宇都宮の戦いで敗走した大鳥圭介率いる旧幕府軍は、1868年5月17日に日光街道を北上。今市を経由して日光に入ったものの突如転進。日光街道を南進して再び今市を経由、会津西街道に沿って会津田島へと退き、土方歳三ら傷病兵を会津藩に任せ、再び今市に戻って陣を構えました。

一説によると新政府側の板垣退助が日光山を主戦場としないよう説得工作に努めたとのことで、神橋のたもとには、稲垣の像が建っています。


当時、上澤慎一郎は、日光山に立て籠もっていました。


漬物技術あれこれ



漬物、なかんずく古漬けを構成する三大要素は、原材料、塩、そして重石です。原材料と塩とが混和して殺菌・脱水され、重石によって空気が遮断されることで保存性を獲得するというのが、漬物の基本的な考え方です。


例外的に、木曽地方に伝わる「すんき」は、塩を全く使用しません。
カブ族の野菜に強烈に重石をかけて冷涼な気候に置いておくと、乳酸発酵して桶の中の環境が酸性に傾き、やはり保存性を獲得するという珍しい漬物です。


さて、ここでひとつ疑問がわいてきます。こうした無塩漬物を「例外」扱いしていいのか?ということです。


漬物の発祥については常に「塩漬け」というところが強調されますが、「すんき」の存在は、むしろ、漬物の起源に塩は必須ではなかったのでは?ということを示唆しているように思えてなりません。


「猿酒」ではありませんが、収穫物をムロ、ないしは容器に詰め込んでいたものが発酵しているところを偶然発見した人類の祖先が、すんきのような無塩漬物を製造しはじめた。次に、無塩漬物に食塩を添加すると、調味が可能になり、保存性も高まることに気がついた。ずっと時代が下り、塩蔵漬物を脱塩処理して他の調味液に漬け替える製法が一般化。という流れのほうが、なんとなく得心がいきます。


「すんき」のほかに無塩の漬物は存在するのでしょうか(酢漬け等の調味料を用いたものは、ここでは除外します)。


たとえば飼料のサイレージはどうでしょう。サイロ塔やコンクリートピット、あるいはビニルロールにデントコーンや牧草を詰め込んでいくと、乳酸発酵して保存性が高まり、生の状態では存在しないビタミン類が生まれます。サイロの香りは、乳酸発酵した漬物そのものです。


日頃お世話になっている牛乳やお肉の類も、漬物の技術抜きにしては語ることができないと言っては言い過ぎでしょうか。