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清閑 PERSONAL DIARY

2022.6.25 (土) もりだくさん

「梅と星」は、浅草の観音様ちかくにできたばかりの、羽釜炊きのごはんと梅干に味噌汁、そこに様々な「ごはんの共」を添えて供する伝統と斬新さの並び立つ店だ。こちらの味噌汁の味噌、なめこのたまり炊、大根のたまり漬は、上澤梅太郎商店の商品である。自社の商品をお使いくださっているお店はすべて訪ねて御礼を申し上げたいものの、地理に照らして伺えないお得意様が少なくない。しかし浅草であれば、日光からの交通は至便である。

僕は、浅草にはすこしばかり詳しい。表ではなく裏の北改札から駅を出る。松屋百貨店に沿った通りを横切り、伝法院通りから仲店通りの直前、紅い建物の連なる路地に突き当たって右手に目を遣る。白壁に白木の、清潔にして意外や大きな店は、すぐに見つかった。時刻は9時40分すぎ。ふたつの大きな羽釜の先に伸びる2本のカウンター全12席には3人の先客。

案内されるまま席に着き、品書きを眺める。なめこのたまり炊は「おともみくじ」という、くじ引きで選ぶメニュのところにあった。そこを何とかオネーサンに頼み込んで、くじを引くことなく、なめこのたまり炊を含む「弁財天」を注文させていただく。選べる梅干は、むかしながらのしょっぱくて酸っぱいものをお願いした。

席に届けられたお膳は、お店の意匠に共通する清楚、清潔なものだった。先ずはごはんをひとくち。炊きたてのそれは、驚くほど美味い。そして豚汁もひとくち。こちらも上出来。次はごはんにバターを載せ、なめこのたまり炊をこぼし、更にこの店の名物ふわふわ卵をかける。そしてバターの融けた頃合いを見計らって一気にかき込む。いと美味し。ごはんのお代わりは無料。2杯目は、明太子と梅干で食べた。

素晴らしい店である。新仲店のひとつ裏の路地、という立地は便利且つ落ち着きに満ちている。これから浅草を訪ねる人の人の数が増えれば、そのうち行列もできかねない。日光から東京に出るには、浅草の手前の北千住で下車するのが僕には便利だ。しかし朝から東京に来る用事のあるときには、できるだけ「梅と星」で食事をしたいと感じた。

浅草から上野まで地下鉄で移動し、炎天下を歩いて東京国立博物館の平成館を訪ねる。開催されているのは、沖縄返還50周年を記念しての「琉球展」。展示品のすべては素晴らしいものの、文化的遺産の多くが沖縄戦で焼尽した歴史は悲しい。僕の目を最も惹いたのは、漂着した琉球人を壱岐人に托して送還する旨を記した朝鮮の公文書。数百年前の漢文でも、その内容は現在の外交文書と、ほぼ変わらないのではないか。

梅雨明けを思わせる猛暑にて、体力を温存すべく、博物館から鶯谷まではタクシーを使った。そして山手線でふた駅を移動して御徒町に至る。

先般、自由学園男子部の同級生アリカワケンタロー君が長年の研究を評価され、紫綬褒章を受けた。これまた同級生アケミツシ君が創業したポポラマーマの御徒町店でのお祝いには、アリカワ夫妻、そして16名が集った。同級生のうち、病に斃れた者は既にして1割を越える。元気で会えることには感謝をしなければならない。

宴は昼すぎから夕刻まで続いた。大江戸線を使うカゲヤマカズノリ君とは上野広小路の駅で別れた。そして浅草18:59発の下り特急に乗り、21時前に帰宅する。


朝飯 「梅と星」の「なめこのたまり炊」の弁財天定食
昼飯 「ポポラマーマ_バル御徒町店」のあれやこれやそれや更にあれやこれや、幾種類かのワイン。


美味しい朝食のウェブログ集は、こちら。

  

上澤卓哉

上澤梅太郎商店・上澤卓哉

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