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お買い物かご

清閑 PERSONAL DIARY

2025年8月の日記31本

2025.8.31(日) マイカオチャイ

早朝、きのうおとといに続いて家内と共に「汁飯香の店 隠居うわさわ」へ赴き、おととい床に掛けた柏木弘の”UNTITLED 08-III”を、竹内栖鳳の「晩秋」に戻す。残暑のいまなぜ「晩秋」なのかについては、今月23日の日記に書いた通り

午前の店では、新たな本を長男が書籍部の棚に並べていく。本はお盆の繁忙に備えて早くから注文していたものだったが、届いたのは今朝のことだった。お客様のほとんどはクルマでご来店になる。だから重さや大きさは負担にならないと当方は考えるものの、文庫本の方が売れ行きは良い。自分に照らしてみれば、普段はお客様とおなじく小さなものを好む。しかし旅先に持参して心が躍るのは、やはり分厚い単行本である。

終業後、本日の売上げをコンピュータに入力したところで「まじー、変だなぁ」と独りごとが漏れる。日曜日の数字としては、お盆休みの最中の17日よりも、8月最終日である今日のそれの方が高いのだ。しかもクレジットカードやQR決済に対して現金の比率が飛び抜けて高い。その要因を考えても解析は不能。これをタイ語ではマイカオチャイ。英語で何と言うかは分からない。


朝飯 茄子の揚げびたし、甘唐辛子の炒り煮、竹輪の磯辺揚げ、ひじきと大豆と人参の炊きもの、納豆、モロヘイヤのたたき、なめこのたまり炊、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、若布とズッキーニの味噌汁
昼飯 納豆と玉葱のつゆで食べる素麺
晩飯 ビーフンの中華風炒め豚挽き肉と夏葱とピーマンの中華風炒め夏太郎らっきょう、麦焼酎「こいむぎやわらか」(ソーダ割り)

2025.8.30(土) 行水

上澤梅太郎商店が運営する朝食の専門店「汁飯香の店 隠居うわさわ」の営業日は毎週の土日月曜日。その厨房に早朝より入る家内の荷物を今朝は僕が提げて、隠居の柴折り戸を押す。そしてきのう床の間に掛けた柏木弘の”UNTITLED 08-III”の、周囲との調和を確かめる。おなじ床の花の籠は、19年前に書いた「サイトー君のメルセデス」のサイトー君からの拝領品である

今日は長男も配達係のイザワコーイチさんも休みにより、朝は道の駅「日光街道ニコニコ本陣」への配達と開店業務をひとりで行う必要がある。こういうときに限って道の駅に納品すべき品が多い。「配達の途中で一旦、店に戻る必要があるだろうか」と考えていたところ、普段は11時より出勤の販売係タカヤマソラさんが早番として8時前に来てくれたから助かった。

開店の8時30分からしばらくは、店番はひとりでもこなせるだろう。そう考えて、道の駅から戻るなり蔵の最深部の冷蔵庫に保管してあるお米「ゆうだい21」の30キロ袋を事務室まで運び、それをホンダフィットに載せる。そしてホームセンター「カンセキ」の精米機で精米をする。帰る途中で、今日は仕事が休みのため隠居の食器洗いを手伝うことになっている次男と家内のための弁当を、既にして開店した道の駅で買う。そこから目と鼻の先の如来寺に立ち寄り、施餓鬼供養のお布施と塔婆の代金を置く。

ホンダフィットは店の駐車場ではなく、蔵の裏口に乗りつける。そして精米済みの「ゆうだい21」とふたり分の弁当を隠居の勝手口から入れる。

ここまですると、下着もシャツも汗で濡れたため、4階の自宅へ戻ってシャワーを浴び、下着とシャツを替える。

タイへ行けば、朝食を食べに出ただけで汗まみれ、昼食を食べに出ただけで汗まみれ、ちかくのコンビニエンスストアへ出かければ、またまた汗まみれになる。そしてこれは本当のことだが、夕刻には、その日に浴びたシャワーの回数が思い出せなくなっている。このところの日本の夏は、最暑期のタイより暑い。だから人によっては、タイでの僕と同じほど水浴びをしていることだろう。

夕食の前の20分ほどは、食卓で本を読む。この新書の残りのページも少なければ、あさっての東京行きには、もう1冊を携える必要がある。その1冊を選ぶために席を立って、応接間に続く、盲腸のような廊下の本棚へと向かう。


朝飯 甘唐辛子の炒り煮、モロヘイヤのたたき、生玉子、納豆、なめこのたまり炊、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、若布と夏葱の味噌汁
昼飯 茄子の揚げびたしと大根おろしのつゆで食べる素麺
晩飯 マッシュルームと夏野菜のスパゲティ飲みさしの白ワインと赤ワイン焼き菓子

2025.8.29(金) UNTITLED 08-III

9月はじめの予定が混んでいる。よほど注意をしないと、どこかで粗相をやらかしそうだ。事務机の左手に提げたカレンダーだけでなく、忘備のためのポストイットも目立つところに貼ることにしよう。

その混み合う日程の最中に訪ねたいと考えている店を検索エンジンで特定する。その自社サイトでは、定休日は水木とされている。しかしGoogleのページには、定休日は月火水木とある。一体全体、どちらが確かな情報だろう。幸い自社サイトに問い合わせのフォームがあったため、そのことについての質問を入力して送信する。

「汁飯香の店 隠居うわさわ」に明日の予約を入れてくださったお客様から、食事をしつつ柏木弘の”UNTITLED 08-III”をご覧になりたいとのご要望をいただいた。この絵は通常、冬に飾ることとしているものの、お客様は美術大学で柏木弘の生徒さんだという。滅多にないお申し出であれば、是非にもお応えをしたい。そういう次第にて自宅の倉庫からこれを納めた紙箱を出し、隠居に運ぶ。そして床にある竹内栖鳳の「晩秋」を”UNTITLED 08-III”に掛けかえる。残暑のいまなぜ「晩秋」なのかについては、今月23日の日記に書いた通りだ

そのまま隠居にいて、9時30分からのウェブ会議に加わる。しかしてまた今日は販売係が手薄なため、僕のみは1時間ほどでその場を離れる。

13時30分より銀行に赴いて、今月中に済ませておくべき入金や資金移動をする。16時30分からはひとりで店番をする。17時をすぎて混み合ったところに長男が来てくれて助かる。17時30分からは、隠居係のタカハシリツコさんが掃除をするため来てくれたから、これまた助かる。ちなみに「汁飯香の店 隠居うわさわ」の今週の営業日は、すべて満席をいただいている。

朝に質問を送った会社からは懇切丁寧な返信が届いた。Googleのページの異常に多い定休日は9月はじめの臨時休業を反映したものであり、しかしGoogleの仕組みでは定休日と臨時休業を区別して表示できないことへの詫びも述べてあった。この店の商品は、できれば9月中には購入したいと考えている。


朝飯 甘唐辛子の炒り煮、目玉焼き、茄子の揚げびたし、揚げ湯波の甘辛煮、なめこのたまり炊、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、オクラと若布の味噌汁
昼飯 納豆と玉葱のつゆで食べる素麺
晩飯 モロヘイヤのたたき、夏太郎らっきょう牛丼、麦焼酎「こいむぎやわらか」(ソーダ割り)、焼き菓子、Old Parr(生)

2025.8.28(木) 人によりけり

きのうの夕刻は東京にいたから、道の駅「日光街道ニコニコ本陣」の様子は見ていない。よって朝礼の始まる8時より前に、いちど現場を訪ねて売場の在庫を確かめる。そしてきのうのうち準備の完了しているもの、また朝礼の後に急ぎ作ってもらったものをホンダフィットに積んで、9時前に本日最初の納品をする。

日光の小中学校では既にして二学期が始まっている。しかし日光以南の小中学校は、今も夏休みのところが少なくない。よって観光客の数は、いまだ平時のそれまでは減っていない。これが9月になれば、道を往くクルマの数も、いくらかは少なくなるだろう。そして10月11日の土曜日からは、また次の混雑、あるいは賑わいが始まるのだ。

販売係によれば、やはりきのうは夕刻にかなり激しく雨が降ったという。今日も17時を過ぎると、空には青いところも見えるものの、怪しげな雲も低くなってきた。やがていくつかの雨粒が落ちてくる。しかし今夕の雨は、その一瞬のみだった。

「暑さもようやく峠を越えましたね」と言う人もいれば「涼しくなるという予報でしたが、むしろきのうより暑いくらいです」と言う人もいる。僕としては「まだまだ涼しくはなって欲しくねぇな」というところだ。「暑さ寒さも彼岸まで」であれば、まだまだ涼しくなることはないだろう、と思う。


朝飯 海女唐辛子の炒り煮、鮭の昆布巻、茄子の揚げびたし、納豆、なめこのたまり炊、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、豆腐と若布と茗荷の味噌汁
昼飯 納豆と玉葱のつゆで食べる素麺
晩飯 ポテトフライトウモロコシのバターソテーベビーリーフのサラダパン鶏のトマトチーズ焼きChablis Billaud Simon 2018

2025.8.27(水) 伊豆治療紀行(39回目の2日目)

9,000ボルトを発する電子ペンによる膝の治療は通常、診察台に座った状態で受ける。それが今朝は「新しい方法を見つけた」と、いわゆる側臥位で横になるよう、先生は僕に指示をした。そして先ずは左を下にして横になった僕の左膝の内側、続いて右膝の外側に電子ペンを打ち込んだ。次は右を下にして横になり、右膝の内側と左膝の内側に、おなじ処置をした。

診察台に寝た状態で上から電子ペンを打ち込まれると、どうにも逃げようが無い。治療に伴う痛みはきのうのそれよりも強くなった。しかしからだを良好な状態に保つためには我慢も必要。この整体院を超える「治し屋」を僕は知らないから、ただ堪えるのみ、である。

借りていたクルマを伊東駅前で返し、乗れた伊豆急行鉄道の列車は11:35発。熱海での4分間の乗り継ぎは僕のみがこなし、家内は休憩室で昼食を摂りつつ次の新幹線を待つという。

先月も書いたような気もするが、僕が時間を調整する場所は登山用品屋と本屋だ。登山には命がかかっている。よってその用品屋で売られている服は普通の衣類より機能に特化しているところが好きだ。本についてはまぁ、無ければ生きていけない、ということもないけれど、これを欠いては人生の楽しみの数十パーセントが失われることは確かだ。

きのう東京駅で買った本を日本橋丸善の喫茶室で読むうち、ジュリア・キャメロンという人が提唱した「モーニングページ」というものを知る。起き抜けにたくさんことを文字にすると、これが脳のいわば「毒消し」になる。すると自由な発想が得やすくなるというのだ。とすれば、早朝に日記を書く僕などは、それを知らず知らずのうちに実践していたことになる。とはいえ日々、自由な発想が湧き出ている感覚は無い。モーニングノート、果たして本当のことだろうか。

家内とは銀座の伊東屋で落ち合い、食後、地下鉄で浅草へ移動をする。そして19:59発の下り特急に乗り、22時前に帰宅を果たす。夕刻に驟雨でもあったか、街はひどく涼しかった。


朝飯 「ガスト」の目玉焼き&ベーコンソーセージセット、ライス(大盛り)
晩飯 “Osteria Barababao”のオードブルの盛り合わせイカ墨のスパゲティ豚のグリル、ヴェネチアのシャルドネ、チョコレートプリン、グラッパ

2025.8.26(火) 伊豆治療紀行(39回目の1日目)

きのう家から持って出た本のページが、明日の夕刻までは保ちそうにない。活字を欠いては焦燥の募るたちにて、新たに本を買う必要がある。今いる場所は東京駅にて、いつも書いていることだが、ここは広すぎて、どこに何があるかがまったく分からない。よって通路を歩くうち行き当たった案内所のオネーサンにスマートフォンで検索した書店を見せ、その場所を教えてもらう。

教えてもらったとはいえ、周囲は雑音に満ちているから、オネーサンの言ったことすべてが聞こえたわけではない。その後も一旦は迷い、ようやく目指す本屋に辿り着く。

普段は、買おうとしている本は既に決まっていて、ウェブ上で買う。それに対して今日はこれからめぼしい本を見つけるわけで、何を買うかは決まっていない。肩には二泊三日分の荷物を納めたトートバッグをかけている。よって本屋に長居はしたくない。食指の伸びる本には幸い、1分ほどで出会うことができた。即、その精算を済ませてから昼食にするものも買い、おなじ階にある東海道新幹線の改札口にPASMOを触れさせる。

前述のとおり東京駅には詳しくないから、家内との待ち合わせについては「13:27発 こだま729号 14番線 4号車」と、青いフェルトペンで記した紙切れをポケットに入れておいた。家内とは幸いにもその場所で会えて、下りの東海道新幹線に乗る。

6月から7月にかけては左の腰に違和感があった。7月から8月にかけては、その違和感が右の腰に移った。「伊豆痛みの専門整体院」のワタナベ先生にはそのことを伝え、9,000ボルトを発する電子ペンにて治療をしてもらう。その先端を押し当てられた腰のツボは当然、かなりの痛みを感じさせた。続いて受けた膝については左右とも、先生が軽く触れて「固い」と言った上部の一点のみが電子ペンの痛みを感じ、しかし他の場所はどうということもなかったから助かった。

夕食は、おととしの1月にひとりで伊豆を訪ねた際に見つけた店に裏を返した。そして家内の運転するレンタカーにてホテルへ戻り、入浴をして多分、21時より前に就寝をする。


朝飯 「ドトール」のハム玉子サラダサンドレタスドッグ、コーヒー
昼飯 「笹八」の爆弾おむすび、JAVA TEA
晩飯 「かっぽれ」の若布の酢の物野菜の炊き合わせ刺身の盛り合わせたこぶつ海の幸のグラタン五目釜飯「土佐鶴酒造」の「土佐鶴ドライ生貯蔵酒」(冷や)

2025.8.25(月) 貴重な数ヶ月

3時すぎに食堂に来て、南東と北西に面した窓を開けても、風はそよとも感じられない。しかし開けたばかりの窓を閉めて、天井の空気調整器を冷房で回すことはしない。未明から朝にかけて窓を開け放っていられるのは、晩春から秋にかけての数ヶ月。貴重な数ヶ月であれば、そのあいだの外気はなるべく肌で感じていたい、という気持ちが僕にはある。

10時に、外注SEのシバタサトシさんと、NTTからのふたりが会社に来る。そして充分に旧くなったビジネスフォンを、今後はどのような形のものにするか、その話し合いをする。僕は基本的には「よきにはからえ」の姿勢である。そのようなことは、若い人が専門家の意見を容れつつ決めれば良いのだ。

その商談が済んだところで4階へ上がって着替えをする。荷物はきのうのうちに、いつものトートバッグに用意をしておいた。それを提げて1階へ降り、自転車で日光街道を下る。乗った特急は11時35分発の上り。

本日の東京の最高気温は37℃。移動は北千住、虎ノ門、新橋、銀座。夜は早々に寝に就く。


朝飯 鮭の昆布巻、納豆、生玉子、なめこのたまり炊、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、豆腐と若布と茗荷の味噌汁
昼飯 「セブンイレブン」のサンドイッチと牛乳
晩飯 「ヤムヤム」のヤムウンセンタレートードマンプラーセンソム(ソーダ割り)

2025.8.24(日) 夏太郎

朝日の昇る位置が、北東から東へと移ってきた。今朝は、6時を過ぎると、既にして意外なほど高くなった太陽が、窓の縁からあらわれて顔を直射するまでになった。よって巻き上げ式の遮光カーテンを天井から1メートルほども下げて、その光を避ける。指折り数えてみれば、秋分の日まで30日。暑さは無論、その日を過ぎてもしばらくは続くだろう。

秋分の日といえば秋彼岸。お盆に引き続いて如来寺のお墓へ行く。羽田空港へ向かうのは9月24日の夜。とすれば、供えた花を片づける時間は充分にあると、今度は指折り数えるまでもなく、頭の中で計算をする。

上澤梅太郎商店の目の前の春日町交差点が、いまだに渋滞をしている。その先頭は言うまでもなく道の駅「日光街道ニコニコ本陣」である。お盆休みが過ぎて一週間が経つにもかかわらず、この混雑ぶり、否、賑わいぶりは、どういうことだろう。

日光の池田農園で、今年は7月21日に収穫されたらっきょうを塩とお酢だけで漬けた「夏太郎」を、夕刻にひと袋だけ買う。このらっきょうは、以前は清の時代の磁器の高台に載せていた。しかし昨夏からは、サワンカロークの疎林で拾った陶器のかけらに並べている。完全な形の器よりも、長く打ち捨てられていた、いわばゴミの方にむしろ惹かれてしまうとは、不思議なこともあるものだ。

そしてその「夏太郎」を肴にして焼酎のソーダ割りをゆっくりと飲む。


朝飯 モロヘイヤのたたき、なめこのたまり炊、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、豆腐と玉葱とトマトとウインナーソーセージの味噌汁
昼飯 茗荷のつゆで食べる素麺
晩飯 夏太郎らっきょう牛肉とピーマンと筍の焼きそば、焼売、麦焼酎「こいむぎやわらか」(ソーダ割り)、杏仁豆腐

2025.8.23(土) 朝のことだけで終わる日記

上澤梅太郎商店が運営する朝食の専門店「汁飯香の店 隠居うわさわ」の床の絵を、きのう「ヒサオさんの緑の絵」から竹内栖鳳の「晩秋」に掛けかえた。残暑いまだ去らない今なぜ「晩秋」かと問われれば、帆を上げた、あるいは帆は降ろしたままの二艘の舟が川を下る、その景色はどうためつすがめつしても夏、百歩譲っても初秋のそれにしか見えないからだ。

今日から3日間は「汁飯香の店 隠居うわさわ」の営業日にて、だから朝のうちにあらためて、その「晩秋」の、床の間への落ち着き具合を確かめるため隠居の柴折り戸を押す。夜のあいだに鳴く虫の声は当然、もう聞こえない。夜が明けゆくときに啼く鳥の声も、もはや届いてこない。下草の露で足を濡らさないよう、踏み石を選んで歩を進めて勝手口より隠居に入る。

「晩秋」の、床畳からの高さが適当かどうかを家内に訊き、その同意を得て座敷を去る。午前の日を避けるための朝顔は、いまだ賑やかで有り難い

と、ここまで書いて、きのうおとといに続いて今日の日記も朝のことだけで終わりそうな雲行きだから、午前から夜までのことを思いだしてみる。

日中の気温は割と高かった。今月13日に蔵出しをしてすぐに売り切れた、日光の池田農園で採れたらっきょうを塩とお酢だけで漬けた「夏太郎」が、ふたたび店の冷蔵ショーケースに並べられた。店の犬走りに置いた6鉢のカランコエは厚い葉に水を蓄えるのか、以前のマーガレットとは異なって手間いらずで助かっている。キャッシュレジスターの脇の棚の、下今市駅ちかくのカフェ「珈茶話」の若マスターが特別に焙煎し、ブレンドしてくれているコーヒーのドリップパックが売り切れた。日光市の標高の高いところに田んぼを持つヤギサワヒロシさんによるお米「ゆうだい21」の2合袋はきのう大人買いをされたお客様がいらっしゃって、売り切れが間近になっている。

道の駅「日光街道ニコニコ本陣」では常温対応の「ごぼうのたまり漬」が午後に売り切れたため、見本と値札は一時、引き上げた。それと共に「らっきょうのたまり漬」と、たまり漬「ピリ太郎らっきょう」がまばらになっているのを目にして、裏の冷蔵庫から充分の数を売場に運ぶ。夕刻の店舗には長男をはじめ次々と他の部署から人が来てくれて助かった。そして夕食は外へ出て摂った。

まぁ、そんなところである。


朝飯 モロヘイヤのたたき、納豆、生玉子、なめこのたまり炊、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、メシ、ピーマンと若布の味噌汁
昼飯 擂り胡麻のつゆで食べる素麺
晩飯 “Parrot”のパロットサラダチキンステーキイタリアンBEAUJOLAIS GEORGES DUBOEUF 2021

2025.8.22(金) 南海旅行記

あれこれをするためコンピュータを開いたテーブルの椅子に着いて右手、つまり南東に面した窓の外へ目を遣る。見えるのは数百メートルほども離れたところの街灯の白い灯り、それとこちらは数キロメートルほどの距離はあるだろう、どこかの山の上に建った送電線の頂上に点滅を繰り返す赤い灯りのみだ。

虫の声は、複数種が、複数の方向から届いている。しかしきのうの朝、長男と2歳の娘カコが散歩に出たところ、草陰には動かなくなった虫が目立ったという。そういう虫は、大方は蟻に巣まで運ばれて、イソップの寓話にあるように、大切な食料になるのだろう。

この日記には何度か書いたことだが、アリとキリギリスを題材にした六代目三遊亭圓楽の、楽太郎時代の枕が好きだった。イソップ版では、冬を迎えたキリギリスは飢えと寒さから死んでしまう。しかし楽太郎によれば、キリギリスは、冬にはなぜかハワイにいて、相変わらず遊んでいるのだ。

ここでふと気になって検索エンジンに当たってみたところ、この寓話には似た話がいくつもあり、そのうちのひとつを読んだサマセット・モームはキリギリスに同情すると共にアリを憎み、アリ役の賢兄に対してキリギリス役の愚弟が晩年、大金持ちになる話を作ったという。

それはさておきネットサーフィンの最中には良くあることだが、そのページにあった、モームの「南海旅行記」を読みたくなって更に調べてみるも、日本語版はどこにも見あたらない。そして原書である”My South Sea Island”はひどく高い。しばらくは忘れることにしようと思う。


朝飯 スクランブルドエッグ、納豆、モロヘイヤのたたき、なめこのたまり炊、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、トマトと玉葱と若布の味噌汁
昼飯 納豆と玉葱のつゆで食べる素麺
晩飯 カレーライス、夏太郎らっきょう、らっきょうのたまり漬、Old Parr(ソーダ割り)

2025.8.21(木) 6月28日の月

目を覚ましたのは2時50分。起きて食堂に来たのは3時台のはじめ。早起きとは、まったくもって素晴らしい。テレビも点いていない、電話も鳴らない、人の声も聞こえない静かな時間が何時間も与えられるからだ。

仏壇に水とお茶と花と線香を供え、既にして完成しているおとといの日記を公開し、更にはきのうの日記を完成させて保存する。また「汁飯香の店 隠居うわさわ」に予約サイトを通じていただいたご予約を確定させてご返事をお送りする。

それらのことをしている食堂のテーブルから望める空が、徐々に明け始める。今朝の風はどのような具合だろう。それを確かめるため屋上へ上がる。東の空には旧暦6月28日の月があった。

以降はウェブ上を徘徊しても時刻はいまだ5時20分。そこで事務室へ降りて、先週末の「汁飯香の店 隠居うわさわ」のお客様が記入してくださった感想カードを4階の食堂に持ち来る。そしてその内容をコンピュータに入力する。この仕事は溜め込むと後で苦労をする。苦労を避けるためには、休まないことが肝要になる。これを6時に終えて以降は、朝食までのあいだに本を読む。早くに目が覚めるとは、まったくもって有り難い。


朝飯 茄子の揚げびたし、スクランブルドエッグ、ウインナーソーセージと小松菜のソテー、納豆、なめこのたまり炊、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、揚げ湯波と玉葱と若布の味噌汁
昼飯 茄子の揚げびたしと大葉のつゆで食べる素麺
晩飯 グリーンアスパラガスとじゃがいもの細切りとトウモロコシのソテーを添えたハンバーグステーキチーズの「日光味噌のたまり浅漬けの素・朝露」漬け、Old Parr(ソーダ割り)

2025.8.20(水) あらためて

お盆を含む週に出勤をしてくれた社員、それは上澤梅太郎商店のすべての社員ではあるけれど、彼らへの祝儀はきのう家内に整えてもらった。それを今朝は、皆に配ってまわる。祝儀は、もらうのも嬉しければ、配るのも嬉しい。次の機会は来年の正月。そのときにも、また良い成績を得られれば有り難い。

ところで僕は、人が暑さを訴え始めるあたりの気温を「心地よい」と感じるらしい。今年5月のバンコクではホテルのロビーに足を踏み入れるなり「折角の気温の高さにもかかわらず、これほど冷やすことはねぇじゃねぇか」と感じた。先般は叔母が事務室を訪ねて来るなり「ちょうどいいね、今日は30℃だって」と声を発した。叔母も多分、僕と同類なのだ。あらためて「夏よ、いつまでも」である。

午後も遅くなると激しい雨の降るここ数日ではあるものの、今日のそれはほんの数分のあいだ、それもまばらに落ちてきたのみで、すぐに上がった。これくらいのお湿りでは、気温はまったく下がらない。しかし特に不快さも感じないため、店の冷房は17時を過ぎたところで切る。釣銭に用いる5,000札の予備は今日で底を突いた。明日の朝は、また銀行へ行く必要があるだろう。


朝飯 生のトマト、目玉焼き、茄子の揚げびたし、甘唐辛子の炒り煮、なめこのたまり炊、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、揚げ湯波と小松菜の味噌汁
昼飯 茄子の揚げびたしと大葉のつゆで食べる素麺
晩飯 菠薐草と椎茸と厚揚げ豆腐と豚薄切り肉の鍋、麦焼酎「こいむぎやわらか」(ソーダ割り)

2025.8.19(火) 夏よいつまでも

ふと気づいたことだが、目を覚ましてから服を着るまでのあいだには、意識をしないまま手の平の具合を確かめるらしい。ここ数日のことを思い出してみれば、手の平の、とても乾いていることが多くなった。どうやら皮膚は、脳よりも先に季節の変わり目に気づいているらしい。

今月の初日に作った麺つゆの残りが少なくなった。よってきのうの夜から大鍋に昆布と干し椎茸を沈めておいた。今朝はそれにあれこれと手を加えて麺つゆを完成させた。今夏4回目のそれは、3回目に増して多くの量が出来た。今年の麺つゆ作りは多分、これが最後になるだろう

お盆の繁忙は、17日の日曜日を境として、裾を引くようにして去った。それにしても、お盆における、上澤梅太郎商店の前年比の数字は悪くなかった。テレビのニュースは「お盆期間中の新幹線の稼働率は全体的に高く、特に東海道新幹線は前年比13%増の約409万1,000人が利用した」と伝えている。

しかしこの日記を昨年の8月16日に遡ってみれば以下の記述があり、とすれば前年比増も当たり前、ということが分かる。
……
風は、列島の東洋上を北上中の台風7号によるものだろうか。本日の東海道新幹線は東京と名古屋のあいだで終日運休。東北、上越、山形新幹線も一部列車の運休を計画。関東の在来線や私鉄にも運休の可能性ありとは、驚くばかりだ。
……

ところで今日は閉店の17時30分を過ぎてもお客様が途切れず、店を閉められたのは18時10分だった。よって明日の釣銭の準備は明朝に行うこととし、シャワーも浴びず着替えもしないまま会食の場へと向かう。


朝飯 揚げ湯波の甘辛煮、納豆、フライドオニオン、胡瓜の古漬け、なめこのたまり炊、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」によるお茶漬け
昼飯 擂り胡麻のつゆで食べる素麺
晩飯 「炉心庵」の其の一其の二其の三其の四其の五其の六其の七冷えた日本酒あれやこれや

2025.8.18(月) 花の山

空は、夜から朝になろうとしているときが、1日の中でもっとも美しいように思う。今朝はそれほど早くに目が覚めたわけではないけれど、食堂から望む空が綺麗だったため、屋上へ上がる。そこに吹きわたる風は、充分に涼しかった

6時が近づくころ、隠居の厨房に入る家内の荷物はこびを手伝って、国道121号線の歩道を南へ歩く。隠居の木々の緑はいまだ充分に濃い。床の「緑の絵」は、今週末までには次のものに掛けかえよう。

道の駅「日光街道ニコニコ本陣」に本日最初の配達をして会社に戻り、ふたたびホンダフィットを運転して如来寺へ行く。そして新旧と叔父叔母のお墓の、計9対の生花を持参したプラスティック袋に入れ、花立てはこれまた持参した大きな洗面器に並べて水場で洗う。花立ては、雨水が溜まることを避けて、それが可能なものは伏せてお墓に戻した。

お寺から帰ったところで着ていたものを脱ぎ、シャワーで汗を流す。新しいシャツを身につけると、気分は非常に爽快になった。

きのうの午後、気づくと「相談に乗って欲しいとのこと」という添え書きと共に、後輩の名と電話番号を記したメモが事務机にあった。僕はそれを一瞥して、しかし繁忙により電話を折り返すことはできなかった。

10時を過ぎてようよう、メモの番号を呼び出す。遠いところで会社を営む後輩は、日光まで来てあれこれ話を聞きたいと言い、その候補日として10月11日または11月1日を挙げた。事務机の左手に提げたカレンダーをめくると、前者はスポーツの日の絡む連休の初日、後者は文化の日の絡む連休の初日に当たっていた。勤め人でもあるまいに、なぜそのような日を選ぶのか。紅葉の季節の連休は、1年の中でも、もっとも日光に来てはいけない日、である。列車は満席、宿は満室、道路は大渋滞、それが、他所から来る人には分からないのだろうか。後輩には改めて日を決めるよう言って電話を切った。

お盆の最中に耳にしたところによれば「十軒目でようやく入れた」と、飲食店の席に着くなり言った旅行客がいたという。

おとといの夜、フランス料理屋にいた客は、我々のみだった。僕はいつもの、つまり極上の諸々にて冷えたワインをすこしずつ飲んだ。店は至極静かだった。戸外には虫の声があったかも知れない。「人の行く、裏に道あり、花の山」である。「上がるから買う。買うから上がる」の今の日本の株式相場は、果たしていつまで続くだろう。


朝飯 生玉子、冷や奴、納豆、なめこのたまり炊、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、小松菜の味噌汁
昼飯 梅干と大葉の薬味で食べる素麺
晩飯 スパゲティボロネーゼChablis Billaud Simon 2018

2025.8.17(日) 行動特性

起きて食堂に来た時刻は3時3分。道路には、きのう降った雨の湿り気が、いまだ残っている。

町内の、江戸末期に建造された彫刻屋台のための蔵は町内の東地区にある。この周辺の草刈りは今月10日に予定をされていたものの、当日は雨のため、今日に延期をされた経緯があった。お盆休み中であれば、僕は繁忙にて、その勤労奉仕には参加はできない。しかし会計係として、昼食の場所を確保する必要はある。

そういう次第にて、9時30分に会社を離れて自転車で屋台庫へ行く。そして麦わら帽をかぶって作業中のウカジシンイチ自治会長に声をかけ、正午に蕎麦の「やぶ定」を予約しておく旨を伝える。その足で「やぶ定」へ向かう。店主のワガツマカズヨシさんは、午前のひと仕事を終えたところだった。

正午の予約をしながら、普段は昼から夜まで通しの営業にもかかわらず、14日の日記に書いた経緯について訊ねてみる。すると、とにかくお客様が多すぎて、調理担当、客席担当ともに疲労困憊の結果とのことだった。

人はとかく「混んでいるとき」に「混んでいるところ」へ行きたがる。「どうにかならないか」とは思うものの、それがヒトの持つ行動特性であれば、どうにもならないのだ。


朝飯 生のトマト、ソーセージのソテー、刻み玉葱を薬味にした納豆、鮭の昆布巻、なめこのたまり炊、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、玉葱と若布の味噌汁
昼飯 納豆と玉葱のつゆで食べる素麺
晩飯 豚薄切り肉と菠薐草の鍋チーズの「日光味噌のたまり浅漬けの素・朝露」漬け、らっきょうのたまり漬、麦焼酎「こいむぎやわらか」(ソーダ割り)

2025.8.16(土) 送り盆

上澤梅太郎商店が運営する朝食の専門店「汁飯香の店 隠居うわさわ」は、土日月の週に3日の営業。その朝は、家内は早くから厨房に入るため、食事は自分で用意をする。その内容は、1日がお茶漬け、1日が具だくさんの味噌汁による一汁ゼロ菜、1日が納豆、冷や奴、生玉子という調理を必要としない3種のおかずによる一汁三菜と、このところは固まってきた。

その、お茶漬けの食器を洗い終えた時刻は7時ちょうど。一方、出勤してくる社員のために事務室のシャッターを上げるのは7時40分。そういう次第にて、きのう事務室から引き上げてきた「汁飯香の店 隠居うわさわ」の先週のお客様からいただいた感想カードの内容を、食卓でコンピュータにデータベース化する。

午前の早いころには、しその実と茗荷の買い入れのハガキを印刷し、納入実績のある農家へ向けて投函する。いつもはお盆を過ぎてから出す案内が、今年はすこし早くなった。むかしは9月といえばひと息をつける月だった。しかし近年はしその実と茗荷の仕入れに加えて新宿高島屋での出張販売も行われるため、なにやら忙しくなっている。

16時15分より驟雨沛然。その勢いは徐々に弱まって、玄関前で仏壇のお盆飾りを焼いた18時40分ころに止む。

ところで「お盆の混雑も売上げも、明日からは極端に少なくなっていくのではないか」と、きのうの日記に書いた。しかし今日の売上げは、きのうのそれに比べて8パーセントの増。店は、明日こそ静かになるだろう。別段、それを期待しているわけではないけれど。


朝飯 塩鮭、納豆、鮭の昆布巻、なめこのたまり炊、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」によるお茶漬け
昼飯 会社支給の「えんや」の日光のひみつ豚カレーライス、らっきょうのたまり漬、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」
晩飯 “Finbec Naoto”の其の一其の二其の三其の四其の五其の六其の七其の八グラスの白ワイン(2種)、コーヒー

2025.8.15(金) 強気の予想ふたたび

ここ数日の雨は夜に降って、深夜に止むらしい。やがて空が晴れはじめる。僕にとっては理想的な天気である。鶏鳴山が、今朝は雲や霞に覆われることなく、応接間の南西正面に見えている。蔵の白壁には朝日が差している。些細なことではあるけれど、その淡いオレンジ色が、とても美しい。

NEXCO東日本は東北自動車道の上りの渋滞について、今日から始まって明日が最高、明後日は収束に向かうと予想をしている。とすればお盆の混雑も売上げも、明日からは極端に少なくなっていくのではないか。それでも「しかし」と、また別の考えも頭をよぎる。「17日までは強気の製造計画で臨むべし」と朝礼で号令をかけたのは11日のことだ。そのようなことについては初志貫徹を維持するべきだろう。

店舗、卸売り、地方発送のための商品の製造計画は、社員がコンピュータと相談をしながら決める。一方、道の駅「日光街道ニコニコ本陣」に納める商品の数量は、僕が勘で決める。そうして結局のところは明日についても強気の数字を出し、そのメモを包装主任のヤマダカオリさんに手渡す。

18日以降に「おやおや」ということが無ければ、この8月の成績は、かなり良いところに落ち着きそうな気がする。


朝飯 鮭の昆布巻、納豆、小松菜のソテー、目玉焼き、なめこのたまり炊、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、きのうの天ぷらの残りと三つ葉の味噌汁
昼飯 会社支給の「カルフールキッチン」の焼鳥重
晩飯 トマトとグリーンアスパラガスとパンチェッタのスパゲティチーズChablis Billaud Simon 2018

2025.8.14(木) あちらこちらで渋滞

3時59分に食堂に来て、南東と南西に面した窓を開ける。ここ数日の朝とは異なって、風はすぐに通り始めた。地面の濡れているところからすれば、夜に雨が降ったらしい。そして、なにやら涼しい。涼しさは、心地の良さをもたらす。しかし秋は、好きではない。「夏よ、カムバック」と叫びたいところではある。

白いシャツに墨色のネクタイを締め、三季用の黒いスーツを着ても、暑さは感じない。9時すぎに日光街道を下るホンダフィットの外気温計は「24℃」を示している。ことし初盆を迎えた親戚の家では線香を供え、冷たいお茶で喉を潤したらすぐにいとまを告げる。

iPhoneのGoogleマップに言われた通り、日光宇都宮道路には大沢I.C.から乗る。南の終点である徳次郎I.C.で降りたら今度は東北自動車道に宇都宮I.C.から乗る。下りの車線は激しく渋滞をしている。その先頭は、17.2キロメートル北の矢板I.C.だろうか。

Googleマップには都賀西方スマートI.C.で降りるよう指示をされたものの、ホンダフィットにETCは載せていないから、次の栃木都賀JKS.で東北自動車道から離れる。以降はスマートフォンの音声に従って、時には対向車が来たらすれ違えないほどの細い道を辿りつつ、やはりことし初盆を迎える取引先に線香を供える。

来るときの下りの渋滞を考えれば、帰りに東北自動車道は使えない。一般道を辿り、最後は日光宇都宮道路の土沢I.C.からこわごわ日光宇都宮道路に乗って今市I.C.を目指す。電光掲示板によれば、渋滞は今日の僕には関係しない、日光I.C.から清瀧I.C.のあいだで起きているとのことだった。会社に戻れたのは、朝に予想をしていたより早い12時46分だった。

目の前の春日町交差点には、いつの間にかクルマが詰まっている。その先頭は道の駅「日光街道ニコニコ本陣」だろう。渋滞の最後尾は日光方面の杉並木の中に消えていて、見ることはできない。こういうときにはホンダフィットではなく自転車で道の駅へ出かける。そして15時すぎに納品すべき品を頭に刻み、ふたたび日光街道を遡上する。

店の混雑の中に白人のご家族がいらっしゃって、アルバイトのワタナベサクラさんに何ごとかお訊きになっている。時刻は15時30分。引き継いだ僕にその女性は、いま隠居で食事ができるだろうかと問われた。以降のやり取りは以下。

「隠居は生憎と、毎週、土日月の営業で、しかも朝食の専門店です」
「あら残念。このあたりで他に食事のできるところはありますか」
「蕎麦屋なら営業しているかも知れません」
「それは、商業施設の中のお店ですか」
「いえ、このちかくです」

商業施設とは多分、道の駅「日光街道ニコニコ本陣」のことだろう。そこにある飲食店は満席だったものと思われる。僕は尻のポケットからiPhoneを取りだし、蕎麦の「やぶ定」の電話番号を探す。

「そのデータを私にください」
「大丈夫です。いま蕎麦屋の主人に電話をします」
「それは有り難うございます」

やがて「やぶ定」のワガツマカズヨシさんが、こちらの呼び出しに応じる。いま食事ができるか否かを問えば、今日に限っては通しの営業をしていないという。それをご家族の代表の、女の人に伝える。彼らは礼を述べて去った。「お盆に観光地に集団で」という旅の仕方には、特に外国からの旅行客には辛いものがあるだろう。

さて本日の売上げは昨日のそれにくらべて流石に3.6パーセントの減。これから16日までは漸減が続き、お盆休み最終日の17日には更に減、という流れだろうか。

夕食の後に入浴をして寝室の戸を引くと、中は滅茶苦茶。衣類が床に散乱し、寝台の掛け布団も乱れてめくれていた。孫のリコとカコが大人の服を着て遊んでいたに違いない。というわけで、そのまま明かりを落として寝に就く。


朝飯 トマトのソテーを添えたスクランブルドエッグ、納豆、茄子の油炒め、なめこのたまり炊、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、揚げ湯波と玉葱と若布の味噌汁
昼飯 会社支給の「コスモス」のハンバーグ弁当
晩飯 夏太郎らっきょう天ぷらあれこれかやくごはん、「松瀬酒造」の「松の司生酛純米酒」(冷や)

2025.8.13(水) むかえ盆

仏壇の中のものはきのうの早朝にすべてを取り出し、乾いた布で拭き、あるいは化学繊維製のはたきでほこりを払って元に戻した。扉の内外は、ほこりの積もりがちなところを中心として濡れ布巾で清めた。よって気分は清々としている。

きのうの日記にひと区切りをつけると時刻は4時30分。東の空にはひさかたぶりに、紅い色が見える。それを更に広く望もうとして屋上へ上がる。安全壁の縁を飾るかまぼこ形の瓦にiPhoneを置く。すると右腕に何かの気配を感じたため視線を落とすと、そこには小さな蜘蛛がいた。「朝の蜘蛛は殺すな」だったか「夜の蜘蛛は殺すな」だったかは定かではなかったものの、その蜘蛛の右腕にうごめくまま、北東の空に狙いを覚めてホームボタンを押す

5時30分、白と黄色の大量の菊を抱えて家内と外へ出る。そして如来寺のお墓に参る。新旧および叔父と叔母のお墓には計9対の花立てがある。菊は茎の長いままだったから、これを家内に切ってもらい、逐一、それらを線香と共に供えていく。

朝礼の後、道の駅「日光街道ニコニコ本陣」への納品から戻ると、店には今日から発売の、日光の畑で採れたらっきょうを塩と酢だけで漬けた「夏太郎」が、既にして朱のお盆に載せられ、冷蔵ショーケースに置かれていた。今月9日に試食をしたところでは、いまだ中心に生の部分があったものの、それからの3日間で急速に仕上がった。「夏太郎」の在庫は、9月の末までは保つらしい。

日中の店舗は客足が閑散とする時間もあったものの、閉店後にキャッシュレジスターを締めてみれば、売上金額は10日、11日のそれより、更にはきのう12日のそれよりも多かった。今年のお盆の売上げは10日と11日の連休が双耳峰のように高くなり、以降は漸減して次の突出は15日としていた僕の予想は丸外れ、である。

17時50分、如来寺のクワカドシューコー住職と4階の応接間にいたところに長男と孫のシンとカコがロウソクの点った提灯を持ってお墓から戻ってくる。小さな子供に迎えられたとあれば、ご先祖様もさぞやお喜び、かどうかは不明ながら、良い景色ではあると思う。


朝飯 茄子の油炒め、きのうの夜の残りのキャベツ炒めと豚の生姜焼き、揚げ湯波の甘辛煮、なめこのたまり炊、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、揚げ湯波と隠元豆の味噌汁
昼飯 玉葱と擂り胡麻のつゆで食べる素麺
晩飯 枝豆、春雨サラダ、沢庵、夏太郎らっきょう焼き餃子、麦焼酎「こいむぎやわらか」(生)

2025.8.12(火) 虫の声

目を覚ましたのは3時51分。そのまましばらく休む手もあったものの、3時台の起床は「得した感」が強い。洗面所から廊下を伝って食堂の扉を押す。棚の電波時計は3時57分を差していた。

その食堂に風を通すべく、南東と南西に面した窓を開く。すると南東の側から虫の声が聞こえてきた。それははじめ、国道121号線を隔てた駐車場の、松の根元から発せられているように思われた。よって窓の、腰の高さほどの下枠にもたれて、その声の主のいそうなところを、いまだあたりは真っ暗ではあるものの、凝視する。盛んに鳴く一匹の虫は、どうやら松の木より数十メートルほども向こうで羽根を震わせているらしかった。

「断腸亭日常」が秋に近づくと、虫の声のことがしきりに出てくる。荷風は虫の声を「虫語」と書いた。まさか「むしがたり」ではないだろうから「ちゅうご」と読むのだろう。

タイには「何もしない」ということをするために行く。あるいは本を読むために行く。5月から携えているライオネル・バーバーの「権力者と愚か者」を読み終えたら次は岩波文庫の「断腸亭日常」全9巻、と行きたいところではある。しかしルビが振られていないため、手は出しづらい。百年以上も前の、しかも漢籍に通じた人の文章は、いくら流麗でも素では読みづらい。何とも切ないことである。しかしてまた、書店にて立ち読みをして、飛ばし飛ばしでも読めるようなら購うべしと、未練の心は、ある。

さて、きのうの日記には「お盆の繁忙は、今日で一旦は収束。昨年の記録によれば、次の山は15日に来そうではあるけれど」と書いた。しかし今日の売上金額は、きのうのそれを超えた。短期決戦の「読み」は何とも難しい。お盆やすみの終わる17日までは、品切れに注意を払いつつ、何とか乗り切っていきたい。


朝飯 刻みオクラの鰹節かけ、茄子とトマトのソテーを添えた目玉焼き、大根おろしを薬味にした納豆、隠元豆の胡麻和え、なめこのたまり炊、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、揚げ湯波と若布の味噌汁
昼飯 炒めた茄子のつゆで食べる素麺
晩飯 玉子焼き、菠薐草の胡麻和え、茄子の揚げびたし、甘唐辛子の炒り煮、キャベツのソテーを添えた豚の生姜焼き、夏太郎らっきょう、「山本合名」の山廃純米「天杉」(冷や)

2025.8.11(月) 見覚えのあるシャツ

「そういえば」と思い出したことがある。

きのう道の駅「日光街道ニコニコ本陣」に、朝から数えれば3回目の納品をした15時30分に「どれが好きですか」と、若い男の人に声をかけられた。店側の者に「お勧めは何か」とか「どれが好きか」とお訊きになる方は、すなわち当方を信用してくださっている、ということだ。「上手なお客様」とも言える。

よって僕は、らっきょうのたまり漬、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、ごぼうのたまり漬を次々と指して「この三つは毎朝、食べています」とお答えをした。また併せてスマートフォンを取り出しTikTokを開いて「こんな感じです」と、証拠と言っては何だけれど、僕の朝食動画をご覧に入れた。

するとその男の人は「食べものの動画には興味があるんです。フォローしても良いですか」とおっしゃったため「もちろんです」とお答えをして「梅太郎」のアカウントのトップに戻り、その画面がよく見えるよう、お客様の視線の先に差し出した

配達から戻って事務室にいると、先ほど道の駅で見かけた、中南米の壁画を思わせるアロハが目に入ったため、店に行ってみた。果たしてそのシャツをお召しになった方は、さきほど道の駅で声をかけてくださった男の人を含む一団でいらっしゃった。そして皆様は各々が買い物をしてくださって、どこかへとお帰りになった。有り難いことである。

さてお盆の繁忙は、今日で一旦は収束。昨年の記録によれば、次の山は15日に来そうではあるけれど、こればかりは未来のことにて、僕の予想が当たるかどうかは分からない


朝飯 なめこのたまり炊、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、玉葱とじゃがいもとトマトとウインナーソーセージの味噌汁
昼飯 玉葱と擂り胡麻のつゆで食べる素麺
晩飯 「コスモス」のトマトとモッツァレラチーズのサラダドリアドライマーティニ、TIO PEPE、家に帰ってからのエクレア、Old Parr(生)

2025.8.10(日) 強気の予想

きのうは20時過ぎに寝に就いた。にもかかわらず今朝、目を覚ました時刻は4時30分だった。8時間以上も眠り続けたのは、きのうの寝不足を身体が取り戻そうとしたのだろう。夜来の雨は止んだものの、道は濡れている。7日の立秋からこのかた、暑くない日々が続いている。しかしこのまま秋になることは考えづらい。というか、夏はかならず戻ってくるだろう。

九州南部から中国地方の西部にかけて線状降水帯が発生し、テレビには、注意を促すニュース速報がしきりに浮かび続けている。一方、日光には弱い雨が断続的に降って、気温はそれほど上がらない。目の前の春日町交差点には、きのうは見られなかった渋滞が発生した。今年のお盆の人の出は、どうやら今日から始まったらしい。

上澤梅太郎商店は繁忙に際しても商品の作り置きはせず、お客様には、いま食べごろの品のみをご提供することを旨としている。夕刻、明日に備えて店の冷蔵ショーケースを「らっきょうのたまり漬」で満たそうとして販売主任のサイトーミホコさんが包装主任のヤマダカオリさんに連絡をしたところ、本日の製造分はすべて店に運ばれて、バックヤードの在庫は皆無との返事が戻った。そういう次第にて、明日に売る「らっきょうのたまり漬」は、明日の8時前から包装係が全力で準備し、9時より店に並べることとなった。

ヤマダカオリさんにはその場で伝えたものの、明日の朝礼でも、日々の製造数量は、17日までは強気の予想で望むよう、あらためて皆に注意を促そうと思う。


朝飯 生玉子、納豆、豚肉そぼろの「日光味噌ひしお」添え、なめこのたまり炊、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、トマトと玉葱と若布の味噌汁
昼飯 玉葱と擂り胡麻のつゆで食べる素麺
晩飯 刻みオクラの鰹節かけ、沢庵、ブロッコリーのソテーを添えた牛肉のタレ焼き、麦焼酎「こいむぎやわらか」(生)、カステラ、Okd Parr(生)

2025.8.9(土) むべなるかな

きのうは19時50分に寝に就いた。今朝と言っては語弊があるかも知れないけれど、1時すぎに目が覚めた。起床は1時30分。あれこれをしながら2時間ほども経つと眠気を覚えたため、お茶を淹れなおし、そこに梅干をひとつ沈める。

8時の朝礼が済むと、いつもは道の駅「日光街道ニコニコ本陣」へ、その日、最初の納品に出かける。しかし今朝はそれよりも先に、隠居に味噌汁用の「日光味噌梅太郎白味噌」を届け、同時に庭の様子を見る。日除けの朝顔の種は、あちらこちらから複数年に亘って寄せ集めたものだったという。それが功を奏してか、色とりどりにたくさんの花が開いていた。辰巳に面した門から庭へ入り、玄関への踏み石を辿るお客様の多くは、ここで写真をお撮りになるという。「むべなるかな」の、素朴な美しさである。

さて、きのうの日記には「明日からの3日間は覚悟を以て店番に徹する必要がある」と書いた。しかし全時間、全席の埋まった「汁飯香の店 隠居うわさわ」を除いては、店にも道の駅の売場にも、いまだお盆の繁忙は訪れなかった。とすれば、勝負は明日からの2日間になるだろうか。

食堂に家内と二人であれば、夕食は簡単に済ませて20時すぎに就寝をする。


朝飯 塩鮭、フライドオニオン、明太子、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、なめこのたまり炊のお茶漬け
昼飯 玉葱と擂り胡麻のつゆで食べる素麺
晩飯  「カルフールキッチン」と「金谷ホテルベーカリー」のパンあれやこれやChablis Billaud Simon 2018

2025.8.8(金) 少年時代

「山の日」のからむ連休へ向けて、忙しさの予感のようなものを、きのうから覚え始めた。たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」は、在庫が自転車操業の状態になっていて、今朝、道の駅「日光街道ニコニコ本陣」へ納めることができたのは、予定の半数のみだった。不足は本店の分も含めて、今日これから作ると、朝礼の際には包装係のヤマダカオリさんから報告があった。

昨年の数字を振り返ってみれば、8月の売上げは祝日がらみの2日間が双耳峰のかたちで高くなり、次は終戦の日のそれが次の山になって、以降は漸減している。今年もそうなりそうであれば、明日からの3日間は覚悟を以て店番に徹する必要がある。

10時が近づくころ、ことし初盆を迎える親戚へ来客用のお茶を届けるべく、ホンダフィットにて日光街道を南下する。その最中に長男から電話が入り、それは応接間の、何十年も日にさらされて千切れ放題だったカーテンを新品に交換すべく、カメダインテリアのカメダさんが来社したことを知らせるものだった。

事務机には「10:00 カメダさん」と、きのうから忘備のポストイットを貼っておいた。それにもかかわらずその時間に外へ出てしまう、というところが僕にはある。長男には適切に対応するよう伝えて電話を切る。

親戚の家は周辺の大木が切り払われて、特に北側の眺望が開けていた。そして裏手の草いきれの向こうには、井上陽水の「少年時代」の聞こえてきそうな空があった。その静寂を楽しむ間もなくきびすを返し、会社に戻る。

カメダさんの仕事は「カーテンだけでこれほど部屋の印象が変わるものか」と驚くほどの出来映えだった。僕は「へーっ」と感嘆の声を腹の中で上げつつそれに近づき、手を触れてみる。レースのように透けてはいるものの、その感触はいかにも丈夫さを感じさせるものだった。

夜は栄養補給のため、否、栄養は充分に足りているだろうけれど、今夏はじめての鰻を食べる。


朝飯 揚げ湯波と小松菜の炊き合わせ、万願寺唐辛子の「日光味噌のたまり浅漬けの素・朝露」炒め、グリーンアスパラガスのソテーを添えた目玉焼き、なめこのたまり炊、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、大根と若布の味噌汁
昼飯 納豆と玉葱のつゆで食べる素麺
晩飯 「魚登久」のお通しの茹で烏賊、胆焼き鰻重、漬物、肝吸い、「片山酒造」の酒粕焼酎「粕華」(生)

2025.8.7(木) 立秋

立秋。とはいえおととい5日の日記に書いたように、夏は残暑も含めて来月の下旬までは続くと、僕は期待をしている。

今朝の日本経済新聞の「春秋」には、立秋を過ぎても半月ほどは暑くて秋を感じられないことにより、この日を15日ほど繰り下げれば「かへつて善きかと思はるるなり」と正岡子規も「墨汁一滴」に書いている、とある。

「墨汁一滴」が新聞「日本」に連載されたのは、1901年の1月から7月にかけてのこと。つまり124年前の立秋も、名ばかりの、季節感を伴わないものだったことが分かる。とにかく秋は、寂しくて、いけない。

9月17日(水)から同23日(火)まで、新宿高島屋の11階で開かれる「美味コレクション・グルメフェス」に参加をさせていただく。10月には、お得意様に季節のご挨拶をする。そのふたつのご案内のお送り先を顧客名簿から特定すべく、9時30分よりコンピュータと10キー、複数の筆記用具と作業手順書を手に4階の食堂へ上がる。

この手のアプリケーションは、星の数ほどあるだろう。僕が長年に亘って練り上げた方法は、それらのソフトの実力を軽く超えるものと考えている。難点は手順が複雑すぎること。だから電話が鳴ったり人が来たりする事務室では、この仕事はできない。

「高島屋」と「年末ギフト」のふたつのお送り先は、2時間を経て専用のフォルダに格納された。以降は3名の事務係の目視により洗いをかけられ、あらためて僕に戻されることになっている。

さて立秋の今日の天気は秋の爽やかさとは裏腹に、雨がちで湿度も高かった。しかし午後も遅い時間になると空は晴れ始め、明日から数日は晴れることを予感させた。せめてお盆のあいだは、好天に恵まれてほしい。


朝飯 切り昆布の炒り煮、隠元豆の胡麻和え、納豆、沢庵、なめこのたまり炊、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、豆腐とブロッコリーの味噌汁
昼飯 納豆と万能葱のつゆで食べる素麺
晩飯 万願寺唐辛子の「日光味噌のたまり浅漬けの素・朝露」炒め、蛸と玉葱のマリネ、なめこのたまり炊、鶏もも肉の網焼き「日光味噌ひしお」のせ、「山本合名」の山廃純米「天杉」(冷や)、クッキー、Old Parr(生)

2025.8.6(水) やし酒のみ

上澤梅太郎商店書籍部の棚が、だいぶ空いてきた。ひとえに、本をお買い上げくださったお客様のお陰である。本の在庫の少なくなったことを長男に伝えると、間もなく長男は僕との同報メールにて、新規に本を注文した。添付されたエクセルには13の書名が、それぞれ2冊や3冊の注文数と共にあった。

むかし家の本には後ろの見返しに「上澤蔵書」と、判を捺されたものが見受けられた。高校生になると、自分の蔵書印が欲しくなった。頭の中に浮かべたそれは、猿が椰子の木の上で、椰子の実を半割にした器で酒を飲んでいるもので、そこに漢字で「猿酒文庫」と添える。そこまで考えたものの、作るには到らなかった。

前述のエクセルには、エイモス・チュツオーラ著、土屋哲訳の「やし酒のみ」が含まれていた。この岩波による文庫本は、果たしてどなたかの目に留まり、どなたかにお持ち帰りいただけるだろうか。

パートタイムの社員が家路に就こうとする17時がちかくなるころ、空がいきなり暗くなる。そして予想した通りに激しく雨が降ってくる。しかしそれは意外や早く上がり、今しがたまでしぶきを上げていたアスファルトの表面は、平滑な水の幕になった。その水の幕が、いつの間にか明るさを取り戻した空を映している。夏はすべてが美しい、ような、気がする。


朝飯 隠元豆の胡麻和え、納豆、揚げ湯波と小松菜の炊き合わせ、トマトのスクランブルドエッグ、なめこのたまり炊、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、大根と若布と万能葱の味噌汁
昼飯 納豆と万能葱のつゆで食べる素麺
晩飯 生のトマトと刻みキャベツとブロッコリーのソテーを添えたコロッケ、Old Parr(ソーダ割り)

2025.8.5(火) 汁麺なら54杯

目を覚ましたのは2時35分。起床は3時45分。早く目を覚ますことができたのは、夕食後に食堂の椅子でうたた寝をすることなどなく、すぐに入浴をし、すぐに寝たことによる。

洗面を済ませて食堂に来て、南東と南西に面した2枚の窓を開ける。そして北西に延びる廊下を歩いて風呂場の脱衣所の窓を開ける。風は期待したほどは流れない。予報によれば、今日の気温は随分と上がるという。激しい夕立も、あるかも知れない。よって開けたばかりのガラス戸を閉めて食堂に戻る。

4時30分に屋上へ上がる。西の遠い森からヒグラシの声が聞こえてくる。ヒグラシには「夏の終わり」という印象がある。しかし今は、8月も始まったばかりだ。夏は残暑も含めて、来月の下旬までは続くのではないか。

既にして書き上げてあったおとといの日記に画像を添えて公開し、きのうの日記を完成させても時刻はいまだ5時30分。そこで、ホテルの予約サイトAgodaから幾度となく届いていたメールを開き、今年これまでにタイで泊まったホテルのキャッシュバック特典を受けることにする。

コンピュータのブラウザのQRコードをスマートフォンで読み取り、人差し指を動かして必要事項を打ち込むこと5分。するとブラウザには即「ウワサワ様、送金が開始されました、送金は火曜日までに着金完了予定です」の文字が現れた。戻る67.85米ドルは、日本円にして9,976円、タイバーツでは2,185バーツ。田舎であれば足マッサージが11時間も受けられ、汁麺なら54杯も食べられる大金である。めでたし、めでたし、である。


朝飯 刻みオクラ、切り昆布の炒り煮、揚げ湯波の甘辛煮、目玉焼き、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」。ごぼうのたまり漬、メシ、豆腐となめこと若布の味噌汁
昼飯 納豆と玉葱のつゆで食べる素麺
晩飯 揚げ湯波と小松菜の炊き合わせ、茄子の揚げびたし、南瓜の甘煮、トウモロコシのすり流し、刻みキャベツを添えた「しょうがのたまり漬」による豚の生姜焼き、ごぼうのたまり漬、メシ、「山本合名」の山廃純米「天杉」(冷や)、メロン

2025.8.4(月) 喞筒

ことし日光の契約農場でらっきょうの収穫が始まったのは7月21日だった。そのらっきょうは塩とお酢だけで漬けられて「夏太郎」の名で売り出される。この「夏太郎」への問い合わせがひきもきらない。今日は店頭で、毎年これを楽しみにされているお客様が遂に「何度も来られない」と、漬け上がったら送るよう、地方発送の申込みをされた。実は事務室には、おなじく「漬け上がりしだい出荷」の発送伝票が、専用の箱に積み上がっている。蔵出しの時期は今のところお盆過ぎを予想しているものの、それより遅れる可能性も小さくはない。

「夏太郎」は、それが蔵出しをされ次第、僕も買う。そうしたらそれを中国の古い高台や、サワンカロークの疎林で拾ってきた陶片に載せて、酒の肴にするのだ。

きのうの朝顔も涼しさを感じさせるものなら、塩と酢で漬けた若々しいらっきょうも、また涼しさを感じさせる。皮膚に感じる温度は変わらないにもかかわらず「涼しさを感じさせる」とは不思議なものだが、風鈴の音とおなじく、まぁ、そういうことは確かにあるのだ。

朝は曇っていたものの、午前の早いうちから晴れ始め、北東の空には積乱雲さえ湧き上がった。その頃合いを見計らって手水の水をジョウロに汲み、坪庭に打ち水をする。

その坪庭から事務室へ戻って「打水 子規」と検索エンジンに入れてみる。すると「三階の屋根に水打つ喞筒哉」という句が出た。「そくとうかな」では字余りだ。よって今度は「喞筒 」を、これまた検索エンジンに入れてみる。するとそのふた文字は「ポンプ」と読むことが分かった。それにしても、この「三階」とは、どちらの三階だろう。子規の家は、平屋だったではないか。


朝飯 刻みオクラ、納豆、切り昆布の炒り煮、なめこのたまり炊、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、豆腐となめことオクラの味噌汁
昼飯 納豆と玉葱のつゆで食べる素麺
晩飯 胡瓜と茗荷の酢の物、南瓜の甘煮、沢庵、カツ煮、麦焼酎「こいむぎやわらか」(ソーダ割り)

2025.8.3(日) 盆踊り

週に土日月の3日間のみ営業する朝食の専門店「汁飯香の店 隠居うわさわ」に、今朝は母屋から運ぶものが多い。よって6時すぎから厨房に入る家内の、荷物持ちの手伝いをする。

「なめこのたまり炊」のビン10本を勝手口に置いてから踏み石を辿って玄関の前へ、更に庭へと回る。座敷の南東に面した一角に設けたグリーンカーテンには、朝顔の花が増えていた。その色はとりどりで、中には團十郎のような紫も咲いていた。いかにも涼しげな、夏の朝である。朝顔は、上手くすれば秋になっても咲き続ける。その色は、いつまで愛でることができるだろう。

夏休み中の週末にて、道の駅「日光街道ニコニコ本陣」の売場と裏手の冷蔵庫には、9時の開店前から汗牛充棟の在庫をしておく。13時には二度目の納品、15時30分には三度目の納品をする予定である。

日中、9月の新宿高島屋での出張販売、また晩秋の季節のご挨拶と、ふたつのダイレクトメールのお送り先をそろそろ顧客名簿から抽出するよう、事務係のカワタユキさんに頼まれる。僕は来週の出勤簿を見て、その日を6日の水曜日と決める。

菩提寺の如来寺で盆踊りが行われることは、お寺から届けられたチラシにより随分と前から知っていた。よってこの一週間分の売上金をまとめてから外へ自転車をこぎ出す。

日光街道からお寺の参道に入り、しばらく行くと日光和楽踊りのお囃子と歌が耳に届いてきた。盆踊りは如来寺は元より各町内でも、また一時は日光街道を閉鎖しても、行われていた。しかしいつの間にか廃れて今に至っていた。今日のこの盆踊りには、とても懐かしい気持ちを覚えた。随分と上手なお囃子は、どちらの集団だろう。そうして出店のひとつで餃子を買って家に戻る。


朝飯 納豆、揚げだし茄子、切り昆布の炒り煮、なめこのたまり炊、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、若布と三つ葉の味噌汁
昼飯 「なめこのたまり炊」のなめこおろしのつゆで食べる稲庭うどん
晩飯 刻みオクラの鰹節かけ、胡瓜とトマトのサラダ「蔵八」の」焼き餃子、麦焼酎「こいむぎやわらか」(ソーダ割り)、カステラ、Old Parr(生)

2025.8.2(土) そんなことも知らない

今夏、三回目の麺つゆは、きのうの朝に完成した。レシピは固まっているものの、できる量は毎回、著しく異なる。それは、どのような理由によるものだろう。

二回目は、決まった量の水に干し椎茸と昆布をひと晩しずめ、翌朝、煮立たせないまま45分間を煮た。その結果の出汁の量が一回目のそれにくらべて異常に少なくなったため、水を足して調整した。それに懲りたから今回は、出汁に熱を通す際には、鍋にフタを軽くかぶせてみた。そうしたところ、今回の出汁の量は一回目のそれより二割ほど、二回目のそれより実に七割以上も多くなった。そこに二種の鰹節を加えて更に、これまた煮立たせないように40分間を煮た。このときも鍋をフタで覆ったことは言うまでもない。

そうしてできあがった三回目の麺つゆは、いつものピッチャーには収まりきれず、別の容器に小分けをした。四回目の麺つゆつくりに際しては、また今日とおなじくフタを用いることにしよう。

素麺は備蓄庫にいまだ二箱がある。しかし台所の棚のそれは枯渇をしたため、今日の昼食は稲庭うどんにすることとした。素麺は、にゅうめんのときには100グラムでも、ざる素麺のときには150グラムを茹でる。よって稲庭うどんも150グラムを茹でたところ、素麺にくらべて異常なほど多くなった。おなじ乾麺でも、茹でたときの含水率のようなものが、それぞれによって異なるのだろうか。自分では「ひとつ利口になった」と思うものの、人には「そんなことも知らねぇのか」と言われそうな気もする。


朝飯 ほぐし塩鮭、茄子の揚げびたし、生玉子、切り昆布の炒り煮、なめこのたまり炊、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、玉葱と若布の味噌汁
昼飯 大根おろしのつゆで食べる稲庭うどん
晩飯 水茄子のぬか漬け、沢庵、すき焼き、「松瀬酒造」の「松の司生酛純米酒」(冷や)

2025.8.1(金) 敗者復活戦

店の犬走りに置いた、秋まで保ってくれれば有り難いと考えていた鉢植えのマーガレットには、日に三度の水遣りを欠かさず、液肥も10日に一度は施していたものの、暑さが増してきて以降はいよいよ元気を失ってきた。よってきのうはその6鉢を、お客様からは見えない塀の内側に移した。そして今朝は「花一」のヤマサキさんにより、カランコエ6鉢が納められた。

上澤梅太郎商店の店舗は南東に面して日当たりが良い。犬走りの床は黒いタイルだから、地表の温度は、特に夏には高くなる。マーガレットが春にくらべて花を小さく、また少なくしたのは、そのせいもあるだろう。そういう次第にて新しい鉢は、最初から日のそれほど当たらない、奧に引き込んで置くこととした。

塀の内側のマーガレットは、雨が降れば微妙にその雫の落ちる、それも日陰に並べた。雨の降らないときには水を遣り、元気になれば、また店の前に出そうと思う。敗者復活戦、である。


朝飯 胡瓜の塩もみ、スクランブルドエッグ、茄子の揚げびたし、切り昆布の炒り煮、なめこのたまり炊、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、椎茸と若布の味噌汁
昼飯 納豆と玉葱のつゆで食べる素麺
晩飯 パンチーズラタトゥイユを添えたチキンソテーChablis Billaud Simon 2018ヨーグルト、Old Parr(生)

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上澤卓哉

上澤梅太郎商店・上澤卓哉

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