2020年10月の日記31本
2020.10.31(土) 去年のモミジと今年のモミジ
「30代、40代のころは仕事の関係でこっちの方によく来て、そのときには必ずここに寄って、漬物を買って帰ったんだよ。いやぁ、懐かしい。味、変わらないねぇ」と、80歳代のはじめくらいだろうか、試食を口にされた紳士がお声がけをくださった。
上澤梅太郎商店のたまり漬は、年に1度しか収穫されない露地物の野菜を、発酵という、微生物の精妙な働きにより完成させる品物である。去年の紅葉と今年の紅葉が同じでないように、おととし生まれた長男と今年生まれた次男が同じでないように、数十年前のたまり漬と今のたまり漬の味が同じわけは無い。しかし今日のお客様のお声は褒め言葉として、僕は素直に受け取った。多いにありがたい。
それはさておき黄金週間、お盆、また現在のような道の混み合うときには、店は時間どおりには閉められない。渋滞により予定どおりに動けなかったお客様が、定時を過ぎても途切れないからだ。その店を社員に任せて外へ出る。そして売場に「蛍の光」の流れる道の駅「日光街道ニコニコ本陣」へおもむき、ウチに割り当てられた冷蔵ショーケースの、位置替えに立ち会う。
ショーケースが90度回転されれば、それに向かうお客様の立ち位置も、これまでとは異なってくる。それに合わせて商品の配置も変えなくてはならない。新たな商品台は、数日前にオタニ建具店に発注をした。お客様のご不便は、なるべくはやく解消したい。
朝飯 牛肉のすき焼き風、めかぶの酢の物、焼き鮭、蓮根のきんぴら、みょうがのたまり漬、メシ、けんちん汁
昼飯 けんちんライス、らっきょうのたまり漬、みょうがのたまり漬
晩飯 人参と玉ネギのスープ、トマトとレタスとルッコラのサラダ、パテを塗ったパン、鮭とブロッコリーとマカロニのグラタン、Petit Chablis Billaud Simon 2016、「はつせ」の「白玉」、Old Parr(生)
2020.10.30(金) 玄妙な味
午前、東京からおふたりが商談のためお見えになった。先ずは隠居にご案内をし、あれこれの話の後、蔵に入っていただく。案内役は僕と長男が務めた。事務室へ移動をして後は、より具体的な打合せをした。時刻は11時50分。その時間であれば「昼食でも」ということになる。
わが町が「蕎麦のまち今市」と地域を売り出し始めたのは、いつごろのことだっただろう。2市3町村が合併して新しい日光市ができて以降は「蕎麦のまち日光」と改められて今に至る。
フランス人はワインをよく女の人に喩えるという。蕎麦は僕には篠田桃紅の感じがする。ラーメンやスパゲティの美味さは分かりやすい。それらにくらべて蕎麦の玄妙さは中々に解釈が難しい。こと蕎麦においては、僕の舌は子供並みなのかも知れない。
街の真ん中に渋滞が起きている。今秋のそれは多く、日光宇都宮道路の今市I.C.から鬼怒川へ向かう会津西街道に発生している。加えて今日は日光から宇都宮へ向かう日光街道も、また流れが渋くなっている。つまりウチの目の前で交わる2本の国道が詰まっている。そのため日に何度も売場を見に行く道の駅「日光街道ニコニコ本陣」へは、自転車で往復をした。
平日がこの有様であれば、飛び石を含む明日からの4連休には、渋滞はどれほど長くなるだろう。「毎日が日曜日」という方は特に、紅葉狩りは連休明けになさるのが賢明である。
朝飯 納豆、菠薐草のおひたし、目玉焼き、油揚げとカブの葉の炒め煮、みょうがのたまり漬、鮎の甘露煮、メシ、けんちん汁
昼飯 「玄蕎麦河童」の北海道産と栃木産の二種盛り、天ぷらの盛り合わせ
晩飯 めかぶの酢の物、蓮根のきんぴら、菠薐草のナムル風、鯛の煮こごり、生のトマト、「ふじや」から持ち帰って家で焼いた餃子、麦焼酎「むぎっちょ」(お湯割り)
2020.10.29(木) 誠実さはしばしば相手を満足させない。
先日、地元の小学生の蔵見学で、案内役を務めた。蔵見学では最後のところで質問を受けつける。子供のそれは大人の意表を突くところが面白い。その日、僕が答えに窮したのは「商品は手作りですか」という問いに対してだった。
畑のらっきょうは、手で土の中から引き抜いて収穫することもあれば、機械で掘り出すこともある。らっきょうはニラより長い葉を持ち、白い髭根も長い。この葉と根を畑で切るのは人が手に握った鋏だ。そうして袋に詰められたらっきょうは、トラックで工場に運ばれる。土の付いたらっきょうを洗うのはドラム式洗浄機だ。水洗いされたらっきょうは、大きなミキサーで塩をまぶされ、ベルトコンベアに運ばれてコンクリート製のタンクで塩漬けにされる。
やがて乳酸発酵したらっきょうは、人の手により包丁でその頭と尻の余分なところを切り落とされる。外側の皮2枚を剥くのも人の手による。それから甘酢や「日光味噌のたまり」により幾度も付け替えをされる。漬け込みに使う甘酢や「たまり」はポンプにより漬け込みタンクまで圧送をされる。
完成した「らっきょうのたまり漬」は人の手で計量され、機械で袋の口を留められ、最後は人の手により店に運ばれて、人の手により冷蔵ショーケースに並べられる。
これらの人、微生物、機械による行程が頭の中を走馬燈のようによぎったから僕は「商品は手作りですか」と訊かれて一瞬、絶句をしたのだ。そして「まぁ、商品は、手と機械と、両方を使って作りますね」と、ようやく答えを絞り出した。
僕の観察によれば、商売の上手な人は、たとえば「商品は手作りですか」と訊かれれば「はい、手作りです」と。単純、明快に即答する傾向にある。それは、どのように答えたら相手が満足するかを心得ているからだ。逆から言うと、誠実さはしばしば相手を満足させない。難しい問題である。
朝飯 納豆、小松菜のおひたし、「なめこのたまり炊」のフワトロ玉子、牛肉のすき焼き風、みょうがのたまり漬、メシ、3種の茸とトマトの味噌汁
昼飯 ラーメン
晩飯 蕪のサラダ、刻みキャベツを添えたコロッケ、Petit Chablis Billaud Simon 2016、「すや」の栗きんとん、Old Parr(生)
2020.10.28(水) 楽に楽しく
「一億総…」という言い回しは大宅壮一の発明だろうか。国民全体のうちどれほどがその仕組みを使って旅をしているかは不明ながら「GoToトラベルキャンペーン」が賑やかだ。上澤梅太郎商店では9月より、県の「とちぎ応援プレミアムチケット」および市の「日光とくとく商品券」が使えていた。そして今月からはそれに加えて「GoToトラベルキャンペーン」の地域共通クーポンも、お使いいただけるようになった。
しかしまさか、クーポン券で買掛金や給与は支払えない。クーポン券のまま銀行に預け入れをすることもできない。よってこれらが現金化されるまでの数十日間は、店側に立て替えの必要が生じる。
会社の小口現金はこれまで一度に20万円を用意していた。クーポン券の立て替えも、この20万円からしていた。しかし錦秋の帯が戦場ヶ原から竜頭ノ滝、中禅寺湖からいろは坂と徐々に下界に近づくにつれて、その金額ではやり繰りが忙しくなってきた。よって今日は、平時の5倍にあたる100万円を、銀行から降ろした。
今週末から文化の日までの連休は、この秋で一番の人出になるだろう。楽に楽しく紅葉狩りをされたい方には、11月4日からのお出かけをお勧めします。
朝飯 菠薐草のおひたし、大根煮、牛肉のすき焼き風、納豆、焼き鮭、みょうがのたまり漬、蕪の浅漬けゆず風味、揚げ湯波と蕪の葉の炒り煮、メシ、豆腐と長葱の味噌汁
昼飯 ラーメン
晩飯 「魚登久」のうなぎ松たけ弁当、麦焼酎「むぎっちょ」(お湯割り)、柿、自由学園のクッキー、Old Parr(生)
2020.10.27(火) 新生姜
「汁飯香の店 隠居うわさわ」は朝ごはんの店で、オーダーストップは12時30分だ。きのうはその12時30分に、販売主任のハセガワタツヤ君に声をおかけくださっお客様がいらっしゃった。それをハセガワ君から伝えられた僕は即、隠居へ電話を入れ、これからの入店が可能であることを確認した。
そのご夫婦を隠居の玄関までご案内し、裏の柴折り戸から外へ出る。すると軽トラックを駐め、なにかを探す風情の人が見えた。日光市塩野室地区に肥沃な農地を持つ池田農園からの、生姜の納入だった。僕は配達の人に声をかけ、蔵の大木戸を開き、そのトラックを後進にて中に招き入れる。
我々が八百屋で見かける生姜は皮が黄色く乾き、すこし硬い。それに対して新生姜の肌は白く、端のあたりは紅色に染まって瑞々しい。「これをおろし金でおろすのではなく、薄く刻んで豚肉と炒める式の生姜焼きは美味いんだよな」と考えつつ、検品のため開いた袋の口をふたたび閉じて紐で結ぶ。
生姜は、育つときには大量の水を必要とする。しかし収穫の季節に長雨に見舞われると根腐れをする。今年の、いつまでも終わらなかった梅雨も、生姜を含む一部の作物には恵みの雨だったように思う。
朝飯 大根の煮つけ、納豆、榎茸と水菜のおひたし、温泉玉子の「なめこのたまり炊」添え、数の浅漬けゆず風味、メシ、クリタケとヤタラモダシの味噌汁
昼飯 ラーメン
晩飯 “Finbec Naoto”の其の一、其の二、其の三、其の四、其の五、其の六、其の七、其の八、ブルゴーニュの白の中で2番目に安かったワイン、コーヒー
2020.10.26(月) ふたつの不思議なクリーム
先日、手の手入れについての記事を新聞の片隅に見つけた。それを読んではじめて、というか読むまで気づかなかった僕もとんだウツケ者ではあるけれど、物に触れる頻度の高い利き手の指先が、手の中ではもっとも湿度を失うという。道理で僕の手も、アカギレはほぼ右手の指先に限られるわけだ。
「両手に10本ある指のうちの8本には、アカギレにより絆創膏が巻かれている」と、21日の日記に書いた。絆創膏の巻かれた指は現在、2本まで減っている。しかし今朝現在で、新たに巻かなくてはならない指が2本、また出てきてしまった。きのうの朝、手にクリームを塗り忘れたせいかも知れない。
優れた焼き菓子を作る工房の女主人に教えられた2014年から、冬の手の保護には「日本ケミファ」の「モイスポリアホワイト」と「野口医学研究所」のエミューオイルを使っている。
前者は適量を超えて塗ると、そのベタつきがなくなるまで15分間ほど手と手をこすり合わせていなければならないところが欠点だ。しかしひとたび馴染めば頑丈な皮膜となって、朝から夜まで手を守ってくれる。後者は一瞬にして肌に浸透するのか、塗って手をこすり合わせた直後よりベタつきは一切、無い。寝る直前とか「今すぐ手を滑らかにしたい」というときに用いるには最適である。
利き手の指先、特に親指と人差し指と中指に絆創膏が巻かれていると、様々な場面で不便が発生する。今日からはまた、朝には「モイスポリアホワイト」を、寝る前にはエミューオイルを忘れず塗ろうと思う。
朝飯 春菊の胡麻和え、揚げ湯波とカブの葉の炒り煮を添えた納豆、焼き鮭、めかぶ、みょうがのたまり漬、メシ、揚げ湯波と蕪とトマトの味噌汁
昼飯 ラーメン
晩飯 カブの浅漬け柚風味、柿の白和え、韮のおひたし、里芋の煮ころがし、焼き餃子、麦焼酎「むぎっちょ」(お湯割り)、餡パン、Old Parr(生)
2020.10.25(日) ニッケイ・ザ・スタイル
5時をまわったところで「そろそろだろうか」と1階に降り、外へ出る。そして新聞受けから日本経済新聞を引き抜き、それを手に4階の食堂へと戻る。
上澤梅太郎商店のたまり漬、および朝ごはん事業「汁飯香の店 隠居うわさわ」の記事は、”NIKKEI The STYLE”の今週の特集「いまこそ漬ける 時がもたらす美味しさ」第11面に、間違いなく見つかった。その600文字ほどの記事を、丹念に読む。日本経済新聞社には、自由学園の同窓生が多く勤めている。今回の記事は、そちらからのご縁ではなく、初見の記者様の独自の取材に拠る。同紙を購読していらっしゃる方は、ぜひご一読ください。
14時に蔵見学のご予約をいただいていたお客様は、13時20分にいらっしゃった。即、ご一行を隠居へご案内する。「汁飯香の店 隠居うわさわ」の最後のお客様は、既にしてお帰りになっていた。よって常にはしないことながら、今日の見学者様には座敷に上がっていただく。そして仕込み水を飲んでいただきつつ、先ずは図上にて上澤梅太郎商店の歴史からご説明をする。
きのうより販売係がひとり多いこともあって、きのうのような、補助のため僕が店に急ぐような状況には、今日はならなかった。しかし売上げの金額は、きのうのそれを超えた。明日も忙しくなるだろう。
終業後は下野新聞の書評欄を読みつつ食前酒を飲む。
朝飯 鯛の煮こごり、揚げ湯波と蕪の葉の炒り煮、大根おろしを添えた油揚の網焼き、みょうがのたまり漬、生のトマト、メシ、豆腐とキャベツの味噌汁
昼飯 「やぶ定」の割子蕎麦
晩飯 「グルメやまなか」のロースハム、オールドイングランド、鶏笹身肉とレタスと林檎のサラダ、トマトとオリーブとアンチョビのスパゲティ、Petit Chablis Billaud Simon 2016、2種の焼き菓子、Old Parr(生)
2020.10.24(土) ご予約最強
家内は5時前に食堂に現れるとそそくさと朝食を済ませ、6時前に「熊が出たらどうしよう」と笑いつつ隠居へと去った。如来寺の周辺に出没していた熊は確か、猟友会の人たちが捕獲をしたはずだ。
7時45分、販売係のササキユータ君が出勤をするなり「もう渋滞してますね」と言う。事務室から外へ出て、道向こうに立つ電光掲示板を見る。そこには「日光宇都宮道路 今市-清滝 渋滞8km」の文字があった。
「汁飯香の店 隠居うわさわ」の、朝いちばんのご予約は8時30分。そのお客様がご来店になったのは9時20分。長男がうかがったところによれば、朝4時すぎに東京をお出になって、中禅寺湖畔には7時半すぎに着。しばし散策の後、いろは坂を下まで降りられたときには既にして、これからいろは坂を登ろうとする車線に長大な渋滞が発生していたという。
「汁飯香の店 隠居うわさわ」に12時の予約を入れてくださっていたお客様からは、現在、日光の神橋付近で渋滞に閉じ込められている旨の電話が11時40分に入る。そのお客様の席は、畳の「杉の間」に確保されている。よって、どうかお急ぎにならず、安心していらっしゃるよう、お伝えをする。
14時を過ぎたころより、販売係だけでは手の足りない状況が店に発生する。即、僕も補助に入る。ラグビーのモールではないけれど、お客様が作ってくださるこの賑わいが、僕は大好きだ。そして先ずは、接客に追われるうち目が届きづらくなる給茶器の紙コップやくず入れを点検する。
本日、席が足りないため「汁飯香の店 隠居うわさわ」の入店をお断りせざるを得なかったお客様は、僕が知る限り8組様。申し訳ないことこの上ない。
上澤梅太郎商店が運営する朝食専門店「汁飯香の店 隠居うわさわ」は毎週、土、日、月の営業。開店は8時30分、オーダーストップは12時30分、閉店は14時。電話番号は0288-25-5844(日光ごはん良し)。本店の電話番号0288-21-0002(08:30~17:30)なら毎日、ぐるなびなら24時間、ご予約を承れます。
朝飯 揚げ湯波と蕪の葉の炒り煮、納豆、メカブの酢の物、焼き鮭、みょうがのたまり漬、メシ、豆腐と菠薐草の味噌汁
昼飯 「金谷ホテルベーカリー」の2種のパン、牛乳
晩飯 「コスモス」のトマトとモッツァレラチーズのサラダ、牡蠣フライ、ドライマーティニ、TIO PEPE、家に帰ってからの「久埜」の最中、Old Parr(生)
2020.10.23(金) 貴重な瞬間
「秋は夕暮れ」と清少納言は書いた。僕は年がら年中、朝が好きだ。今朝は「枕草子」は昼については特に触れていないことに、この齢になって初めて気づいた。強いて言えば冬の最後のところだけれど、それは「わろし」で結ばれている。
テレビの天気予報は今日までの雨、そして明日からしばらくは好天が続くことを伝えている。つい先日までは週末が雨でも「どうせコロナだ、いずれ人は家に閉じこもったままだろう」と、特に心が動くことはなかった。しかし急に忙しくなってきたこのところは、週末の晴れを喜ぶ気持ちが戻ってきた。
日光の紅葉は、11月の下旬までは保たない。しかし例年、紅葉見物の車列は11月の、勤労感謝の日を含む連休までは途切れない。これからの特に週末は、晴れて欲しいと思う。
夕刻に、道の駅「日光街道ニコニコ本陣」への本日最後の納品を終える。小倉町から春日町へ向けてホンダフィットを走らせながら、雨が急ぎ足で上がりつつあることを知る。気温は低いものの、肌は暖かさを感じている。年に幾度もない、貴重な瞬間だった。
朝飯 揚げ湯波と蕪の葉の炒り煮、納豆、豆腐の餡かけ、茄子の炒りつけ、秋刀魚の梅煮、ごぼうのたまり漬、メシ、なめこの味噌汁
昼飯 ラーメン
晩飯 鯛の煮こごり、柿の白和え、飛び魚の丸干し、牛肉のすき焼き風、人参のぬか漬け、麦焼酎「むぎっちょ」(お湯割り)、明日より「汁飯香の店 隠居うわさわ」でお出しする和菓子、Old Parr(生)
2020.10.22(木) 何とかして乗り切らなくては
「お中元が終わったと思ったら、すぐにお歳暮ですから」とは、40年ちかく前まで勤めていたヨシオジローさんの言ったことだ。
当時、ウチのパンフレットには「年末の地方発送のご注文は11月15日までにお願いいたします」の一文があった。以降のお受け付けはすべてお断りだった。当時の作業手順では、製造も荷造りも間に合わなかったのだ。それをどうにかこうにか工夫をしながら社員の協力も得ながら、現在は年末の受注分まで年内の出荷が可能になった。
ところが昨年は、晩秋から師走にかけて上澤梅太郎商店の商品が3度もテレビで紹介をされ、大いに混乱を来した。「なめこのたまり炊」は売り切れ、「おうちたまてばこ」の包材については、それを確保するため、12月28日に東京までホンダフィットを走らせることになった。
さて今年は大丈夫かといえば、やはり心配はある。先ずはコロナ禍により、家に居ながらにして商品を手に入れたいお客様が増えた。他にも地方発送の需要を喚起するあれこれが予想されている。何とかして乗り切らなくてはならない。
朝飯 茄子の炒りつけ、納豆、揚げ湯波と小松菜の炊き合わせ、揚げ湯波と蕪の葉の炒り煮、秋刀魚の梅煮、ごぼうのたまり漬、メシ、揚げ湯波と蕪の味噌汁
昼飯 ラーメン
晩飯 「高橋商店」の鮎の甘露煮、菠薐草と榎茸のおひたし、キャベツの梅肉和え、みょうがのたまり漬、エリンギのソテーを添えた和風ハンバーグステーキ、「福禄寿酒造」の「一白水成純米大吟醸」(冷や)
2020.10.21(水) 「それ以上」の更に上
「鮨は指でつまんで食べる。しかしてその指は、これまで散々、汚いものに触れてきた。だから自分は鮨は食べない」と書いたのは團伊玖磨だ。
僕も鮨は指で食べる。しかしその、両手に10本ある指のうちの8本には、アカギレにより絆創膏が巻かれている。特に利き腕の指に絆創膏があっては、鮨は食べられない。
冬のスキーを目指して夏から走り込む人がいる。夏のサーフィンに備えて冬のうちからジムに通う人もいる。僕は走り込みもジムに通うこともしない。しかし冬の鮨を食べるために手の手入れをする、くらいのことはしなければならないと思う。
15時30分、らっきょうのたまり漬が売り切れそうだと、販売主任のハセガワタツヤ君が事務室に来る。売り切れたら売り切れたで仕方ないとするか、と訊くので「それは絶対にダメだ」と答える。先ずは、荷造りのため蔵の冷蔵庫に保管してあるうちの予備を店に運ばせる。包装係は追加で袋詰めを始めているものの、作業が完了するのは16時50分だという。
らっきょうのたまり漬は幸いなことに売り切れを免れた。新鮮な商品をお客様に提供したい気持ちは分かるけれど、明日からはギリギリの線は狙わないよう、包装主任のヤマダカオリさんに注意をする。彼女によれば、今日の分も余裕をみたつもりが、それ以上に売れてしまったのだという。だったら明日からは「それ以上」の更に上を見なければならない。
鴨志田穣の「遺稿集」の、伊集院静による解説「鴨志田穣の文章」を読んでから夕食の席に向かう。
朝飯 揚げ湯波と小松菜の炊き合わせ、めかぶの酢の物、茄子の炒りつけ、菠薐草と榎茸のおひたし、大根と人参のぬか漬け、ごぼうのたまり漬、メシ、椎茸とブナシメジと菠薐草の味噌汁
昼飯 にゅうめん
晩飯 根菜とレンズ豆のスープ、カジキマグロとトマトのスパゲティ、Petit Chablis Billaud Simon 2016、「自由学園食事研究グループ」のフルーツケーキ、Old Parr(生)
2020.10.20(火) そのうち高くなる
午前0時をとうに過ぎ、夜のいよいよ深まっていく静かな時間が大好きだ、と言った人がいる。僕は深更には縁がない。その時間にはいまだ眠っている。しかしてまた、その人のその時間は僕の大好きな未明と重なっている可能性も、無いわけではない。
未明には多く、日記を書いている。調べものをすることもあれば、本を読むこともある。先ほどメールやメッセージを送った人から、早くも返事が戻ったりすることもある。
今朝は、製造現場から上がって後は、鮭を焼いた。ちかくのスーパーマーケットで買った鮭は、日本酒に漬けてひと晩を冷蔵庫に置いた。それを日の昇るころより天火に入れ、表裏を返しながら急がず焼いた。6切れのうちのひと切れは早速、朝のおかずにした。残りの5切れは、明日からひとつずつ消化していくことになるだろう。
ところで鮪のトロは、江戸時代には捨てられていたと聞いたことがある。大正時代までは、吉田兼好が若いころの鰹とおなじく、貴顕の口にするものではなかったという。
鮭の頭やカマは、鮪のトロなどとは較べるべくもない下物に違いない。下物には違いないけれど、あるとき道場六三郎は鮭の部位を美味い順に「一鰭、二皮、三頭」と並べてみせた。僕の好きなカマのあたりも、そのうち高くなってしまうような気がする。
朝飯 菠薐草と榎茸のおひたし、めかぶの酢の物、煮奴、焼き鮭、胡瓜のぬか漬け、ごぼうのたまり漬、メシ、大根と万能葱と揚げ玉の味噌汁
昼飯 にゅうめん
晩飯 ピーマンの揚げびたし、里芋の煮ころがし、蓮根の梅肉和え、刺身湯波の「日光味噌のたまり浅漬けの素・朝露」かけ、生のトマト、らっきょうのたまり漬「ピリ太郎」、豚肉の「日光味噌」漬け焼き、揚げ湯波と蕪の葉の味噌汁、「福禄寿酒造」の「一白水成純米大吟醸」(冷や)
2020.10.19(月) 71年7月4日
手の指先に巻く絆創膏の数が増えてきた。アカギレの季節である。今朝は4枚を貼り足した。そうして早朝の仕事に向かうべく食堂を出る。仏壇では1時間以上も前に供えた線香が、いまだ火を保っている。
家族が亡くなるたび、その初彼岸や初盆に線香を戴いてきた。線香はひとところに保管をして、日々、大切に使っている。その線香の引き出しの底に先日、見慣れないひと箱を見つけた。商標は向陽牌つまりヒマワリ。線香の名は「檀香衛生香」。住所は北京市宣武庁内。箱の底に赤く押された「71年7月4日」は、いつを表すものだろう。細く長い線香はその本数からして、今年いっぱは使い続けられるかも知れない。
午前、仕事の合間に如来寺のお墓を訪ねる。「熊出没のため、墓地内には入らないでください」の注意書きが、相変わらず随所に貼られている。墓地には何かの対策のためか、市の職員がたくさんいた。これだけ人の気配があれば、熊も出ては来ないだろう。
15日の、オフクロの祥月命日に供えた白いカーネーションは、小倉町の「花一」で求めたときとおなじくらい瑞々しかった。花立ての水は、いささかも減ってはいなかった。その水を新しいものに替えて、墓前を去る。
朝飯 茄子の炒りつけ、揚げ湯波と蕪の葉の炒り煮、菠薐草の胡麻和え、生玉子、みょうがのたまり漬、ごぼうのたまり漬、メシ、トマトと玉葱の味噌汁
昼飯 ラーメン
晩飯 根菜類とセロリのスープ、ピーマンの素揚げ、若布の揚げバンと米のコロッケを添えた鮪のソテー、「グルメやまなか」のレバーペーストを塗ったパン、Petit Chablis Billaud Simon 2016、日光と宇都宮のあいだの山で採れた栗による菓子、Old Parr(生)
2020.10.18(日) 朝日派
小泉八雲は夕陽をことのほか愛し、書斎には西向きの部屋を充てたほどだったという。僕は断然、朝日派、である。
早朝の仕事から上がって食堂に戻り、東の方角を眺めれば、空にはこのところ久しくなかった晴れの気配が兆してきた。きのうの日記を整えながら、その様子を眺める。そして頃合いを見計らって屋上へ上がる。
地表ちかくに低く横たわる雲から、いよいよ日が顔を覗かせようとしている。空は、先ほどまでの青から水色に変わりつつある。その様子をカメラに納めて今度は背後の、つまり北西にきびすを返す。日光の山々は、その頂部を朱に染めながら、徐々に明るくなりゆくところだった。
屋上から階段を下って食堂に戻り、いましがたの山の景色を反芻する。そして「初冠雪か」と、ようやく気づく。
この日記に「初冠雪」で検索をかけてみる。家から見える山に限っての「その日」については以下が見つかった。
2004年11月22日
2010年11月16日
2013年11月11日
2017年10月31日
もちろん僕は気象庁ではないから、上記が正確か否かについての自信は無い。それでも今年のそれは、夏に異常な暑さを記録した年としては、いささか早いように思われる。
昨冬は雪が少なかった。それゆえの水不足が心配をされた。しかし関東以北の米の作柄は、平年にくらべて「やや良」を記録するところが多かった。「汁飯香の店 隠居うわさわ」に「ゆうだい21」を提供してくれているヤギサワヒロシさんの棚田は大豊作だったという。
今年の冬は、例年にくらべて寒くなるのだろうか。
朝飯 秋刀魚の梅煮、揚げ湯波と小松菜の炊き合わせ、焼き鮭、納豆、みょうがのたまり漬、ごぼうのたまり漬、メシ、蕪の葉の味噌汁
昼飯 ラーメン
晩飯 トマトと人参とキャベツのサラダ、らっきょうのたまり漬「ピリ太郎」、カレー南蛮鍋、麦焼酎「むぎっちょ」(お湯割り)
2020.10.17(土) 「どうなんでしょう」
朝、目を覚まして枕頭からiPhoneを拾い上げる。facebookの中で、顔を見知った幾人かが大阪の「たこ梅」でおでんを食べている。「たこ梅」と聞けば、からだのどこかが反応しないわけにはいかない。
1986年から現在までの「10年間に食べた中でもっとも美味かったもの」を、僕は覚えている。それは以下だ。
1986~1995年の10年間では「たこ梅」の「さえずり」
1996~2005年の10年間では、ある晩の、家の湯豆腐
2006~2015年の10年間では「鮨よしき」の飛竜頭
こうして並べてみると、玉村豊男の「料理の四面体」を紐解くまでもなく、これらすべては「火に水の働きが介在してできる料理」つまり煮物である。だったら自分は焼き物、煮物、揚げ物、生ものと、4種に大別される調理法の中で、特に煮物を好むかと自問をすれば、そのようなことは無い。不思議な合一と考えるべきだろうか。
ところで今日は、隠居の床の間の絵を替えた。「常連様もいらっしゃることであれば、月に1度は替えるべし」という、長男の意見を容れたことによる。折しも恵比須講の季節である。よって少ない選択肢の中から、僕は大黒天の軸を選んだ。
軸の桐箱には「羅漢山人大黒天之圖 門外不出 上澤家什寳」と、物々しく書かれている。「オタカラなんですか」とお客様に訊かれたら「どうなんでしょうねぇ」と、曖昧に笑うしかないだろう。
朝飯 納豆、めかぶ、生玉子、みょうがのたまり漬、ごぼうのたまり漬、メシ、玉葱と人参の天麩羅の味噌汁
昼飯 ラーメン
晩飯 里芋の煮ころがし、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、たまり漬「おばあちゃんのホロホロふりかけ」、生のトマトと刻みキャベツを添えた豚ロース肉の「日光味噌」漬け焼き、豆腐と浅蜊と長葱の味噌汁、栗焼酎「十三天狗の伝説」(お湯割り)、“BAKE”の”OIMON”、Old Parr(生)
2020.10.16(金) 紅葉シーズン到来!
今朝のテレビのニュースでは、気象予報士は竜頭ノ滝からの中継により、これからの天気を伝えていた。竜頭ノ滝は、この季節には必ず、あちらこちらのチャンネルで幾度も映される、紅葉の名所である。このような場所で紅葉狩りがしたければ、今月12日の日記「狭き門は楽な門」は、役に立つ情報だと思う。
昼がちかくなるに連れて、会津西街道が渋滞し始める。その先頭はどこだろう。最後尾は1.5キロメートルほど後方の、今市インターチェンジ最寄りの交差点に違いない。日光街道は、道の駅「日光街道ニコニコ本陣」を先頭として、更に早い時間から渋滞をしている。
現在、日光の紅葉は、中禅寺湖畔が見ごろだという。錦秋の帯は、そこからいろは坂を徐々に下って日光市の旧市街に達する。その時期は、今月の末だろうか。そしてそのころの週末には、渋滞の車列は更に延びている筈だ。
「行き当たりばったりの人」には「知らないぞー」としか、僕は言えない。もっとも「疲れに行ったようなもの」と自嘲をしながら、そのような行楽を懲りずに繰り返す人もいる。そうであれば、僕などは何も言わない方が良いのかも知れない。
朝飯 メカブの酢の物、筑前煮、舞茸と隠元豆の天ぷら、菠薐草のおひたし、鮭の味噌漬け、刺身湯波、ごぼうのたまり漬、メシ、揚げ湯波と万能葱の味噌汁
昼飯 にゅうめん
晩飯 揚げ湯波と小松菜の炊き合わせ、蓮根の梅肉和え、蕪の浅漬け、みょうがのたまり漬、焼き芋、鯛の刺身、鯛の煮付け、「小玉醸造」の純米大吟醸「太平山天巧」(冷や)、“KOBORI”の「下野カスター」、同「モアロールプレーン」、Old Parr(生)
2020.10.15(木) 熊出没のため
隨分と前から蔵見学を予約してくださっていた、宇都宮の調理専門学校「三友学園」のご一行は、11時に大型バス2台でご来店になった。総勢46様には、2班に分かれていただいた。そしてその、前の班のご案内は僕が、後の班のそれは長男が担うこととした。
ご一行には先ず隠居に入っていただき、この場所の来歴と共に「汁飯香の店 隠居うわさわ」が開店するに至った経緯をお話させていただく。引き続いて、隠居の庭に張り出した、蔵の最奥部に入っていただく。三友学園様は発酵醸造科を持つことから、そちらで学ばれている学生さんも、ご一行に含まれているだろう。それも頭に置きつつ種々、ご説明をさせていただく。僕の持ち時間は、先生にお知らせしたそれよりも、すこし延びてしまったかも知れない。
本日はまたオフクロの祥月命日にて、夕刻になってようやく、家内と如来寺へ行く。お墓の入口には何と「熊出没のため、墓地内には入らないでください」との注意書きがあった。そういえば、きのうの本酒会の席上で、街なかに熊の目撃されたことが話題として上がっていた。また今朝は、如来寺や二宮神社の前の道をパトロールカーが行き来して、拡声器により住民の注意を促していた。
とはいえ祥月命日となれば、予定を明日に延ばすことはできない。そういう次第にて、香と白いカーネーションを供えて後に墓前を去る。
朝飯 筑前煮、豆苗のおひたし、牛蒡と人参の天ぷら、めかぶの酢の物、生のトマト、ごぼうのたまり漬、メシ、若布の味噌汁
昼飯 ラーメン
晩飯 菠薐草の胡麻和え、厚焼き玉子、鰺鮨、筑前煮、うずら豆、ごぼうのたまり漬、「喜久水酒造」の大吟醸「能代比羅夫」(冷や)
2020.10.14(水) 朝の店に夜に集う
僕のおじいちゃんやおばあちゃんが当時の古老や出入りの職人たちと写っている、およそ100年前の写真が残っている。そのとき板張りだった廊下には、その後、畳が敷かれた。
「汁飯香の店 隠居うわさわ」のお客様の中には、テーブルを離れ、この広縁に座卓を置かせ、正座をして朝食をお召し上がりになる方がいらっしゃる。なるほど日本の庭は、欧米化された現在の目線より3、4尺ほども低いところから眺めるのが本式なのだろう。
上記からも分かるように、あるいは画像を伴わなくては分かりづらいかも知れないけれど、日本の伝統家屋は、とても大きな開放部分を持つ。その開放性に目を付けたのが、日本酒に特化した飲み会「本酒会」のイチモトケンイチ会長である。「三密が避けられる」というのだ。
「汁飯香の店 隠居うわさわ」は朝食の店で、夜の営業は想定していない。よっていつもより1時間はやい18時30分に開会をすること、食器を洗う手間を省くため弁当箱で酒肴を提供することを条件として、調理係の家内は場所の提供を決めた。新型コロナウイルスによる非常事態宣言が出されて以降、8月まで5回も例会を流した「本酒会」は、こうして9月よりようよう、この隠居にて再開が叶った。
もっとも伝統家屋はその開放性により、冬はひどく寒い。11月からしばらくは、街の飲食店を用いた方が、居心地は良いだろう。第一、新型コロナウイルスの、栃木県における新規感染者は、1日にゼロ人か、せいぜいひとりだ。「そんなに怖がることもねぇじゃんか」と、僕などは思う。
朝飯 蓮根の梅肉和え、こんにゃく煮、納豆、ハムエッグ、ごぼうのたまり漬、メシ、レタスの味噌汁
昼飯 ラーメン
晩飯 「汁飯香の店 隠居うわさわ」の酒肴あれこれ、鰺鮨、豆腐となめこの味噌汁、菓子、5種の日本酒(冷や)
2020.10.13(火) ジグザグ
右下のいちばん奥、40年以上も前に抜いた親知らずのひとつ手前の歯に、今年の春から異常を感じるようになった。水にもお湯にも沁み、また菠薐草のおひたしなど、それほど硬くないものを噛んでも痛みを覚えるようになった。
かかりつけの、大井町にあるソーマ歯科室での最初の診察は7月だった。そして本日、その治療は完了した。傷んだ歯には、ジルコニアの冠がかぶせられた。施術が終わってみれば、一体全体、治した歯はどれだったか思い出せないほどの、完璧な噛み合わせがよみがえった。ソーマ歯科室の真骨頂である。
それはさておき今日は、治療の直前に会社から電話が入った。そのことから生じる、あるいは生じるかも知れないことに想像をめぐらせて、床屋にかかる計画は諦めた。以降は日暮里、上野とめぐって有楽町から銀座に戻るという、合理的な経路を好む僕としては珍しく、ジグザグの移動となった。
地下鉄銀座線で浅草に着いたのは19時55分。すこし前までなら20:00発の下り特急に間に合ったところだ。しかし現在はダイヤが変わり、その列車は19:49発になっていた。よって1時間ほど散歩をして、次の20:59発に乗る。
ダイヤとは、その路線で最も大きな駅が「ちょうど発」を主張すると、むかし本で読んだことがある。現在の半端な発車時刻は、一体全体、どのような理由によるものだろう。
朝飯 蓮根の梅肉和え、納豆、舞茸の天ぷら、茄子の揚げ浸し、菠薐草と榎茸のおひたし、胡瓜のぬか漬け、ごぼうのたまり漬、メシ、揚げ湯波と3種の茸の味噌汁
昼飯 「ドトール」のジャーマンドッグ、コーヒー
晩飯 「よし田」のわかめ酢、鮪の山かけ、蛸の刺身、盛り蕎麦、「菊正宗」の「生貯蔵酒」(冷や)
2020.10.12(月) 狭き門は楽な門
「ひと晩、楽しく遊びたければ、私に100万円をお預けなさい」と言ったのは、幇間の悠玄亭玉介だ。僕は一銭もお預かりはしない。以下に従っていただければ、これからの日光で、楽に楽しく紅葉狩りができます。
1.行き当たりばったり、準備不足は絶対に避ける。
2.週末はなるべく避ける。連休は絶対に避ける。
3.宿は、日光や鬼怒川のひとつ手前の今市に確保する。
4.夕食は、宿から気軽に行ける食事処や居酒屋で摂る。旅行気分を満足させてくれる店は、いくらでもある。店の名前や場所は、信頼できそうな地元の人に、あらかじめ訊いておく。
5.紅葉は、小来川から足尾へ抜ける道で観る。あるいは名もない農道で観る。渋滞どころか、すれ違うクルマもほとんどいない。どうしても「名所」で観たければ、夜明け前に宿を出る。
6.二荒山神社、東照宮、輪王寺のいわゆる「二社一寺」を見物したい人は、真冬に再び来る。雪、杉の巨木、壮麗な社殿や伽藍の組み合わせは息を呑むほどに美しい。
7.日光、鬼怒川、川治、奥鬼怒の温泉に浸かりたい人は、真冬に再び来る。冬の寒さと温泉の暖かさのメリハリが素晴らしい。また、宿泊料も安い。
8.自然に親しみたい人は、真夏に再び来る。奥日光や奥鬼怒に吹きわたる風は肌に心地よく、緑は目に眩しい。
「分かってねぇな、旅ってのは、行き当たりばったりで遭遇するあれこれが面白れぇってもんだろ」とおっしゃる方は、ぜひ「オレ流」でいらっしゃってください。1キロメートルを進むのに1時間という、夢のような渋滞が経験できるかも知れません。
朝飯 蓮根の梅煮、めかぶの酢の物、冷や奴、秋刀魚の梅煮、ごぼうのたまり漬、みょうがのたまり漬、メシ、舞茸の天ぷらと豆苗の味噌汁
昼飯 ラーメン
晩飯 じゃがいもと南瓜のサラダ、豆とじゃがいもと鶏肉のカレーライス、八木澤ファームのハバネロ、しその実のたまり漬、Old Parr(生)、栗の餡の団子、Old Parr(生)
2020.10.11(日) 普遍的に好まれる何か
「汁飯香の店 隠居うわさわ」には3つの客間がある。ひと月ほど前までは扇風機の回されていたそこに、きのうは長男と隠居係のタカハシリツコさんが暖房絨毯を運び入れ、それぞれの部屋に敷いた。
その「隠居」は本日、14名の団体様により、満席貸切となった。台風14号が太平洋上に早々と去ってくれたことは幸いだった。11時、挨拶のため裏の柴折り戸から庭に入る。玄関の戸を引くと、玄関にはストーブが焚かれていた。
昨年10月の日記を見る限り、隠居の紅葉は、これから1週間ほどもすれば始まるものと思われる。しかし池水のほとりには、梅雨どきに咲いた紫陽花のうち、いまだ紫色に命脈を保つ数輪がある。気温はあるいは明日あたりから、急に下がるのかも知れない。
夕刻は事務室にいて、今朝の日本経済新聞の、弁当についての特集を読む。全世界的に、かどうかは知らないけれど、人は指先で摘めるほどの、あるいは楊枝に刺して口元まで運べるほどの、小さな食べ物を好む。もうひとつ、串に刺され、これまた口元まで運べる食べ物を好む。そして日本の弁当もまた、そのような、文化の異なる地域においても普遍的に好まれる何かを持ち合わせた食べ物の形態と、僕は思う。
ところで僕がもっとも食欲を刺激された弁当は、いつか全日本空輸の機内誌で目にした、房州の海女の、まるで荒磯に砕ける白浪のようなそれだった。僕はどうも、美麗とか「かわいい」ものには、それほど惹かれない質らしい。
朝飯 秋刀魚の梅煮、すぐきを薬味にした納豆、焼き鮭、蓮根の梅肉和え、みょうがのたまり漬、メシ、豆腐とレタスの味噌汁
昼飯 納豆、なめこのたまり炊、昆布の佃煮、鰹の佃煮、秋刀魚の梅煮によるお茶漬け
晩飯 「大しま」の其の一、其の二、其の三、其の四、其の五、其の六、其の七、其の八、其の九、日本酒(燗)
2020.10.10(土) 秋映
浅草07:30発の下り特急は、定刻にすこし遅れて下今市に着いた。いまだ残る雨の中を、傘を差し、歩いて帰宅をする。着替えて事務室に降りると、壁の電波時計は9時40分を指していた。
きのうのテシマヨーちゃんは、浅草08:00の下り特急に乗ると言っていた。この下今市着は9時39分。それを口にすると「えっ」と長男は驚いて、即、ホンダフィットの鍵を握って外へ出て行った。
僕は10時5分前から傘を持ち、犬走りの庇の下に立つ。今朝は「汁飯香の店 隠居うわさわ」に、普段より親しくさせていただいている3名様が、何週間も前から予約を入れてくださっていたのだ。やがて現れたその3名様を先導して「隠居」の暖簾をくぐる。先ほどのテシマヨーちゃんは、既にして六畳間の席に着いていた。
1時間ほどが経ったところで「隠居」の家内から事務室に電話が入る。僕はそそくさと席を立ち、蔵に沿って100メートルほどを南に歩く。4名のお客様には、それぞれ食後のお菓子が出されたところだった。先ずは3名様と、それからヨーちゃんと、しばらく話をさせていただく。
ヨーちゃんの今日の目的のひとつは、4月30日に亡くなった、やはり勉強仲間だったカタヤマタカユキさんのお墓参りだ。僕はヨーちゃんを、お墓のある回向庵に案内した。そこからカタヤマさんが社長を務めていた片山酒造に回り、お母さんに挨拶をさせていただく。
中学校では柔道に、高等学校からはラグビーに打ち込んだ頑強なカタヤマさんが、どうということもない風邪により突然、世を去ったときには、その報に接した多くの人が驚愕、呆然とした。以降、一体全体、どれほどの人がカタヤマさんのお墓に参ったことだろう。
ヨーちゃんを、やはり勉強仲間であるヌマオ歯科先生の元に送り届けて以降は仕事に復帰をして夕刻に至る。
朝飯 「小諸蕎麦」のたぬき蕎麦、ライス
昼飯 ラーメン
晩飯 らっきょうのたまり漬、キムチ鍋、栗焼酎「十三天狗の伝説」(お湯割り)、林檎「秋映」、林檎「シナノスイート」
2020.10.9(金) 伝道
「稀代のデータベースソフト・マイツールが世に広まらない理由を、適切な比喩を用いて分かりやすく説明せよ」と問われたら、何と答えて良いか分からない。「それを諸々の役に立てている人の様子を見てください」としか、言い様は無いかも知れない。
勉強仲間のテシマヨーちゃんは、そのマイツールを無私の奉仕により伝道して、もう何年になるだろう。その集まり「やじOA」に本日、僕は発表者として呼ばれている。内容はきのうA4の紙1枚に要約をして、複写は10枚ほどを荷物に含めた。
ここ数日の天気予報は台風14号の接近をかまびすしく伝えている。しかし神田に降る雨は意外や大人しい。会場は鍛冶町のビルの4階。僕は定刻の15時より5分ほど前に到着をした。
先ずはこの場所に事務所を持つ税理士ワダノリコさんの事例発表。次は僕の発表。最後に経営コンサルタントシオザワタカヨシさんの、決算書の仕分けを見させていただいて、会は20時に完了した。
人見知りの僕でも、勉強仲間となら何時間でも話していられる。神田の居酒屋には何時ころまでいただろう。
外へ出て傘は開いたものの、雨はやはり静かで、風はそよとも吹いていない。スマートフォンが伝えるニュースは、半日ほども目にしていない。あるいは台風は、どこかへ去ってしまったのかも知れない。
朝飯 蓮根の梅肉和え、茄子とピーマンのソテー、大根おろしを添えた厚揚げ豆腐の網焼き、納豆、生のトマト、なめこのたまり炊、秋刀魚の梅煮、メシ、サニーレタスの味噌汁
昼飯 「小諸蕎麦」のたぬき蕎麦
晩飯 「やきとんうまか市場まるし」のあれや、これや、それや。チューハイ、それを濃くするための「ナカ」
2020.10.8(木) コロモガヘ
「着ぶくれるくらいなら、薄着で寒さに震えていた方がマシ」という、僕とおなじ性向を持つのが販売主任のハセガワタツヤ君だ。その彼が、きのうは半袖ポロシャツの上に長袖Tシャツを重ね、更には保温と防風の機能を持つベストまで着込んでいたから大いに驚いた。
おなじきのうの夕刻、店内の温度計は20℃を指していた。僕は盛夏と変わらない半袖ポロシャツ1枚の姿で「ちょっと涼しいかなぁ」くらいのところだった。道の駅「日光街道ニコニコ本陣」の在庫を見に行く際にも、自転車で風を切りながら、何の痛痒も感じなかった。
しかし朝の天気予報によれば、本日、東京の気温は11月下旬のそれと等しいところまで下がるという。東京がそれなら日光は更に寒かろう、そう考えて、今朝はようやく半袖ポロシャツの上に長袖のTシャツを重ねた。
秋、とくれば真っ先に頭に浮かぶのは紅葉だ。しかしSNSに上がった複数の画像を見る限り、それはおなじ日光にありながら、ウチより1,000メートルも高い戦場ヶ原のあたりでようやく始まったばかりだ。
夏と秋の気温の差が大きいほど、紅葉は美しいという。日光の山々は、今年、その定説を実証することができるだろうか。
朝飯 茄子とピーマンのソテー、納豆、目玉焼き、蓮根の梅肉和え、秋刀魚の梅煮、ごぼうのたまり漬、メシ、きのうの鍋の残りによる味噌汁
昼飯 朝のおかずを流用した弁当
晩飯 トマトとレタスと黒オリーブのサラダ、スパゲティミートソース、Petit Chablis Billaud Simon 2016、バナナと泡クリームを添えたチョコレートケーキ、Old Parr(生)
2020.10.7(水) 小学生の会社見学
日光市立今市第二小学校の、会社見学の予定が今日は入っている。このようなときの対応は、ここ数年は長男に任せてきた。しかし彼はこのところ諸事繁忙にて、今回は久しぶりに、僕がその仕事を受け持つことにした。
約束の9時30分がちかくなるころ、子供たちの声が聞こえてくる。それに気づいて事務室から外へ出る。
挨拶、畑の野菜がたまり漬になるまでの図上説明、そこから蔵に入って水神の碑の説明、更に進んだ最奥部で「たまり」の観察、廃水処理施設の説明、蔵の中を店のちかくまで戻ったところで質疑応答、最後に店に入って商品の説明と、ひととおりを見ていただいての所要時間は45分ほどだっただろうか。最後に資料とお土産を手渡すと、彼らは挨拶をして元気に去った。
それにしても、小学生も3年生ともなれば、見聞きしたばかりのことを、整った字で理路整然と紙に書く、そのことには大いに驚かされた。生まれて10年も経てば、子供はここまで成長をするのだ。今日の会社見学が、彼らの心の糧になってくれれば幸いである。
朝飯 菠薐草のおひたし、納豆、大根おろしを添えた厚揚げ豆腐の網焼き、蓮根の梅肉和え、秋刀魚の梅煮、胡瓜のぬか漬け、ごぼうのたまり漬、メシ、豆腐と長葱の味噌汁
昼飯 ラーメン
晩飯 菠薐草の酢の物、胡瓜のぬか漬け、鮭の日光味噌漬け焼き、豆腐と肉だんごと白菜の鍋、2種の佃煮を散らしたごはん、「明利酒類」の栗焼酎「十三天狗の伝説」(お湯割り)
2020.10.6(火) 経路としては不合理ながら
東武日光線の下今市から上りの特急に乗れば、ほぼ2時間で東京の中心部に達する。大井町は東京の真ん中より西に位置していること、京浜東北線が複数の駅で時間調整を繰り返したことにより、今朝は2時間24分をかけて10時09分に大井町に着いた。そして10時21分にソーマ歯科室の扉を押す。
先月24日の夜に硬い物を噛みつぶして、左下の奥歯の詰め物が一部、欠けた。それを今日は、これまでの金属ではなくレジンで埋めた。次に、こちらはその事故の起きる前から取りかかっていた、右下の奥歯にジルコニアの冠をかぶせるための調整を行う。
治療室に流れる歌の歌詞がいきなり未知の言語に変わったのは、それが、ビル・エバンスの伴奏で歌うモニカ・ゼッタルンドの”Waltz for Debby”だからだ。
ソーマ先生と助手の女の人は、とても丁寧に、時間をかけて、2本の奥歯の治療を行ってくれた。噛み合わせは今日も完璧。そして11時40分に外へ出る。
帰りの経路としては不合理ながら、所用にて本郷三丁目に寄る。そして北千住14:42発の下り特急に乗り、16時すぎに帰社する。
朝飯 冷や奴、「なめこのたまり炊」のフワトロ玉子、菠薐草と榎茸のおひたし、ごぼうのたまり漬、胡瓜のぬか漬け、メシ、トマトと小松菜の味噌汁、薩摩芋の練り切り
昼飯 「日乃屋カレー」の日乃屋カレー生玉子(七分盛)、ツナサラダ
晩飯 長芋のサラダ、大根と人参と胡瓜のぬか漬け、菠薐草のおひたし、焼き秋刀魚、大根おろし、揚げ湯波と3種の茸の味噌汁、酒粕焼酎「日高見」(お湯割り)
2020.10.5(月) 続・それを好む理由
「家飲みを好む」と、きのうの日記に書いた。しかしてまた、僕は外で飲んだり食べたりすることも好きだ。人の作ったものが食べたくなれば、そのときには外へ出る。もうひとつ、世間には未知の楽しい人たちがたくさんいる。そのような方々の謦咳に接するには、やはり外へ出ていかなくてはならない。
「むかしナガサキの街の真ん中に競輪場があったの、知ってる?」と、長崎から遠く隔たった池袋の飲み屋で、いきなり話しかけてきた人がいる。「いえ、知りません」と答えて以降の会話は覚えていない。
「可愛いねぇ、新人?」と、北千住の飲み屋でお運びの女の子に声をかけた人がいる。「ケータイ、教えてよ」と食い下がるその常連を横から引き取って「いいですか、1回しか言いませんよ、しっかり覚えてくださいよ」と店長は念を押しつつ「ゼロキューゼロ、以下、省略」と、半笑いで突き放した。
「沖縄には、スモールってのは、ないんですか」
「そりゃ、スコールのことだんべよ」
「あぁ、スモールは煙か」
「煙はスモークだぁ」
とは、我が街の飲み屋で交わされた、常連同士のやりとりである。
明日は東京へ行く。外飲みの予定は今のところ、無い。
朝飯 ごぼうのたまり漬、らっきょうのたまり漬、納豆、生のトマト、すぐき、焼き鮭、メシ、豚モツと玉葱の味噌汁
昼飯 「カルフールキッチン」のサンドイッチ、ホットミルク
晩飯 マカロニサラダ、カレーライス、らっきょうのたまり漬、Old Parr(お湯割り)
2020.10.4(日) それを好む理由
2時台に目を覚まし、3時すぎに食堂の灯りを点ける。お茶のためのお湯を沸かし、それを冷ましながら、朝倉さやの「日本漬け」をBOSEの小さなプレイヤーに差し込む。
「へー、16ビートできたか。いや、えっ? やっぱり8ビート?」と、リズムが融通無碍に揺れ動く「やさしさに包まれたなら」を聴けば、このたぐいまれな歌姫が、更に、とても優れた人たちの力を得られていることがわかる。それにしても、自作のサンバを歌う民謡歌手の素晴らしさはどうだ、ただ聴き惚れるばかりだ。
しばしばあることではあるけれど、今日は特に店の混み具合にムラが大きい。忙しいのはたいてい昼どきで、その時間帯は当然、社員の昼食の時間にもかかっているから、更に忙しくなる。今日の昼どき、僕が店に立っていたのは90分間ほどだっただろうか。
それと前後して、ふた組のお客様を蔵見学にご案内する。以降の蔵見学は長男に任せた。午後の食卓には、14時過ぎに隠居から戻る家内のために、小さなおかずふたつを食卓に用意する。
夜、長男の焼いた肉を前に、自分が家飲みを好む理由をつらつら考えてみる。第一は「メシが安くて美味い」、第二は「酒が安くて美味い」。しかし「それを言ってはオシマイ」だろうか。第三の理由は「タバコを吸う人がいない」かも知れない。
朝飯 すぐき、胡瓜と茗荷の酢の物、牛肉のすき焼き風、生玉子、ごぼうのたまり漬、らっきょうのたまり漬、メシ、ピーマンの味噌汁
昼飯 焼き鮭、梅干、納豆、2種の佃煮、ごぼうのたまり漬によるお茶漬け
晩飯 トマトと人参とレタスのサラダ、玉葱のスープ、マッシュドポテトとブロッコリーのソテーを添えたローストポーク、TIO PEPE、”Bourgogne Aligote Jayer-Gilles 2014″、チョコレートケーキ、Old Parr(生)
2020.10.3(土) どこにいても
昼すぎ、店に張り出した庇の下にいて、いま隠居で食事ができるかと、3人連れのお客様に訊かれる。即、厨房にいる家内に電話を入れる。果たして「汁飯香の店 隠居うわさわ」は満席だった。
13時30分、昼休みのため本店に戻った隠居係のタカハシリツコさんに、店の駐車場で行き会う。彼女によればその時間にはまた、10名の若い方々がいきなりいらっしゃって、大慌てをしていた頃とのことだった。折角のご来店ながら、その10名様にも、お帰りを願うしかなかったことは言うまでもない。
夜、同報メッセンジャーで、11月3日夜の宴会を打診される。宴会は、遠方に住む仲間の来訪予定を受けてのものだった。僕は即、その席に連なる旨の返信をした。更には往復の列車の席の確保、また特に宿の確保は明日にも行うべく本人に伝えるよう、幹事役に頼む。コロナ禍の最中とはいえ、紅葉の時期の連休ともなれば、日光は人で溢れるに違いない。
どれほど前のことだろう、ある秋、チェンマイにいて「行ってみたい料理屋はありますか」と地元の人に訊かれた。僕は「クルアペッ、ドイ、ンガーン」と、慎重に口にしてみた。相手はそれをどうにか聞き取って、スマートフォンに打ち込んだ。そうして予約は完了した。どこにいても、席の確保は必須と僕は考える。
上澤梅太郎商店が運営する朝食専門店「汁飯香の店 隠居うわさわ」は毎週、土、日、月の営業。開店は8時30分、オーダーストップは12時30分、閉店は14時。電話番号は0288-25-5844(日光ごはん良し)。本店の電話番号0288-21-0002(08:30~17:30)なら毎日、ぐるなびなら24時間、ご予約を承れます。
朝飯 モツ煮、揚げ湯波と小松菜の炊き合わせ、冷や奴、細切り沢庵、ごぼうのたまり漬、らっきょうのたまり漬、メシ、万能葱の味噌汁
昼飯 「ふじや」の野菜麺
晩飯 茹で落花生、大根の煮付け、厚焼き玉子、小松菜のおひたし、焼き鮭、豆腐となめこと万能葱の味噌汁、「平孝酒造」の酒粕焼酎「日高見」(お湯割り)
2020.10.2(金) 時間の配分
水もお湯も沁みるようになった右下の奥歯は、10月の6日と13日の、ソーマ歯科室への通院を以て、治療が完了する予定だった。ところが先月24日の夜に、なにか硬いものを噛みつぶして、今度は左下の奥歯に欠損が生じた。よってソーマ歯科室には、本日の14時30分にも予約を入れさせてもらった。
新橋で床屋にかかり、大井町に着くと、時刻は13時15分だった。床屋が予想外に空いていたことが、時間の読みを狂わせたのだ。思いがけず空いた小一時間は、駅ビルの中の喫茶店で本を読むことに充てた。
ソーマ先生によれば、左下の奥歯は詰め物が外れただけで、治療は簡単とのことだった。それよりも、かねてより治療中の右下の奥歯を今日は優先させることとして、先ずは消毒液で口をゆすぐ。
あれやこれやに引き続いて、棒状のカメラで口の中の右下をなぞられていく。するとディスプレイには、次第にその部分の、精巧な立体映像が組み立てられていった。最新の歯科技術では、石膏で型を取るなどは、もはやしないらしい。この映像を歯科技工士に電送すれば、精巧な冠ができてしまうのだ、多分。
ソーマ歯科を出たのは16時02分。京浜東北線は、川崎で発生した事故により不通になっていた。大井町から山手線の各駅へは臨海線で大崎を経由するよう、臨時の案内板に書かれている。それに従って神田、そこから末広町に至る。
午後の時間の読みは、ほぼ正確だった。次男と待ち合わせての夕食は、18時すぎに完了した。そして浅草18時59分の下り特急に乗って、21時前に帰宅をする。
朝飯 納豆、揚げ湯波と小松菜の炊き合わせ、豆腐の茸と挽き肉の餡かけ、茄子とパプリカの素揚げ、ごぼうのたまり漬、細切り沢庵、メシ、若布と長葱の味噌汁
昼飯 「じゅらく」の秋刀魚の塩焼き定食
晩飯 「鳥陣」のあれや、これや、それや。チューハイ、それを濃くするための「ナカ」
2020.10.1(木) 数百キロが
朝、facebookを開くと、バンコクに住む同級生コモトリケー君からメッセージが入っていた。この3月に僕が持参した辛ひしおは少しずつ大切に食べてきたが、遂に底をつきかけた。よってその最後のところは瓶にマヨネーズをひねり出し、それと混ぜて残すことなくすくい上げたと、空になった瓶の画像も添えられていた。
大豆、米、大麦、小麦による4種の麹を低温で長期にわたり熟成させた「ひしお」を初めてタイに持ち込んだのは、2018年3月のことだ。それには、ある理由があった。
あるとき店に中華系と思われるお客様が大勢でいらっしゃった。たまり漬も買ってくださったが、特に「ひしお」は大人気で、冷蔵ショーケースはたちまち空になった。蔵の冷蔵庫に在庫があったのは幸いだった。急遽、これを店に運び、お客様の需要にお応えをした。
お訊ねをしたところ、お客様はシンガポールからの旅の途上にあって、「ひしお」は魚の清蒸に添えるとのことだった。
それから数ヶ月を経た2008年3月、僕はタイへの荷物に「ひしお」を加えた。そしてその旅の最終日、チャオプラヤ河畔の料理屋に、それを持ち込んだ。タイでは魚の清蒸をプラーヌンマナオと呼ぶ。プラーは魚、ヌンは蒸す、マナオはライム。広東からインドシナを南下するうち香草と果実を加えられ、遂にはむせかえるほどの香りを放つに至った海鮮料理である。
その日の魚はスズキだった。その横腹に「ひしお」を匙でひとすくい、ふたすくいすると「もったいねぇから、そんなに載せるな」とコモトリ君は僕の手を止めさせた。残りはバンコクへ置いていけ、ということだ。
「ひしお」は、プラーヌンマナオよりも、香りの大人しい広東の清蒸に、より似合うと僕は感じた。しかし良い経験をした。
コロナ騒ぎさえなければ、この秋はウドンタニー、夜行バスに10時間ほど揺られてチェンライ、そしてバンコクに戻る、9泊10日の旅をするはずだった。これが実現していれば、そのときには「ひしお」に唐辛子を加えた「辛ひしお」をたずさえていたに違いない。
次の旅はいつになるか。「ひしお」は蔵の、隠居の庭に張りだした最深部で、数百キロが熟成中である。
朝飯 納豆、揚げ湯波と小松菜の炊き合わせ、茄子とパプリカの素揚げ、細切り沢庵、らっきょうのたまり漬、ごぼうのたまり漬、メシ、鶏笹身肉と隠元豆の天麩羅の味噌汁
昼飯 モツ煮、ごぼうのたまり漬、メシ
晩飯 胡瓜と茗荷の酢の物、豆腐と茸と挽き肉の餡かけ、いわし明太の網焼き、薩摩芋の練り切り、「黒木本店」の麦焼酎「百年の孤独」(お湯割り)、月見饅頭、Old Parr(生)





































































































































