2023年4月15日に配布したうめたろう通信vol.33のバックナンバーです。
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うめたろう通信2023年4月15日号1枚め
うめたろう通信2023年4月15日号2枚め
うめたろう通信2023年4月15日号3枚め
うめたろう通信2023年4月15日4枚め
うめたろう通信2023年4月15日5枚め
うめたろう通信2023年4月15日6枚め
うめたろう通信2023年4月157枚め
うめたろう通信2023年4月15日8枚め

【 巻頭 】今市歳時記(3)

4月12日は市内の小学校の入学式でした。例年ちょうど桜が満開となり、絶好の撮影の機会となるのですが、今年は非常に開花が早く、梅が三月上旬に満開になったと思ったらすぐにヤマザクラ、次いでソメイヨシノも三月中に開花してしまいました。そのぶん、とうぜん、花が散るのも早くて、いまはもうほとんど花がなくなってしまっています。シダレザクラはまだ花がありますが、二十日すぎには散ってしまいそうです。ただ、日光のベストシーズンは新緑。これから楽しみです。
もくじ

  • 【 巻頭 】今市歳時記(3)
  • 【 読みもの 】一般漬物学入門(6)・・・1
  • 【 ご説明 】セットの内容について・・・2
  • 【 お知らせ 】汁飯香の店 隠居うわさわ・・・6
  • 【 巻末 】稲田俊輔『ミニマル料理』(柴田書店、2023)

【 読みもの 】一般漬物学入門(6)

動物は、その身体機能を正常に保つために、一定量のナトリウムを体内に保持している。肉食動物の場合、このナトリウム分は、他の動物を捕食することで、その筋肉や血液から摂取している。しかしながら、草食動物にはその機会がない。したがって、草食動物は岩塩などからこれを摂取することになる。家畜は、植物性の餌だけでは慢性的なナトリウム不足に陥ることがあり、塩を中心としたミネラル分を、餌に混合して補う必要がある。イザヤ書における cure の解釈が「発酵させた」であればサイレージ、すなわち無塩乳酸発酵による飼料の質的改良が紀元前八世紀にすでに実施されていたことになり、また、「塩をまぜた」という解釈になれば、家畜にナトリウム分を与えることが家畜にプラスの効果をもたらすことが知られていたことになる。あるいは、第三の解釈として、飼料をサイレージする際に、塩分を混和していた可能性も否定できない。旧約聖書の舞台であるエジプト北部、シナイ半島周辺地域は、海に対して開かれた場所であり、高塩度の湖「死海」があることでも知られていて、比較的塩は入手しやすい環境があった。「漬物の起源は無塩乳酸発酵、とくにサイレージにあるのではないか」という仮説が本稿の最大の関心事であるが、そもそもサイレージには、初期より、若干の塩分が含まれている可能性がでてきたことになる。

【 ご説明 】セットの内容について

日光の春を楽しむセット

このたびは第32回目の日光美味定期便をお申込みいただき、誠にありがとうございます。三寒四温とはよくいったもので、雨が降ると冬のように寒く、日が照らせば夏日にもなりそうな気候です。今年は今市の鎮守・瀧尾神社の春季嘗祭もぶじに祭行されました。日光の弥生祭の本祭は今週末、16日の日曜日です。花が咲き、祭りがあり、田植えになっていく、といういとなみに、季節のめぐりを感じます。以下、お品物のご紹介です。

一、金谷ホテルベーカリー(日光市土沢)のレトルトカレー

日本最古の西洋式ホテルとして知られる日光金谷ホテル。その改修工事の際に土蔵から発見された、百年前のレシピから復元したカレーが、現在ではホテルランチの名物になっています。コロナ問題前までは、年間何万食ものランチ需要があったこのカレーですが、付け合わせに当店のらっきょうのたまり漬および「ホロホロふりかけ」をご採用いただいています。地元冠たる名物メニューに、当店のお漬物を合わせていただいて、非常に嬉しく、また、さらにいいものを造っていこうと思っています。
今回ご紹介するカレーは、ビーフとチキンマッシュルームの2種類です。金谷ホテルの特別食堂でいただくものを紡彿とさせる、クリーミーでまろやかなルーで、意外に強めのスパイス感があります。

金谷ホテルの名前がついている会社さんは日光に3社ありまして、ひとつが日光金谷ホテルさん。中禅寺金谷ホテルさんとともに、いまは東武鉄道グループです。もうひとつが鬼怒川金谷ホテルさん。
鬼怒川温泉の駅にほど近い、高級なお宿です。そして、金谷ホテルベーカリーさん。オールドスクールなホテルプロートが名物で、東京・神楽坂にも支店があります。

二、CHEZ AKABANEさん(日光市今市平町)の焼き菓子3点セット

わが町の子供たちのあこがれのケーキ屋さん、シェ・アカバネさんから焼き菓子をお届けします。常時6〜7種類ラインナップされている焼き菓子のなかから、お任せの味を3種類ピックアップしてお届けします。本格派の洋菓子店らしい、バターとアーモンドの香りのリッチな焼き菓子です。濃いめの紅茶、ないしコーヒー、あるいは、強めのお酒と合わせてお召し上がりください。

CHEZ AKABANEさんのお菓子はどれもすばらしく、年末の「日光美味七選」には生チョコレートをお入れしていますが、われわれが最も好きなお菓子が、「季節の果物をあしらった杏仁豆腐」なんです。極限までふるふるとした食感で、甘さもちょうどよく、とろりとして、冷たい。日本の夏にはコレです。現地でしか食べられませんので、ぜひ今市にいらして召し上がっていただければと思います。

三、上澤梅太郎商店(日光市今市春日町一丁目)のパプリカのピクルス

カレーの付け合わせに、らっきょうやホロホロふりかけももちろんですが、たまり風味のピクルスを合わせてみてはどうか?と考えておつくりしました。甘酢+たまりの相性がいいのは、らっきょうのたまり漬ですでに証明されているところかと思います。今後は様々な素材で、このような新しいタイプの漬物造りにチャレンジし、結果としてそれを定番商品の品質向上にも役立てていきたいと考えています。

四、上澤梅太郎商店のきのこのたまり漬

日光名産のまいたけのほか、しめじとエリンギをたまりに漬けました。こちらも、「しいたけのたまり炊」「なめこのたまり炊」など、相性の良さはすでに知られているところと思います。パプリカと比較して、酸分が低いため、相対的に足が早くなっています。お早目にお召し上がりください。サラダの実や、パスタの具材にもおすすめです。

定番商品のブラッシュアップには日々取り組んでおり、新商品や限定商品をつくるなかで得られた調味料に対する知見や、レシピづくりのノウハウを、なんとか生かせるようにしたいと考えています。が、これまで積み上げられてきた製法はなかなか強固でもあります。それが伝統のすばらしさでもあるのでしょうが、時折、曾祖父のレシピを超えられないもどかしさを感じたりもいたします。

五、上澤梅太郎商店のらっきょうのたまり漬「浅太郎」

栃木県産を中心に、国産のらっきょうを長期間熟成させたらっきょうのたまり漬ですが、淡口志向のお客様の強い要望により、塩分ひかえめ・たまりの風味を薄くした「浅太郎」が発売されてから、もう15年ほどになります。当店のラインナップのなかでは、最も一般的な甘らっきょうに近い味わいです。カレーの付け合わせにどうぞ。また、ごはんのときの箸休めやお酒のお伴はもちろん、輪切りやみじん切りなど、お好みの形状にカットしてツナマヨと和えてサンドイッチにするのもおすすめです。これからのピクニックシーズンにいかがでしょうか?やや昔の記事になりますが、つくりかたはウェブ上に公開しています。
まぜるだけ!ツナマヨらっきょうの作り方
https://www.tamarizuke.co.jp/recipe/?p=337

よろしければご参照ください。

別欄にすでに書きましたが、日光の観光ベストシーズンは新緑の季節だと思っています。暑くなく、寒くなく、さまざまな植生がおりなす緑色のグラデーションは圧巻そのものです。ゴールデンウィークはやはり混雑しますので、その前後がねらい目です。みなさま、どうぞお元気で。

町ではマスクなしで歩いていらっしゃる方が増えてきました。その着用については賛否両論あるところかと思いますが、当店は食品製造業のため、コロナ問題が発生するはるか前から、マスクの着用を励行していましたので、マスクの着用はいわば日常の延長のようなものでもありました。花粉や黄砂などのため、しばらくは外でも着用していたいなあというのが本音でもあります。

【おしらせ】

汁飯香の店
隠居うわさわ

ごはん、味噌汁、潰物のよろこびをお伝えします。

〒321-1261
栃木県日光市今市487
Tel 0288-25-5844
毎週土日月のみ8:30-14:00まで営業
*一組様ずつ土鍋で炊飯するため、事前予約いただけると助かります。
0288-21-0002(代)
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【 巻末 】稲田俊輔『ミニマル料理』(柴田書店、2023)

東京でインド料理店を営む稲田俊輔さんが出版された家庭料理のための本『ミニマル料理』(柴田書店)を面白く読んでいます。絢爛豪華なレシピ本や、飲食店経営のためのビジネス書などで知られる出版社ですが、この本は、むしろ、ありふれた素材・ありふれた調味料で、しかも最小限の使用量で、食卓の満足度を最大化することを目的としています。この本の特徴の一つとして、素材の計量値を、gやmlで表記するのではなく、「%」で表示していることが挙げられます。これにはヤラレタ!と思いました。何しろ、我々食品メーカーがレシピを開発する際は、たいてい「%」で考えており、ここに家庭や飲食店に対する優位性があると思っていたからです。
梅太郎通信 vol.33
2023年4月15日

文・絵・レイアウト
上澤佑基
発行者
株式会社上澤梅太郎商店
発行所
株式会社上澤梅太郎商店

株式会社上澤梅太郎商店
〒321-1261栃木県日光市今市487
0288-21-0002(代)