2020年4月の日記30本
2020.4.30(木) 高い球
出張や旅行により出社しない日を除いては、ほとんど毎朝、道の駅「日光街道ニコニコ本陣」へ出かける。そしてふたつある売場を拭き掃除し、その日に収めるべき品を決める。午後には、売り切れた品はないか、明日に収めるべき品のうち、今日中に準備すべきものはあるかなどを知るため、また売場へ行く。平均すれば、僕は日に3回か4回は道の駅へ行く。
その道の駅が、月の改まる明日から10日まで臨時休業となる。理由はもちろん「新型コロナウイルス感染症対策」だ。2015年4月27日の開業以来、順調に営業成績を伸ばし続けて来た商業施設だけに、その6周年直後の休業は、いかにも惜しまれる。しかし国や県を上げての対策であれば、それもしかたがない。
夜は早々に寝ようとして、しかし今日は珍しく、遅くなってしまった。0時ちかくに布団に入ったところで、iPhoneが妙な音を発する。果たしてそれはメッセンジャーによる電話で、バンコク在住の同級生コモトリケー君からの「オンライン酒場」への誘いだった。画面に現れたのは、そのコモトリ君と、同級生のアカギシンジ君、そしてヨネイテツロー君だった。
思い返せば40年以上のむかしにも、コモトリ君は寝ている僕によく電話をしてきた。そういう晩は、パジャマから服に着替え、本郷の本富士警察署前でタクシーを拾った。呼び出される場所は大抵、防衛庁のちかくのたこ焼き屋、それも明石焼きの店だった。
「オンライン酒場」がはねると、なぜか目が冴えていた。よって食堂に移動をして、本来であれば飲むはずもなかったハイボールを飲む。僕の作るハイボールは、異様に、濃い。
朝飯 菠薐草の胡麻和え、鰹節を薬味にした納豆、キャベツとウインナーソーセージのソテー、牛蒡と人参のきんぴら、生のトマト、ごぼうのたまり漬、メシ、筍と若布と万能葱の味噌汁
昼飯 バターと杏のジャムとらっきょうのたまり漬「ピリ太郎」のトースト、ホットミルク
晩飯 バンブー、トマトとモッツァレラチーズのサラダ、鶏肉とマカロニのグラタン、Petit Chablis Billaud Simon 2016、甘いバターを塗ったトースト、Old Parr(生)
2020.4.29(水) 完売御礼
「汁飯香の店 隠居うわさわ」の「一汁五菜弁当」は、上澤梅太郎商店から半径1キロの範囲内で、お届けにも応じている。配達はこれまで長男や、普段は「隠居うわさわ」で配膳や掃除や庭の手入れをしているタカハシリツコさんが担ってきた。しかし今日は僕に声がかかった。よって本日お届け分の18食を保冷箱に収め、ホンダフィットに載せる。
配達先は3ヶ所。そのうち「午前」とか「昼前」ではなく「11時30分」と精密に時間を指定されたところは後に回し、取りあえずはもっとも遠いお宅を目指す。
2番目のお届け先に近づいたところで雨が降り始める。その雨には雹も混じっている。運転席から外へ飛び出し、ハッチバックの下で、保冷箱から手提げ袋に弁当5食を移す。その手提げ袋をかがめた上半身で守りつつ、お届け先のひさしの下に走り込む。
「11時30分」と指定された先には11時25分に着いた。雨と雹は、いよいよ激しく地面に打ちつけている。こちらは個人のお宅ではないため、駐車場は広い。11食のご予約により、手提げ袋はふたつになる。それをウインドブレーカーの内側に抱え、やはりひさしの下まで全力で走る。
午後、「一汁五菜弁当」は、とりあえず設けた期限である来月6日の分まで、ご予約で埋まった。ホンダフィットには、たとえ晴天でも、傘を積もうと思う。
朝飯 鶏の唐揚げ、2色のピーマンの素揚げ、だし巻き玉子、菠薐草の胡麻和え、ごぼうのたまり漬、メシ、菠薐草の味噌汁
昼飯 ラーメン
晩飯 菠薐草のおひたしと大根おろしを添えた鮭の「日光味噌梅太郎赤味噌」漬け焼き、胡瓜のぬか漬け、浅蜊とズッキーニの味噌汁、豚三枚肉と蓮根の炊き合わせ、麦焼酎「むぎっちょ」(お湯割り)、ドーナツ、Old Parr(生)
2020.4.28(火) 今の自分にできるのは
狩撫麻礼原作、たなか亜希夫作画の「迷走王ボーダー」は、いつまでも懐かしく思い出す漫画だ。物語は、荒涼とした砂漠の砂嵐の中を、ラクダに乗ったふたりの男が旅していく場面から始まる。
おととし白内障の手術を受けた。その、半年に1度の定期検診の日はとうに過ぎた。東武日光線を南下して県境を越える気にならないのだ。今月の9日には、パンフレットやウェブショップのデザインを担当してくれているふたりが東京から来る予定だった。しかし僕の好きなこの仕事は、先方が遠慮をする形にて、後日に延期をされた。テレビが報道する、人通りの絶えた東京の盛り場を目の当たりにするにつけ「迷走王ボーダー」の、砂漠と砂嵐がよみがえる。
「人と人との接触を絶つことが、推奨から強制に移りつつある。これまで良しとされてきた人と人との触れ合いが、むしろ忌避されている。そのような現状を目のあたりにするにつけ、現在のコロナ禍が去れば、人はこれまで以上に『リアル』の素晴らしさを実感するだろうことを自分は確信している」という内容のメールを、きのう僕に書き送ってきた言論人がいる。まこと、ここには上げず、自分だけのものとして仕舞っておきたいような内容だ。
「アフターコロナには、まったく違った世界が現出する」と言う人は多い。しかしその世界を具体的に示す人は少ない。
「そういうお前はどうなんだ」と問われれば「どうなんですかねー」と言葉を濁すしか、今の自分にはできない。今の自分にできるのは、ウチの味噌や「たまり」や漬物に日光の農産物を加えた商品のための、朝どれ野菜を農家や直売所に仕入れに行くこと、および「一汁五菜弁当」の配達くらいのところである。
朝飯 菠薐草のおひたし、納豆、ウインナーソーセージとピーマンのソテー、揚げ玉と長葱を薬味にした冷や奴、ごぼうのたまり漬、メシ、キャベツの味噌汁
昼飯 バターと杏のジャムとらっきょうのたまり漬のトースト、ホットミルク
晩飯 トマトとレタスと浅蜊と夏みかんのサラダ、鳥レバのコンフィ、ポトフ、パン、Petit Chablis Billaud Simon 2016
2020.4.27(月) 最後の晩餐
オフクロとの最後の晩飯は、メンチカツとスパゲティサラダをおかずに炊きたてのメシを食べる、というものだった。「ワインは」と訊いたら「今夜はいいや」と遠慮をした。そうしてオフクロは翌日の昼に亡くなった。世の大半の人の最後の「糧」は、静脈に差し込まれた針からの点滴ではないか。こと最後の晩餐においては、オフクロも「以て瞑すべし」だと思う。
僕は、最後の晩餐にはビーフステーキが食べたい。きのうのそれは、正に僕ごのみの野蛮さだった。「こんなものを食ったら、眠っているあいだにポックリ死んでしまうのではないか」とさえ考えた。しかし今朝は普段どおりに目が覚めた。ちなみに僕は八代目橘家圓蔵とおなじく「安いお肉でいいんです」派である。
ところで「人はパンのみにて生くるにあらず」ということばがある。意味は分かるけれど、僕は食べ物のことばかりを考えている。「一汁五菜弁当」の明日の仕込みに必要な鶏肉を、長男は町内の精肉店「鳥秀」に注文した。それを追いかけるようにして僕も電話をし、冷凍する前の鳥レバ500グラムを個人用として発注する。
朝飯 菠薐草のおひたし、ベーコンとピーマンのソテー、ごぼうのたまり漬、メシ、若布とズッキーニの味噌汁
昼飯 バターと杏のジャムとらっきょうのたまり漬のトースト、ホットミルク
晩飯 冷やしトマト、皮蛋、ハムとキャベツのサラダ、ごぼうのたまり漬、「大七酒造」の「皆伝純米吟醸」(燗)
2020.4.26(日) 知らないあいだに
このところ、もっとも多いお問い合わせは「お店、やってますか」というものだ。何しろ、あの三越や伊勢丹、松屋のような大百貨店が「当面のあいだ」という、期限を設けない形で休業中である。きのう日光の旧市街に出かけた人の話によれば、東武日光駅から神橋までの2キロのあいだに、歩いている「地元の人でなさそうな人」は、たったのふたりだったという。「お店、やってますか」の電話も「むべなるかな」だ。
そのようなお問い合わせに挟まれるようにして「汁飯香の店 隠居うわさわ」の「一汁五菜弁当」のご予約が入る。中には、おとといの新聞折り込みチラシなど配られようもない宇都宮や鹿沼からの電話もあり、不思議に感じた。そうしたところ「新聞に載ってました」と、事務係のツブクユキさんが教えてくれた。きのうの下野新聞を第1面からめくっていくと、その記事は第8面「とちぎ経済」の片隅に、しかしカラー写真と共にあった。とても有り難い。
さて、そうするうちにも弁当のご予約は入り続け、今週水曜日までの分は、すべて予定数を満たしてしまった。そして来月2日の土曜日から6日の水曜日までの「2回転目」も、日によっては「残り5食」のところまで表に正の字が並んだ。
全国に拡大された新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言は、果たして最初に切られた期限である来月6日に解除されるのか、それとも延長されるのか。延長されれば「隠居うわさわ」の営業自粛も、更に続けることになるだろう。その場合には、弁当の宅配と店頭お渡しは、どうするか。
4時起きで弁当の準備に当たっている家内のために、夜は長男がステーキを焼いた。
朝飯 揚げ湯波、納豆、唐辛子の味噌炒り、揚げ湯波と小松菜の炊き合わせ、梅干し、ごぼうのたまり漬によるお茶漬け
昼飯 ラーメン
晩飯 トマトとレタスのサラダ、2種の茸とブロッコリーの乾煎りとじゃがいものソテーを添えた、たまり漬「鬼おろしにんにく」と「刻みザクザク生姜」によるソースで食べるビーフステーキ、San Pedro Castillo de Molina Cabernet Sauvignon 2017、“LE COFFRET”のフルーツケーキ、Old Parr(生)
2020.4.25(土) とにかくそれが乾く前に
物音に気づいて目を覚ます。時刻は4時33分。起きて食堂へ行くと、家内は朝食を終えようとしていた。「一汁五菜弁当」を作るための早起きである。
午前、事務係のカワタユキさんが発送伝票を手に製造現場へ行った、その間隙を突くようにして電話が鳴る。ご近所から、明日の昼に弁当11食を届けるようにとのご予約をいただく。その受話器を置いた途端、また電話が鳴る。こちらはおなじく明日に3食のご予約。
事務室の壁には、弁当の日別の予約数の、正の字で書かれた表が貼ってある。表は、僕の席からもっとも遠いところにある。今しがた承った2件のご予約を、その表に近づき記入しようとして、既にして升目をはみ出してしまうことに気づく。
「いただいたご予約が知らないあいだに限定数を超えないよう、気を引き締めて、5月6日までの弁当業務に当たっていきたい」と、きのうの日記には書いた。その舌の根というか、筆の先というか、とにかくそれが乾く前に、いわゆる”overbooking”をやらかしてしまった。そうするうち来週火曜日の空白も、また正の字で満たされた。
「汁飯香の店 隠居うわさわ」の一汁五菜膳を小さな箱に凝縮した「一汁五菜弁当」は、今日からの5日間、および5月2日からの5日間に、お作りをする。詳しくは、今月21日の日記をご覧ください。
朝飯 納豆、揚げ湯波と小松菜の炊き合わせ、炒り豆腐、生玉子、ごぼうのたまり漬、メシ、3種の葱の味噌汁
昼飯 鬼怒川の「カミーノ」のテイクアウトのピッツァ、ソーダ水
晩飯 バンブー、らっきょうのたまり漬、鶏の唐揚げとレタスとトマトのサラダ、トマトのスパゲティ、飲みさしの2種の白ワイン
2020.4.24(金) 「一汁五菜弁当」の新聞折り込み広告
小学生のころ、元旦には友だちからの年賀状がはやく見たくて、雑煮を食べながらも気が急いた。今朝は、そのときとおなじような気持ちで外へ出て、事務室の外の新聞受けから新聞2紙を引き抜いた。それを手に4階へもどり、そのうちの下野新聞を食卓に開く。金曜日に折り込まれる広告は、週の前半のそれにくらべて多い。それらの中に「汁飯香の店 隠居うわさわ」の「一汁五菜弁当」のチラシを探す。
「汁飯香の店 隠居うわさわ」は、僅々9日間の営業日を以て、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、営業を自粛することとした。営業は自粛中でも、この店のことは、どうにかして皆様にお伝えをし続けたい。そうして考えたのが「一汁五菜弁当」であり、今朝の折り込み広告だった。
開店して間もなく「新聞で見た」と、メモを手に近所の方が、弁当の予約に来てくださった。即、事務室の壁に貼った予約票に、そのお客様の分を正の字で加える。「一汁五菜弁当」については、数日前よりこの日記やfacebookに書き、そちらをご覧になっての予約も入り続けている。
いただいたご予約が知らないあいだに限定数を超えないよう、また宅配においては、お客様が指定された時間を違えないよう、気を引き締めて、5月6日までの弁当業務に当たっていきたい。
朝飯 納豆、揚げ湯波と小松菜の炊き合わせ、トマトのスクランブルドエッグ、炒り豆腐、牛肉と玉葱のすき焼き風、ごぼうのたまり漬、メシ、筍と若布と万能葱の味噌汁
昼飯 ラーメン
晩飯 揚げ湯波の餡かけ、鶏もも肉の「日光味噌辛ひしお」炒め、菠薐草の胡麻和え、ごぼうのたまり漬、うずら豆、麦焼酎「むぎっちょ」(お湯割り)、“Chez Akabane”のフルーツケーキ、Old Parr(生)
2020.4.23(木) これからしばらく木曜日は
「経営者側も労力の一端を担いながら」と、きのうの日記に書いた。週7日のうち木曜日は販売係の出勤を停止し、代わりに僕や家内や長男が店に立つ、というのも、そのひとつだ。僕は、2ヶ月に1度ほどの定期通院が10時30分からある。そのため午前中のほとんどは、家内に店に立ってもらうことにした。
通院は、血圧と高脂血を監視するためのものだ。もちろん毎回、血圧を測られる。家でのそれより病院で測られる血圧の方が高くなる現象を「白衣高血圧」という。医師や看護師に面と向かうことの緊張が、血圧を高めるらしい。僕はそのまったく逆で、血圧は、家で自分で計るより病院で計られる方が、よほど低い。今日のそれは上が110台、下は60台だった。
家内が昼食を摂っている13時30分からの1時間は、長男と店に立つ。そのあいだにも、結構な数のお客様に恵まれる。接客中は、ゴム手袋をしている。しかし桐箱を小風呂敷で包む「たまてばこ」だけは、手袋を嵌めた手では、扱いが難しかった。
来週の木曜日は、社員に評判の良い、医療用の手袋に変えてみようと思う。
朝飯 炒り豆腐、納豆、揚げ湯波と小松菜の炊き合わせ、牛肉と玉葱のすき焼き風、生のトマト、ごぼうのたまり漬、メシ、若布とズッキーニの味噌汁
昼飯 パクチー煮込みうどん
晩飯 トマトとベイジルのサラダ、コーンポタージュ、茹でたブロッコリーと焼いた椎茸を添えた鶏もも肉のソテートマトソース、San Pedro Castillo de Molina Chardonnay 2018、“Chez Akabane”のフルーツケーキ、Old Parr(生)
2020.4.22(水) 日光の産品を集めて
社内各部門の主任を集めた場長会議を、月に1度の頻度で開いている。しかし今月は、予定していた13日のそれ以外にも、7都府県に緊急事態宣言の発令された7日や、その宣言が全国に拡大された直後の17日、続いて今日も、臨時のそれを行った。
関東の一都六県の中では、我が栃木県の感染者数は、いまだ少ない。それをできるだけ維持するための努力、協力は、県民として怠るわけにはいかない。飲食事業の「汁飯香の店 隠居うわさわ」は、緊急事態宣言の期限である5月6日までの営業を自粛した。本店は製造と販売と出荷を続けつつ、出勤者数は半分にすることを、会議では改めて確認し合った。
我々の仕事は味噌と醤油と漬物を作って売ることだ。この業態においては、自宅と会社をコンピュータで繋いでウンヌン、ということは、ほぼ不可能だ。そのような中で出勤者数を半分にするのは、楽なことではない。18日の日記にも書いた、日光の産品を集めた商品が、お陰様でご好評をいただいている。あるいは、平時より忙しい卸先様もある。
せいぜい工夫をしながら、経営者側も労力の一端を担いながら、日々を乗り越えていきたい。
朝飯 揚げ湯波と小松菜の炊き合わせ、若竹煮、大根おろしを添えた油揚げの網焼き、納豆、炒り豆腐、鮭の焼き漬け、ごぼうのたまり漬、メシ、大根と若布の味噌汁
昼飯 「コスモス」のデミグラハンバーグ弁当
晩飯 茹でたグリーンアスパラガス、苺とベビーリーフのサラダ、ユミテマサミさんのトマトやオグラカスミさんのズッキーニなどによるスパゲティ、San Pedro Castillo de Molina Sauvignon Blanc 2018
2020.4.21(火) 「隠居うわさわ」の一汁五菜弁当
先月28日に開店した「汁飯香の店 隠居うわさわ」は、土日月の週に3日の営業。それを2週こなしたところで、東京をはじめとする7つの都府県に緊急事態宣言が出された。そして3週目を乗り越えた3日後の16日夜には、それが全国に拡大をされた。これを受けて「隠居うわさわ」は、この宣言のとりあえずの期限である5月6日までの営業を自粛することとした。
営業は自粛をしても、始まったばかりの店のことは、どうにかして皆様にお伝えをし続けたい。そう考えて今週末からの、弁当の宅配を決めた。「汁飯香の店 隠居うわさわ」の目玉は一汁五菜膳。それを、2寸8分と4寸8部の矩形の中に凝縮するのだ。味噌汁は、日光味噌と日光湯波によるフリーズドライ味噌汁をお付けする。
お届け日は、今月25日(土)から29日(水)までの5日間、および5月2日(土)から6日(水)までの5日間。お届けの範囲は、上澤梅太郎商店から半径1キロ以内。お届け時間は10時30分から12時および12時30分から14時30分の2部制。価格は税込み1,000円で、ふたつ目からは800円。店頭でのお受け取りも800円。前日の15時までに上澤梅太郎商店まで電話0288-21-0002(朝8時30分~)でご予約をいただければ、1日に30食の限定で、ご依頼にお応えをする。
なお、現在の厳しい環境下で医療に従事される方からのご注文、かつ病院様までお届けをする場合には、代金は無料とさせていただきます。
朝飯 飛竜頭と大根の炊き合わせ、菠薐草の胡麻和え、納豆、牛蒡と人参のきんぴら、若竹煮、ごぼうのたまり漬、胡瓜のぬか漬け、メシ、筍と若布と万能葱の味噌汁
昼飯 「やぶ定」の割子
晩飯 牛肉と玉葱のすき焼き風、じゃがいもと胡瓜のサラダ、炒り豆腐、鮭の焼き漬け、らっきょうのたまり漬、「大七酒造」の「皆伝純米吟醸」(冷や)
2020.4.20(月) 精密な手順
鳥の啼く声に気づいて食器棚の時計を見る。時刻は4時25分。きのうは4時27分だった。
鳥は、雨の朝には啼かない。鳥の生態に詳しい人がいれば、いちどそのあたりについて訊いてみたい。もっとも「詳しい人」というのは得てして、自分の専門分野について訊かれると得々として微に入り細を穿ち、いつまでも話が終わらない。よって当方の疑問は晴れないばかりか、しまいには辟易することも珍しくない。教えることの上手な人とは、ことによると省略の上手な人かも知れない。
朝の、社員との報告や連絡や相談が一段落したところで4階に上がる。そして持参したコンピュータを食堂の丸テーブルに開く。季節のご挨拶をお送りするお客様を顧客名簿から特定する仕事には、精密な手順が必要だ。人が来たり電話のかかる事務室では到底、できない。今日は静かな環境にいても途中でひっかかり、最初からし直してようやく、事務係に手渡せる形になった。
挨拶文の9割は僕が書いた。あとは長男が仕上げてくれるだろう。いまだ寒い日が続き、僕はダウンベストが手放せない。
朝飯 菠薐草のおひたし、納豆、飛竜頭と大根の炊き合わせ、牛蒡と人参のきんぴら、生玉子、ごぼうのたまり漬、メシ、揚げ湯波とズッキーニの味噌汁
昼飯 「大貫屋」の味噌ラーメン
晩飯 筍の若竹煮、ズッキーニのオリーブオイル焼き、厚焼き玉子、鶏の唐揚げ、ごぼうのたまり漬、麦焼酎「むぎっちょ」(ソーダ割り)
2020.4.19(日) 「八重のシダレ」は真っ盛り
昨年の10月には、外食による昼食が18回に及んだ。これを反省し、11月18日の「大貫屋」のチャーハンを最後として、出張、会合、会食、市外への通院など、やむを得ない場合を除いて昼の外食は止めた。新型コロナウイルスの感染拡大により「不要不急の外出は避けよ」と国や県からうながされる以前から、僕の「家ごもり」や「会社ごもり」は始まっていた。しかし人と会わなければ「生の情報」は得づらい。
そう考えて今日の昼は、ウチから徒歩で数分の蕎麦屋「やぶ定」へ出かけた。そして店主のワガツマカズヨシさんと、10分ほど立ち話をした。顔も、また知識の範囲も広いワガツマさんの話は面白く、刺激的だ。
夜はフランス料理の”Finbec Naoto”に出かけた。平時とは異なって、メニュは絞られていた。しかしここでは何を食べても美味いから、痛痒はいささかも感じない。
“Finbec Naoto”では、希望をすれば料理の終盤に、口直しのカレーライスを追加料金なしで出してくれる。その上出来のルーを、今なら冷凍で持ち帰ることができる。僕もまたそれを包んでもらったことは、言うまでもない。
朝飯 きのうのキムチ鍋の残りのぶっかけ飯、らっきょうのたまり漬、ごぼうのたまり漬
昼飯 「やぶ定」のカレー南蛮蕎麦
晩飯 “Finbec Naoto”の其の一、其の二、其の三、其の四、其の五、其の六、其の七、ブルゴーニュのそれほど高くない赤ワイン
2020.4.18(土) 旅をした気分
開店の時間は8時30分でも、それより前にお客様の姿が見えれば、即、声をおかけし、店に入っていただく。今朝もそのようなお客様に、朝一番でらっきょうのたまり漬を8袋、お買い上げいただいた。とても有り難い。
東京をはじめとする7都府県に新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言が発令されたのは、今月7日のことだ。店はこの日を境として、一段とお客様の数が減った。9日後の16日、その宣言は政府により全国に拡大をされた。これにより客足は、更に落ちた。「不要不急の外出は避けよ」との国や県からの達しであれば、それも当然のことだ。
このような事態を受けて「お客様が宅急便で取り寄せられる、家飲みセットのようなものが用意できないか」と、販売主任のハセガワタツヤ君から提案があった。その案に長男が手を加えて3つの商品を作った。日光に行きたくても行けないお客様に地域の産品をご紹介し、ご自宅にいらっしゃりながら、日光や鬼怒川を旅した気分を味わっていただくものである。
「おうちで日光旅行セット」は、4種のらっきょうをはじめとするたまり漬に、鬼怒川温泉の旅館「一心舘」の温泉の元、お菓子の「日昇堂」の温泉饅頭、「片山酒造」の日本酒「日光路」、そして大門勇人さんの苺「とちおとめ」の組み合わせ。
「おうち料理応援! 味噌汁セット」は、4種の日光味噌に、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」と「らっきょうのたまり漬」、僕の朝食には欠かせない「日光味噌のたまり浅漬けの素・朝露」、八木澤裕史さんの棚田米「ゆうだい21」、「松葉屋」の揚げ湯波、そして地元の直売所に並ぶ朝どれ野菜の組み合わせ。
「おうち料理応援! ごはんのお供セット」は、「らっきょうのたまり漬」に、おむすびの具にしやすい「ひしお」と2種のたまり漬、僕が子供のころから愛して止まない「なめこのたまり炊」、「松葉屋」の揚げ湯波と国産ホウレンソウによるフリーズドライ味噌汁、八木澤裕史さんの棚田米「ゆうだい21」、そこに「荒牧農園」の林檎ジュースの組み合わせ。
本体価格はすべて5,525円(ゴーゴー日光)で、送料無料。ここに他の商品を同梱しても、もちろん送料無料。そしてこれらの発売をお知らするメールマガジンは、きのうの20時に配信をされた。
今の時期ならではの商品に、たくさんのご支持が戴ければ、とても嬉しい。
朝飯 牛蒡と人参のきんぴら、飛竜頭と大根の炊き合わせ、納豆、揚げ湯波と小松菜の炊き合わせ、ごぼうのたまり漬、メシ、若布と菠薐草の味噌汁
昼飯 きのうの夜の海老フライと孫が食べ残したヒレカツによる弁当
晩飯 キムチ鍋、大根のぬか漬け、ごぼうのたまり漬、麦焼酎「むぎっちょ」(お湯割り)、苺、TIO PEPE
2020.4.17(金) 温存
上澤梅太郎商店では、新型コロナウイルスによる感染を予防するための措置として、以下を実行している。
・会社備蓄マスクの全社員への配布
・毎朝の検温(37.5度以下であることを確認)と記録
・出勤人数の制限
・手洗いおよび手指消毒の、平時より高い水準での徹底
・店舗での試食の提供の中止
・店舗のお客様お休み所の閉鎖
・店舗のショーケースとキャッシュレジスターのあいだにビニール幕を設置
・店舗の自動ドアを入口と出口に分けることによるお客様の動線分け
・接客の際のゴム手袋の着用
・店舗と製造現場の常時換気
・事務室の1時間ごとの換気
上記の対策は、新型コロナウイルスによる感染が収束へ向かえば、段階的に緩めていくことになるだろう。しかしそれがいつになるかは、いまだ誰にも見えてはいない。
ところで僕は2007年6月、敦煌の鳴沙山でラクダに乗った。そのとき誰かからマスクを手渡された。砂漠でラクダに乗れば砂埃が立つだろうと考えた、親切な人がいたのだろう。しかしそのマスクを僕はそのままポケットにしまった。布を介して呼吸をするなどは、とてもではないけれど、煩わしくてできない。
それから13年のあいだ温存したマスクを、3月のはじめに遂に下ろした。外出用としては、販売係のタカハシカナエさんがウチの手拭いで作ってくれたものを、もっぱら大切に使っている。
朝飯 胡麻豆腐、納豆、揚げ湯波と小松菜の炊き合わせ、ホウレンソウのソテーを添えたベーコンエッグ、ごぼうのたまり漬、メシ、揚げ湯波とサラダ菜の味噌汁、苺
昼飯 バターと杏と無花果のジャムとらっきょうのたまり漬のトースト、ホットミルク
晩飯 牛蒡と人参のきんぴら、飛竜頭と大根の炊き合わせ、スパゲティサラダ、大根と胡瓜のぬか漬け、「とんかつあづま」から持ち帰りのヒレカツとキャベツの千切り、Old Parr(ソーダ割り)
2020.4.16(木) おうちたまてばこ
昨年の10月31日に、人気のたまり漬6種類を詰め合わせた「おうちたまてばこ」が、関西テレビの人気番組「よ~いドン!」で紹介された。推薦してくださったのは、関西美食界の重鎮である門上武司さんだ。注文が殺到したことは言うまでも無い。
この「おうちたまてばこ」はその後、12月24日の総集編でも採り上げられた。この日もまた反響はすさまじかった。包装資材は枯渇し、僕は東京の日本橋までホンダフィットを走らせることとなった。
つい先日、関西テレビの担当者から電話があった。昨年「よ~いドン!」で放映された「ご飯の友」の中で、この商品にもっとも問合せが多かったことから、またまた採り上げたいとのことだった。感謝と共に快諾をしたことは言うまでもない。
10時30分を過ぎたころに、いきなり電話が重複して鳴る。事務係のマスブチサヤカさんとツブクユキさんの応対を聞くと、求められている商品はいずれも「おうちたまてばこ」だった。「木曜日か金曜日」と伝えられていた放送は、今しがただったらしい。
10月や12月とは異なって今回は、包装資材の在庫は充分だ。製造に当たる者、荷造りに当たる者との打合せは、きのうまでに済んでいる。後は丁重に、ご注文を承るのみだ。
ウェブショップの状況を見ると、こちらにも瀧に水の落ちるような速度で注文が入ってきている。マスブチサヤカさんは普段の席からウェブショップ受注用のそちらへ移り、受話器は僕が代わりに取ることになった。
夕刻にかかる電話は「午前から全然、通じなかった」とおっしゃるお客様からのものがほとんどだった。ツブクユキさんは1時間の残業をし、それでも処理し切れなかった伝票は専用の箱にまとめた。後は明日に出勤するカワタユキさんが仕上げてくれるだろう。
ご注文を下さったお客様、門上武司さん、また関西テレビさんには、厚く御礼を申し上げます。
朝飯 揚げ湯波と小松菜の炊き合わせ、油揚げと蕪の葉の炒り煮を薬味にした納豆、大根おろしを添えた厚揚げ豆腐の網焼き、炒り豆腐、生のトマト、ごぼうのたまり漬、メシ、豆腐と長葱の味噌汁
昼飯 稲荷寿司、ごぼうのたまり漬
晩飯 豚三枚肉と菠薐草の鍋、その鍋で煮る長寿麺、ごぼうのたまり漬、麦焼酎「むぎっちょ」(お湯割り)
2020.4.15(水) 他にもある
日本経済新聞の土曜版には「NIKKEI プラス1」というおまけが付いてくる。先週のこれの「何でもランキング」は紀行文を採り上げていた。その1位は開高健の「オーパ」、2位は沢木耕太郎の「深夜特急」、3位は宮本常一の「忘れられた日本人」。第2面に行くと、4位は宮脇俊三の「時刻表2万キロ」だった。
今回のように、何年、何十年も前に出た本がふたたび日を浴びたとき、それをamazonで検索すると、当該の古書は大抵において、既に高騰している。宮脇俊三の「時刻表2万キロ」もしかり。しかしおなじ著者による僕にとっての一番は、東南アジアを巡った「椰子が笑う汽車は行く」で、その気持ちは今も変わらない。
5位の池澤夏樹「ハワイイ紀行」、6位の武田百合子「犬が星見たロシア旅行」、7位の星野道夫「長い旅の途上」、8位の北杜夫「どくとるマンボウ航海記」、9位の金子光晴「ねむれ巴里」、おなじく9位の幸田文「崩れ」まで、amazonではおしなべて新品は品切れで、古書は高くなっている。
このような際に、どうしても読みたい本があったなら、覚え書きをしておくことだ。市場に商品のある限り、値は数年で落ちつく。
もうひとつ、北杜夫なら「白きたおやかな峰」という傑作がある。こちらの古書は本日現在で130円、小田実の「何でも見てやろう」は140円、森枝卓士と石毛直道の「考える胃袋 食文化探検紀行」は172円、小泉武夫の「奇食珍食」は1円、増井和子と丸山洋平の「パリの味」も1円と、すこし視線を移しただけで、安値で買える、しかも上出来の紀行文、あるいはそう呼んで差し支えのない本は、いくらでもある。
高いときには買わなければ良いだけのことだ。二度と市場に出てこない可能性も、また否めないけれど。
朝飯 納豆、揚げ湯波と小松菜の炊き合わせ、大根おろしを添えた油揚げの網焼き、油揚げと蕪の葉の炒り煮、炒り豆腐、ごぼうのたまり漬、メシ、若布とサラダ菜の味噌汁
昼飯 食パンのエッグベネディクト風、レタスと鶏肉とらっきょうのたまり漬のサラダ、コーヒー
晩飯 4種の茸のソテー、焼きトマト、じゃがいものグラタン、鶏肉のローズマリー焼き、トースト、San Pedro Castillo de Molina Sauvignon Blanc 2018、プリン、Old Parr(生)
2020.4.14(火) 次々に消す
総鎮守瀧尾神社の春の大祭は、お囃子もなく渡御の行列もなく、神事のみで静かに終わった。日光に春を告げる二荒山神社の弥生祭も、神職や氏子代表による内々のものになるらしい。その二荒山神社、東照宮、輪王寺から成る二社一寺は、今日から今月22日までの拝観停止を決めた。
僕が会計係を務める春日町1丁目は、総会へ向けて4月4日に開かれる予定だった役員会を中止した。それは「密集、密閉、密接を避けよ」との、新型コロナウイルスへの集団感染を避けるための、厚生労働省からの達しによる。更には18日の総会も中止になった。総会は中止でも、昨年度の決算書および今年度の予算案は、作らなければならない。これについては20日に、ウカジシンイチ自治会長と僕のふたりで行うこととなった。
毎年、瀧尾神社の春の大祭および二荒山神社の弥生祭を無事に終えると、我が町内の役員は、各自が積み立てたお金で親睦旅行に出かけていた。これもまた中止。机の左手に掛けたカレンダーの、5月16日から17日にかけての、その予定をインク消しで消す。
所属している栃木県味噌工業協同組合は、2年にいちど親睦旅行を持つ。今年のそれは、ニューデリーを起点としてジャイプールとアグラを巡るものだった。
大昔、南米のどこかには、その味の悪さにより口からはとても摂取できないため、肛門から注入する式の酒があったという。1980年と1982年に訪れたインドは僕にとって、その酒のようなところだった。「ほとんどすべてに辟易しつつ、それでも去りがたい」というやつだ。団体旅行では、ひとり旅のように深部に潜っていくことはできないだろうけれど、楽しみでないこともなかった。しかしこれも中止になり、6月12日から17日までの、その予定もまたインク消しで消す。
朝飯 油揚げと蕪の葉の炒り煮、菠薐草の胡麻和え、牛蒡と人参のきんぴら、納豆、炒り豆腐、酢蓮、ごぼうのたまり漬、蕪と胡瓜のぬか漬け、メシ、油揚げと菠薐草の味噌汁
晩飯 ベーコンとチーズ、バンブー、鶏肉とらっきょうのたまり漬のサラダ、スパゲティナポリタン、Petit Chablis Billaud Simon 2016、プリン、Old Parr(生)
2020.4.13(月) すべきことはたくさん
先月28日に開店した「汁飯香の店 隠居うわさわ」は、土日月の週に3日の営業だから、お客様をお受けするのは今日が9日目にあたる。その9日のあいだに、既に3度もご来店くださったお客様がお二人いらっしゃる。2度ご来店くださったお客様も、またお二人いらっしゃる。
隠居で働く家内、長男、タカハシリツコさんに稽古を付けてくれた懐石料理屋「了寛」のタマキノリヒロさんが「間違いなく繁盛します」と開店前に真顔で断言をした、その言葉はあながち外れではなかったかも知れない。
上記のように「隠居うわさわ」は、いまだ9日間しか営業をしていない。しかし、これより政府が発令した緊急事態措置の期限5月6日まで、営業を自粛する。営業再開については、その5月6日が近づいたころに、また判断をする。楽観主義によるものか、あるいは神経の鈍さによるものかは不明ながら、その間、臥薪嘗胆のような辛いことにはならないと、僕は考えている。すべきことは、たくさんあるのだ。
今日は雨が降っている。「隠居」の開店に際して、お付き合いのある方々からいただいた胡蝶蘭をはじめとする花の数々は、いまだ届いたばかりのように元気だ。明日あさっては、それらを本店へ運ぶことから仕事は始まるだろう。
朝飯 炒り豆腐、納豆、鶏の笹身とピーマンの素揚げ、油揚げと蕪の葉の炒り煮、ごぼうのたまり漬、メシ、若布と菜花の味噌汁
晩飯 じゃがいもと長葱のすり流し、刺身湯波、酢蓮、菠薐草の胡麻和え、牛蒡と人参のきんぴら、株と胡瓜のぬか漬け、たまり漬「おばちゃんのホロホロふりかけ」を混ぜ込んだおむすび、「大七酒造」の「皆伝純米吟醸」(冷や)
2020.4.12(日) 太陽のふたたび
様々な友だち、知り合いの顔が目に浮かぶ。
「彼はもう年金を受け取っているはずだ、普段から家で本ばかり読んでいるところからすれば、この嵐の中でも、変わらず暮らしているに違いない」という安心できる先輩もいれば「彼の店は東京の繁華街の真ん真ん中にある。どこまで続くか分からない泥沼の中で、いつまで苦闘が可能だろうか」と、案じられる後輩もいる。
自由学園男子部35回生の電子連絡網に「皆様へ」と、クラス委員のアカギシンジ君が自分の近況を上げてくれた。それから2時間のうちに5名が、その問いかけに呼応した。僕は6番目に現状の報告をした。以降も日本のあちらこちらから、世界のあちらこちらから電子メールが届き続けている。
神経が太いことは財産だ。あるいは臆病こそが、個人や法人の延命へのもっとも有効な武器かも知れない。僕が供出できる資質は何だろう、それはことによると「鈍さ」かも知れない。
先月28日に開店した「汁飯香の店 隠居うわさわ」は、きのうも、また今日も明日も複数のご予約をいただいている。そして夕刻になって、明日の朝一番で、またまた新たなご予約をいただいた。来週からは営業を自粛するものの、厚い雲が払われ、太陽のふたたび燦々と輝く日の来ることばかりを、僕は考えている。
朝飯 油揚げと蕪の葉の炒り煮、納豆、炒り豆腐、生玉子、ごぼうのたまり漬、メシ、若布と玉葱の味噌汁
昼飯 バターと杏と無花果のジャムとらっきょうのたまり漬のトースト、ホットミルク
晩飯 生のトマト、玉子焼き、鶏つくねと長葱の餡かけ、らっきょうのたまり漬、うずら豆、浅蜊の味噌汁、「大七酒造」の「皆伝純米吟醸」(冷や)
2020.4.11(土) 春の弥生は
毎年このころになると、探す本がある。その文章によって、ありありと目に浮かぶ風景は、いつも変わらない。ところがその随筆が、高橋義孝の、いずれの本にあるかについては覚えていない。
今日の夕刻も、廊下の両脇にしつらえた棚の、その本の置いてあるあたりを見ていく。そして、なぜかプラスティックかセロファンか判別のつかない厚さと手触りの、透明の袋に包まれた文庫本に目星を付け、それを引き出す。
思いあたる題名は、目次の2ページ目にあった。
「酒のみで、文字通り飄々として町を歩くことの好きな友人がいた」という冒頭だけで、その友人の、既にこの世にはいないことが何となく分かる。その友人と著者である独文学者は、春のとある暮れ方に、新橋に出て一杯やる。
年長の友人は、その飲み屋で先ず「あさつきのぬたを二人前」注文する。高橋義孝は師匠の内田百閒から「ヤマタさん」と、ヤマタノオロチ呼ばわりされた酒豪である。友人については初めから「酒のみ」と書いてある。彼らはあさつきのぬたを取りながら「ひと口、ふた口」のみで足りている。次いで頼んだ木の芽和えにも「香りを嗅ぐ程度」にしか箸を向けない。
ふたりしてコップ酒を呷っているものの、交わされる言葉はそれほど多くない。それでも彼らは「あぁ、春だなぁ」という気持ちを同じくしてる。更には「われわれふたりがつまり春そのものなのである」とまで、著者の筆は及ぶ。そして直後に「この友人は先年亡くなってしまった」とあって、「やっぱり」と、僕はすこし呆けたようになる。
毎年いまごろになると決まって読みたくなる、高橋義孝の「春の弥生は」である。
朝飯 東坡肉の肉だけ、納豆、揚げ玉と万能葱を薬味にした冷や奴、生玉子、ごぼうのたまり漬、メシ、菜花の味噌汁
昼飯 菜花のつゆで食べるざるうどん
晩飯 春雨サラダ、炒り豆腐、「ふじや」の焼き餃子、「紅星」の「二頭鍋酒」(生)
2020.4.10(金) 水ぬるむ
自宅の大規模なリフォームが完了した2013年の晩秋からこのかた、僕は朝、顔を洗っていない。大きく上に突き出し、湾曲して下に向かう洒落た蛇口に頭が当たるため、洗面台に屈むことができないのだ。仕方がないから手の平に溜めた水で目だけを洗い、顔はアルコールを噴霧した紙で拭いている。
それはさておき今朝は、水を冷たく感じなかった。「水ぬるむ」は、稲畑汀子の「ホトトギス季寄せ」によれば、春3月の季語である。
さて、週末に月曜日を加えた週3日営業の「汁飯香の店 隠居うわさわ」は、明日からの3日間も、有り難いことにご予約をいただいている。しかしこのところの時勢に鑑み、14日の火曜日から5月6日の水曜日まで、営業を自粛することを決めた。ウチは幸い「飲食店営業(仕出し弁当)」の許可証を保健所から得ている。以降は弁当の、外出しづらいお宅への仕出し、および店頭でのお手渡しにて「隠居うわさわ」の味を守っていきたい。
今はただ、新型コロナウイルスに感染して苦しんでいらっしゃる方々の、一日も早い快癒を祈るばかりだ。また新型コロナウイルス撲滅のために戦っていらっしゃる方々の体と心に、一日も早く平安の戻ることも、併せて祈るばかりだ。
朝飯 東坡肉の玉子だけ、小松菜のおひたし、トマトと玉葱と厚揚げ豆腐のコンソメ煮、納豆、ごぼうのたまり漬、メシ、揚げ湯波と小松菜の味噌汁
昼飯 長葱とパクチーのつゆで食べるざるうどん
晩飯 椎茸の肉詰めソテー、冷や奴、揚げ湯波と小松菜の炊き合わせ、鯛の煮つけ、黒豆、ごぼうのたまり漬、麦焼酎「むぎっちょ」(お湯割り)、桜と抹茶のパウンドケーキ、Old Parr(生)
2020.4.9(木) タイ式
政府はおととい7日に緊急事態宣言を出した。新型コロナウイルスの感染拡大を可能な限り抑え、1日も早い収束を目指してのものだ。対象は、感染者が多く、増える速度も高い東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡の7都府県。実施期間は4月7日から5月6日までの1ヶ月。
この発令が確実になった7日の午後、ウチでは臨時の場長会議を開いた。その場で話し合われたのは、状況の変化に合わせての、会社や社員のすべきこと、動きようについてだ。そして本日は、お客様と直に接する販売係と隠居係のすべてを集め、明日からのことについて取り決めをする。木曜日はまた、終業後に短いミーティングを持つ日にて、上記の部署以外の社員にも、昼に決めたことについて周知をする。
昼には時に緊張をしながら仕事はしても、夜になれば気分は落ちつく。台所の、東坡肉の鍋から豚肉とゆで玉子の一部を自分用の小鍋に移す。そこに、道の駅「日光街道ニコニコ本陣」で手に入れたパクチーを、手でちぎって入れる。
東坡肉は、パクチーの葉を加えて煮たタイ式が好きだ。そうしてこれを肴にして麦焼酎のお湯割りを飲む。
朝飯 冷や奴、切り昆布の炒り煮、飛竜頭と大根の炊き合わせ、小松菜のおひたし、納豆、ごぼうのたまり漬、メシ、トマトと揚げ湯波の味噌汁、苺
昼飯 「金谷ホテルベーカリー」の3種のパン、牛乳
晩飯 胡瓜のサラダ、東坡肉、ごぼうのたまり漬、トマトと玉葱と厚揚げ豆腐のコンソメ煮、鯖の燻製の網焼き、麦焼酎「むぎっちょ」(お湯割り)、どら焼き、Old Parr(生)
2020.4.8(水) 大きな赤いクルマ
「青く、小さく、地味なスミレ」が今、隠居の庭にたくさん咲いていると、きのうの日記に書いた。その「公開」ボタンをクリックしながら、むかし神保町の岩波ビルの上階にあった、英会話の教室に通っていたときのことを思い出した。
何かの折、会話に”red big car”という表現を含めた生徒がいた。「その場合は”big red car”とするのが正しい」と、教師は言った。教えられたことの大半は忘れてしまう僕ではあるが、この記憶はいつまでも消えない。僕は白洲次郎の信奉者ではないけれど、その教室の教師はすべて英国人だった。アメリカの英語には、そのような決まりはないかも知れない。あるいは英国でも、今はこだわらなくなっているかも知れない。いつかは英国人やアメリカ人にこのことを確かめたく思いながら、時は経つばかりだ。
それはさておき、今日の日記の画像には「大きな赤いクルマ」のそれを用いるのが順当だろう。しかし僕は「大きな赤いクルマ」は持ち合わせていない。手持ちのミニカー”Ferrari 250GT Passo Corto”の排気量は、250ccの気筒が12本で3,000cc。”Gee Baby,Ain’t I Good To You”の歌詞に出てくる”Big Cadillac car”のそれには遠く及ばない。
朝飯 菠薐草と榎茸のおひたし、納豆、飛竜頭と大根の炊き合わせ、切り昆布の炒り煮、ごぼうのたまり漬、煮しめ、メシ、クレソンの天ぷらの味噌汁
昼飯 クレソンの天ぷらのつゆで食べるざるうどん
晩飯 胡瓜のサラダ、バンブー、空豆のすり流し、苺と胡桃と水菜のサラダ、鶏モツのコンフィ、青梗菜の油煮、ピッツァ其の一、ピッツァ其の二、ピッツァ其の三、ピッツァ其の四、ピッツァ其の五、Petit Chablis Billaud Simon 2016
2020.4.7(火) あなたのそのような行いは珍しい
老人は、秋から初冬にかけての日の短くなる速度に似て、驚くほど早く衰えていく。幼子はそれとは逆に、春の野に芽吹く草とおなじように、あれよあれよという間に伸びていく。このところ、部屋は朝の5時より前に明るくなる。床に足で探らなくても、室内履きがどこにあるかはすぐに分かる。これから初夏にかけては、列島の、もっとも良い季節かも知れない。
新型コロナウイルスの封じ込めと経済の維持は、相容れない両端に位置する。相反する矛盾の、できるだけ高い次元における妥結は、上に立つ者の仕事だ。迷いに迷っていた政府が遂に、特に感染者の多い地域に緊急事態宣言を出すという。それを受けて本日は、予定していなかった場長会議を開いた。事態は日、一日と変わる。様々な局面を考えながら、素早く行動をしていかなければならない。
それにしても、3歳の孫の、日本語の上達ぶりには目を見張るものがある。昨夜、食後の葛まんじゅうに添えようと、食器棚から卓上にオールドパーの瓶を持ち来たときには「出た、ウイスキー」と言われた。今夜、薩摩芋の蜜煮をそっくりそのまま孫に譲ると「ジージがそういうことをするのは珍しいね」と言われた。
隠居の庭には今、青く、小さく、地味なスミレがたくさん咲いている。
朝飯 飛竜頭と大根の炊き合わせ、納豆、菠薐草と榎茸のおひたし、切り昆布の炒り煮、蓮根のきんぴら、ごぼうのたまり漬、メシ、揚げ湯波と小松菜の味噌汁
昼飯 揚げ湯波と長葱のつゆで食べるざるうどん
晩飯 豆腐と若布の味噌汁、水菜とレタスのサラダを添えた豚しゃぶと鰹のたたき、薩摩芋の蜜煮、クレソンの天ぷら、「大七酒造」の「皆伝純米吟醸」(冷や)、葛餅
2020.4.6(月) モツ煮
総鎮守瀧尾神社の春の大祭が間近に迫っている。我が春日町1丁目は、そのお祭の直後に総会を控えている。それらに向けての最後の会議が、先週の土曜日に開かれることになっていた。
会議は町内の公民館で、大抵は19時より始まる。当日は家族と夕食を摂ることができない。よって土曜日の昼に、僕は自分用のモツ煮を作った。モツ煮は多く、飲み屋で供される。ひとりの夕食用としてこれを作ったのは、東京の、下町の飲み屋へ行けない無聊を慰める意味もあった。
ところが土曜日の夜の集まりは、直前に中止になった。「密集、密閉、密接を避けよ」との、新型コロナウイルスへの集団感染を避けるために厚生労働省が出した達しに従ってのものだ。モツ煮は結局のところ翌日の朝食に回され、夜は家族ですこしずつ食べ、今朝も味噌汁代わりにし、昼に至ってようやく食べ終えた。
次は串のモツ焼きが食べたい。しかしそれを、素人が普段の仕事をしながら作ることは難しい。代わりのものを、何か考えてみることにしよう。
朝飯 蓮根のきんぴら、納豆、切り昆布の炒り煮、生のトマト、ごぼうのたまり漬、メシ、モツ煮
昼飯 朝に食べなかった納豆、同じく切り昆布の炒り煮、ごぼうのたまり漬、メシ、モツ煮の味噌汁仕立て
晩飯 じゃがいもと長ネギのすり下ろし、刺身湯波、菠薐草と榎茸の酢の物、煮しめ、紅白なます、胡瓜と蕪のぬか漬け、薩摩芋の蜜煮、「大七酒造」の「皆伝純米吟醸」(冷や)、葛まんじゅう、Old Parr(生)
2020.4.5(日) ぜんまい
「汁飯香の店 隠居うわさわ」は朝食の店だ。営業日の土日月の3日間は、家内は4時30分に起きる。朝食は5時。そして5時30分には隠居へ向かう。「早寝早起きにより、お母さんは、今以上に健康になるのではないか」と、長男は言う。
それはさておき「汁飯香の店 隠居うわさわ」には、きのうに引き続いて、早くも常連様ができつつある。調理やお運びには関わらない僕も、そのようなお客様にご挨拶をするため、開店時間の8時30分に隠居へ行く。本日一番の最初のお客様は、既にして席にお着きになっていた。
隠居の庭には草花以外にも、様々な植物が育つ。今朝は、ぜんまいが数本のみ茎を伸ばしているのに気づいた。隠居の庭のぜんまいの株は、深い山中にしか見つけ得ないそれほどに大きい。
本日の隠居にはまた「自宅のベランダからノレンが見えて気になった」とおっしゃる、ご予約なしのお客様もいらっしゃった。あるいは「お店、できたんですね」と歩道を往きつつおっしゃる方を玄関までお連れし、店の案内をお渡ししたりもした。いずれも、とても有り難い。
枝垂れ桜の根元に咲いた黄色い水仙は、先日の雪に倒れたものの、今は息を吹き返して大きく花を開いている。老いて花の数を減らしたとばかり思っていた染井吉野は、その後、急につぼみを膨らまして、そろそろ満開になろうとしている。山桜の裏手の菜花は、いまだ土の下で芽吹きに備えているらしい。
朝飯 納豆、生玉子、ごぼうのたまり漬、メシ、モツ煮
昼飯 長葱のつゆで食べるうどん
晩飯 モツ煮、冷やしトマト、釜揚げうどん、麦焼酎「むぎっちょ」(お湯割り)
2020.4.4(土) ゆうだい21
「汁飯香の店 隠居うわさわ」の4回目の営業日。早くも裏を返してご予約くださったお客様がいる。そのお客様には、家内や長男からだけでなく、僕からもご挨拶をしなければならない。そう考えて、開店の15分前に隠居の柴折り戸を押す。先週の雪の記憶からだろう、3台のストーブの焚かれた屋内は、すこし暑く感じられた。
土鍋で炊き上げるごはんには、種が一般に解放されてからいまだ10年しか経ていない新しいお米「ゆうだい21」を使っている。このお米については、先月13日の日記に書いた。納入してくれているヤギサワヒロシさんの棚田は、日光の中でも水稲用の農地としては標高の高い、高百地区にある。
先週に続いてご来店くださったオーツカミエコさんは本日、何とその「ゆうだい21」の開発者であるマエダタダノブ宇都宮大学名誉教授と共にお見えになり、先生を我々にご紹介くださった。「本職は偏執狂であるべし」との考えを持つ僕に、先生は卓上の味噌汁の存在も忘れて、このお米について存分に語ってくださった。というか、僕は味噌汁の冷めることを心配して、先生のお話を一旦、止めさせていただいたかも知れない。「もうひとつ、お訊きしたいことがあった」と長男が残念がったのは、先生がお帰りになってからのことだ。
とにかく「ゆうだい21」、更に言えばこれを高地の棚田で作るヤギサワヒロシさんと長男の、ことし2月の出会いは幸運だった。明日も、土鍋は朝から休まない。庭の枝垂れ桜は、今日から3日のあいだには、いまだつぼみのままだろう。
朝飯 菠薐草のおひたし、切り昆布の炒り煮、納豆、ベーコンエッグ、ごぼうのたまり漬、メシ、豆腐と長葱の味噌汁
昼飯 バターと杏と無花果のジャムとらっきょうのたまり漬のトースト、ホットミルク
晩飯 ズッキーニと擂り胡麻の味噌汁、トマトとベビーリーフのサラダ、コロッケ、Petit Chablis Billaud Simon 2016
2020.4.3(金) 喰えない肴
「日本人は同調圧力が高い。周囲が自粛をしているから自分も自粛、そのような思考停止から、そろそろ脱け出してはいかがなものか」と、3月19日にSNSに書いた人がいる。以降の、新型コロナウイルスの感染拡大については、誰もが知る通りだ。書いた当人は現在、おなじSNSで「政府の対策は後手後手」と、今度は国に批判の矛先を向けている。
「年度末の決算に打撃を与えないよう、3月31日の証券取引が終了した直後に首相が緊急会見を開き、4月1日からの、東京の都市封鎖を宣言する。これは、ある信頼できる筋からの情報だ。即、食料や日用品の確保にかかるべし」と、3月31日の午前にウェブログに書いた人がいる。その人は自分が誤った情報を流したことを、4月2日のウェブログで謝っていた。謝るだけマシというべきか。
東京に実在する病院の名を挙げた上で、そこの「ドクターから」とする注意喚起の文章が、きのう4月2日に、僕のグループLINEのひとつに届いた。グループ内は直後より「シェアします」の嵐になった。ところでその「ドクター」とは一体全体、誰なのか。個人は特定できているのか。
7年ほど前のこと、食卓の話題が悪口、陰口ばかりになったところで「どーでもいーから飲もー」と、場の空気を一瞬で変えた人がいる。もっとも軽薄に見えた人が、実は一番の知恵者だった、という寓話は世に少なくない。
朝飯 菠薐草のおひたし、納豆、蓮根のきんぴら、切り昆布の炒り煮、冷や奴、生のトマト、ごぼうのたまり漬、メシ、浅蜊の味噌汁
昼飯 バターと杏と無花果のジャムとらっきょうのたまり漬のトースト、ホットミルク
晩飯 レタスとチーズのサラダ、トマトとアボカドのサラダ、にんにくのスパゲティを添えた鶏のクリーム煮、Veuve Clicquot Brut、チーズケーキ、Old Parr(生)
2020.4.2(木) 12本
玉村豊男の「料理の四面体」は、ところにより難解な部分がある。しかし世界中の美味いものが、その調理法も含めて次から次へと紹介されるから、気楽に楽しむこともできる。登場する料理の中で、もっとも僕の食欲を刺激するのは「アルジェリア式羊肉シチュー」だ。
これをきのう、羊の肩ロース1,440グラムを用いて、長男に作ってもらった。「料理の四面体」では香辛料に「真っ赤な唐辛子の粉」が使われる。ウチには3歳児のいるところから、それは避けられた。目の前に運ばれた肉とじゃがいもからは、クミンが香った。用意をしたのは赤ワインだった。しかしクミンであれば、むしろ白酒が似合う。
じゃがいもと1,440グラムの肉は、おとな4人と幼児ひとりでは食べきれない。「アルジェリア式羊肉シチュー」は、昨夜に続いて今夜も食卓に上った。今日こそはワインではなく白酒をコップに注いだ。羊の脂を透明の蒸留酒で流す気分には、格別のものがある。
「飲むと馬鹿になる」と言う人もいるこの中国の酒を、僕は2016年の3月に12本、買った。そして今夜は残った2本のうち1本の栓をひねった。4年で10本なら年に平均して2.5本。次もまた12本を買うかどうかは分からない。
朝飯 切り昆布の炒り煮、納豆、菠薐草のおひたし、ハムエッグ、ごぼうのたまり漬、メシ、キャベツの味噌汁
昼飯 バターと杏と無花果のジャムとらっきょうのたまり漬のトースト、コーヒー
晩飯 春雨サラダ、ブロッコリーのにんにく炒めを添えたアルジェリア式羊肉シチュー、「紅星」の「二鍋頭酒」(生)
2020.4.1(水) 花粉
子供のころは、アトピー性皮膚炎に苦しんだ。そのときの僕に、苦しんでいるという意識はなかった。しかし今から思い返してみれば、なかなかに悲惨な状態だった。当時、かかりつけの医師には「大人になったら治る」と言われた。つまり「今は治せない」ということだ。それから半世紀以上を経た現在でも、人知はアトピー性皮膚炎を制圧できていないのではないか。
僕はまた、子供のころは走ると呼吸が苦しくなった。人はおしなべて、走れば気管支が苦しくなるものと思っていた。しかしそれは運動性の喘息と、後に教えられた。
そんな僕でも不思議なことに、花粉はほとんど感じない。春に限り、10日に1度ほど、目薬の差したくなる朝がある。せいぜいそれくらいのところで、マスクの必要もない。
花粉が盛んに飛ぶ今ごろは、テレビの天気予報は花粉の情報を欠かさず伴っていた。ところが今年はその、花粉についての知らせが少ないような気がする。四六時中の「コロナ」に押しのけられて、気づかないだけなのだろうか。
朝飯 大根おろしを添えた厚揚げ豆腐の網焼き、鮭の昆布巻き、菠薐草の胡麻和え、グラタンの玉子とじ、ごぼうのたまり漬、メシ、長葱の味噌汁
昼飯 メンチカツドッグ、コーヒー
晩飯 ベビーリーフと人参と甘夏のサラダ、ブロッコリーと根菜類のスープ、アルジェリア式羊肉シチュー、Cono Sur MALBEC 2018、プリン、Old Parr(生)































































































































