職人しごと

僕に日曜大工の趣味は無い。手先が異常に不器用ということもあるが、多くは、その出来上がりが美しくないと我慢のならない性格からくるものだろう。

壁に絵を掛けるためのボルトを埋め込む程度の仕事でも、職人を頼んでキッチリした仕上げにしないと、どうにも気が済まない。

ところでウェブペイジはその構造上、大きく分けて2つのものから成立している。

ひとつは骨格、原型、あるいは建物ともいうべき部分、つまり空洞の入れ物。もうひとつは、その建物の中に住む人が積み重ねる日々の営為、つまり中身。

ウェブペイジの作成というものを考えたとき、我々の日常と著しく異なる点は、建物の部分をも自作してしまうケイスがとても多いということだろう。

現実の世界では、よほどの数寄者でも、自ら茶室の柱を立てたり壁を塗ったりはしない。

僕が運営、管理、そして更新しているウェブペイジは、以下の3つだ。

日光みそのたまり漬・上澤梅太郎商店  https://www.tamarizuke.co.jp
清閑PERSONAL  https://test.cpl.jp/tamarizuke_co_jp/html/seikan/
本酒会  https://test.cpl.jp/tamarizuke_co_jp/html/sake/

そしてこれらの骨格外壁部分は、幸運にも、たまたま近所に居合わせたデジタル職人カトーノさんの脳と指先により、すべてキッチリと組み上げられた。

僕はカトーノさんに 「基本デザイン」 「もくじの数」 「階層構造」 を口頭やスケッチ、あるいはEメイルで知らせたに過ぎない。

カトーノさんが大工左官とすれば、僕は大工左官の作った建物の中で会話をしたり、料理を作ったり、花を生けたりする亭主なのだろう。

自作にこだわるあまり、諸処の配慮に欠けた汚いウェブペイジが、そこここに目立つ。美しい結果を得るには、潔くアルティザンの手にゆだねるべきことが、世の中には多い。


ミスター・カトーノ
2000.1201