2023年3月の日記31本
2023.3.31(金) できるだけ長く、できるだけ遅く
桜、その多くは染井吉野であるけれど、僕が中学生のころ、あるいは長男が小学生のころまでは、学校の入学式に重なるようにして咲いた覚えがある。しかしこのところは3月のうちに咲く。そして今年はそれが更に早いと世間はかしましい。本当だろうか。
そういう次第にて気象庁のページを調べると、ここ十数年でもっとも早かった東京の開花は2020年と2021年、そして今年の3月14日だった。つまり今年が特に早いわけではない。しかし昨年の3月20日よりは6日はやい。東京はさておき家の桜はどうか、というわけで時間のあいた午後に隠居へ行ってみる。
真っ先に咲く山桜、それに次いで咲く染井吉野は満開だった。その様子を見上げつつ「できるだけ長く保ってくれ」と思う。
遅い年には4月の下旬まで楽しめる枝垂れ桜は、ところどころに開花が認められる。こちらは「汁飯香の店 隠居うわさわ」の商売にとってはもっとも大切な、あるいはもっとも役に立つ個体だから、時間に逆らいつつ遅く咲いて欲しいところだが、さてどうなるだろう。
庭から玄関の前まで戻ると、お客様をお迎えするようにして置いた一対の萬両の、片方の実が鳥に食べ尽くされていた。よって明日からは、実の残るひと鉢のみを置くこととする。
朝飯 蓮根とコンニャクと鶏の炊き合わせ、トマトのソテーを添えた目玉焼き、大根おろしを薬味にした納豆、小松菜のおひたし、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、豆腐と長葱の味噌汁
昼飯 酒の味噌粕漬け、塩鰹のふりかけ、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、ごぼうのたまり漬のお茶漬け
晩飯 ジーマミー豆腐、日光味噌「ひしお」とたまり漬「刻みザクザクしょうが」による肉味噌、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、椎茸と水菜と豚肉の鍋、麦焼酎「こいむぎやわらか」(お湯割り)
2023.3.30(木) なかなか良いじゃんか
きのう今日の2日間は、社員との面談に充てたため、それ以外に使える時間がかなり制限をされた。また急なことから人員の少なくなる部署もあり、そのようなところに助けに入ることもあった。これから少なくとも2週間は、おなじような日が続くだろう。工夫をしながら、またやり繰りをしながら、お客様にはご迷惑のかからないよう努めていきたい。
そういう忙しい最中に、今月7日に行われた健康診断の結果が届いた。封筒から「結果報告書」を取り出し、真っ先に確かめるのはγ-gtだ。50未満で基準値内となるその数値は、昨年の37から今年はすこし下がって34になっていた。日記を遡ってみると、今年になって酒を抜いたのは、昨年末からの咳が収まらず、遂に微熱を発した1月7日のみ。残りの晩はすべて、何かしら飲んでいた。それでγ-gtが34とは立派ではないか。
2018年秋に三焦点レンズを埋め込んだ両眼の視力は左右ともに1.2。肥満度は年々つるべ落としにて、今年は遂にマイナス12.5まで下がった。HDLコレステロールは過去3年間で最高。LDLコレステロールは過去3年間で最低。なかなか良いじゃんか、である。ただし皮膚の衰えは、いかんともし難い。手指と足のアカギレは、5月までは残りそうな気がする。
朝飯 蓮根とコンニャクと鶏の炊き合わせ、酒の味噌粕漬け、納豆、小松菜のおひたし、ジーマミー豆腐、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、豆腐と長葱の味噌汁
昼飯 トースト、ホットミルク
晩飯 めかぶの酢の物、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、天ぷら其の一、天ぷら其の二、麦焼酎「こいむぎやわらか」(お湯割り)
2023.3.29(水) 帰らない旅、行かない旅
日本経済新聞の今月の「私の履歴書」は、JR九州相談役の唐池恒二によるもの。今朝の「観光リピーター率重視を」では以下が記憶に残った。すなわち…
訪日外国人客を、国の方針に従い急増させるための一方法としてクルーズ船の誘致に政府も自治体も「やっきに」なった。その結果、2019年には200万人がクルーズ船で来日するまでになった。しかしその内容といえば、午前、博多港に3,000人の観光客が上陸、数十台のバスに分乗して近隣の観光地を訪問、数ヶ所の免税店に立ち寄り、大型レストランで昼食を済ませて夕方に帰船という慌ただしいもので「帰国しても日本の印象は乏しいので、再び訪日する意欲は湧かないだろう」と唐池は分析する。
僕より幾十も年長の医師の本棚に室謙二の「帰らない旅」を見つけたときには「この人も旅が好きなんだな」と理解した。
「帰らない旅」があるなら「行かない旅」もある。世界中に新型コロナウイルスの嵐が吹き荒れたここ3年は特に、そのような旅が工夫されたように思う。ひとつ間違えれば危ないことになるだろうけれど、近未来には薬による旅行も可能なのではないか。自分のしてみたい旅を選んで専門家に処方をしてもらうのだ。
それでも僕は「行かない旅」よりは「帰らない旅」を選ぶ。それが「帰れない旅」となると、かなり辛いことになるだろうけれど。
朝飯 オムレツ、生のトマトと胡瓜、蓮根と鶏とコンニャクの炊き合わせ、炒り豆腐、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、たまり漬「プレミアムらっきょう」、ごぼうのたまり漬、メシ、椎茸と玉葱の味噌汁
昼飯 鮭の味噌粕漬け、揚げ玉、昆布の佃煮、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、ごぼうのたまり漬のお茶漬け
晩飯 ベビーリーフのサラダ、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ウォッカマーティニ、パン、生ハムのムース、マッシュルームのソテーを添えた鶏のトマト煮、Chablis Billaud Simon 2018
2023.3.28(火) 行動
将棋は指さなくても棋士やその周辺にいる人たちによる本は面白い。野球はしなくてもスポーツライターによるノンフィクションには胸を躍らせるものがある。靴擦れにより足の骨が見えてきてしまうような過酷な旅はしなくても、植村直己や上温湯隆の書くものは冒険とは何かを教えてくれる。数学には弱いものの、数学者の書く文章には野の花の可憐さが見え隠れする。建築の「け」の字も知らないけれど「郵便配達夫シュヴァルの理想宮」と「二笑亭奇譚」は愛蔵のひとつだ。
「本だけ読んで分かったような気になるな」と注意を受けたことがある。高説ごもっともではあるけれど、そういう人に限って本は読まない。つまりその人も「本を読むという行動」をしないまま、分かったようなことを言っている。
僕はクラシック音楽はほとんど聴かない。しかしクラシックの音楽家には能文家が多く、また彼らに取材をした本には優れたものが少なくない。先日は北千住駅構内の本屋で平置きされた文庫本に目を引かれた。とはいえその場では買わない。家に帰ってからインターネットで古書を探すのだ。
今日はその、フリードリヒ・グルダへの聞き書きが届いたから、封筒の端を鋏で丁寧に切り、中味を取り出し「はじめに」のみを読んでから手提げ袋にしまう。
朝飯 炒り豆腐、鮭の味噌粕漬け、納豆、人参と甘夏の酢の物、胡瓜のぬか漬け、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、たまり漬「プレミアムらっきょう」、ごぼうのたまり漬、メシ、トマトと万能葱の味噌汁
昼飯 トースト、ホットミルク
晩飯 刺身湯波の玉子とじ、ごぼうのたまり漬、鮨其の一、鮨其の二、「菊水酒造」の「菊水の辛口本醸造」(燗)、タルトタタン、Old Parr(生)
2023.3.27(月) 計画立案
学生のころ、ある教師が雑談のようにして語ったひとつに「躁鬱気質の人は常人よりも計画立案を好む」ということがあった。ちかくに存在したそんなひとりは確かに、どう考えても無理のある計画を、しかも細密に立てることを常としていた。そしてその計画はこれまた常に、実行されずに終わるのだ。僕に躁鬱の気は皆無と思う。しかし計画を立てることは好きだ。仕事の、ではなく遊びの、である。
ひと月を置かないうちにタイへ行く。目的は、美味い食べものと酒、本読み、日本語の通じない場所での独居という、自分の好きなことを突き詰めた結果の3つを同時に果たすためだ。
前半はハジャイに4泊をする。ハジャイは2016年2月にバンコクからスンガイコーロクまで鉄道で南下する途中、駅に停車をしたのみで、街へ出たことはない。イスラム圏に近づくほど食べものは不味くなる、という説を唱える人もいるけれど、僕はそうは思わない。確かにナラティワートはメシの不味い街ではあったけれど、ハジャイは食の都といわれている。期待するところ大である。
後半のバンコクには6泊をする。バックパッキングをしていた1980年代の安宿街は現在のカオサンではなくヤワラーだった。そこの旅社の、人の形に凹んだベッドマットに寝転がっていたときでさえ、首都に6泊をしたことはない。こちらの夕食は、2日間に限ってはもう決まっている。1日はチャオプラヤ川に面した座敷でゆっくりし、もう1日はおなじ川を河口まで下って屋根のみの、壁を持たない、いかにも南の国らしい店で海のものを食べる。しかし残りの4日間については決まっていない。その計画を立てるのが、なかなか楽しいのだ。
悩ましいのは最終日の夕食である。街で大酔すれば空港へ行くあいだに何やら失敗をする可能性がある。空港での飲酒喫飯は気が進まない。だったらどうするか。そういうことを考えるのが、また楽しいのだ。
朝飯 めかぶの酢の物、納豆、菠薐草のソテーを添えた目玉焼き、炒り豆腐、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、同「プレミアムらっきょう」、ごぼうのたまり漬、メシ、ブロッコリーの味噌汁
昼飯 トースト、ホットミルク
晩飯 春雨サラダ、胡瓜と蕪ののぬか漬け、人参の酢漬け、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、同「プレミアムらっきょう」、春雨サラダ、焼き餃子、麦焼酎「こいむぎやわらか」(お湯割り)、イチゴの杏仁豆腐、Old Parr(生)
2023.3.26(日) 桜のみごろ
隠居の庭には実生から育ったらしく意味のない場所にありながら、いつの間にか巨大化した桜が何本かあった。これらについて「このまま放置をすれば、人力ではどうすることもできず、しかし重機は入れられないから、後々、大変なことになる」と植木屋のフルハシミツユキさんは言った。「だったらお金は私が出すよ」とオフクロは腹をくくった。そのことにより、十数年前に一掃された。
現在、隠居の桜は、花を咲かせる順に挙げれば山桜、染井吉野、枝垂れ桜の3本がある。そしてこのところは、その見ごろを電話で訊ねらることが頻繁になってきた。
先様の頭にあるのは座敷から間近に望まれる枝垂れ桜にについて、だ。そしてそのたび僕は「今年は4月11日と考えています」とお答えをしてきた。根拠は無い。当日の夜、僕は隠居で酒飲みをする。「そのとき桜が良い塩梅だったら良いなぁ」という手前勝手な希望により「4月11日」とお答えをしてるだけのことである。
「汁飯香の店 隠居うわさわ」の営業は毎週、土、日、月の3日間。4月11日にもっとも近いそれは8日、9日、10日になる。「今年の見ごろは4月11日」には何の根拠もないけれど、もしそれが当たって次の週に盛りを過ぎていれば、それはそれで、またひとつの見ごろとは思う。
朝飯 納豆、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、おとといのキムチ鍋の残りによる味噌汁
昼飯 納豆、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、赤飯、日光味噌のフリーズドライ味噌汁”with LOVE”
晩飯 ベビーリーフのサラダ、チーズ、TIO PEPE、パン、鶏とマカロニのグラタン、Chablis Billaud Simon 2018
2023.3.25(土) “THE SPEECH”
オペラを観るのは生まれてこのかた3回目のことだ。初回は1974年のジーザ・スクライスト・スーパースターで、これは映画だった。2回目は、この日記を検索しながらようやく見つけたら、それはオペレッタだったが、2000年11月10日に上野の東京文化会館で鑑賞したメリー・ウイドウ。作曲はフランツ・レハール。演奏と出演は、ウィーン国立歌劇場管弦楽団、ウィーン国立歌劇場合唱団、ウィーン国立歌劇場バレエ団。つまり一流中の一流。そして3度目が、今日の”THE SPEECH”である。
この、田中角栄伝ともいえるオペラをどこで知ったかは、今となっては覚えていない。新聞かウェブ上の片隅に見つけ、興味を引かれ、劇場の場所は行きやすく、日程も外出の可能な日だったから即、入場券を手に入れた。
“THE SPEECH”は”劇団★ポラリスによるもので、主演は浪曲の玉川太福、合唱は慶応義塾ワグネル・ソサィエティー男声合唱団と、僕の感覚からすればマイナー臭が強い。よって失礼ながら、観客はまばらと想像をしていた。しかし北千住の1010劇場のドアから一歩を踏み入れて驚いた。総客席数701のほとんどが埋まっていたのだ。
いささか変わった内容のオペラは予定を10分以上も過ぎて大円団を迎えた。ピアノの西尾周祐、太鼓の田代誠、バイオリンの服部佐知子、チェロの渡邊ゆかり、曲師の玉川鈴は揃って秀逸。吉田知明による演出では、柿迫秀、内田智一、水島正樹、鈴木たかゆき、吉武大地の5人と玉川大福が代わる代わる田中角栄を演ずる奇抜さで、大いに感心をさせられた。そして大詰めから照明が落ちた後には、大きな拍手が長く続いた。このオペラが公開リハーサルも含めて数回の上演で終わるのはいかにも惜しい。次は4月に新潟の長岡へ巡回の予定である。
夕刻、行きつけの店の、ほぼ満席の中でカウンターに着くと、大相撲の大阪場所が中継されていた。喫煙可能の店ではあるが、今夜は吸っても加熱式の客ばかりだったから、煙に煩わされることはなく快適だった。
朝飯 たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、きのうのキムチ鍋の残りによる味噌汁
昼飯 「ドトール」のチーズトースト、コーヒー
晩飯 「加賀屋北千住店」のあれや、これや、それや、チューハイとそれを濃くするための「ナカ」
2023.3.24(金) ガーベラ
4時台に起きたにもかかわらず、気づくと5時20分になっても仏壇にお茶が上げられていない。仏壇と僕の湯飲みに注がれた熱湯は、煎茶を淹れるにしても冷めすぎている。よってそのぬるま湯をポットに戻し、ふたたび沸かす。既にして書けていたおとといの日記を公開すること、そしてきのうの画像を加工することに没頭しすぎた結果である。
妙な音に気づいて窓を開ける。その音の聞こえてくる方に耳を澄ます。それは烏の発する声だった。きのうの雨が残って道は濡れている。しかし東の空には薄い桃色がある。5時30分になって、もう一度窓を開ける。今度は鶯の声が聞こえた。
それから10分くらいを経て、今朝は高圧変電設備の、年に一度の検査のあったことを思い出す。念のため事務室へ降りて、それをカレンダーで確認する。そして4階へ戻ってiPhoneに6時25分のアラームを設定する。
6時28分に事務室の扉を開ける。コヤマ電気のコヤマさんは既にして外へ立っていた。先ずは電話の無停電装置にバッテリーを繋いでもらう。コヤマさんが変電設備のある裏へ回る前にエレベータで4階に戻る。そして家内と朝食の準備に取りかかる。
食堂の明かりがいきなり元に戻ったことにより、電源の復旧を知る。時刻は7時13分。即、エレベータで1階へ降り、事務室の外でコヤマさんの報告を聞く。
午後、明日からの「汁飯香の店 隠居うわさわ」の食材として揚げ湯波を買ってくるよう家内に頼まれる。夕刻にあれば間に合うと言われたものの、即、町内の松葉屋へ行く。持参した紙袋に納めたそれは、これまた即、隠居の勝手口より入って厨房の冷蔵庫に保管をする。
隠居の床の間には現在、野村素軒の「筑後途上五絶」が掛けられている。今月18日の日記に書いたとおり、ここに詠まれる「菜花」は、蕪村の「菜の花や、月は東に、日は西に」に照らしてみれば、今や過去のものだ。よってこれを仕舞い、母屋から持ち来た今井アレクサンドルの「ガーベラ」に掛けかえる。
朝飯 トマトのスクランブル後エッグ、炒り豆腐、納豆、菠薐草のおひたし、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、長葱の味噌汁
昼飯 ブルーベリージャムのトースト、ホットミルク
晩飯 ジーマミー豆腐、めかぶの酢の物、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、キムチ鍋、麦焼酎「こいむぎやわらか」(お湯割り)
2023.3.23(木) すいせん
今月20日の日記に書いた仕事を記録するため、きのうの前乗りしたカメラマンを、今朝は7時に社内に招き入れた。その、朝一番の仕事が一段落したところで、今度は隠居の庭に案内する。紅白の梅は満開を過ぎようとしているところで、特に白梅の下の土には落ちた花びらが目立つ。
その白梅から山桜の根元に移動したカメラマンは「随分と大きいですね」と、視線を上へ延ばした。樹齢がどれほどになるかは想像もできない。
「桜伐る馬鹿、梅伐らぬ馬鹿」とは聞き慣れた格言だ。桜は確かに、枝を落とすとそこから水が入って腐る。しかし伐らなくても何かの拍子に枝の落ちることはある。隠居の山桜もその例に漏れず、毎年のように腐った大枝を落としつつ現在に至る。それでもこの木は毎年、丸く大きく枝を広げるのだ。
国道121号線の歩道へ枝を伸ばそうとしている染井吉野は、山桜より更に古木と思われる。こちらの枝はいまだ息災に見えるものの、幹には様々な植物が着生している。
座敷から間近に望まれる枝垂れ桜は、例年なら4月の半ばから見ごろになる。しかし今年は幾分どころか随分と、時期の早まりそうな気がしている。隠居の庭でいまもっとも盛りなのは、枝垂れ桜の根元に育った水仙に違いない。湯島天神下の酒亭「すいせん」のあるじは元気だろうか。
朝飯 蓮根とコンニャクと鶏の炊き合わせ、人参と甘夏の酢の物、冷や奴、納豆、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、トマトと白菜の味噌汁
昼飯 リンゴジャムのトースト、ホットミルク
晩飯 「やぶ定」の酒肴あれこれ、盛り蕎麦、3種の日本酒(冷や)
2023.3.22(水) 寒さを、ではなく
起きて食堂に入るなり、部屋の空気が生暖かいことに気づく。よって襟の高いシャツに重ねたフリースのセーターを脱ぐ。昨年もこのような日があって、ダウンベストをクリーニングに出した。その途端、寒さがぶり返した。2020年は3月29日に雪が積もった。しかし今年はもう、その心配はないのではないか。「コロモガヘ」という表題の日記を書いたのは今月9日。その月の開ける前に、どうやら次の衣替えをしなくてはならいようだ。
ところで衣替えといえば、アメリカにはその習慣のないことを、むかしくろすとしゆきが「トラッド歳時記」に好意的に書いていた。気温は確かに株価や為替のチャートと同じく、細かい上下動を繰り返しつつ、時には上に、時には下に大きく動く。それを考えれば衣替えはバカバカしい行いである。しかし夏に冬の服が、冬に夏の服が目につくところにあるのも何やら面白くない。とにかくフリースのセーターは、今月中にベッドの下の引き出しに仕舞うことにしよう。
予報によれば、天気は明日から下り模様になるらしい。花粉のことを考えれば雨も有り難い。18時40分になりかかるころ、寒さを、ではなく花粉を避けるためにマスクをし、帽子をかぶり、ウインドブレーカーを着て日光街道を下る。
朝飯 人参と甘夏の酢の物、蓮根とコンニャクと鶏の炊き合わせ、納豆、菠薐草のソテーを添えたオムレツ、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、トマトとブロッコリーの味噌汁
昼飯 ラーメン
晩飯 「和光」のあれや、これや、それや、他あれこれ、麦焼酎「吉四六」(お湯割り)
2023.3.21(火) 春分の日
朝はボンヤリとしていて、否、ボンヤリしていたわけではない、既にして書けていたおとといの日記に画像を加えて公開し、きのうの日記を書き、更にはこれから4月の半ばまでならいつでも使える日記も書いた。そしてそのことに専念をするあまり、東の空は見えていたものの、特に何の感想も持たず、春分の日の、その様子を画像に残すことはし忘れた。とにかくこれから朝はますます早くから明るくなり、夕刻の日はますます延びていく。とても嬉しい。
とはいえ僕の手指にはいまだアカギレがある。現在は右の人差し指、中指、薬指にバンドエイドが巻かれている。左の指より右のそれにアカギレが多いのは、右利きにより使うことが多いからだろうか。爪は、限界まで短く切ることを好む。しかし冬にこれをすると、爪の先が指先から剥がれて赤い肉が見えてくる。そのことにより、今は左の親指にもバンドエイドが巻かれている。
手指がアカギレから解放されるのは、いつになるだろう。ポリネシアやメラネシアやミクロネシアには「アカギレ」を意味する言葉は無いに違いない。
日中は事務室から出て製造現場へ行ったり店に立ったりする。日本時間で8時から開始されたワールドベースボールクラシックの日本対メキシコ戦は、敗色の濃いところから日本代表が劇的な逆点サヨナラ勝ち。それを振り返るテレビ番組を19時から観る。そしてその途中で入浴をし、番組が終わる前に睡魔に負ける。
朝飯 椎茸と菠薐草の白和え、蓮根とコンニャクと鶏の炊き合わせ、納豆、人参と甘夏の酢の物、胡瓜と蕪のぬか漬け、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、豆腐と長葱の味噌汁
昼飯 冷やし中華
晩飯 ポテトサラダと刻みキャベツを添えた豚の生姜焼き、胡瓜と蕪のぬか漬け、人参と甘夏の酢の物、ごぼうのたまり漬、「菊水酒造」の「菊水の辛口本醸造」(燗)、いちご
2023.3.20(月) うちあわせ
今日から木曜日までの4日間は、上澤梅太郎商店にとってはルネッサンスのような、あるいはレコンキスタのような仕事に製造係は取り組む。構想は何十年も前から、計画は3年ほど前からあった。計画とはいえ、3年前にはいかにも大それたことのように感じられた。しかし1年半ほど前から現実味を帯び始め、数ヶ月前には具体的な案ができあがった。
月曜日は「汁飯香の店 隠居うわさわ」の営業日ではあるものの、昼は製造係と共に個室「杉の間」へ詰め、昼食を摂りつつ最後の打ち合わせをした。
その仕事の始められる夕刻には、僕はパートタイマーの去った店にひとりで立たねばならず、製造の現場を訪れることは残念ながらできなかった。それでも明日からの3日間は、その様子を頻繁に観察することができるだろう。
今日はまた、個人のお客様に混じって観光バスが3台も立ち寄ってくれた。日本では2020年1月から広がり始め、3年以上も続いたコロナ騒ぎがいよいよ収まりつつあるのだ。明日はお彼岸である。人の出は、ますます盛んになるだろう。
朝飯 椎茸の淡味炊き、納豆、冷や奴、昆布の佃煮、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、トマトと白菜の味噌汁
昼飯 「汁飯香の店 隠居うわさわ」の「汁飯香」、3月の甘味、ほうじ茶
晩飯 トマトとレタスとピーマンのサラダ、ビーフシチューのスパゲティ、Old England、エクレア、Old Parr
2023.3.19(日) お彼岸にすること
おとといお参りした古いお墓には、江戸時代からの墓石が数十基ほども並んでいる。それに対して新しいお墓は、1972年に妹が病没したことを契機として建てられた。このお墓はいささか変わった形式によるもので、お参りの仕方にも特別の作法がある。ところが建立から数十年を経るあいだに、建てた当事者のオヤジやオフクロも、それを忘れていったフシがある。
オフクロは2014年に亡くなった。それからしばらくして「お墓の先生」から話を聴く機会があった。先生が発するあれこれは、僕には初耳のことばかりだった。
墓石を清めるときには水はかけず、水を固く絞った布で拭く。故人の喉の渇きはその布の含む水で癒えるから、水を満たした茶碗を置くなどはする必要が無い。供えた花を枯れるまで放置することは良くない。それにくらべれば、供えたばかりの花を帰り際に下げ、花立てを洗った方がよほど良い、というようなことも、教えられたうちのひとつだ。
お墓に茶碗を置く必要が無いとは、管理すべきものがひとつ減る点において便利だから、すぐに従った。枯れた花がいつまでもあってはみっともないとは、おっしゃる通りだ。
きのうは雨がちの1日だったが、今日は晴れた。よって如来寺へ出かけ、先ずは古い方のお墓をざっと見る。おとといはタオルを持参し忘れた。そこで今日は新しいそれを携行し、水場で濡らして固く絞り、新しい方の墓石を拭き上げた。
予報によれば、これからしばらくは晴天が続くという。お墓は数日のうちにふたたび訪れて、そのときには花立ての水を新しくしようと考えている。
朝飯 蓮根とコンニャクと鶏の炊き合わせ、納豆、生玉子、薩摩芋のレモン煮、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、椎茸と白菜の味噌汁
昼飯 トースト、ホットミルク
晩飯 昆布の佃煮、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ウォッカマーティニ、鶏のトマト煮のスパゲティ、Chablis Billaud Simon 2018
2023.3.18(土) 4月になったら
きのう隠居に植木屋が入り、梅の木を剪定した。花盛りの今、なぜ枝を落とすかといえば、初夏にできるだけ多くの実を得るためだ。収穫した梅の実は「汁飯香の店 隠居うわさわ」の甘味や飲物に使う。それほど大きくもない、更には1本のみの白梅ではあるけれど、なる実の量は馬鹿にならない。
その剪定の結果をきのうは繁忙により見ることができなかった。よって午前、お客様のいらっしゃらない頃合いを見計らって確かめに行く。流石は本職による仕事にて、お客様を落胆させるほどには花は減っていなかった。
次に植木屋が入るのは5月になるだろうか。冬の庭の寂しさを和らげるための椿を植えてもらうのだ。そのときには同時に、実生で勝手に育ち、勝手に枯れたツツジなども、できれば根こそぎ始末をしてもらいたいと考えている。
隠居の現在の掛け軸は菜花を詠んだもので、そろそろ替えどきだろう。手元の一覧によれば、これから夏にかけては大したものがない。2011年、東日本大震災の見舞いとして今井アレクサンドルから贈られた「ガーベラ」の出番かも知れない。
朝飯 オリーブオイルとバルサミコとたまり「朝露」をソースにした鮭の粕漬け、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、トマトとブロッコリーの味噌汁
昼飯 トースト、ホットミルク
晩飯 トマトとブロッコリーのサラダ、「食堂ニジコ」から持ち帰った中華焼きそば、麦焼酎「こいむぎやわらか」(お湯割り)、チョコレート、Old Parr(生)
2023.3.17(金) そのためにのみ
明日は彼岸の入り。コンピュータの年間「すべきこと」の3月18日には「花9対新旧墓にお供え」の文字がある。今年の当日は土曜日。しかし週末は店が忙しい。家内には「汁飯香の店 隠居うわさわ」の仕事がある。そういう次第にて墓参りは17日に行うこととして、花はきのう、家内がJR通りの「花一」に予約をした。
記録には「花9対」とあるものの、おととし亡くなった叔父の墓は、そこに含まれているだろうか。それがあやふやだったため、今回は10対を用意した。そして昼前に家内と如来寺へ向かう。
歴代の古いお墓の花立ては、昨年の秋の彼岸を過ぎたところですべて洗い、伏せておいた。その底の螺旋を土台にはめ込み、水を満たす。そこに花、そして線香を供える。そこから新しいお墓へ回っておなじことをし、更に叔父と叔母の名の刻まれたお墓にもおなじことをする。花は果たして記録にあった9対で間に合った。「すべきこと」の備考欄には、そのことをしっかり残すこととしよう。
昼食後、きのう楽天から届いた封筒を開ける。中には数日前に請求した、新しいプライオリティパスが入っていた。コロナ禍を過ごすうち期限の切れたそれを更新したのだ。この黒いカードを持ってさえいれば、世界中1,200ヶ所以上の空港でラウンジに入れる。
更新をしながら、しかし僕は、このカードは年にせいぜい1度くらいしか使わない。その理由を挙げれば以下になる。
1.もっとも多く利用する羽田空港には、このパスに対応したラウンジが無い。
2.もっとも多く利用するスワンナプーム空港での乗り換え時間は、ラウンジを使うほど長くない。
3.ラウンジで提供される食べ物や飲物には興味が無い。
4.大抵が一人旅であれば、ラウンジのソファで寝入って飛行機に乗り遅れることが怖い。
なぜそれでもこのカードを持つかといえば、たまにシャワーを借りる、そのためにのみ、これを持つのだ。
朝飯 しもつかり、蓮根とコンニャクと鶏の炊き合わせ、納豆、日光みそ「ひしお」の肉味噌、菠薐草とウインナーソーセージのソテーを添えた目玉焼き、白菜漬け、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、椎茸と長葱の味噌汁
昼飯 ブルーベリージャムのトースト、ホットミルク
晩飯 ジーマミー豆腐、納豆、しもつかり、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、トマトと刻みキャベツとブロッコリーを添えたコロッケとメンチカツ、麦焼酎「こいむぎやわらか」(お湯割り)
2023.3.16(木) 見ていないところで入る
目を覚ましてひと息を入れてから時刻を確かめる。iPhoneのディスプレイには「3:47」の数字が太い白文字で見えている。ためらうことなく起床し、服を着替え、洗面所を経由して食堂に出る。こちらの時計は3時52分を指していた。
朝に早く起きる理由の随一は、静かな時間を過ごすところにある。第2は、意味はおなじかも知れないけれど、自分だけの時間の確保。第3は、夜から朝になるまでの東の空を眺めること。夏が近づくけば、鳥の声も聞こえてくる。
南の国では、鳥の声はいつも聞こえる。タイのそれはホーウィ、ホーウィと啼く。その声が首都から千数百キロ北、千数百キロ東、千数百キロ南では、それぞれすこし異なってくる。それもまた面白い。
11時前に長男、モモ君、先月14日に産まれたカコ、家内、僕との5人で瀧尾神社へ行く。そしてカコのお宮参りをする。僕の発する言葉は「素晴らしいなー」のみである。
夜は自分で肴を整えて、焼酎のお湯割りを飲む。ワールドベースボールクラシックは予選を終えて、今日のイタリア戦からはトーナメント戦になる。試合は先攻のイタリアが巧みさを見せて3回の表まで膠着。その裏に日本代表は四球、バント、ショートゴロと繋げてようやく1点を先制。しかしこれまでの中国戦、韓国戦、チェコスロバキア戦とは、どうも様子が違う。
サッカーでも野球でも、点は概ね僕の見ていないところで入る。先月から仏壇に供えたままのチョコレートを食後の甘味にすべく席を立つ。そして数歩を歩いたところでテレビから歓声が上がる。振り向くと、6番打者の岡本和真がランナーふたりを置いてホームランを打っていた。
途中で入浴し、ふたたびテレビの前に戻る。それにしても今日はひとつのイニングが長い。そのうち家内が会合から戻ってくる。7回の裏に入ったところでテレビに見切りをつける。「えっ、寝るの」と家内は驚くも、今朝の起床は3時台である。寝室の戸を閉めた途端「吉田、ホームラン」と家内の声が聞こえる。
朝飯 しもつかり、納豆、蓮根とコンニャクと鶏の炊き合わせ、ホウレンソウのソテーを添えたしらすのオムレツ、胡瓜と蕪のぬか漬け、白菜漬け、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、メシ、長葱の味噌汁
昼飯 ブルーベリージャムのトースト、ホットミルク
晩飯 めかぶの酢の物、しもつかり、白菜漬け、鮭の粕漬け、赤飯、麦焼酎「こいむぎやわらか」(お湯割り)
2023.3.15(水) 第3水曜日
2000年5月12日より始めた「ほぼ年中無休」の体制を、今年の1月からは「第3水曜日定休」と改めた。その休みの日には、外には「社内メンテナンスのため」と看板を出す。「メンテナンス」は誤りではないものの、同時にすべての社員が出社をして話し合いや摺り合わせをする。今日のそれは隠居にて昼に完了した。
午後は、販売係を除いては通常の仕事に就く。販売係に限っては店の一角に集まって、これから半年先までのことについて、意見を出し合う。16時を過ぎて後は、それまで降ろしていたシャッターを上げて外光を入れ、什器の配置換えなどを検討する。
その最中に僕だけ抜けて道の駅「日光街道ニコニコ本陣」の様子を見に行く。そこで、一部の商品は売り切れ、主要な商品にも売り切れ間近なもののあることを知る。即、会社に戻って包装係、製造係に用意を頼む。15分後、通い箱に収められたそれらをホンダフィットに積み、売場を充実させる。
売り切れ、または売り切れ寸前まで商品を減らした要因はひとえに、上澤梅太郎商店で商品が買えなかったことによる、来月の休み前には重々気をつけることとして、それをカレンダーに記入する。
朝飯 キャベツとセロリのたまり浅漬け、しもつかり、納豆、胡瓜と蕪のぬか漬け、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、日光みそ「ひしお」の肉味噌、メシ、白菜の味噌汁
昼飯 オレンジママレードのトースト、ホットミルク
晩飯 春雨サラダ、蒸し焼売、焼き餃子、白菜キムチ、麦焼酎「こいむぎやわらか」(お湯割り)、杏仁豆腐
2023.3.14(火) 東京の東側
いきなり発生した用事により東京へ行くことになった。はじめは下今市11時34分発の上りを使うこととしていたものの、今日は5名の社員との面談が予定されていたことを長男に知らされた。その時間割を見れば、5人目とのそれは11時30分からとなっている。
社員との面談は、以前は時間を制限せずに行ってきた。その融通無碍さが徒となり、また他の業務も重なって、年に2度の面談をすべての社員と交わす、ということが「コロナ以降」はできずにいた。よって今回からは、各自の持ち時間を15分と決めた経緯があった。
いちど決めた仕事を個人の都合で変更することは、やむを得ない場合を除いてはしたくない。上りは2本おくらせて13時04分のそれを予約した。
住所は上野、実際には秋葉原の至近というあたりで用事はすぐに済んだ。そこで末広町から銀座線で銀座へ至る。地下鉄の構内から和光の地階へ入り、エレベータで6階へ直行する。そこでは今月の21日まで、鍋島徳恭による写真展「二代目中村吉右衛門」が開かれているのだ。
吉右衛門は姿の良い立役だった。華やかなのは「一條大蔵譚」の大蔵卿。粋の極みは濡髪長五郎や「夏祭浪花鑑」の団七九郎兵衛。照明を絞った会場には「菅原伝授手習鑑」の松王丸が楽屋から舞台の袖まで進みゆく動画も流れていた。
東京の東側は鉄道の便が良い。日比谷線で北千住に直行して飲酒活動。22時前に家に戻る。
朝飯 菠薐草のスクランブルドエッグ、納豆、蓮根とコンニャクと鶏の炊き合わせ、しもつかり、胡瓜の蕪のぬか漬け、白菜漬け、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、メシ、蕗のとうの天ぷらの味噌汁
昼飯 「セブンイレブン」のおむすび
晩飯 「加賀屋北千住店」のあれや、これや、それや、チューハイ
2023.3.13(月) 倉庫の探索
きのうは4階にあるライティングビューローの中味をすべて取り出し、段ボール箱に収めた。そして今日は長男とふたりで倉庫に入り、丈は低くても幅は広い戸棚の中味を取り出すことを始めた。こちらもまた、その本体をほかの用途に供するためだ。
戸棚の左側には棚、そして右側には6本の引き出しがあった。その引き出しを片端から開き、中味を取り出し、あらかじめ用意したプラスティックの箱に移していく。
こちらに収められていたのは英国製のライターやパイプではなかった。古いものは明治のはじめ、新しいものでも大正期の書類だった。見るもの見るものが珍しく、ところどころにおいては内容を確かめつつ作業を進めていたが、時間ばかりが経つ。途中からはとにかくモノを移すことに専念をした。
長男との予定が合えば、明日の午前は、今度は左側の棚の中味を整理しよう。更には他の什器にも、整頓の対象として挙げられているものがある。来月のなかばまでには片を付けたいと考えている。
朝飯 しもつかり、白菜漬け、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、ベーコンと菠薐草の味噌汁
昼飯 トースト、ホットミルク
晩飯 「フライングガーデン」のマッシュルームのサラダ、デミグラスソースのハンバーグステーキ、ブロッコリーのオーブン焼き、カラフの赤ワイン
2023.3.12(日) 使わずとも捨てられず
廊下の北側の突き当たりは4階の中ではもっとも気温が低い。そこにはむかしの小学校の2人用の机ほどの大きさのテーブルがあり、10号くらいだろうか、オレンジ色の油彩画が立てかけられている。そのテーブルの上や下に、良くないことではあるけれど、ここ数ヶ月ほどは飲みさしのワインや、いまだ食べる余地のある鍋などを置いてきた。温度の低さを便利に使ってきた、というわけだ。そこから今朝はおとといのキムチ鍋の残りを台所へ持ち来て、それを味噌汁にした。これを美味いと感じるのだから、僕も安上がりである。
このところは晴れの天気が続き、朝の食卓に日が差す。それが僕を気分良くさせる。「キリストが生まれる遙か以前より、クリスマスは冬至として祝われてきた」は、良く分かる説だ。
出社時の社員の服装が数日前よりガラリと変わった。冬のそれから春のそれに変わったのだ。三寒四温は去ったのろうか。そしてたまさかの、ではなく本当の春が来たのだろうか。ただし今年の花粉はいかにもひどい。「花粉症はありますか」と訊かれるたび「ほとんど無いですね」と答える僕も、今年はそれ用の目薬を日に数度は差している。
午後、今は4階にある、そして秋より店に置く予定のライティングビューローの、中味をすべて取り出す。ダンヒルの新品のライター、おなじくダンヒルの新品のパイプが出てくる。それらの姿はいかにも良いけれど、使う人は永遠に現れないに違いない。
朝飯 白菜漬け、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、キムチ鍋の残りによる味噌汁
昼飯 トースト、ホットミルク
晩飯 チーズ、TIO PEPE、スパゲティナポリタン、Chablis Billaud Simon 2018、アップルパイ
2023.3.11(土) 夜と朝のあいだ
目を覚ましたのは1時台も終わるころ。今朝に限ってはためらう気持ちはない、即、起床する。台所に出て湯沸かしポットに水を入れ、電源を入れる。そのまま階下へ降りて、外の廃水槽を見に行く。
きのうの午後おそく、この水槽の水位が異常に上がっていることに、製造係のイトーカズナリ君が気づいた。よって出入りの設備屋カトー興業のカトーさんを呼び、原因を調べてもらった。排水ポンプはやがて正常に動き始めた。「明日また見てみます」とカトーさんは言って帰った。午前2時の水位は地面から1メートルと少々。「これなら大丈夫」と4階へ戻り、コンピュータを開く。
やはりきのう、しかしこちらは夜、風呂から上がって食堂へ行くと「日本が2点、返したんだよ」と家内がWBCの日本対韓国戦をテレビで観ながら教えてくれた。僕は「あっ、そー」と答えて水を飲み、寝室へ引き上げた。そこに家内の歓声が聞こえてきた。多分、日本代表にヒットが出たのだろう。ワールドベースボールクラシックに興味がないわけではない。しかし僕の、夕食後の最優先は寝ることにある。そのお陰で今朝は2時前に起きられたのだ。夜と朝のあいだの時間には、何にも代えがたいものがある。
やがて夜が明けてくる。その光景をカメラに納め、日記の最上部に置くこともしばしばではあるけれど、今朝は食堂の丸テーブルに着いたまま、あれこれ調べものをする。
午前、きのうに引き続いて、廃水槽の異常水位についてカトーさんに調べてもらう。これまた出入りのコジマ電気のコジマさんにも来てもらう。そしてようよう異常の原因を突き止める。修理は来週の月曜日に開始と決まった。
朝飯 牛肉と椎茸のすき焼き風、冷や奴、納豆、昆布の佃煮、白菜漬け、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、白菜とベーコンの味噌汁
昼飯 「日光鱒鮨本舗」の「舞茸とゆばの炊き込みご飯」、白菜漬け
晩飯 生のトマト、菠薐草のナムル、白菜漬け、「食堂ニジコ」から持ち帰った「海老春雨丼の頭」、同「豆腐と海老の塩煮」、麦焼酎「こいむぎやわらか」(お湯割り)、アップルパイ、Old Parr(生)
2023.3.10(金) 環境の整備
製造現場のうちもっとも広い面積を持つ大屋根の下では現在、ボイラーから湯沸かし缶と殺菌槽への、蒸気を送る鉄管の引き直しが行われている。一方、隠居の敷地に建つ冷蔵室では、すべての室内機、すべての室外機の交換が行われている。現在、これらに関わっている人たちは、ことによると出勤している社員より多いかも知れない。
工事の最中にあっても、製造係と包装係は工場内で場所を移し、粛々と仕事を続けている。マキシマトモカズ君とイトーカズナリ君は、今日は「たまり」のタンクを高圧洗浄機で洗った。タカハシアキヒコ君は、昼に配達から戻ると通常の業務に復帰した。
新しい蒸気管は今週中に引き終え、業者による掃除、更に社員による掃除が行われる。冷蔵室の室内機と室外機の交換は来週の火曜日に完了の予定。室温を5度まで下げたら、他の冷蔵室に避難させていた諸々を、新しい室内機の下に戻すことになっている。こちらの仕事は来週末には終えるだろう。
「いま食べごろ」の品を間断なく、遅滞、渋滞させることなくお客様にお届けするには環境の整備は欠かせない。お彼岸の待ち遠しい、今日このごろである。
朝飯 牛蒡と人参のきんぴら、トマトのスクランブルドエッグ、納豆、油揚げと小松菜の炊き合わせ、白菜漬け、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、豆腐と長葱の味噌汁
昼飯 トースト、ホットミルク
晩飯 白菜漬け、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、昆布の佃煮、めかぶの酢の物、キムチ鍋、麦焼酎「こいむぎやわらか」(お湯割り)、アップルパイ、TIO PEPE
2023.3.9(木) コロモガヘ
きのうの東京の最高気温は20度。大阪のそれは23度。列島の各地は東北から北海道も含めて季節はずれの暖かさになっている。もはやユニクロの「超極暖」など着ている場合ではない。
仕事着に限れば、僕は年間で、以下8回の衣替えをしてきた。
春:長袖ヒートテックシャツ+長袖フリースセーター
晩春:長袖ヒートテックシャツ+長袖Tシャツ
初夏:半袖ポロシャツ+長袖Tシャツ
盛夏:半袖ポロシャツ
初秋:半袖ポロシャツ+長袖Tシャツ
秋:長袖ヒートテックシャツ+長袖Tシャツ
初冬:長袖ヒートテックシャツ+長袖フリースセーター
真冬:長袖ヒートテックシャツ+長袖フリースセーター+ダウンベスト
「してきた」と過去形なのは、襟の高い長袖のヒートテックシャツをユニクロが作らなくなってしまったからだ。現在あるのは7分袖のみ。しかし僕はその袖丈を好まない。ユニクロの、襟の高い防寒用の下着で長袖は、いまや「超極暖」しかないのだ。しかし列島は既にして春に突入している。
というわけで「超極暖」はきのうの夜に衣裳ケースへしまった。そして今朝からはユニクロの、もう廃番なのだろうか、木綿を起毛させた襟高のシャツを身につけた。それに重ねたフリースのセーターは、いくらもしないうち木綿の長袖Tシャツに着替えることになるだろう。「はやく半袖ポロシャツの季節になってくれねぇかな」と心底、思う。
朝飯 油揚げと小松菜の炊き合わせ、牛蒡と人参のきんぴら、しもつかり、温泉玉子、納豆、白菜漬け、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、メシ、白菜の味噌汁
昼飯 「久埜」の草餅
晩飯 チーズ、TIO PEPE、生ハムのムースを添えたパン、トマトサラダ、牡蠣とベーコンとマッシュルームのスパゲティ、Chablis Billaud Simon 2018
2023.3.8(水) 伊豆治療紀行(14回目の2日目)
「腰が悪いなぁ、これじゃぁギックリ腰になっちゃうよ」と「伊豆高原痛みの専門整体院」のワタナベ先生は治療台にうつぶせた僕の、背中から腰の様子を一瞥するなり言った。実際には、鼻が邪魔にならないよう空間のある台に顔を押しつけているから「一瞥」がどうかは分からない。しかし肉屋にしろ魚屋にしろ、あるいは僕のような味噌屋にしろ、本職というものは大抵、見ただけで対象の状態を当てるものだ。
9,000ボルトの電子ペンを要所要所に突き立てつつ「腰が一番、痛いでしょ」と先生が問う。「いや、膝がやっぱり一番、痛いですよ」と、僕はうつぶせたまま答える。電子ペンの痛みは肉のないところ、たとえば靱帯などに打ち込まれるときがもっとも強いのだ。
施術後はきのうとおなじく、池入口の交差点から城ヶ崎海岸駅までの、1,100メートルの急坂を徒歩で下る。伊豆急行を熱海で東海道新幹線に乗り換え、東京駅で山手線に乗り換え、有楽町で降りる。
僕は人見知りもするが、物怖じもする。尻の割れ目が見えるほどズボンを落とした若い人が、黒服に白手袋の門番の立つ銀座のブランドショップに入っていく様子を見たりすると「度胸があるなぁ」と、心底ビックリする。
そういう性格から、銀座の和光には今年の1月12日、齢66にしてはじめて足を踏み入れた。そして昨年の秋より動かなくなったセイコーの時計を治しに出した。修理完了の連絡ははやくからもらっていたものの、東京を通過した先月の14日には、それを受け取る時間が作れなかった。
高価でもないソーラー電波時計はムーブメントを新品に交換され、磨き抜かれてプラスティック袋に収められていた。修理費用は18,150円だった。これをショルダーバッグに収めて後は4階へ上がり、スカーフやセーターを見る。中には気に入ったものもある。しかし僕は、高級な品は買えても使えない。それが汚れたり傷ついたりすることを恐れて死蔵してしまうのだ。「オレにはやはり、リトアニアの麻布とかユニクロのセーターが一番だわな」と考えつつ1階へ降り、外へ出る。
次男が待ち合わせの時間に遅れることはない。ふたりで夕食を摂りつつ近況を伝え合う。
浅草から乗った下り特急スペーシアが新鹿沼を過ぎるあたりから目が痒くなってくる。そして22時前に帰宅を果たす。
朝飯 「東急ハーヴェストクラブ伊東」の朝のブッフェ
昼飯 「小諸そば」の春告魚天そば、ライス
晩飯 「鳥ぎん本店」の焼き鳥あれこれ、牡蠣釜飯、鳥スープ、お新香、ハーフ&ハーフ、「沢の鶴」の「特撰純米酒」(燗)
2023.3.7(火) 伊豆治療紀行(14回目の1日目)
目を覚まし、ひと息をついてから枕頭のiPhoneを見ると時刻は2時44分。上々の滑り出しである。即、起きて食堂へ出る。3時をすぎたところで仏壇に花と水とお茶を供える。先月25日に買った、10把で550円の線香は当初「安上がりでいいや」と喜んだものの、これといった香りは感じられない。また、その灰は白くなく、灰色である。
ほとんど書けていた一昨日の日記を整えて公開する。続いてきのうの日記を書き、その最下部に三食の画像を加える。時刻は3時47分。2杯目のお茶を飲んで3時58分。ここから今日の荷物を作り始める。
伊豆の、今日と明日の最高気温はそれぞれ16度と20度。対して明日、日光に帰り着くころの気温は5度。どのような服で出かけ、どのような着替えを持つかの見当がつかない。それでもどうにかこうにか決めて”Rock Steady”のショルダーバッグに納める。体の片側に重さがかかる点において、僕はショルダーバッグを好まない。しかし伊豆行きの荷物は重くないのだ。
朝食の後、いつもより早く1階に降りる。出勤する社員のため7時40分に事務室のシャッターを上げる。いつもは朝礼の後に行う道の駅「日光街道ニコニコ本陣」の売り場の掃除と納品を、今朝は朝礼の前に済ませる。春日町の交差点まで戻ってくると、会社の駐車場には既にして集団検診のためのバスが駐まっていた。
体重はまたまた減って、もっとも重かったときから10キロの減。BMIは19.07。僕は代謝が良く、間食はしない。しかしこの体質や習慣は若いころからのものだから、体重の増減の理由にはならない。普段は怖がって、社内でもっとも後まわしにしてもらう採血を、今日は列車の都合にて早々に受ける。
人身事故のため東海道線は一部で不通、復旧は午後1時とのニュースが、新橋の大衆床屋の有線ラジオから聞こえてくる。その東海道線が一般の路線なのか、それとも新幹線なのかは聞き漏らした。ダイヤの混乱があってはならないと早めの行動を心がけた結果、伊豆高原には15時06分に着いた。予定よりかなり早い到着により、待合室で本を読みつつ時間を調整する。17時に予約をしてあった「伊豆高原痛みの専門整体院」には16時20分に入った。
伊豆高原駅から整体院まではタクシーを使っても、帰りは城ヶ崎海岸駅までの1,100メートルを徒歩で下る。本日は家内を同道していないため、夕食についてのすり合わせは不要である。ホテルの部屋に落ち着き、備えつけのポットでカップ酒を温める。そして東京駅で買った弁当を肴にして、それを飲む。
朝飯 「セブンイレブン」の2種のおむすび
昼飯 「笹八」の爆弾おむすび
晩飯 「古市庵」の浪花寿司、「大関酒造」のワンカップ大関
2023.3.6(月) 手招きをするもの
きのうの日記に書き忘れたことがある。「ロマネ・コンティ・一九三五年」のうちの「渚にて」は主に、私と画家と「何ともいいようのない人物」の3人により展開される。その「人物」が、僕には徳川義宣の「迷惑仕り候」の「ボウ」に重なってならない。もっとも「人物」は釧路の町外れの海岸に棲み、一方「ボウ」こと冷田新九郎は八雲の浜の砂丘の内側に家を持つから、明らかに別人である。それでも北の深山大沢は、興味深い人物を生むらしい。
それはさておき明日は伊豆へ行く。昨月の伊豆行きは13日からの2日間だった。そのとき読みさした本は残りのページが少ない。これまた読みさしの「ロマネ・コンティ・一九三五年」と合わせても、往路の途中で読み終えてしまうだろう。活字を欠いてはにっちもさっちもいかない。
夕食の前に、応接間の一部という不思議な構造の廊下に立つ。廊下の両側は床から天井まで本棚になっている。そこから3冊目を選ぼうとするも「自分をどうぞ」と手招きをする個体は見あたらない。「だったら明日の朝にするか」と、別の廊下の端に一升瓶を取りに行く。
朝飯 白菜漬け、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、きのうまで食べてきた鍋による味噌汁
昼飯 トースト、ホットミルク
晩飯 揚げ湯波と小松菜の炊き合わせ、牛蒡と人参のきんぴら、白菜漬け、蒸した薩摩芋、焼き鳥あれこれ、「菊水酒造」の「菊水の辛口本醸造」(燗)
2023.3.5(日) 夕食の風景
家内が出かけた先週の火曜日以降、きのうを除いては決まって夕食時に読書灯を点け、開高健の「ロマネ・コンティ・一九三五年」を開いた。夕食の友としてこれを選んだ理由は先月28日の日記に書いた通りだ。
この短編集をはじめて読んだのは1990年6月1日から6月3日にかけて。なぜ分かるかといえば、裏表紙の見返しに、それが記してあるからだ。以来、何度、この本を読んできたか分からない。文春文庫の1981年の版は今や紙が焼け、活字も小さく読みづらくなった。よって現在は、おなじ文春文庫の2009年の版に替えて読み継いでいる。
「ロマネ・コンティ・一九三五年」は「玉、砕ける」から始まる。若いころはこれ一編のみに高揚を覚え、残りはおしなべて退屈に感じた。ところが今回はそれに続く「豊満の種子」も「貝塚を作る」も「黄昏の力」も「渚にて」も、すべて飽きさせない。そして今夜はいよいよ最後の「ロマネ・コンティ・一九三五年」に入った。
小説の舞台は1972年。よって飲まれるロマネコンティは葡萄の収穫から37年を経ている。その味については読んでのお楽しみ、であるけれど、この物語の主題はどうも、そこにはないように感じている。
朝飯 昆布の佃煮、生玉子、牛肉と椎茸のすき焼き風、めかぶの酢の物、白菜漬け、カリフラワーの酢漬け、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、トマトと小松菜の味噌汁
昼飯 トースト、ホットミルク
晩飯 めかぶの酢の物、しらすおろし、缶詰鰯のパン粉焼き、白菜漬け、カリフラワーの酢漬け、あれこれによる鍋、「菊水酒造」の「菊水の辛口本醸造」(燗)
2023.3.4(土) 花粉
啓蟄は3月6日でも、日光方面へ人が出てくるのはお彼岸から。長年の経験により、そう考えてきた。ところが今日は、鬼怒川へ向かう国道121号線が渋滞をしている。その最後尾はどのあたりまで延びているのだろう。不思議なものを見るようにして、その春日町交差点の写真を撮る。
午後、配達に出かけた先で「シャチョーは花粉症は無いですか」と訊かれる。「ほとんど無いですね」とお答えをすると「いやー、羨ましい」と、その人は鼻をすすり上げた。子供のころ運動性喘息とアトピー性皮膚炎に悩まされながら、花粉症はまったく無い、ということを僕は自慢にしてきた。ところが2001年の春、風の強い日にたまたま杉林の中にいて、一瞬で花粉症になった。それから22年のあいだに何が起きたかは不明ながら、花粉にはほぼ反応しない体にふたたび戻った。
夜は久しぶりに外へ出る。歩く人はほとんど、というかまったく見あたらない日光街道を徒歩で下る。そして数年ぶりの店のカウンターに着き、先ずは生牡蠣にて燗酒を飲み始める。
朝飯 鰤大根の大根だけ、揚げ湯波と小松菜と椎茸の炊き合わせ、しもつかり、「なめこのたまり炊」を添えた生玉子、白菜漬け、カリフラワーの酢漬け、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、蕪と菜花の味噌汁
昼飯 トースト、ホットミルク
晩飯 「陶」の生牡蠣、玉子焼き、漬物盛り合わせ、他あれこれ、日本酒(燗)
2023.3.3(金) 眠っても気になっている
住所は東京都文京区湯島でも、最寄り駅は千代田線の湯島ではなく丸ノ内線の本郷三丁目。そういう場所にある甘木庵の、1976年から使い続けている給湯器を交換したい。それは東京ガスの製品と思うが定かではない。先ずは商品名や製造番号を確認すべきだ。そう考えて床に膝をつき、奥を覗き込もうとするけれど、給湯器の前に作り付けられた小さなテーブルが何としても動かない。そういう夢を見ながら目を覚ます。
店の、1996年に設置した床置き型の空気調整器が先日、息を止めた。4台ある冷蔵ショーケースのうち2003年に購入した1台も、寿命を迎えつつある。同じく店の、この秋に移動を考えている、2平方メートルの面積を持つふたつの作業台は床にボルトで固定されていて、本職を頼まなければ動かせない。これらの現実が、今朝の夢には反映されていたに違いない。
ここ数日の気温はほとんど春のそれになってきた。空気調整器は天井から吊った別の機械も稼働中であり、とすれば壊れた床置き型は、冷房が必要になるまで交換を待てる。問題はサーモスタットが作動するたび大きな音を立てる冷蔵ショーケースで、こちらについては午後、長いつきあいのある業者に新品を発注した。
終業後はいそいそと4階へ上がり、台所に立つ。冷蔵庫の常備菜は随分と少なくなってきた。それらを各々の保存容器から皿に盛る。大鍋の煮込みは日曜日の夜、あるいは月曜日の朝に食べ尽くす計算である。
朝飯 鰤大根の大根だけ、納豆、しもつかり、揚げ湯波と小松菜と椎茸の炊き合わせ、白菜漬け、カリフラワーの酢漬け、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、トマトと小松菜の味噌汁
昼飯 トースト、ホットミルク
晩飯 鰤大根の大根だけ、揚げ湯波と小松菜と椎茸の炊き合わせ、しもつかり、牡蠣のアヒージョ、白菜漬け、カリフラワーの酢漬け、あれこれによる鍋、「末廣酒造」の「末廣」(燗)
2023.3.2(木) 春一番
夕刻、店に立っていると、男性ふたり、女性ひとりのお客様が入っていらっしゃった。よってほとんどすべてのお客様にそうしているように、お盆に載せたらっきょうのたまり漬の試食をお勧めし、奥の、給茶器のある場所でお召し上がりいただくよう、ご案内をした。
そのお客様が試食を終えて冷蔵ショーケースの前にお戻りになったところではじめて、使われている言葉が広東語らしいことに気づく。英語が通じないこともないだろうけれど、隣の事務室まで長男を呼びに行く。お客様は少なくない買い物をしてくださって後、鬼怒川方面へと向かわれた。長男によれば、お客様は香港からの旅の途中、とのことだった。
直後にいらっしゃった男性ばかりの3名様にも、やはり試食とお茶をお勧めした。3名様は先ず、奥へお進みになり、上澤梅太郎商店の歴史を年代順に並べた掲示物を熱心にご覧になり始めた。あるいはそれらをスマートフォンのカメラに納めたりもしていらっしゃる。多分、食品関係の本職でいらっしゃるのだろう。
やがて3名様は奥からお戻りになり、あれこれ商品をお選びになり始めた。そこでようやく、このお客様も中国語をお話しになっていることに気づく。僕はまたまた事務室から長男を呼ぶ。こちらのお客様も、まとまった買い物をしてくださった。また「どちらからいらっしゃましたか」との長男の問いかけには「トーキョーから」とお答えになったという。
海外からのお客様の買い物のしかたには特徴がある。第一に意思決定が早い。第二は、たとえば味噌、たとえばらっきょうのたまり漬なら、その中でもっとも高いものをお取りになる。第三は客単価が高い。つまりバブル期の日本人に似ている。多いにありがたい。
もっとも僕としては、いつもひと袋だけ、いつもほんの少しだけお買い上げくださるお客様も、とても有り難く感じている。なぜならそのお客様は確実にご自分でお召し上がりになっているし、今後も何十年とお付き合いくださる可能性が高いからだ。
16時を過ぎてより、一段と風が強くなる。春一番、だろうか。
朝飯 しもつかり、蕪のぬか漬け、カリフラワーの酢漬け、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、ベーコンと白菜の味噌汁
昼飯 トースト、ホットミルク
晩飯 人参とカリフラワーの酢漬け、めかぶの酢の物、鰤大根の大根だけ、揚げ湯波と小松菜と椎茸の炊き合わせ、白菜漬け、昆布の佃煮、あれこれによる鍋、「末廣酒造」の「末廣」(燗j)
2023.3.1(水) 初午
初午には神社から宮司が来て、坪庭の稲荷社に祝詞を奏上してくれる。初午には新暦と旧暦のそれがあり、更には神社の都合も関係して、今年、瀧尾神社からのハガキで知らされたその日は2月28日だった。そういう次第にて、きのうはいつもの若い宮司の後ろに立ち、神妙に祝詞を聞いた。
宮司の訪問は2月28日でも、お供えは3月1日に上げるべしと、家内には言われていた。供え物のうち、清酒は数日前に用意した。しもつかりはきのうの早朝に家内が完成させた。今朝は道の駅「日光街道ニコニコ本陣」への配達を開店直前の9時前とし、開店と同時に赤飯を売る場所へ行ってみた。
赤飯は2種類があった。僕は歯ごたえのあるものを好むにもかかわらず、餅米によるごはんは、普通のそれより噛む力を要する点において、これをあまり好まない。それでもどちらが美味そうかと、目で吟味をする。片方は黒胡麻を用いている。もう片方は白胡麻を散らしている。数秒を迷って結局のところ、見た目の綺麗な白胡麻の方を選んだ。
会社へ戻り、4階の台所へ上がり、冷蔵庫からしもつかりの保存容器を出す。しもつかりと赤飯の器はおなじものとした。そしてそれらをお盆に載せ、事務室へ降りる。今度は神棚からワンカップ型の清酒をおろし、フタを外す。
きのう宮司が去ってから閉じた稲荷社の扉を開く。そして赤飯、しもつかり、清酒を供え、それが必要か否かは知らないけれど、二礼二拍手一礼をする。世にお稲荷さんを信仰する人は少なくない。僕は信じるより畏れる気持ちが強い。
お供えは、数時間を経て下げた。清酒は石造りの狐にかけた。赤飯としもつかりはお盆に載せ、処分するつもりで4階へ運んだものの、台所に入ったところで気が変わり、赤飯を食べてみた。意外やとても美味い。その勢いを駆って、器の中味すべてを食べ尽くす。これまた捨てるつもりだったしもつかりも捨てるには惜しい気持ちになって、こちらは夜の肴とすることを決める。
朝飯 白菜漬け、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、カリフラワーの酢漬け、メシ、きのうの夜の鍋を流用した味噌汁
昼飯 昆布の佃煮、揚げ玉、梅干、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、なめこのたまり炊のお茶漬け
晩飯 人参とカリフラワーの酢の物、クーブイリチー、鰤大根の大根だけ、しもつかり、白菜漬け、あれこれによる鍋、「末廣酒造」の「末廣」(燗)





































































































































