10月15日(日)は、まさに3年ぶりの今市屋台祭りの日です。こちらは神事とは切り離されており、日光市および日光商工会議所主催のイベントとなっています。JR今市駅前から日光街道までの一街区を封鎖して、今市の町うちに現存する約10基の彫刻屋台をならべて「ぶっつけ」を披露します。「ぶっつけ」といっても、江戸から明治に造られた彫刻屋台をぶつけあうわけにもいかず、実際には、2台の屋台を差し向けあってのお囃子合戦をそう呼んでいます。
  
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 「発酵デパートメント」の主催者であり、数年前にふらりと当店にあわらわて、その様子を紀行文『日本発酵紀行』にまとめてくれた発酵デザイナーの小倉ヒラクさん。新刊は『オッス!食国(おすくに)』というややふざけたタイトルの本ですが、内容は硬め。折口信夫『大嘗祭の本義』の批判からはじまり、日本の有史以来、日本の政治と祭祀に、各地のローカルな食べ物がどれほど重要視されてきたかを解きほぐしていく、日本の食と文化をめぐる人類学の入門書です。この本に影響されて、イザヤ書であったり延喜式であったりを読んできたのですが、フト思い出したことがあります。
  
 地元の鎮守である瀧尾神社(たきのおじんじゃ)で祭行されていた「秋季嘗祭」のことです。神社に各町会の代表が集まり、宮司の祈祷をうけたのちに直会となるのですが、ここで、神饌として捧げられた季節の産物をわいわいと食べる宴会が、神事とひとつながりになっているのでした。ここで振る舞われる料理は宮司のご母堂の手作りで、新米のごはんにけんちん汁、里芋の煮っころがし、モロ(むきさめ)の煮つけ、そしてぬか漬けなどの各種漬物が定番だったとのこと。季節の恵み、そしてローカルな食べ物を神様に捧げ、人もそれを一緒にいただく、まさに「本義」を感じるお祭りでした。残念ながらコロナで途切れてしまっていますが、せめてここに記録しておきたいと思いました。
  
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八木澤ファームさんの棚田の水は霧降高原から流れてくる霧降川。その水路は幕末に二宮尊徳が開削した二宮濠をいまでも現役で使用しています。このすぐ隣に、一枚岩の川床がつづく「高百の床滑」があり、夏は絶好の川遊び場となります。Google Mapで調べると素晴らしい景色を見ることができます。来夏のご予定に、いかがでしょうか? なお、川遊びの際は、ゴミはお持ち帰りください。
  
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湯沢屋さんの名物はもちろん羊羹なのですが、地元で愛されるお菓子に「酒饅頭」があります。自家製の糀で甘酒を造り、そこに天然の酵母を呼び込んでイースト発酵させ、その自家製の「酒母」をスターターにして小麦の皮を膨らませて蒸し上げる酒だねのおまんじゅう。賞味期限が短い上、冷蔵するとたちまち皮が硬くなってしまうのでお送りできないのが残念です。こちらはぜひご当地で。
  
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義実家への手土産は、さいきんは鳥秀さんのヤキトリときめています。新鮮なお肉を丁寧に刺してくれるので、お肉なのにまるでタケノコのようなシャキシャキの食感と、あふれる肉汁を楽しめます。こういう丁寧な仕事をしてくださる町の商店が、きちんとご商売を続けてくれていることこそが、町の地力(ぢりき)を高めてくれているのだと信じています。クリスマスの唐揚げも隠れた名物です。
  
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 お届け時にはすでに旧聞になってしまっていますが、10月14日(土)18:30から、日本テレビ「満天★青空レストラン」に当店が紹介されます。ゆうだい21の新米特集で、宇都宮大学での撮影の際、地元ならではのごはんのおともとして、母が出演してお漬物をお出ししました。撮影に際して、事前の準備がほんとうに丹念なことには驚きました。下検分、ロケハン、リハーサル、本番と現地に何度も足をはこんでくださり、事前に会社に関する書類を事細かに提出し、10月13日の時点までナレーションやテロップの修正依頼が来ています。撮影の際もフードコーディネーターが2人もついたそうです。人気番組には相応の理由があるのだと得心しています。