漬物には大きくわけて2種類あります。生野菜を塩蔵にする「古漬け」と、生野菜を塩水などの調味液に漬ける「浅漬け」です。


古漬けが少なくとも45日以上の長い熟成工程をもつのに対して、浅漬けは、漬け込み後1時間ほどからおいしく食べられます。


古漬けを作るとき、まず必要なのは塩漬けの工程です。


肉でも魚でも野菜でも、塩漬けにしておくと保存が利くうえ、独特の風味が得られる。


そんな発見をした野生の天才が、何万年もの昔、世界中のあちこちに、同時多発的に存在したのだと思います。


いまでも、われわれは、その無名の天才たちの恩恵にあずかっています。


古漬けにする野菜は、一般的に、業界用語で「タンク」と呼ばれるコンクリートプールで塩漬けにします。


コンクリは塩に弱いので、耐塩性を持たせるため、壁面や底面をFRPで補強してあったりします。


工場によって、また、扱う野菜の種類によっても異なりますが、おおむね、2m*2m*2mほどの巨きなものです。


容積で8立米、おおむね10トンの野菜を受け入れることができます。


もうすこし小ロットのものは「ナベトロ」と呼ばれるプラ製の桶で漬けこまれます。


これが500キロから1トン。もっと小ロットのものは「テンタル」というひざ丈ほどの樽を使います。


これでも70キロです。


昔は農家に行くと、軒下にテンタルが何本も並んでいたものですが、最近はあまり見かけなくなりました。