目 次
梅干しの面白さ

梅干しは日本の食文化の大切な一員
上澤:梅干しの面白さっていうのは、例えばどういうところにあるんでしょうか?
竹内さん:まずかわいいなって思っちゃったんですよ。
フォルムとしてポトーンっている面白いし可愛いなと思って。
何かいろんな食品探しても、見ただけでよだれが出るってなかなか無いんですよ。
フォルムとしてポトーンっている面白いし可愛いなと思って。
何かいろんな食品探しても、見ただけでよだれが出るってなかなか無いんですよ。
上澤:見ていなくても「梅干し」って単語を聞いただけでツバ出ますよね笑
竹内さん:なんかこう本能的な何かがあるし、あと人が食べてすっぺぇっていう顔してると、みんな笑うじゃないですか?
それって無理やりですけど梅干しが人を笑わせたって、言えるよなって思いましたし、千年っていう歴史がある中で、いろんな言い伝えがあったりとか。
一番僕が多分踏み切った理由としては、明日茄子の古漬けが無くなるって言われたら、ああちょっと端ぐらい食っとけばよかったなって思う感じで。
多分それどの食品にもそう思うんですけど、あくまでぼく個人の感想なんですが、梅干しはちょっとだけ日本が無くなっちゃう感じがするというか、少し寂しさを感じる食品だなと思ったので。
じゃあなんで自分はそう思うんだろう?
なんで人はそう感じているんだろう?
っていうのが自分の中の梅干しの面白さな気がしますね。
それって無理やりですけど梅干しが人を笑わせたって、言えるよなって思いましたし、千年っていう歴史がある中で、いろんな言い伝えがあったりとか。
一番僕が多分踏み切った理由としては、明日茄子の古漬けが無くなるって言われたら、ああちょっと端ぐらい食っとけばよかったなって思う感じで。
多分それどの食品にもそう思うんですけど、あくまでぼく個人の感想なんですが、梅干しはちょっとだけ日本が無くなっちゃう感じがするというか、少し寂しさを感じる食品だなと思ったので。
じゃあなんで自分はそう思うんだろう?
なんで人はそう感じているんだろう?
っていうのが自分の中の梅干しの面白さな気がしますね。
上澤:本当にそれこそ日の丸みたいな。
色やフォルムなんですかね。味もさることながら。
あとは果物を漬物にするって、すごく面白い発想だと思ったんですよね。
色やフォルムなんですかね。味もさることながら。
あとは果物を漬物にするって、すごく面白い発想だと思ったんですよね。
漬物文化はSDGs!?漬物の発酵とその魅力

昔の人はSDGsなんて当たり前
竹内さん:そうですよね。
だから多分、漬物は全般的にそうだと思うんですけど、普通にしておいたら腐っちゃうものを、どうにかして長い時間食べられるものにしたい、しかもそれを美味しく食べられるように、どんどん工夫していくみたいな文化だと思うと、改めて最近のねSDGs SDGsって言われてる中で、昔の人はSDGsなんて言葉がなくても、多分ものすごくそこを意識されてたんだなと思いますし。
逆に言うと、どんだけ賞味期限を伸ばせたとしても、美味しくないと食べたいものにはならないので、やっぱなんか美味しい状態で残すっていう意味でいうと、漬物ってすごいものだなと思いますね。
だから多分、漬物は全般的にそうだと思うんですけど、普通にしておいたら腐っちゃうものを、どうにかして長い時間食べられるものにしたい、しかもそれを美味しく食べられるように、どんどん工夫していくみたいな文化だと思うと、改めて最近のねSDGs SDGsって言われてる中で、昔の人はSDGsなんて言葉がなくても、多分ものすごくそこを意識されてたんだなと思いますし。
逆に言うと、どんだけ賞味期限を伸ばせたとしても、美味しくないと食べたいものにはならないので、やっぱなんか美味しい状態で残すっていう意味でいうと、漬物ってすごいものだなと思いますね。
上澤:面白いですよね。梅干しでいうと、梅が本来持ってる毒素が漬けてる間に、なぜか抜けて食べられる状態になるとかですね。
そういうところもちょっと面白いですよね。
そういうところもちょっと面白いですよね。
竹内さん:もっと言うと天日干しするとかも、すごく不思議で、象徴的なんですよね。
漬物って何故か人の手を感じるというか。
今だんだん時代が変わってきて、そういう感覚も無くなっていっちゃうのかもしれないんですけど、僕が梅干し始めた十年前は漬物っていうと手のひらを思い出すような、不思議な食べ物だなと思いましたね。
漬物って何故か人の手を感じるというか。
今だんだん時代が変わってきて、そういう感覚も無くなっていっちゃうのかもしれないんですけど、僕が梅干し始めた十年前は漬物っていうと手のひらを思い出すような、不思議な食べ物だなと思いましたね。
手作業とおいしさの関係
上澤:うちの漬物にしろ、味噌にしろ、すごく手がかかってるんですね。
しかも手作業がめちゃくちゃ多いんですよ。
なのでそれはすごくかけがえのないことである一方で、経営的には「もうちょっとなんとかならないのかな?」みたいな部分も沢山あるんですよ。
なんですけど、じゃあそこをちょっと省いてやってみようとテストしたら、全然ダメだってなっちゃって。やっぱりこっちのやり方で合ってたんだなっていうようなところが結構あるんですね。
しかも手作業がめちゃくちゃ多いんですよ。
なのでそれはすごくかけがえのないことである一方で、経営的には「もうちょっとなんとかならないのかな?」みたいな部分も沢山あるんですよ。
なんですけど、じゃあそこをちょっと省いてやってみようとテストしたら、全然ダメだってなっちゃって。やっぱりこっちのやり方で合ってたんだなっていうようなところが結構あるんですね。
竹内さん:本当に不思議ですよね。
何故、「神様」っていう言い方をすると語弊があるかもしれないんですけどなんで設計の中で手をかけたりとか、ちゃんと手作業でやった方がいいものになったり、美味しくなったりする設計になってるのかっていう。
梅干しも結局天日干しとかで、ギャってひっくり返すんですよ。結構業務用のものとかは
そうすると破れてたりとか美味くないんですよね。
本当に極上のものにはなっていかないし。
何故、「神様」っていう言い方をすると語弊があるかもしれないんですけどなんで設計の中で手をかけたりとか、ちゃんと手作業でやった方がいいものになったり、美味しくなったりする設計になってるのかっていう。
梅干しも結局天日干しとかで、ギャってひっくり返すんですよ。結構業務用のものとかは
そうすると破れてたりとか美味くないんですよね。
本当に極上のものにはなっていかないし。
上澤:一個一個こうやって手で返していくんですか?
竹内さん:そのほうが絶対に美しく美味しい梅干しには仕上がりますね。
上澤:日焼けっていうか、独特の色味の深さが出ますよね。天日干しをすると。
竹内さん:加減もすごく難しいですし。
だけどじゃあ干しすぎたから失敗かって言われたら、そうでもないっていうのも、梅干しのすごい良いとこだなと思うんですけど。
でもそれこそ梅干しって、梅があって、塩があって、ってなった時に、梅の状態で多少の差はあれど、基本的には同じ味に仕上がっていく中で、たまり漬って発酵じゃないですか。
味の安定ってどれぐらいの幅があるんですか?
だけどじゃあ干しすぎたから失敗かって言われたら、そうでもないっていうのも、梅干しのすごい良いとこだなと思うんですけど。
でもそれこそ梅干しって、梅があって、塩があって、ってなった時に、梅の状態で多少の差はあれど、基本的には同じ味に仕上がっていく中で、たまり漬って発酵じゃないですか。
味の安定ってどれぐらいの幅があるんですか?
梅干しとたまり漬の熟成の違い
上澤:それが当店でもすごい課題になってまして。
理論化・明文化されていない部分が多すぎて。
どうやってコントロールできるかなっていうのをすごく考えていて、色んなやり方をここ4、5年色々模索してやってみたんですけど、今のところの我々の結論としては、やはり「時間」です。
時間をかける。
寝かせの時間を年単位で取っていく。
そうするとある一定のところで、グッと味がまとまっていくんですね。
でも作業効率だったり、手間のかけ方だったりを考えて、まあコスパ・タイパの世界ですよね、で、時間を短縮しても味のまとまりが出るよってところに落ち着かせる方法はないかなと思うと、ここで味がバラけるんですね。
ああ、やっぱりここが重要だったなっていうようなことがあったりしてですね。
時間に働いてもらうしかない。
理論化・明文化されていない部分が多すぎて。
どうやってコントロールできるかなっていうのをすごく考えていて、色んなやり方をここ4、5年色々模索してやってみたんですけど、今のところの我々の結論としては、やはり「時間」です。
時間をかける。
寝かせの時間を年単位で取っていく。
そうするとある一定のところで、グッと味がまとまっていくんですね。
でも作業効率だったり、手間のかけ方だったりを考えて、まあコスパ・タイパの世界ですよね、で、時間を短縮しても味のまとまりが出るよってところに落ち着かせる方法はないかなと思うと、ここで味がバラけるんですね。
ああ、やっぱりここが重要だったなっていうようなことがあったりしてですね。
時間に働いてもらうしかない。
竹内さん:塩の経年変化とかってことなんですか?
上澤:いわゆる「塩熟れ(しおなれ)」とか、「塩角が丸くなる」とかいうようなことをよく言いまして。
科学的にはこう、アミノ酸の鎖の中に塩の分子が入っていくとかいうことで、熟成された、まろやかな味になるみたいなことらしいんですけど。
たとえば、お店で使っていただいている「大根のたまり漬」は、熟成工程がとっても長いんですよ。そうすると、ものすごく熟成した感じの味が出てくる。
味噌も「日光味噌 梅太郎」は、熟成期間が非常に長いラインナップなんです。そうすると、自ずと味の感じ方も変わってくるんです。
科学的にはこう、アミノ酸の鎖の中に塩の分子が入っていくとかいうことで、熟成された、まろやかな味になるみたいなことらしいんですけど。
たとえば、お店で使っていただいている「大根のたまり漬」は、熟成工程がとっても長いんですよ。そうすると、ものすごく熟成した感じの味が出てくる。
味噌も「日光味噌 梅太郎」は、熟成期間が非常に長いラインナップなんです。そうすると、自ずと味の感じ方も変わってくるんです。
『美味しい』の裏側で。日本の食料自給率低下と生産者の苦悩

時間とコストのジレンマ
竹内さん:でも時代的には本当に時間をかけることへのコストの上がり方が、ものすごくなってきてるじゃないですか?
そう考えると、梅太郎さんの商品って、別に安い商品ではないと思うんですけど。
そうじゃなくてちゃんと良いものだから、あの値がつくし、あの値でも買いたくなるしっていう中で言うと、そことの戦いは絶対発生してきますよね。
そう考えると、梅太郎さんの商品って、別に安い商品ではないと思うんですけど。
そうじゃなくてちゃんと良いものだから、あの値がつくし、あの値でも買いたくなるしっていう中で言うと、そことの戦いは絶対発生してきますよね。
上澤:あります。本当にこんなに時間をかけて、こんなに手間かけて、できてくるプロダクトがこれだけ、みたいな。うーんみたいに思ったりするんですけど、質を担保するためにどうしてもそれは必要であるという、そこのジレンマというのはありますね。
こだわりの素材と自然の影響
竹内さん:ちなみに「らっきょう」とか、「大根」とか、たまり漬の前の素材たちにも結構こだわられてるんですか?
上澤:基本的には栃木県内産の野菜で、「日光味噌 梅太郎」も、日光市内産のお米と大豆で。「日光味噌 梅太郎」用の糀にするお米は、うちの飲食店で出してるごはんと同じ田んぼで作ってもらってます。
でも去年一昨年は大根がほんとうに不作で。自然環境にも左右されちゃいますよね。それこそ梅も、豊作と不作の差がすごく大きいじゃないですか。
でも去年一昨年は大根がほんとうに不作で。自然環境にも左右されちゃいますよね。それこそ梅も、豊作と不作の差がすごく大きいじゃないですか。
竹内さん:去年、50何年やってる農家さんたちが「今まで見たことない」っていうぐらいの大不作で。ふつう「不作」って言われるのが、平年の七割六割で「不作やーヤバいわー」って言ったのが、三割の作だったんですよ。
上澤:いつもの七割減。
竹内さん:だからすごく皆さん困ってて、今年はどうなるかっていう感じですけどね。
上澤:それは花が咲く時期に雨が多かったとかですか?
竹内さん:おっしゃる通りで、温暖化かどうかっていうのはさておき、花が咲くのが去年は早かったんですよ。基本的にはそこにミツバチを飛ばして、受粉させて実を作るんですけど、花の時期が早すぎてミツバチが飛んでくれなかったらしいんですよね。それでも実は多少できた中で、雹の被害に遭っちゃって、B品C品が沢山できちゃってっていう。
量は取れないわ、質は悪いわみたいな状態になっちゃったんですよね。
量は取れないわ、質は悪いわみたいな状態になっちゃったんですよね。
上澤:そういった生産者さんが苦しいなかでも、品物を最後にお客さんにきちんと手渡す役どころが、まさに梅干しの専門店だったり飲食店だったりですよね。
価値を伝える、新たな提案
竹内さん:それは思いますね。商売してると、変な話もっと安く仕入れられれば、こっちもお客さんが喜ぶ値段で提供できるんですけど、その行為ってただ価値を下げてしまってる行為だなっていうのは、すごくずっと始めた頃から感じていました。
「この品物にはこれだけの価値があるんですよ」っていう提案が我々の役割なのかなと思った時に、それでお客さんがなんでそんなに?とか、どこにそんな価値があるんですか?って言われれば説明できなきゃいけないし、説明して伝わらなければ、その人との価値観に合わなかっただけだと思いますし、もしかしたらそもそも価値がなければ高い値段つけても無駄ですし、でもお客さんに新しい価値を提案するみたいなのが、僕らがちゃんとやっていかないと、作る人たちも幸せにならないしっていうのは思いますね。
「この品物にはこれだけの価値があるんですよ」っていう提案が我々の役割なのかなと思った時に、それでお客さんがなんでそんなに?とか、どこにそんな価値があるんですか?って言われれば説明できなきゃいけないし、説明して伝わらなければ、その人との価値観に合わなかっただけだと思いますし、もしかしたらそもそも価値がなければ高い値段つけても無駄ですし、でもお客さんに新しい価値を提案するみたいなのが、僕らがちゃんとやっていかないと、作る人たちも幸せにならないしっていうのは思いますね。
上澤:我々は品物を作り、お出しさせていただく立場なので、そういった言葉をかけていただくと本当にありがたいなって思うと同時に、その感覚を持っていただいていることに対して、それに見合うものを頑張って作んないといけないなっていうのを改めて思います。また、農家さんに品物を出していただいている側の立場としては、農家さん方が幸せになるような形を考えていきたいんですよね。
命がけの漁と、報われない現実
竹内さん:気仙沼漁師カレンダーの仕事でね、漁師さん方とすごく接する機会が多かったんです。で、今、漁師が後継者不足後継者不足ってすごい言うんですよ。汚い・大変・危険、色んなところでね。
上澤:命がけですよね。
竹内さん:命がけでお魚を取ってきて。
昔はひと航海行ったら、本当に当時の初任給のなかでも一千万近くもらえるぐらい。だから、十か月は帰ってこれないんですけど、儲かる仕事だったんですよ。借金のあるひとはマグロ漁船に乗れって言われていたくらい。でも、それが今もう三百四百まで落ち込んでるらしいんですよ。
昔はひと航海行ったら、本当に当時の初任給のなかでも一千万近くもらえるぐらい。だから、十か月は帰ってこれないんですけど、儲かる仕事だったんですよ。借金のあるひとはマグロ漁船に乗れって言われていたくらい。でも、それが今もう三百四百まで落ち込んでるらしいんですよ。
上澤:ええ!?人手不足だから価値が上がってるんじゃなくて???人手不足なのに下がっちゃってるんですか?????
竹内さん:インドネシアの研修生を安い給料で入れられるとか、いろんな理由はあると思うんですけど、でもそれよりも現実としてそれしか払えないっていうのもあるらしいんですよ。
マグロを水揚げして、売れた金額をはじいて、燃料費も込みで、どんどんかかってるコストが沢山ある中で、でも食の値段が上がっていかない。もっと驚くのは、十か月航海行ってお魚を取ってきて、最後市場に卸すまでいくらになるかずっと知らずに海の上にいるわけですよ。上澤さんがたまり漬を持って来て、「これ千円で買ってください、梅と星さん」っていう仕組みじゃないんです。上澤さんがたまり漬を僕らに見せて、僕が「これは500円だね」っていうと500円になっちゃうような。それで人が減っていくっていう。
みんなマグロが食べたいって言ってるんだから、僕らよりもずっと高い給料をもらっててもいいぐらいの仕事はやってるとは思うんですけど、なんかその辺のこう仕組みやバランスが、ものすごい崩れてきてるんだろうなっていうのは感じますね。
マグロを水揚げして、売れた金額をはじいて、燃料費も込みで、どんどんかかってるコストが沢山ある中で、でも食の値段が上がっていかない。もっと驚くのは、十か月航海行ってお魚を取ってきて、最後市場に卸すまでいくらになるかずっと知らずに海の上にいるわけですよ。上澤さんがたまり漬を持って来て、「これ千円で買ってください、梅と星さん」っていう仕組みじゃないんです。上澤さんがたまり漬を僕らに見せて、僕が「これは500円だね」っていうと500円になっちゃうような。それで人が減っていくっていう。
みんなマグロが食べたいって言ってるんだから、僕らよりもずっと高い給料をもらっててもいいぐらいの仕事はやってるとは思うんですけど、なんかその辺のこう仕組みやバランスが、ものすごい崩れてきてるんだろうなっていうのは感じますね。
上澤:もしかしたら、農業も同じような構図があるかもしれません。人が足りないとか後継者がいない。外国人研修生に入ってもらってなんとか頑張ってるんだけど、でもじゃあその農地を誰が引き継ぐかとか、そういう本質的な問題が全然手つかず、みたいなことを感じます。農家さんの廃業とか、「この野菜を作らせたらこの人が一番うまい」みたいな人が亡くなっちゃうと、その技術も農地も継承されなくて。
竹内さん:継承はほんとうに課題なんですよね。
上澤:だから、我々が頑張ってそれなりの値段で野菜を仕入れ続けることで、ちゃんと農家さんが持続できるような形に貢献できたらいいなっていうのは、本当にテーマとしてありますよね。





