中世の名簿

職業柄、名簿を目にする機会は多い。特にギフトの季節には、無数の名簿が、目の前を通り過ぎていく。

僕が驚くのは、コンピュータからプリントアウトされたにもかかわらず、その並び順に科学的整合性を持たない名簿が世のほとんどを占めるという事実だ。これらの名簿はコンピュータから打ち出されているにもかかわらず、仕事の内容は 「ワープロ」だ。ワードプロセッサのした仕事とは、すなわち活字の外観を持つ手書きの仕事ということだ。つまりこれは中世の名簿であって、今の名簿ではない。

1.デイタに繰り越し演算をかけ、送る商品ごとに送り先を選別する。
2.選別された各々を電話番号の昇順でソート(並べ替え)し、北から南へ送り先を並べる。

この 「二手」 が何をもたらすか? それは以下の3点だ。

1.本来とは異なる先へ商品を送ってしまう事故の減少。
2.送料計算ミスの減少。
3.醜さからの解放。

自分の持つ得意先名簿に、あらかじめ上記の 「二手」を加えてギフトの申し込みをする法人は、1000社のうち、せいぜい1社だろうか。せっかくのコンピュータを持ちながら、"EXCEL" と "WORD" しか使わない人に、数字ではなく文字を繰り越し演算し、その結果をソート(並べ替え)する発想は無い。

「どんな形で発注しようが、客の勝手じゃねぇか」という意見は、もちろんあって良い。どのような名簿によるご注文であっても、当方はありがたく頂戴する。ただし僕が、よその店に自分のギフトを発注するときには、必ずその送付先名簿に、繰り越し演算とソート(並べ替え)をかけてから持参する。

「美の創出」 とは、コンピュータが担う、重要な仕事のひとつだ。


2003.0101