北関東東北の、郷土の味



ところでみなさん、松前漬けってご存知ですか?


辞書的にいうと、


細切りのいか、こんぶ、人参などと数の子を塩漬けにしたもの。
松前藩で作られたことからこの名がついた。



となるかもしれません。福島県西部、栃木県、群馬県、といった、北関東および東北の海のない地域では、
お正月の定番料理として愛されてきました。
といっても、高級な数の子は入りません、、、
いか、こんぶ、にんじんだけで作る廉価版ですが、
これがウマイんですよ。

材料はこちら




細切りのするめ、こんぶ、
にんじん、
水、酒、日光みそのたまり浅漬けの素 朝露 ーメザメノイッテキー

これだけです。

細いか太いか、それが問題だ。



「きのこの山/たけのこの里論争」じゃないですけど、
論争そのものが楽しいタイプの議論ってあるじゃないですか。
不毛さが面白い、みたいな。


これもそのたぐいで、
「にんじんは太いほうが食感が出て好きだ」
「細いほうが食べやすいし、見た目も華やかになっていいじゃん」
などと、いろいろな方がいらっしゃいますが、まあそこはそれ。
今回は、早めに漬け上がるように、細く切ってみました。


まず、にんじんは洗って皮をむいて、頭とおしりを落とします。


次に、真ん中で半分に切って、さらに薪割りのように半分に割ります。
それを薄切りにすると、こんな風に、薄い、長方形のにんじんになります。


この薄切りを、お好みの細さに切っていきます。




細切りができたら、いったん重さをはかります。
「家庭の料理は適当な分量でいい」派ですが、ここははかります。理由は後述。




だいたい、140gでした。


次に、細切りのスルメと昆布をはかります。
今回はあらかじめ細切りになっているものを使いました。
こちらでは「松前漬けの素」なるものが売っていまして、たいそう便利です。


ネットでも買えますが、まあ、それも叶わない場合は、ダシ昆布やスルメイカをハサミで切ってください。


にんじんが140gでしたので、その15%、20gほどが適当かと思います。



なぜ「量る」のか?

家庭でつくる料理の場合は「塩ひとつまみがだいたいこれぐらい」みたいな感覚を優先すべきだとは思うんですが、
はじめて作る料理・聞き慣れない料理で、かつ失敗したくない場合、
そして、それをお伝えする側として、再現性をある程度高めたい場合は、
やはり「分量」を正確に記述するしかありません。


「塩加減」はもちろん感覚的なものだし、味覚も感覚である以上は、そこがいちばん大事なんですが、
ある程度計算できる部分もある。
というか、そういう計算で大方の「レシピ」は成立しています。


余談がすぎましたが、これから松前漬けの調味料を作っていきますよ。


まず、日光みそのたまり浅漬けの素「朝露」を、80g。




これ、「グラム」で量っているのがポイントです。


つぎに、水を、40g。これで液量が120gになりました。




さいごに、酒を、40g。これで液量が160gになりました。




にんじん140g、するめ・こんぶ20gで、160g。
「朝露」80g、水40g、酒40gで、160g。
わざと固体成分と液体成分を等量にしています。


ウチの「朝露」は、塩分を約10%弱に調整してお出ししています。
これを水と酒とで2倍に希釈して、さらに固形成分が倍ありますので、
味の濃さとしては4分の1になる計算なんですね。
仕上がりの塩分がだいたい2%から2.5%の間になると、そういう計算です。


塩味の感じ方には個人差があるし、旨味や甘味の共存によっても変わるし、確定的なことは言いにくいのですが、このくらいの味付けだと、
「ごはんが進むなあ」、あるいは、
「酒が欲しい!」
という状態になると思います。


調味液をつくるのに、ウチの「たまり浅漬けの素 朝露」をご購入いただければ一番嬉しいですけど(笑)、
それが難しい場合は、普通の醤油でも大丈夫です。
ただし、一般的な醤油の塩分は、ウチの「朝露」の1.5倍はありますから、
そのぶん分量を減らしてください。


「たまり浅漬けの素 朝露」は、単純に水で薄めてもいいんですが、スルメの臭みを消し、さらに馥郁とした香りにしてくれるのは、やっぱり酒なんですよね。


さいごに、清潔なポリ袋で、すべてを混ぜます。




空気を抜いて、調味液に全体が漬かるようにして、口をしばって、冷蔵庫へ。




だいたい一晩寝かせれば食べられますが、2-3日経ったほうが、味がこなれてきておいしいです。昆布の粘りが、もう!



嗚呼、このエゲツないほどの海鮮のうまみ。
味噌からしぼった、たまりのコク。
にんじんの爽やかさ。


こたえられませんね。