誰かが言った、料理屋の定義−−

曰く、「うまいメシ、きれいな器、そして床の間」。

そんなお店が、ここにはあります。

しかも、お世辞にも都会とは言えない今市から、さらに山の中に20分以上入っていった場所に、です。


立派な土蔵門に、庭の樹影が映し出されています。

ここは、小来川の炉心庵です。どちらも読みにくいでしょう。

地名は「おころがわ」、店名は「ろこあん」と訓みます。

時、あたかも晩秋。いや、立冬をすぎていますので、今は冬、ですね。

ともかく、紅葉が盛りの美しい季節です。


建物は、とにかく古いということだけがわかっていて、修繕のために一部 解体した際、

部材の一部に「天保」という墨書があったことから、すくなくとも200年弱はこの土地に建っていることはわかる、とのことでした。

もともとは地域の豪農、あるいは地主といった家柄のおうち。
数年前に家を守っていたおばあちゃんが亡くなり、親戚筋で、当時は新潟で料理専門学校の先生をされていた現在のご店主が引き継がれ、料理屋さんとして開業されたそうです。

 


今日は、首都圏からのお客様をお迎えしての一席。

うまいメシ、きれいな器、そして床の間を鑑賞しつつ、たのしいひとときを過ごしました。


焼きしいたけと銀杏とウニのおろし和え。


さんまの押鮨。

酒肴の盛り合わせ。

鴨の治部煮。

 

などなどなど。

 

夜は完全予約制で、1日1組しか受け入れないという徹底ぶり。

どんなガンコなご主人かと思うと、明るく、柔和なご店主で、ますます嬉しくなってきます。

お料理は4,000円・5,000円・8,000円のコースのみ。

お酒は各種取り揃えてあって、これがまたうまい。

奥様が新潟のご出身とのことで、とくに新潟のお酒に強みがあります。

お酒を変えるごとに、器を取り替えさせてくれるところも、またたのしからずや。

 

都会の喧騒をはなれた日光市の、さらに人里はなれた場所で、気の置けない人たちと、ゆったりとした時間をたのしむ。

 

これ以上の贅沢がありましょうか、と問いたい。

つい飲みすぎて、こんな風になっちゃう。(これも炉心庵さんの襖絵です。)

ご予約は、facebookメッセンジャー、あるいはお電話で。

パン屋さんをやっているという情報もありますが、こちらは2018年11月現在、一時お休み中だそうです。

ランチもおすすめです!