漬物の最古の記述例-延喜式より

日本における漬物の記述例の最古の例は『延喜式』となる。

その製法は大別して一、塩漬 二、糟漬 三、醤漬 四、須須保利漬 五、葅 六、搗 七、荏裹 となっている。

三番目の醤(ひしお漬)、七番目の荏裹(えづつみ)は、いずれも醤油状の調味料に素材を漬けたものと考えられるが、当時の「醤」は、現代の醤油というよりはむしろ味噌や「たまり」に近いものだったと考えられる。

また、荏裹(えづつみ)は、エゴマの葉に素材を巻いて醤に漬けるもので、これは現在の日光名物「しそ巻唐辛子」とほぼ同じ製法であると考えられる。

ただし、唐辛子は新大陸からもたらされたものなので、本邦で食べられるようになったのは十五世紀~十六世紀ごろである。

塩度の多様性

『延喜式』にみられる漬物のレシピを見てみると、葉物野菜を漬けるレシピで最低塩度1%から、実物野菜を漬けるレシピで最高塩度20%強のものまである。

この塩度の多様性は、保存を目的としたいわゆる「古漬け」から、単に塩水で調味した生野菜といった位置づけとなる「浅漬け」まで、プロダクトの多様性を示すものでもある。

保存性と嗜好性の間

一般に、塩度10%を超えないと長期保存は難しい。
「漬物は保存食であった」という言説は、実は、現実の一端のみを切り出したものであって、その起源から、漬物は高い嗜好性を具備した食品だったということができるだろう。