ降り、アンドレア・ボチェッリのCDをかける。いつもの朝の仕事をこなす。

朝飯は、コマツナと鶏肉の炊きもの、キュウリのぬか漬け、ナスの油炒めと大根おろし、納豆、温泉玉子、アサリの佃煮、メシ、ダイコンとミツバの味噌汁

8時30分から、下今市駅にて今日明日の切符を買い、関根耳鼻科に診察券を出し、郵便局で振り込みをして郵便物を受け取り、銀行で残高照会をする。ふたたび関根耳鼻科の駐車場にクルマを停めて、きのうから少し腫れている首のリンパ腺を診察してもらう。

昼ごろに外注SEのカトーノさんから、新システムのウェブショップに使う8個のボタンが送られてくる。 "Computer Lib" での作業が始まる20時間前にきっちり届けてくるという律儀さだ。

下今市17:03発の、上り特急スペーシアに乗る。北千住から常磐線に乗り換え、日暮里に至る。

御殿坂より日暮里駅を見おろして歩く。反対側の歩道に渡る。蕎麦屋の 「川むら」 は、今夜も繁盛している。この店の数え切れないほどの豊富な酒は、3軒となりの 「やまうち酒店」 にて、手当てをされているのだろうか。

そのまま丘のように丸い夕焼けだんだん坂を越え、家族連れやオジサン、若いグループなどでほぼ満員の 「波MAKASE」 に入る。串揚げその他にて、チリ産の、中くらいの重さの赤ワインを飲む。限定された客層にとどまらないのが、この地域の飲み屋の特徴だ。

谷中の商店街を抜け、千駄木から地下鉄千代田線に乗る。わざと湯島の手前の根津にて降りる。

3階建ての町屋を改造した 「はん亭」 は 不忍通りに面した本来の裏壁をぶちぬき、モダンなファサードを持つ新店舗の入口としていた。この界隈をしょっちゅう歩きながら、この改造には今日まで気づくことがなかった。少しく驚かされる。

9時に甘木庵へ帰着する。スペーシアの車内で諸方のpatioに書いた、11通の返信を送る。10時に就寝する。


 2002.0520(月) アンドレア・ボチェッリの "Sacred Arias"

朝4時に起床する。7時間も眠っていたことになる。

事務室へ降り、ウェブショップ の受注をこなして会社のpatioへアップする。数通のeメイルを送受信し、きのうの日記を作成する。

昨夕に届いた2枚のCDのうちの1枚、アンドレア・ボチェッリの "Sacred Arias" を聴く。出だしから軽くノックアウトされる。凄い凄い凄い、これは凄い。イタリアのメシや酒、イタリアのクルマ、イタリア女の背中やイタリア男のつま先、イタリアの建築や家具、イタリアの風光や絵画の好きなヤツは皆、このCDを聴くべきだ。

イタリアのクルマの美質は、ただまっすぐに加速をしていくだけで、運転する者を享楽的な気分にするところにある。この歌手は、ただ声を出すだけで人を感動させることのできる、希有なひとりだろう。

このアルバムの瑕僅は、もっとも良い曲を1番はじめに配置してしまったことだろうか。

ごく短い時間が過ぎる間にも、山が雲からあらわれたり、また雲に隠れたりする。朝飯は、本日、岡村医院にて検査のための採血が控えているため、これを抜く。

10時より、今市小学校2年生の社会科見学を受ける。今日は工場見学ではなく、町なかの商店を歩いて話を聴く勉強だという。7、8人からなるグループが、何度となく訪れる。彼らの質問を受け、また当方からも商売についての話をする。

僕が今市小学校の2年生だったときには、いまだ商店街の真ん中にあったマルシチ醤油の見学をした。マルシチ醤油の、醤油のビンが機械で自動的に洗われていく風景はいまでも覚えているが、この種の勉強は、小学2年生には少し難しいように思われる。

しかしながら、僕と等しく子どもの中に思い出は残る。僕の手紙、パンフレット、ウチで作った市内地図を添えたお土産を、ひとりひとりに手渡す。

11時をまわって岡村医院へおもむく。数年前までいた、若く痩せた看護婦さんに採血をしてもらうと、いつも腕の中に内出血の跡が残った。今日は、中年の太った看護婦さんに採血をしてもらう。内出血は起きなかった。

11時30分過ぎに帰社する。いつもの朝飯のような昼飯を食べる。

きのうと今日の午後に印刷をした、大口顧客の 「昨年のお歳暮送付先リスト」 が、事務の清水花子さんによって封筒に詰められていく。5月の初めから先延ばしにしていた仕事を終えて、ひと安心をする。

終業後、販売の見目sanjiさん、斉藤bucksさんに、マイツール によるスケデュール管理教室を施す。彼女たちは入力、日にち順の並べ替え、必要情報の検索、自分の休暇を会社のpatioへアップするまでの行程を、わずか90分にて習得した。

あとには毎日の地道な入力作業と、それによって蓄積されたデイタを自らや会社の役に立てるべく、軽い努力を続けるのみだ。

彼女たちふたりのための夕食を、家内が事務室に運んでくる。彼女たちだけでメシを食べた方が気が楽だろうと、僕は居間へ引き上げる。

事務室へ運ばれたメシと一部で重複する、エビの天ぷら入りおにぎり、オクラと鶏挽肉の炊きもの、焼き鳥、冷や奴、冷やしトマトにて、焼酎 「琉球」 を飲む。

事務室から、食事が終わった旨の館内電話がかかってくる。家内が降りて彼女たちを送り出す。

入浴してアミールSとイチョウ葉エキス6粒を飲み、9時に就寝する。


 2002.0519(日) 「ひばり ジャズを歌う」

朝2時30分に起床する。

毎年5月には、ギフトの大口顧客に対して 「昨年のお歳暮送付先リスト」 を印刷し、下旬にこれを各々に送付している。そして顧客はこれを、今年のお中元の参考としてお使いになる。リストの印刷には丸1日を要するが、あまり面白くない仕事のため、どうしても先延ばしになる。

僕のスケデュール管理システムは、5月1日からこの仕事にかかるよう、コンピュータのディスプレイを通じて知らせてくれているが、今年もまた、いまだ手をつけるまでには至っていない。

今日のように早く起きることのできた日は、いわばこの作業には打ってつけのはずだが、ウェブペイジを一気に70ペイジちかくも書き換えることはできても、名簿の印刷だけは、つい後回しになっていく。

ウェブショップ の受注作業をする。数通のeメイルを送受信し、きのうの日記を作成する。

空は晴れたが、日光の山にまとわりついている雲が、やがてこの町の頭上を覆うはずだ。

朝飯は、高野豆腐の炊きもの、焼いた厚揚げ豆腐、納豆、シラスおろし、焼きピーマン、キュウリとカブのぬか漬け、メシ、エノキダケとワカメの味噌汁

8時30分から意を決して、大口顧客のギフト送付先名簿の印刷にかかる。プリンタから排出される紙を見ているだけでは、退屈が募る。印刷に用いるコンピュータの横に自分のThinkPad s30を置き、諸方のpatioを読む。

10時すぎから三菱デリカに自転車を2台載せて、次男と松原公園へおもむく針葉樹と広葉樹の疎林の上の方から、虫の声が聞こえてくる。何の声か次男に訊ねると、セミだと言う。5月に鳴くセミなど、いるのだろうか。

ユズリハはその不気味な姿から、いかにも南の国に生育するのが似合いそうな樹木だが、その南限はせいぜい、台湾から中国南部あたりらしい。

2時間遊んで帰宅し、次男とふたりで 「いとや蕎麦屋」 へ、昼飯を食べに行く。

午後はふたたび、ギフト送付先名簿の印刷をし続ける。印刷をしながら、諸方のpatioに13通の返信をつける。夕刻までに、ほぼ作業の目鼻をつける。

朝に予測したとおり、案の定4時すぎから雨が降り始める。

数日前に "amazon" へ発注した、2枚のCDが届く

「ひばり ジャズを歌う」   美空ひばり   COCA-70172   \2,730
"Sacred Arias"   Andrea Bocelli   PHCP-11176   \2,548

終業後、事務室にて 「ひばり ジャズを歌う」 を聴く。僕は中学生のころから、音楽については珍品ゲテモノを好んで聴いてきたが、これについては1曲目の途中で、早くも僕を喜ばせるたぐいのゲテモノとは異なることを知る。ただし、原信夫とシャープスアンドフラッツ、コロンビア・ストリングスによる演奏は、とても良い。

7時前から、シシャモの南蛮漬冷や奴、厚揚げ豆腐とコマツナの炊きもの、マグロとトマトとオクラのオリーヴオイルによるタルタル にて

新里酒造 「琉球」 沖縄県沖縄市古謝864-1 TEL.098-939-5050

を飲む。

8時すぎに入浴し、アミールSとイチョウ葉エキス6粒を飲む。9時前に就寝する。


 2002.0518(土) 撤退の辞

朝5時30分に起床する。数通のeメイルを送受信し、きのうの日記を作成する。

7時15分に甘木庵を出る。雨が降っている。傘を差して春日通りへ出る。本来ならそのまま上野広小路まで歩くところだが、浅草駅8:00発の下り特急スペーシアで帰社したい。折良く近づいてきたタクシーに乗り、湯島の切り通し坂を下る。

スペーシアの車内にて、甘木庵では時間が足りずに書けなかったeメイルを書く。途中、きのうの集まりに出られなかった自由学園の上級生から電話が入る。9時40分に下今市へ着く。その10分後に帰社する。

昨年の5月に、宇都宮ケーブルテレビ の 「e-monoショッピング」 に出店することを決めた。同じ月の23日に、第一回目の取材を受けた。そして今年の3月に、このショッピングモールからの撤退を決めた。理由は簡単で、ウチの通信販売の中で、この部門だけが赤字だったからだ。

そろそろ年間契約の切れる日も近い。「e-monoショッピング」 からの数少ない顧客へ向けて撤退の辞を書き、フォルダに保存をする。

僕は今後かなりの確信を以て、ショッピングモールに出店をすることはしないだろう。

僕は間食をしない。ほとんど常に腹を空かせている。終業後には、いち早く晩飯を食べたい。自ら買い物へ行く。刺身用のアジや明日の味噌汁の具にする諸々を手にして戻る。

"Domaine Leflaive Bourgogne Blanc 1997" の栓を抜く。口の中でグジュグジュとうがいのようにワインをかき回し、舌の脇や歯の間にそれを行き渡らせる。口腔に苦みと渋みが充満する。鼻からは蜂蜜の香りが抜けていく。

今市市沢又地区のヨウコさんから戴いた野菜によるラタトゥイユは、僕がこの25年間に食べたラタトゥイユの中でも、第一等に美味いものだ。盛夏になれば、より美味くなるだろう。

ニンニクとベイジルのスパゲティアジのオリーヴオイル焼きバルサミコソース

カマンベールチーズを1個丸ごと食ってしまうというのは、やはり体には、あまり良くないだろうか。

入浴してアミールSとイチョウ葉エキス6粒を飲み、9時に就寝する。


 2002.0517(金) 雨の夜に見えるもの

麻のような壁紙と、大きな窓を持つ部屋にいる。光があふれ、壁はまるでそれ自体が発光しているように見える。白いカーテンが柔らかい風に揺れている。光量過多の写真のようなその風景を、僕はひとりで眺めている。

トランペットとピアノとベイスとドラムスのカルテットによる、アップテンポの "Autumn Leaves" が聞こえる。とても洒落た演奏で、トランペットはときおり、フリューゲルホルンに聞こえたりもする。僕は夢の中で、そのトランペットがマイルス・デイヴィスのものではないことを確認する。

朝3時30分に起床する。事務室へ降り、いつもの仕事をする。数通のメイルを送受信し、きのうの日記を作成する。1軒のお店を、街の美味しいもの屋さん に追加する。

朝飯は、玉子雑炊、ジャコ、アサリの佃煮、ダイコンとカブとキュウリのぬか漬け

登校班の集合場所まで、次男の手を引いて送る。店舗の駐車場と会社に沿った道路の清掃をする。開店準備中の店内に入ると、ケンモクサンジ君が 「20日、スケデュール管理の教室をやってください」 と言う。喜んで了承をする。

午前中、"SSL" の申請に必要な書類を揃えるため、法務局へおもむく。キャノンボール・アダレイとビル・エヴァンスによる "Know what I mean?" のCDが、どうしてもホンダ・シティのプレイヤーに吸い込まれてくれない。

昼どき、家内の作った熱々のキノコウドンを食べようとしたまさにそのとき、事務員シミズハナコさんからの館内電話が、この数日中に看板の修理をすることになっている、イナバ塗装の来訪を告げる。こういうとき、ウドンを放り出して事務室へ降りない僕は、傲慢かつ仕事に対して不熱心な人間だろうか?

折り返し事務室に電話を入れると、誰も出ない。店舗へ電話をすると、販売のオオシマヒサコさんが受話器を取る。シミズハナコさんは接客中のため、手が離せないと言う。オオシマヒサコさんに頼んで、イナバ塗装の社長に、折り返し、出来たてのウドンが湯気を上げている部屋まで館内電話をしてもらう。

「いま提出をした見積書の金額は、予備日を入れた長い工期を想定したもので、実際にはそれよりも安く上がる」 という、イナバ塗装社長の説明を聞く。

そそくさと食卓へ戻り、幸いにもそれほど温度の下がっていないキノコウドンを食べる。仕事のために出来たての麺を犠牲にしない僕を、ラテンの文化圏ではいざ知らず、日本で支持する人はほどんといないだろう。

早めに事務室へ降りる。今月の20日に会社見学をしたいとの書類を送ってきた、今市小学校の担当教師に電話をする。小学校の先生は、昼休みにもっとも電話が繋がりやすい。キクチアツコ先生と、簡単な打合せをする。

下今市発16:03発の、上り特急スペーシアに乗る。会社を出る前にダウンロードした、諸方のpatioを読む。

東京の雨は、いまだ本降りにはなっていなかった。三社の宵宮を迎える浅草では、それほど広くない裏道に至るまで、電球入りの提灯で飾られていた

串揚げの 「光家(みつや)」 にて焼酎2杯を飲みながら、18本の串揚げを食べる。僕は鮨屋でもスペインの小皿料理屋でも、またこういう店でも、そこそこに食べるということができない。腹が苦しくなるまで、注文を繰り返す。

大皿でドカンと出てくる料理には、見ただけで食欲の満たされてしまうところがある。少しずつ供される料理には、腹具合よりも 「あれも食いたい、これも食いたい、もっと先まで食べ進みたい」 という欲求が募るらしい。

今月1日に更新した "GOURMET"浅草 「光家」 に貼付した ハスの画像 がどうしても気に入らないため、改めて、この店の経営者の写真を撮らせてもらう

定刻から20分遅れて、神保町の矢野ビルにおける、自由学園卒業生のためのメイリングリスト "PDN"(Primary Dougakunotomo Network)の運営会議へおもむく。焼酎と串揚げのために遅刻をしても、欠席するよりは真面目というものだ。

会議は9時に解散した。

傘を差して、神保町から靖国通りを東へ歩く。錦華通りから明治大学の図書館脇をショートカットし、駿河台の坂を上がる。雨にもかかわらず、地下への階段を降りて丸の内線に乗る気がしない。御茶ノ水橋を渡り、順天堂大学前から新壱岐坂上へ抜け、本郷に向かう。

雨の夜に街を歩くと、普段は気づかずにやり過ごしていた諸々が、僕の五感に忍び寄る。

(かぎ)の手に折れた路地の奥には小料理屋があるのだろうか、湿った空気に乗って、ひと汐をした鯖を焼く匂いが漂ってくる。濡れた地面を這うようにして、どこからかフランスの古い流行歌が聞こえてくる。廃業したとばかり思っていたうらぶれた焼鳥屋の窓に、客の影を発見する

9時30分に甘木庵へ帰る。今夜は飲酒量が少ないため、眠気をなかなか覚えない。

11時にメイラーを回すと、カトーノさんから新仕様のウェブショップで用いるボタンが送られてきている。タイムスタンプは、数分前の時刻を示している。お礼と意見を述べようと電話をすると、僕の生活リズムを知るカトーノさんは、「まだ起きていたんですか」 と、驚く。

少々の手直しをお願いして、寝室へ入る。午前0時に就寝する。


 2002.0516(木) カラブリアのオリーヴ

きのうは10時30分に就寝したが、3時間少々の睡眠にて目が覚める。2時に起床する。

事務室へ降り、ウェブショップ の受注作業に入る。通常の受注の他、注文フォームの入力途中にて確定ボタンを押した顧客に対して、確認のメイルを送る。

「ジャック・ロンドン放浪記」 ジャック・ロンドン著 川本三郎訳 小学館 \1,460

は、きのうの下り特急スペーシアの車内にて読み終えた。巻末の 「読書が広がる関連ブックガイド」 という10ペイジからなるコーナーにも目を通したが、ここにはこの本の読者が興味を持ちそうな、小学館のもの以外も含めた25冊の本が紹介されている。

その親切さと寛容さに心を打たれる。「ジャック・ロンドン放浪記」 を含む 「地球人ライブラリー」 のシリーズは、よほど優秀な編集者によるものと見受けられる。

海外のそれについては知らないが、日本の大きな出版社は、多く珠玉の名著を出版しながらその一方で、とてもではないが子どもには見せられないような文字や写真を、毎日大量に垂れ流し続けている。

これは人が美麗な店で上品なメシを食う一方、狭い個室で脱糞を為すことと同じだろうか。しかし糞は、少なくともキヨスクやコンビニエンスストアの棚には並ばない。

朝飯は、シラスおろし、刻みオクラ、納豆、ニンジンとピーマンのキンピラ、ホウレンソウの胡麻よごし、メシ、豆腐とワカメと万能ネギの味噌汁

午後、集金に来た保険会社の人に、タラバガニを2杯いただく。家で処理しきれないほどのカニをもらったときにとる行動はひとつだ。"Casa Lingo" のヨシハラさんに恐縮しつつ電話をし、今夜の調理を頼む。

ボロボロのホンダ・シティにカニの入った氷入りの大きな発泡スティロール箱を積み、"Casa Lingo" の調理場に届ける。その足で、「日光わんわんの森」 を訪ねる。

カトーノさんは事務室や売店や食堂の棟からは見ることのできない、丘を越えた向こう側 にある犬の訓練施設にて、雑草を抜いていた。一緒に事務室へ戻る。新しいウェブショップに用いるボタンのデザインについて相談をし、その作成を依頼する。

夕刻に帰社する。「ジャック・ロンドン放浪記」 を、"Computer Lib" のユニフォームピンバッジ と共に荷造りし、自由学園の寮で暮らす16歳の長男へ、宅急便にて送付する。

終業後は、次男の算数の宿題に付き添う。1時間を経て、家族5人で "Casa Lingo" へ行く。

白ワインをカラフで注文する赤ワインとバルサミコに漬け込み、石窯で焼いた豚肉を、とりあえずの肴にする。

丸ごとのトマトワカサギのフライ、タコ、エノキダケ、タケノコなどのサラダカニのマカロニグラタン薪の火による焼きガニカニのリングイネ。その身の透明さを失わない程度に生っぽく上げたカニの焼き加減がとても良い。カニを食べるとき人は寡黙になるというが、酒の進みもまた遅くなる。

メシの途中、6歳の次男を小便のために1度、大便のために1度の計2度、便所へ連れて行く。"Casa Lingo" の便所は、とても綺麗だ。

僕の胃袋に、甘いものを食べる余裕は残っていない。カラブリア地方の大きなオリーヴにて締める

帰宅して入浴する。アミールSと6粒のイチョウ葉エキス、それに新三共胃腸薬を摂取し、9時に就寝する。


 2002.0515(水) 「大亀」 のレヴァ刺

朝4時に起床する。

ウェブショップ の受注をこなし、数通のeメイルを書く。きのう上りスペーシアの車内でほとんど書き上げていた日記を完成させ、サーヴァーに転送する。

8時すぎに定食の 「たつみ屋」 へ行く。デフォールトで 「今日の定食」 を頼めば、焼き魚と小鉢3品、それにメシと味噌汁が420円で済むところを、ポテトサラダ、温泉玉子、ほうれん草のおひたし、メシ、モヤシとコマツナと油揚げの味噌汁 のアラカルトに、620円を支払う。

"Computer Lib" での仕事は、9時からの約束だ。「たつみ屋」 の向かい側から靖国通りの専大前まで、タクシーで行こうと考えるが、なかなか空車が来ない。 ついには 東京ドームを望む新壱岐坂を下り東京ドームホテルを見上げながら細い道に入り込む

路地裏に、アジサイのような咲き方と、シャクナゲのような葉を持つ花を見る

ようやく白山通りにてタクシーが停まる。水道橋駅の近くに、見慣れないカフェができている

9時1分前に、神保町の "Computer Lib"に到着する。ウェブショップに、買い物かごと "SSL" とブラウザから受注するシステムを、徐々に作り上げていく。

大部屋の隣の小部屋にあるプリンターから現行のペイジを印刷し、その上にフェルトペンで、変更点や新企画についてのメモを整理していく

来週ここへ来るまでに僕が解決しておくべき宿題を、ノートに書き写す。果たして5月中にこの作業を終えることができるかどうか、心配になってくる。

夕刻、浅草の深奥にある、グルメ本にも 「東京レストランガイド」 にも載らない秘密の花園のような焼肉屋 「大亀(だいき)」 にて、子袋焼き、頼まなくても出てくるモヤシとホウレンソウのナムル、レヴァ刺を肴に、焼酎のオンザロックスを飲む

蕎麦を褒める言葉のひとつに 「エッジが立っている」 というものがある。この店のレヴァ刺は、まさにエッジが立った状態にある。とても新鮮なため、ペチョリという舌触りがない。大げさに言えば、サクサクという感触を歯に伝える逸品だ。

浅草駅19:00発の下り特急スペーシアに乗り、9時前に帰宅する。

入浴してアミールSとイチョウ葉エキス6粒を飲み、10時30分に就寝する。


 2002.0514(火) 「蕎麦勢い」

朝3時に起床する。

事務室へ降りる。ウェブショップ の受注をこなして会社のpatioへアップする。数通のeメイルを書き、きのうの日記を作成する。

朝飯は、納豆、マヨネーズ味のスクランブルドエッグ、刻みオクラ、シドキの胡麻よごし、ニンジンとゴボウの天ぷら、三つ葉を炊いたもの、メシ、シジミと万能ネギの味噌汁

8時30分に手塚工房へ行く。同級生のテヅカナオちゃんに、店舗内の商品ディスプレイに必要なアクリル台の設計図を渡す。ついでに、ナオちゃんの新しい"mac"を見物する

9時30分に家内と会社を出て、クルマで宇都宮へ向かう。「たまき」 へ行く。村田森(むらたしん)による器を、店舗の試食入れとして購う。この店へ来ると、なにかしら買い物をして預金残高が減り、逆に家の中のものは増える。佐藤和次の織部はいかにも感じが良く、またいかにも安いが、今日は見るだけにて我慢し、購入は諦める。

先日、宇都宮から帰社するときに、日光街道ではなく、その西側に平行する新里街道を通った。その際、猪倉地区近辺に、外観からして美味そうな蕎麦屋があったことを思い出し、昼時に寄る。

メニュや店内の品書きを見て、またルノワールの画に出てくるような立派な体格のオカミと相談をして、十割月輪(がちりん)そばに決める。これの大盛りを頼むと、茹で方が難しいため、ひと鍋に大盛りの量は入れかねると、オカミが言う。この蕎麦に限っては、普通盛りをひとり分ずつ茹でるらしい。

夕刻までに腹が減ってもいけないと考え、野菜の天ぷらを追加する。

細かく挽いたそば粉に荒く挽いたそば粉をつなぎとして使うというこの十割蕎麦は、透明な部分と白い部分が入り交じった、大げさに言えばバリバリと噛んで食べる感じの、しかし上品な蕎麦だった

帰り際にもらった名刺に、URL とメイルアドレスを見つけて驚く。店の裏の斜面を降りると、水の湧く脇に庚申塚がある。しばらく森の空気を吸い、杉の落ち葉を踏みながら駐車場へ戻る。

クルマを10分ほど走らせ、大沢地区の 「龍蔵寺」 を探す。はじめ勘に頼って見つからず、しかし我が町の観光協会だか教育委員会が立てた、小さな看板が目に入る。このお寺には 「六尺藤」 という巨大な藤があるらしく、ウチのお客様にも頻繁に場所を訊ねられるため、今日の調査となった。

あぜ道から更に竹林へ分け入った奥に、「龍蔵寺」 は、ひっそりとしてあった。幹の直径85センチメートル、枝張り14メートル四方、樹齢百年という、「六尺藤」 の画像をカメラに納める

1時すぎに帰社する。

2時すぎ、三菱デリカに自転車を載せ、次男と松原公園へ行く。短い時間を一緒に遊び、3時15分に帰る。子どもも小学校へ通うようになれば、一緒に遊んで当方が困惑するようなことは少なくなる。

下今市駅16:03発の、上り特急スペーシアに乗る。浅草で銀座線に乗り換え、三越前で降りる。

昼飯以来 「蕎麦勢い」 のようなものがついたのだろうか、「室町砂場」 にて若干の飲酒の後に、盛り蕎麦の普通盛りを食べる。

まっすぐに帰れば良いようなものを、甘木庵への帰路を逆行して銀座へ至り、近藤書店にて幾冊かの本を瞥見する。西五番街を南西に下って "GOOD TIMES" への階段を上がる。「ジャック・ロンドン放浪記」 を読みながら、オールドパーベイスのロブロイを2杯飲む。

9時に帰宅し、10時に就寝する。


 2002.0513(月) 漢字とカタカナ

朝1時30分に起床する。

事務室へ降り、ウェブショップ の受注を処理する。数通のeメイルを送受信し、きのうの日記を作成する。

街に霧が深い。カトマンドゥの朝を思い出す。石油ストーヴで焼いたパンと、何の乳から作ったものか、色の白いバター、そして鍋で煮立てたミルクティの香りを思い出す。

朝飯は、キュウリと大根のぬか漬け、豆腐の卵とじ、茄子とピーマンのラタトゥイユ、ジャコ、納豆、シドキのおひたし、メシ、ワカメと玉ネギとミョウガの味噌汁

僕は多分、先月まで、この日記に出てくる野菜や魚の名を、ほとんどカタカナで書いていた。未知の人がeメイルにて 「漢字で表記をした方が、日本語の文章としては自然でしょう」 と、教えてくれた。

僕はそれ以来、野菜や魚は漢字で書くようにしてきたが、どうしてもある種の気持ち悪さが、体のどこかに残っていつまでも消えない。

その気持ち悪さは、どうしても、ときには野菜や魚の名前をカタカナで書かざるを得ないところに由来する。

「茗荷」 という文字を目にして 「メイ、メイ、メイ、、、なんて読むんですか?」 という人がいる。「生姜」 という文字を目にして 「ナマ、ナマ、ナマ、、、なんて読むんですか?」 という人がいる。

ところが 「大根」 を読めない人は、まずいない。そういうところから、僕はたとえば 「大根とミョウガ」 というような、著しく均衡に欠けた文字を書くことになり、これがどうにも気分が悪い。

「サワラは鰆と書く方が、感じが出ますよね」 という人は、果たして魚の右に伏せると書いて、どう読むかを知っているのだろうか?

というわけで僕は明日から、また野菜や魚の表記を、カタカナに戻そうかと考えている。

深更の反対にいまだ夜の早い時間を、永井荷風はどう書いていただろうか。とにかく夜の7時から夕食をとる。豆腐、油揚げ、豚肉、ムキタケ、水菜の鍋にて、泡盛菊之露を飲む。カマンベールチーズの朝鮮海苔巻きにて、更に菊之露を飲み進む。

イチゴは食べずに、ただ写真のみを撮る。僕は野菜は多く食べるが、果物はほとんど口にしない。

入浴してアミールSとイチョウ葉エキスを6粒飲む。深更の反対は初更だったことを思い出す。9時前に就寝する。


 2002.0512(日) ヒライマサキ先生

目が覚めると7時30分を過ぎている。これほど遅く起きたのは、今年になって初めてのことだ。即刻事務室へ降り、駐車場と会社に沿った道路の掃除をする。

朝飯は、水菜の炒め煮、ナスの油炒め、シラスおろし、キュウリのぬか漬け、納豆、メシ、大根と三つ葉の味噌汁

日光の山に雲はかかっているが、空はおおむね晴れている。日曜日に太陽が顔を出しさえすれば、他に文句はあまり無い。

店舗は賑わい、僕もしばしば店舗に立って販売をする。

終業後、きのう自由学園の正門前にて最高学部の生徒から買った 「自由人」 を読む。「自由人」 は最高学部の生徒が編集をする、独立採算制の季刊誌だ。

この中にヒライマサキ先生へのインターヴュー記事を見つけて、大いに驚く。ヒライ先生は自由学園の教師ではなく、外部から招聘された講師だった。僕は高等学校1年生のとき、ヒライ先生の西洋史の時間にクリスティの本を読んでいて、叱られたことがある。

後に僕は最高学部へ進み、卒業勉強に 「イベリア半島のイスラム」 というテーマを選んだ。自由学園の卒業勉強は、ひとりで行うものではない。そのテーマに興味を持った数人が、グループを作って研究を進める。ヒライ先生は、僕たちのグループの顧問になってくださった。

僕はこの勉強中に、ひとりでスペインへ行った。当時、東京からマドリッドまでの直行便は無かった。僕はエールフランス機をパリで降り、イベリア航空機に乗り換えてスペイン入りをした。トレドとグラナダという、イスラム色の濃いふたつの街を歩いて、博物館や美術館をしらみつぶしにした。残りの時間には、バルで酒ばかりを飲んでいた。

僕がスペインから戻って後のある日、卒業勉強の部屋へヒライ先生がお見えになった。同じグループのイトウイクオ君がヒライ先生に 「先生、ウワサワ、スペインに行って来たんですよ」 と言った。ヒライ先生は何をお思いになったか、「君、僕に近づくな」 と、おっしゃった。僕が何か、悪い菌でも持っているようにお感じになったのだろう。

僕が失礼にも 「先生、そんなことで歴史学者がつとまりますか?」 と言うと、ヒライ先生は 「僕は書斎派の学者だからね」 と、お答えになった。

「イベリア半島のイスラム」 を発表する壇上の僕たちに向けて矢継ぎ早に発せられる質問に、先生は最後まで援護をしてくださった。

「自由人」 のインターヴューによれば、ヒライ先生は1960年代後期の早稲田大学において、バリケイドストライキに反対する、クラスでただひとりの学生だったという。先生はいきりたつ大勢の級友に対して 「現在の学生運動は、若気の至りでは済まない行為だ。オレは、お前たちの今後を見届けてやる」 と、宣言をされたという。

記事に添えられた、僕の在学中から数えて24年目の、ヒライマサキ先生の写真をまじまじと見る。

燈刻、冷やしトマト、らっきょうのたまり漬とツナのサラダ、冷や奴豚肉とブロッコリーの油炒め、茄子とピーマンのラタトゥイユ にて、泡盛菊之露を飲む。

入浴してアミールSとイチョウ葉エキス6粒を飲む。「ジャック・ロンドン放浪記」 を読み、9時に就寝する。


 2002.0511(土) 「鳩居堂」 の踊り場

朝3時30分に起床する。

ウェブショップ の受注を処理し、数通のメイルを送受信する。諸方のpatioに12通のレスポンスを書く。

先週気のついたことだが、天井の暖冷房機が2台、まったく動かなくなっている。ブレイカーは落ちていない。2台揃って動かないということは、フューズが飛んだわけでもないだろう。試しに両台のフィルターを掃除してみる。

来週このフィルターを本体へセットして、それでも動かないようなら、おととしここのリフォームをした建築会社に、機械の調査をしてもらうことになるだろう。

10時に甘木庵を出て、家内と銀座へ出る。「鳩居堂」 の階段踊り場に F.L.ライトの影響を見るのは、僕だけだろうか?

8丁目の 「資生堂ギャラリー」 へ移動して、堂本右美の最新作を見る。おなじく8丁目の 「たくみ」 にて、友人へ送る分も含めて3冊の小冊子を買う

午後2時から、自由学園の父母会へ出席する。父母会は、お弁当による夕食の後も続く。JR日光線の最終にあわせて、8時に中座をする。

上野駅の山手線プラットフォームから、いつも使ったことのない最も御徒町寄りの階段を降りると、シェルガーデン系のスーパーマーケットや "ANDERSEN""Hard Rock Cafe" などが、まるで中庭を囲む回廊のように配された、大きなホールに出る。僕はしばし、浦島太郎のような気分に陥る。

11時30分に帰宅する。入浴して、泡盛菊之露とキリン一番搾りによる、奇妙なボイラーメイカーを飲む

「ジャック・ロンドン放浪記」 を読み、午前1時に就寝する。


 2002.0510(金) 6丁目の路地

朝2時30分に起床する。事務室へ降りて ウェブショップ の受注を処理し、数通のメイルを送受信する。

いつか早く起きることがあったら一気に行おうと考えていた、"清閑PERSONAL" の横幅を、675という絶対値から、ディスプレイに対して85%とする作業をする。%指定なら、小さなコンピュータにても横スクロールバーが出ず、快適に読むことができるだろう。

書き換えたペイジは、全部で69ペイジに及んだ。それを済ませて後に、きのうの日記を作成する。

朝飯は、マグロのヅケ丼と、シジミの味噌汁

"Computer Lib" 社長のナカジママヒマヒ氏に、ウェブショップの顧客に対して、受注の時期や決済方法によって使い分ける4種類の礼状と受注確認書を、eメイルにて送付する。

諸方のpatioに17通の返信をつける。

昼どき、「街の美味しいもの屋さん」 に使う画像を撮るため、「ラーメンふじや」 へ行く。帰って検証してみたが、これでは絵にならない。テイブルに濃い色の布を敷き、もっと対象に近づいて撮影をする必要がある。豆板醤をたっぷり入れた 「雷ラーメン」 の方が、色も良く上がりそうだ。今週末の課題にする。

午後1時に、今市小学校の校庭へ行く。次男の登校班には5人の1年生がいる。この5人を先導し、各自の家の前まで順次、送り届ける。登校時には上級生がいるが、下校時は1年生のみになる。

親の付き添いは今日までとのことだが、「果たしてこの子どもたちだけで、しっかり帰宅できるのだろうか?」 と、少し心配をする。

下今市駅16:03発の、上り特急スペーシアに乗る。一眠りして起きると、利根川の鉄橋が迫っている。ここがちょうど、下今市と浅草の中ほどになる。「ジャック・ロンドン放浪記」 を読む。

地下鉄銀座線にて銀座へ出る。4丁目交差点下の階段から地上を見上げ、雨が降っていることを確認する。ロッカーに荷物を入れ、当座使うもののみを、ISUKA社製の小さなバッグに入れる。

Montbell社製の傘をさして、近藤書店までの短い道のりを歩く。

「東京アンダーワールド」 ロバート・ホワイティング著 松井みどり訳 角川書店

が、文庫になっている。ハードカヴァーよりも文庫本の方がモーバイルに適して、僕には好都合だ。

「暗号化 プライバシーを救った叛乱者たち」 スティーブン・レビー著 斉藤隆央訳 紀伊國屋書店 \2,500

は、読みたい本だ。なにしろ

「ハッカーズ」 スティーブン・レビー著 古橋芳恵・松田信子訳 工学社 \2,500

は、とても面白い本だった。僕はコンピュータに関連した、翻訳物の分厚い本を好む。しかし僕は荷物を嫌う。今日のところは、本屋での買い物を控えることにする。

入ってみたい店がいくつも並ぶ、旧電通通りと数寄屋通りにはさまれた6丁目の路地を抜ける。新橋駅の銀座口にて、今朝から鎌倉へ行っていた家内と落ち合う。

今は飲食店バブルと言われているが、確かに大小の店が次々にできて、その場所にあった以前の店については、思い出すこともできない。

銀座へ戻って、7丁目の 「ふく留」 の階段を降りる。いつもは深夜に同級生のコモトリケイ君と来て酒ばかり飲んでいるが、今日は 「おまかせ」 にする。上出来のウニ豆腐から始まりこれまた上出来の蕎麦にて締める

雨の中を3丁目まで歩く。途中、"Little Smith" の看板を指して 「上級生のシノトウイズミ君が、初めてのデイトに使うバーがここだよ」 などと、家内に余計なことを教える。立ち飲みバー "MOD" にて、家内はダイキリ、僕はホットバタードラムを飲む。

9時すぎに甘木庵へ帰着する。入浴して10時に就寝する。


 2002.0509(木) 菊壽糖

朝5時に起床する。

事務室へ降りて ウェブショップ の受注を処理し、数通のメイルを送受信する。きのうの日記を書く時間までは、確保できなかった。

朝飯は、ジャコ、ソーセージとブロッコリーとニンジンのオリーブオイル炒め、納豆、キュウリとカブのぬか漬け、水菜の炒め煮、メシ、豆腐と三つ葉の味噌汁

"Computer Lib" から、これがIBMの最終B5ノートになるかも知れない "ThinkPad s30" と、"Computer Lib" のユニフォーム が届く。僕が 「ジャック・ロンドン放浪記」 を読み終えたら、それと一緒にこの青いシャツを、寮で暮らす長男へ送ることにしようと思う。

午後、ヤマトコレクトサービスのソウトメタカユキさんが来る。ヤマト運輸にて送付する商品のクレジットカード決済に、リヴォルヴィング払いが可能になったという書類を持参している。ペイジを繰ると、いつのまにか使用できるカードにUFJ銀行のものが含まれている。

ヤマトの本社に電話で問い合わせてみると、どうもミリオンカードがUFJカードに変わったらしい。最近は銀行の統廃合が多い。それに伴って当方の雑務も増える。ウェブペイジの 「お支払い方法」 にUFJカードを追加し、その画像にリンクを張る

夕刻6時30分より、焼きシイタケ、オクラと油揚げの炊き合わせ、シドキのおひたしにて、泡盛菊之露を飲む。「明神水産」カツオのたたきが美味い

湯豆腐 はそのまま上品に食べることをせず、銀座の 「おぐ羅」 流に、カツオのたたきを食べ終えた皿のグジャグジャに和えて愉しむ

食後に、「鍵善良房」 の菊壽糖を食べる

入浴してアミールSとイチョウ葉エキス6粒を飲み、9時に就寝する。


 2002.0508(水) 子規と不折

ドイツで、鳥の繁殖地を示す地図を見ながら、メルセデスのバスを運転している。僕の他に乗っているのは、16歳の長男のみだ。やがてバスは飛び込み台のように細く突き出した、高い崖の上に達する。長男にバスを降り、谷の深さを目測するよう命じる。長男がガードレイルへ向かって歩き出したとたん、バスのブレイキが壊れる。バスは運転席に僕を乗せたまま、ズルズルと崖の突端を目指して滑り落ち始める。

大いに恐れ驚いて目を覚ます。開けはなった窓から、ツバメの鳴き声がかまびすしく聞こえている。薄明るい戸外を見ると、イチョウやケヤキの大木が夜の雨を含んで、重く枝を垂らしている。

深夜に入った ウェブショップ の受注を処理し、きのうの日記を作成する。諸方のpatioに返信を書きながら、時計の針が7時に近づくのを待つ。

東京大学の深い緑を横目にしながら、春日通りへ出る。朝7時開店の 「たつみ屋」 にて 野沢菜、昆布の佃煮、ハムエッグス、メシ、キャベツとワカメと油揚げの味噌汁 を選び、640円を支払う。

先日来、洗濯を頼んでおいたクリーニング屋へ寄り、できあがったものを受け取って甘木庵に戻る。荷物をまとめ、本郷三丁目から地下鉄丸の内線にて御茶ノ水へ移動する。

御茶ノ水橋南詰めの交番横から、デジタルハリウッドのある通りへ折れる。左折と右折を数回繰り返すと、偶然、錦華坂の上に出る。この近くに生まれた高橋義孝は、船で神田川を下って柳橋から隅田川へ至り、羽田沖にて潮干狩りをしたという。

9時5分前に "Computer Lib" へ行くと、既に会社は始動していた

数年来、僕のメイルボックスへ入ってきていたウェブショップの注文を、事務系社員の誰もがブラウザから受けられるように改造する作業が、これから1ヶ月にわたって続く。

社長のナカジママヒマヒ氏の準備、僕の準備ともに良く、作業は効率的に進んだ。ウェブショップを数年のあいだ経営してはじめて即断できるような決定を、数時間のうちにいくつもした。

この1ヶ月の作業内容を、スケデュール表によって再確認する。おみやげにピンバッジを2個ももらって、本日の仕事を終了する。

帰途、言問通りが山手線を横断する上野桜木町の跨線橋から、クルマの進入を拒む細い路地に踏み込む。正岡子規は、上手な俳句を作る人ではなかったという。それでも僕の最も好きな俳句は、彼の

鶏頭の 十四五本も ありぬべし

だ。この俳句の詠まれた 子規庵を瞥見する。浅学にして知らなかったが、同じ路地のはす向かいには、子規庵とは較べ物にならないほど立派な、中村不折の記念館もあった

広い尾竹橋通りの歩道橋を渡り、根岸幼稚園の脇からふたたび路地に入る。「鍵屋」 にて、冷や奴を肴に冷酒を飲む。ウナギを串に巻いたくりから焼きを追加し、お新香にて締める。

浅草駅19:00発の下り特急スペーシアに乗り、9時前に帰宅する。入浴してアミールSとイチョウ葉エキス6粒を飲み、10時に就寝する。


 2002.0507(火) 湯島のうえした

朝3時に起床する。

事務室へ降りる。外から、路上の水をクルマのタイヤが切り裂いて進む音が聞こえる。雨が降っているらしい。ウェブショップ への注文を処理する。諸方のpatioへ13の返信を書く。数通のeメイルを送受信し、きのうの日記を作成する。

朝飯は、シドキのおひたしと桜エビの釜揚げ、キュウリとカブのぬか漬け、ジャコ、納豆、水菜の炒め煮、茹でソーセージ、メシ、タシロケンボウんちのお徳用湯波と万能ネギの味噌汁

店舗のショウケイスに並んでいる商品の構成を変えるべく、いまだ来店客の少ない時間に、あれやこれやと試行錯誤をする。社員も自分の考えを出し、自由に新しい並べ方を実験していく。需要の少なくなった商品を下げ、ちかごろ多く売れるようになってきたものを前面に出す。

ほぼ落ち着いたところで、手塚工房のテヅナカオちゃんに発注すべき商品説明板の文案を練る。手塚工房へ電話をすると、幸いすぐに来られるという。原稿を渡し、実物大による線書きの見本作成を依頼する。

連休明けのため、あちらこちらに注文や商談の電話をするが、朝のうちは電話が繋がりづらい。1時間ほどもかかって、ようやく予定していたすべての会社への連絡を終える。

下今市駅16:03発の、上り特急スペーシアに乗る。車内にて2、3のeメイルを書く。

列車の中で到着ギリギリまでコンピュータのキーボードを打ち続け、降りる間際になって慌てるという悪癖が、僕にはある。北千住到着の10分前に机上を片付け、諸々を "Eddie Bauer" のスリーウェイパックにしまう。

目下の僕の小さな心配は、この10年以上も使ってきた 上出来のザック が、数年も前から生産中止になっていることだ。"Eagle Creek" 以下いくつかの会社が似たものは作っているが、"Eddie Bauer" のこれに匹敵するものは、いまだ出てきていない。

湯島の鶴亭にて軽く飲酒を始めたところ、ウェブショップへの注文が立て続けにi-modeへ転送されてくる。ウチのショップは、CGIによる 「とりあえず受注しました」 というお知らせを顧客へ送るシステムを持たない。一刻を争うことではないが、早々に腰を上げて雑踏を抜け出す。

傘は差さなくても済むほどの、弱い雨が降っている。

切り通し坂を上がって裏道へ入り、甘木庵へ達する。ThinkPad s30をアナログポートに接続し、注文をダウンロードする。顧客に確認書を送付し、会社のpatioへは明日の出荷を依頼する注文書をアップする。

今夜の飲酒が尻切れトンボになっている。「ジャック・ロンドン放浪記」 を携えて、近所の定食屋 「たつみ屋」 へ行く。赤魚の粕漬け、モヤシとキュウリとハムのドレッシング和え、冷や奴にて、燗酒を飲む

甘木庵に戻って入浴し、10時30分に就寝する。


 2002.0506(月) 朝の吐逆

これから左右の腎臓上部にメスを入れる手術が行われようとしている。医師からは術前に 「簡単な手術で、苦痛はない」 と説明を受けていたが、いまになって看護婦が 「2週間ほどは辛いです」 と言う。なんとかこの場を逃げだそうと頭を働かせるが、妙案は浮かばない。僕よりも先に手術を受けようとしている女の人は既に裸にされて、体中に何本ものテューブを突っ込まれている。

手術用のストレッチャーから飛び降りて、素足で走って逃げようとして目が覚める。6時になっている。二日酔いで頭が痛い。

事務室へ降りて、ウェブショップ からの受注作業をする。それ以外は何もできず、届いた朝刊を持って自宅へ上がる。朝飯の食べられる状態ではなく、緑茶を2杯と新三共胃腸薬を1包、それにアスピリンを1錠飲む。

店舗と蔵に沿って、国道121号線を100メートルほども掃除する。隠居にさしかかったところで、歩道から1段降りた車道の端に、数十メートルにわたって吸い殻が散乱している。渋滞の慰みに、クルマの灰皿を窓から差し出し、逆さに振った名残だろうか。

その吸い殻を掃き集め始めたとたん、胃の中のものがこみあげてくる。少し細い道へ入り込み、水路にかぶせられたグレッチングに向かって、先ほど飲んだばかりの緑茶と新三共胃腸薬、それにアスピリンを吐逆する。

すべてを吐き終えてふたたび国道沿いに戻ると、通勤途上の社員ツカグチミツエさんが、JR今市駅の方から歩いてくる。ホウキとチリトリを持ってゲロを吐いている姿など、とてもではないが、社員に見せられたものではない。何ごともなかったような顔をして、朝の挨拶を交わす。

所用にて、旧市街から数キロメートル離れた山間の知人宅へおもむく。深緑と浅緑がまだら模様を作る森林の向こうに、晴れた日光連山がうっすらと望まれる

大きなシイタケを数個お土産にもらい、山を下る。吐けば吐いたで胃はさっぱりとし、頭痛も漸減の傾向にある。よほどコンビニエンスストアへ寄ってなにか食べ物を買おうとしたが、辛うじてその考えを封じ込める。

午後、ウェブショップの 「お客様への3つのお約束」 を 「5つのお約束」 に増やして更新する。昨年暮からの懸案だった目次の大幅更改をし、それにあわせてサイトマップも書き換える。

「昨年からの懸案」 などと書くといかにもおおごとのように聞こえるが、更新前と、よりシンプルになった更新後の違いに気がつくのは、僕と、共同管理者である ミスターカトーノ くらいのものだろう。

連休最終日の本日は観光客の帰り足も早く、定刻より10分の遅れにて閉店をすることができた。

燈刻よりノイリープラットを小さな杯で1杯飲む。イカ、ナスとシイタケのオリーヴオイル焼きトマトとグリーンアスパラガスのスパゲティトマトとポテトと鶏のグラタン にて、"Beaujolais Nouveau 2001 Jean Saint Honore" を飲む。

入浴してアミールSとイチョウ葉エキス6粒を摂取し、9時に就寝する。


 2002.0505(日) 酒後の読書

朝5時30分に起床する。9時間ほども眠ったことになる。

事務室へ降り、ウェブショップ からの受注を処理する。週に1度のアクセス解析をし、きのうの日記を作成する。

朝飯は、ワカメと玉ネギの鰹節かけ、スペイン風目玉焼き、カブの葉と油揚げの炒め煮、ほうれん草の胡麻よごし、納豆、メシ、豆腐とワカメとミョウガの味噌汁

店舗への来客は、今日が連休中で最も高い数字を示すだろうか

三菱デリカに子供用と大人用の2台の自転車を積み、瀬尾日光線を走る遅咲きの桜が散る松原公園にて、自転車遊びをする。軽井沢よりも蓼科よりも優れた環境が自宅から数分のところにあるにもかかわらず、僕は多く街での遊びしかしない。

ヤギサワカツミ本酒会員 と遭遇する。ちかくの大谷川にて行われていた 「ちびっこ鱒釣り大会」 に、ヴォランティアとして参加をしていたという。ヤギサワカツミさんは僕とヨタ話をするだけの人間ではなく、目立たないところで社会に貢献をしている。

公園入り口の屋台にて、次男と焼きそばを食べる。次男の焼きそばの3分の2ほどは、僕が食べる。かき氷も注文する。次男のかき氷の3分の2ほどは、僕が食べる。代金は、屋台に居合わせたウチのお得意さんが、支払ってくれる。得意先から馳走になるとは本末転倒だが、礼を述べて席を立つ。

鯉のぼりが大谷川を横断している。空は青く、空気は乾いている。堤防の草から、強く夏の匂いが立ち上る。

帰宅してシャワーを浴びる。「ジャック・ロンドン放浪記」 を読みながら、次男の教科書朗読と字の練習につきあう。自分の読書欲を抑えつつ、ノートに大きく書き並べられたひらがなの手直しをする。

夕刻も店舗に客足は途切れず、閉店時間が30分延びる。次男は事務室のホワイトボードに、絵を描いて遊んでいる。携帯電話に、いつのまにか不在着信が入っている。繁忙にて、ヴァイブレイションに気づかなかったらしい。おおかた、1時間前に同窓会場へ到着しているホシノタカシ君からの、督促の電話だろう。

タクシーにて、本町の洒落た居酒屋 「祭」 へ駆けつける。数時間後にメンバーは、フクダシンイチ君、ホシノタカシ君、僕との3人だけになる。3軒の店を歩き、午前1時前に帰宅する。

「ジャック・ロンドン放浪記」 を1ペイジも読まず、即、眠りに落ちる。


 2002.0504(土) 商家の子ども

午前1時30分に起床する。

事務室へ降り、ウェブショップ の受注をこなすと共に、ペイジのメインテナンスをする。数通のeメイルを書き、諸方のpatioに16通の返信をし、きのうの日記を作成する。

朝飯は、ワカメと玉ネギの鰹節かけ、温泉玉子、カブの葉と油揚げの炒め煮、桜エビの釜揚げと大根おろし、納豆、メシ、カブとワカメとミョウガの味噌汁

2時間ほど仕事をしてから、三菱デリカに次男の2台の自転車を載せる。次男と共に、赤松林の中の 「いちもとサイクル」へ出かける。これまで乗っていた小さな自転車を人に譲るべく、本酒会長のイチモトケンイチさんに、整備を頼む。

隣接した松原公園にて次男に自転車遊びをさせようとしたが、折悪しく雨が降ってくる。旧市街から2Kmほどしか離れていない瀬尾地区だが、ここの上空には 「雨雲の道」 があるらしく、夏は毎日のように激しい夕立に見舞われる。

いちもとサイクル修理部の、棚や 天井の レア物や、棚の漫画 を賞翫しつつ、雨が上がるのを待つ。数ある競馬新聞の中から 「1馬」 を選ぶあたりに、ここの主の端倪すべからざる趣味が見て取れる

やがて雲は切れた。三菱デリカから、現役の子供用自転車を降ろす。イチモトケンイチさんは僕に、スケートボード状の板を踏んで進む乗り物を貸してくれた。

芝生を縫うように設けられたアスファルトの道で自転車に乗り、またフィールドアスレチックのような木製の遊具で遊ぶ。小一時間ほどしてから、遊水池を見下ろすあづまやにて弁当を食べる

昼すぎに帰宅して、少しのあいだ休息をする。事務室から館内電話が入る。「日光わんわんの森」 のホサカカズエさんから、配達の要請が入ったという。

来店客で混み合う店舗で用意された商品を受け取り、三菱シャリオにて次男と共に日光街道を南下する。長い休みにどこへも連れていってもらえず、配達のクルマに乗って、それがかえって面白かったりということは、商家の子どもがよく経験をするところのものだ。

渋滞を抜け、ことのほか賑わう 「日光わんわんの森」 に納品を済ませた後は、広大な杉の森に設けられた小径をたどる。次男は社員のカトーノマコトさんにラムネのビー玉を4個もらい、またホサカカズエさんにお菓子の入った箱をもらう。

日光街道を北上し、渋滞を避けて裏道を選びつつ帰社する。来店客が途切れないため、閉店時間が定時よりも45分遅れる。その間、次男は事務室のコンピュータにてオンラインゲイムを探し出し、ひとりで遊んでいる。

7時ちかくに居間へ戻る。ゴードンのジンとノイリープラットを適宜混ぜて、即席のマーティニを作って飲む

キュウリとカブのぬか漬け、シドキのおひたし、トマトとベイジルのサラダ、焼き餃子にて、宮古島の

菊之露酒造 「菊之露」 沖縄県平良市西里290 TEL.09807-2-2669

を飲む。

食卓の横でそのまま寝入り、10時30分に起こされる。入浴などをし、0時に就寝する。


 2002.0503(金) ウェブ床屋

朝4時30分に起床する。昨夜は9時に就寝したから、実に7時間30分も眠っていたことになる。

事務室へ降りる。ウェブショップ の受注をこなして会社のpatioへアップする。数通のeメイルを書き、きのうの日記を作成する。

居間へ戻ると、南西の窓からお祭りのお囃子が聞こえてくる。家内によればこのお囃子は、朝の6時から始まったという。選挙演説が早朝から始まれば困惑もするが、新緑の中、遠くから聞こえてくる笛や太鼓の音なら、暖かい空気の爽やかさが増すばかりで、何の迷惑もない。

1.2キロメートルほど向こうの琴平山の頂上には幟が立てられ、お祭りの参加者も白く点々と見える

朝飯は、ポテトサラダ、ジャコ、キュウリのぬか漬け、温泉玉子、筍と湯波の炊いたもの、ほうれん草の油炒め、納豆、メシ、豆腐と万能ネギの味噌汁

店舗前の掃除を済ませ、加藤床屋へ電話にて空席の有無を訊ねる。僕の耳に聞こえるオートバイの大きな排気音が、向こうの受話器を介しても聞こえてくる。僕はここ20年ちかく、ウチからもっとも近い床屋へ通っている。

「まったく日光街道の商店街も、閉まったっぱなしの店が多くなってしょうがねぇなぁ」
「ある店にちょっと注文があってさ、電話したら今日から4連休でやんの」

「開けてても客が来ねぇとなれば、休んじまうんだよなぁ」
「いま、ちょっとした買い物でも、郊外型のでかい店にクルマで行っちゃうからね」

「買い物の形が、昔とはぜんぜん違っちゃったんべ」
「うん。オレも本とワインは、ほとんどインターネットで買うもんね」

「ハハハ、座ったままで買い物ができるってか?」
「そう。インターネットの嵐に巻き込まれねぇで済むのは、床屋くらいじゃねぇかなぁ」

「わかんねぇよ、頭だけ電送して、カットして送り返してもらうとか」
「ハハハ」

僕の散髪が終わるころになっても、次の客の来る気配は無い。家内に電話を入れて、次男を連れてきてもらう。次男は調子よく挨拶をしながら加藤床屋のたたきに靴を脱ぎ、喜んで子供用にかさ上げをした椅子に上る。

次男の頭が、みるみるうちに 「1番短い坊主」 に仕上がっていく。

日中は、こまめに店へ出る。内外のゴミを拾い、飾り棚やショウケイスの整備をする。社員の迷惑にならないよう、販売をしたりもする。定時よりも20分ほど遅れて閉店する。

ポテトとグリーンアスパラガスのサラダ、冷や奴、鶏モモの生姜焼き、茄子の炒め煮、山芋と納豆と貝割れ大根の和え物 にて、泡盛瑞仙を飲む。

入浴してアミールSと6粒のイチョウ葉エキスを飲み、10時30分ころに就寝する。


 2002.0502(木) 「ジャック・ロンドン放浪記」

朝4時に起床する。

事務室へ降りて、ウェブショップ の注文を受ける。連休には家の外で遊んでいる人が多いせいか、来店客は増えるが、地方発送の受注件数は減る傾向にある。

数通のeメイルを送受信し、きのうの日記を作成する。

朝飯は、キュウリのぬか漬け、山椒の佃煮、ジャコ、出汁巻き玉子、ほうれん草の胡麻よごし、冷や奴、メシ、シジミと万能ネギの味噌汁

9時ころ、先月30日に生地見本を送ってくれた モリカゲシャツ から、発注しておいた商品が届く。あいかわらず、モリカゲマイコさんの丁寧な手紙が添えてある

先日は、"+GARDEN" のカトウケイコさんから、僕が購ったものと同じボウルに菖蒲に似た草を生け、竹垣の裾に置いた絵はがきによる礼状が届いた。モリカゲシャツからの荷物には、自社によるシャツの、モノクロームの絵ハガキが添えてある。"Computer Lib" のナカジママヒマヒ社長は、顧客への筆書きによる短い手紙を欠かさない。

ひるがえって我が社を見れば、コピーによる礼状に先様のお名前と係員の名前を手書きで入れる、しごく素っ気ない紙を、商品に同梱するのみだ。

「ウチも、もうちょっと格好の良いカードを使いたいなぁ」 と思い、しばし知り合いのデザイナーの顔などを思い浮かべる。この手のものは、お金をかけたらかけただけ、良いものができる。「このカードでいくらの営業利益が稼げるか?」 などとは考えず、歯を食いしばって経費をかけた者の勝ちだ。

しかしながらその反面、「オレ、写真も文章も上手いんだよな」 などという裏付けのない自信と、「1枚20万として、5種類のカードを外注したら100万か」 などという、ケチなコスト主義も鎌首をもたげてくる。

しばらくは、自分の頭の中だけで企画を練ろうと考える。

「季刊 BOOKISH」 の 「解説-前田河広一郎の再評価を促す」 を読んでいると、73ペイジに至って

「前田河は翻訳ではアプトン・シンクレアにもっとも心血を注いだが、シンクレアとジャック・ロンドンの研究者の中田幸子氏が一昨年労作 『 前田河廣一郎におけるアメリカ 』 を、国書刊行会から上梓された」

という一節に行き当たる。このジャック・ロンドンとは、僕が購入して未だ読んでいない

「ジャック・ロンドン放浪記」 ジャック・ロンドン著 川本三郎訳 小学館 \1,460

の、ジャック・ロンドンのことだろうか?

この本については、自由学園 の寮で暮らす16歳の長男にできるだけ早く送るべく、僕がいち早く読まなくてはいけないものだ。そして僕は、こういういわば売れない本ばかりを読み続けることによって、人に薦められるベストセラーからはますます離れ、世間から取り残されていく。

夕刻、筍と湯波の炊いたもの、油揚げの納豆包み揚げ筍と山椒葉の天ぷら、ニラのおひたし と共に、泡盛瑞仙を飲む。

アミールSとイチョウ葉エキス6粒を摂取し、9時に就寝する。


 2002.0501(水) ジャズとメサイヤ

朝2時30分に起床する。廊下へ出ると、聞き慣れない香りが漂っている。鉤の手に曲がって、インドネシア製の長椅子の上を見る。そのどちらかというと不快な匂いの元は、大きく開いた牡丹の花だった

事務室へ降り、インターネット経由の受注をこなして会社のpatioにアップする。

ウェブショップ「街の美味しいもの屋さん」 に、デイタを1件追加する。

「四季のお味噌汁」 を、夏の仕様に衣替えする。レシピを作るのに、料理本はいらない。

「ホトトギス季寄せ」 稲畑汀子編 三省堂 \1,600

さえあれば、それにて充分だ。

"清閑PERSONAL" へ毎月1日に掲載する小文については、既にしてその作成は済んでいた。トップからそのペイジへリンクを張り、閲覧ができるようにする

"Mood Swing" Joshua Redman Quartet WPCR-70

が、どうも僕には面白く感じられないため

自由学園 創立50周年記念音楽会「メサイヤ」 斎藤秀雄指揮 1971.1214

を聴く。「一人の嬰児、我らのために生まれたり」 に入ったところで、おもむろにCDプレイヤーのリピートボタンを押す。合唱のあとオーケストラが足早に遠ざかっていくところは、このアルバムの中での僕にとっての白眉だ。

朝飯は、温泉玉子、グリーンアスパラガス、納豆、焼き鯖、ジャコ、厚揚げ豆腐と絹さやの炊きもの、メシ、豆腐とワカメと長ネギの味噌汁

ひさかたぶりに、雲のひとつもない青空を見る。

4月の売り上げ金額合計は、昨年のそれを超えた。昨年の4月には、日光MGにて2日間の休みを持った。前年度を上回る数字は、当然といえば当然だろう。

店舗に置かれたコンピュータにて、昨年5月はじめの商品別売り上げ数量を見る。売場という前線に僕がひとりの兵卒として立ったとき何をすればよいかといえば、それは簡単だ。商品を売ればよい。

午後、小学校から戻った次男に 「今晩、どこか行きたいごはん屋さんはある?」 と訊くと 「うなぎ屋さん」 と、笑って答える。「うなぎー?」 と、僕は呆れ、笑う。

結局は外食をせず、近所にある上出来のうなぎ屋 「魚登久」 から出前を取る。魚登久はいつも半径200メートルほどの範囲に蒲焼きの匂いをまき散らして、「たまにはウナギ、食えよ」 と、住民に無言の圧力をかけている。

ミルクのようなコクを持つ蒲焼きにて、泡盛瑞泉を飲む。

入浴してアミールSとイチョウ葉エキス6粒を飲み、次男と共に7時30分に就寝する。