一年前の二月、日本橋高島屋の地下一階食料品売り場に催事出展していたときのこと。毎晩の銭湯通いが楽しみな催事期間、サウナ内のテレビのニュースは「ダイヤモンドプリンセス号横浜へ」のニュース一色となっていました。あの時は、それでもまだ、この感染拡大の影響がこんなにも長引くとは思いもよらないことでした。


 観光は、とても裾野の広い産業です。観光客は、いわば超短期の移民とも考えられます。その人口を支えるためのインフラが必要なのです。旅館・ホテルだけでなく、バス・タクシー等の交通事業者、多様な飲食店、野菜や果樹・畜肉を生産する農家さん、また、土産物の箱や包装紙を製造する紙工業、清掃・産廃処理業などなど、あまねく打撃を受けています。日光市役所内では、コロナ後の観光施策(含インバウンド!)を考えるプロジェクトチームがすでに立ち上がっていますが、このような状況になって、それでもなお、「日光」を選んでいただくためにはどうすればいいか、考えざるをえません。


 近くでお米とお肉の流通業をやっている渡邊和哉商店さんで聞いたはなしです。「米屋ってのは、一軒一軒のお宅に配達してたのが、大きいいホテルや旅館に卸すようになって商売も楽になった。でも、こういうことが起きてみれば、あまりに観光に依存しすぎていたことが明らかになっちゃった。祖業に立ち帰れってことかもしれないよね」。