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清閑 PERSONAL DIARY

2017.9.20 (水) 明窓浄机

「ウチのオバチャンはイッセンマン、貯めたからね」と、誇らしそうに言った人がいる。日光地方では「オバチャン」は様々な意味で使われる。この場合の「オバチャン」は「お婆ちゃん」で、その人の老母を指す。

「オバチャン」は一介の主婦で、突出した技能や才能は持たない。長いあいだ時間給の労働者としてこつこつと働き、質素な生活を保った結果の「イッセンマン」だろう。ところでこの「オバチャン」の性向のひとつに「何でも捨ててしまう」ということがある。

「何でも捨ててしまう」と「イッセンマン」は一見、結びつかないように思われるが、実はそうではない。「何でも捨ててしまう」ということは、モノへの執着が無いということだ。欲しいモノが無ければ金は貯まる。もうひとつ、身のまわりのモノを最小限に保てば「あれがない、これがない」と探し回った挙げ句に見つけられず、あったはずのモノを重複して買い足す、という無駄も発生しない。まことに合理的である。

ウチの決算月は8月だ。この決算に必要な書類はあらかた税理事務所に渡した。ところがいまだ足りないものがある。今月はじめに取得した2つの書類が見つからないのだ。金庫にしまわないはずは無い。しかし金庫にそれは見あたらない。しまいには、その書類を受け取りに行った際に用いたザックの中まで調べたけれど、やはり無い。

賽の河原に石を積むような無駄な行いと知りつつ、もういちど金庫の中を調べる。すると厚さ10センチほどの紙の束の中からようやく、それは出てきた。すかさずロッカーに走り、黄色いクリアファイルをひとつ引き出して事務室に戻る。そしてそのファイルに「8月31日 必要書類」とマジックインキで大書し、当該の書類を収める。

必要の無い書類まで取り置くから必要な書類が見つからないのだ。「イッセンマン、貯めたからね」のオバチャンに倣って僕も、何でも捨てなければならない。そして即、自分の事務机に積み重なった書類すべてを処理、処分する。


朝飯 塩鮭、塩楽京を薬味にした納豆、青エンドウ豆の炒り卵、胡瓜のぬか漬け、揚げ湯波と小松菜の炊き合わせ、糸こんにゃくと切り昆布の炒め煮、メシ、茗荷の味噌汁
昼飯 うどん
晩飯 アボカドとサーモンとベビーリーフのサラダパン牡蠣とトマトのスパゲティ“Petit Chablis Billaud Simon 2015”チョコレート、”Old Parr”(生)

  

上澤卓哉

上澤梅太郎商店・上澤卓哉

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