2026.7.1(水) 伊豆治療紀行(46回目の2日目)
目を覚ましたのは2時44分。以降、いくらかは眠れたのか、それとも眠れなかったのか、気がつくと障子の向こうは明るくなっていた。
家内とほぼ毎月の頻度で通い続けている治療の一泊二日の食事については、今年の1月から、宿では摂らなくなった。初日の夕食は外で、翌日の朝食はコンビニエンスストアで買ったもので済ませるように、自然となった。一番の理由は宿の食事に飽きたこと。また経済合理性の点でも、馬鹿にならないことが分かったからだ。
「伊豆高原痛みの専門整体院」での今日の治療は、きのうほどは痛みを感じずに済んだ。そして来月の予約を入れて、レンタカーで伊東の駅前へ戻る。
東京駅まで行く家内とは、東海道新幹線の車両が品川駅に着いたときに別れた。先月26日の日記に書いた「本と財布とカードーケースとiPhoneを同時に収められるケース」は、京橋のmont-bellで買った。値札には「ピンク」と色の表記があるものの、実際には鮮やかなオレンジ色だから、青いトートバッグの中では極端に目立って取り出しやすい。
京橋から日本橋までの石畳には、まるでタイの歩道のそれのようにぐらつくものが、僕が踏んだだけでも2ヶ所もあって驚いた。管理者は東京都だろうか、それとも中央区だろうか。
家内とは16時55分に待ち合わせて夕食を摂る。そして浅草19:19発の下り特急に乗って、21時過ぎに帰宅を果たす。
朝飯 「セブンイレブン」の2種のおむすび、同ひきわり納豆汁
昼飯 「ドトール」のチーズインミラノサンド、コーヒー
晩飯 「吉野鮨本店」のあれや、これや、それや、他あれこれ、「櫻正宗」の「特撰本醸造」(燗)
2026.6.30(火) 伊豆治療紀行(46回目の1日目)
洗面所で顔を洗いながら、右手の低い棚に置かれた電波時計に目を遣る。時刻は1時11分だった。食堂のテーブルには、いまだ読みはじめていない本があった。紺色の表紙には、金色のフランス語がゴシック体で捺してある。そのひと文字ひと文字を、ウェブ上の辞書に並べてみる。金文字は「カモメたちと本を読む日々」と訳された。
先般、ある人が自分の本棚の画像をSNSに上げていた。その最上段から最下段まではビジネス書で埋め尽くされていたから「えっ、こんなのしか読まねぇの?」と一驚を喫した。しかし僕も、人のことは言えない。僕は逆に、ビジネス書のたぐいは一切、読めないのだ。
と、ここまで書いたところで家内が起きてくる。時刻は1時52分。家内はすぐに、テレビの電源を入れた。それから100余分。日本は称賛に値する善戦をするも、最後の最後でブラジルに勝てず。しかい森保一監督は、事故や病気が無いかぎり、4年後も監督を務めているだろう。
下今市10:52発の上り特急に乗れば、伊東には14時41分に着く。駅前のレンタカー屋で予約済みのクルマを借り、まずは宿に入る。しかしゆっくりはせず、16時すこし前に「伊豆高原痛みの専門整体院」の扉を押す。
先生は、診察台にうつ伏せた僕の背骨を右側から押しつつ僕の体を揺らす。先生の手が腰から首まで上がったところで今日の治療の、先月ほどは楽に済まないことを悟る。からだが固くなっているのだ。
9000ボルトを発する電子ペンの一発目は、右の肩甲骨と背骨のあいだに打たれた。気持ちの良いものでないことはもちろんのこと、痛みも感じる。電子ペンは上から下へ向けて5ヶ所ほどに打たれ、それが繰り返されるうち、痛みは熱さに変わり、その熱さも徐々に引いていく。次は腰。これは痛い。その次は膝の裏側。これも怖い。最後は診察台に座って膝の表側に電子ペンを打たれる。昨月の治療よりはよほど辛い。しかし数年前の拷問まがいの激痛にくらべれば、いまだ楽というものだ。
夜は、先月の帰り際に予約をした店で夕食を摂る。宿に戻っては、温泉に浸かってから安楽に就寝をする。
朝飯 たらこ、莢隠元の胡麻和え、大根と豚三枚肉の淡味炊き、炒り豆腐、胡瓜のぬか漬け、なめこのたまり炊、たまり漬「七種刻み合わせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、揚げ茄子と若布と万能葱の味噌汁
昼飯 「日本橋だし場」の「だしわっぱ飯」、JAVA TEA
晩飯 “Brasserie ChouChou”のグリーンサラダ、帆立貝のブルゴーニュ風バター焼き、パン、オーストラリア産サーロインのステーキ、クレームブリュレ、ソーヴィニヨンブランのグラスワイン、ランドックのグラスワイン、サントリー「角」(生)
2026.6.29(月) 思わず膝を打つ。
前にも書いたことだが、釣銭をつくる、という非生産的な仕事が結構、好きだ。その内容は、希望する金種と金額を専用の用紙に書き入れ、溜まった種銭と共に、開店直後の銀行へ持参する。両替は直ぐにはできないため、午後に裏を返し、細かくなった紙幣や硬貨を受け取る、というものだ。
会社に戻ると間もなく、屋上の雨漏りの原因を突き止め、対策を決める業者との立ち会い。次は、蔵の大屋根から雨水を落とす樋の、新たな配管を請け負う業者との現場での検討。その間に来社した銀行の人に、入金と振込みと払戻しの依頼。次は、高いところにある電気器具の修理について、これまた業者に相談と、11時くらいまでは息をつく暇もなかった。
「どうしてタイばかりに行くんですか」と訊かれるたび「タイは空気がユルいんです」と答えてきた。しかしこれでは抽象的すぎて、理解は得られづらいだろう。ところが先般、タイへ行く理由の羅列をTikTokに上げている人がいて、思わず膝を打った。そのすべては以下。
……
タイ料理、タイマッサージ、そして夜遊び。気づけばマイペンライ精神。「何をしに?」と訊かれても、うまく答えられない。行き先も決めない、予定も入れない。ただのんびり過ごすだけ。仕事の電話もLINEも今だけは見たくない。何度も通う人なら分かるかも知れない。何かを足していく旅じゃなく、頑張ることを休む旅。余計なことは考えない時間。思いつきで動く楽しさ。寄り道すら楽しい。そんな時間がいつの間にか好きになって何度もタイに行く。案外、そういう人も多い気がするけど、あなたはどうですか。
……
僕は極端な早寝早起きだから、夜遊びはしない。昼はプールサイドで本を読んでいるだけだから、思いつきで動くことはしない。行くところはメシ屋とマッサージ屋だけだから、寄り道はしない。会社や取引先からのメールや電話はウェルカム。それでも今朝の動画には言いたいことを言ってくれた思いがしたから、すぐに保存をした。
次は9月。滞在をするのはウドンタニーとチェンライ。動画はバンコクで撮られたものだった。「田舎はもっと、ずっと良いぞ」と、主には声を大にして教えて上げたい。
朝飯 揚げ茄子、大和芋のすりおろし、納豆、なめこのたまり炊、たまり漬「七種刻み合わせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、トマトとズッキーニと若布の味噌汁
昼飯 にゅうめん
晩飯 「食堂ニジコ」のキューリのからし和え、ピータン、鶏もも肉の唐揚げ、チャーハン、えび塩焼きそば、麦焼酎「二階堂」(お湯割り)、家に帰ってからの花林糖、Old Parr(生)
2026.6.28(日) どちらが先か
東の空には朝日による紅い帯が細長く横たわっているものの、その上には黒く分厚い雲がうず高くあるため、屋上へ上がることはしなかった。そして今朝も地震。震源地は岩手県沖。青森県と岩手県の人には、しばらくは不安な日々が続くことだろう。阪神淡路大震災の前日、1995年1月16日の、たまたま大阪にいた荒木経惟の日記には「ブキミな空」との書き込みがある。もっともそれが、本当に当日に書かれたものかどうかは分からない。
「汁飯香の店 隠居うわさわ」に11時30分にご予約をくださったお客様からご希望をいただいて、午後一番に蔵の中をご案内する。それに先立って、写真をご覧いただきながらのご説明は、先日、実を収穫したばかりの梅の木の前で、傘をさしながらさせていただいた。
隠居の庭に咲く花は、いまは紫陽花が盛んだ。そして梅雨が明ければ、それと入れ替わるようにして百日紅が開くはずだ。その名の通りに、長くお客様の目を楽しませてくれれば有難い。さて百日紅の花と、軒先の風鈴は、どちらが先になるだろう。
朝飯 たまり漬「刻みザクザクしょうが」と玉葱を薬味にした納豆、大和芋のすりおろし、鰻の佃煮、たらこ、なめこのたまり炊、たまり漬「七種刻み合わせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、トマトと若布とズッキーニの味噌汁
昼飯 にゅうめん
晩飯 マカロニサラダ、パン、エリンギのソテーと茹でたブロッコリーを添えたハンバーグステーキ、Cono Sur Bicicleta Reserva Cabernet Sauvignon 2018
2026.6.27(土) 傘と本の関係
2時台の起床。洗面所を経由して食堂には2時40分に入る。きのうの日記を書き上げて時刻は3時29分。食卓には、きのう持ち歩いた文庫本2冊がある。いまだ棚に戻していないのは、開いたり閉じたりを繰り返した傘により、トートバッグの中で濡れたからだ。来月はじめの上京時には、本と財布とカードーケースとiPhoneを同時に収められるケースを買うことにしよう。
4時を15秒ほど過ぎたところで地震を感じる。地震は、きのうの昼過ぎにも感じた。更にはきのうの夜の寝入りばなにも感じた。検索エンジンの先のページによれば、きのうの午後の震源地は千葉県北東部、夜のそれは山梨県東部、今朝のそれは千葉県北西部とのことだった。
テレビの天気予報は相変わらず、ふたつの台風について伝え続けている。列島の各所では、きのうから鉄道が乱れている。しかし日光地方の雨はきのうから今朝にかけても、夜にのみにて上がった。よって午前中には、先週土曜日の、おばあちゃんの祥月命日に供えたお墓の花を片付けることができた。
とはいえ商売の方は、本店も、また道の駅の方も、当ての外れた格好になった。この週末は、出を控える人が多いのかも知れない。その、それほど忙しくないこともあって、午後は新しいLet’s noteの中を、あれこれ調べていく。
僕のLet’s noteには”pic”というフォルダがあり、そこには様々な画像が保存されている。旅の記録もそのひとつで、2007年5月の西安と敦煌からこのかたのものが収めらているはずだった。ところが新しいLet’s noteには、2016年9月のチェンライとバンコクのそれを最後として、以降のものは見当たらなかった。よって以前のLet’s noteを4階から事務室へ降ろし、2017年3月のプレーとバンコクから先月のバンコクまでの、すべての画像を新しいLet’s noteに複写する。
朝飯 揚げ玉、蕪の葉と油揚げの炒り煮、鰻の佃煮、たらこ、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、たまり漬「七種刻み合わせ・だんらん」、なめこのたまり炊のお茶漬け
昼飯 にゅうめん
晩飯 マカロニサラダ、2種のパン、チキンカチャトーラ、TIO PEPE、Chablis Billaud Simon 2018
2026.6.26(金) 雨の模様
きのうの日記を書いて以降は、このところなぜか捗る日本酒の、次の半ダースを能代市の天洋酒店にメールで注文する。
いま使っているnarifuriのジェットキャップは最初のひとつをいバンコクで紛失し、ふたつめを手に入れたときには廃番になっていた。こちらまで失くしては後悔が募る。よって予備として、普段使いのものふたつをamazonに注文する。バンコクでの帽子の紛失は2回。いずれもタクシーを降りるときに、座席に置き忘れた。よってこのところは、タクシーに乗るときには、帽子はザックに仕舞う。あるいはタクシーに乗る可能性のある外出時には、帽子はかぶらないようにしている。
駅へはいつも自転車で向かう。しかし今日ばかりは傘を差して歩いて行く。濡れてもすぐに乾きそうな素材のグラミチのパンツは、家の前の横断歩道をひとつ渡っただけで、ふくらはぎの部分が早くも濡れた。今朝の上り特急は下今市07:45発の「けごん12号」。北千住と上野で乗り換えて、大井町には10時7分に着く。
ソーマ歯科室での治療は思ったより早く終わった。かかりつけの歯科はソーマ歯科のみだが、皮膚科はそのときの症状により、神田と入谷のどちらかに行く。神田では、診察と治療にかかった時間よりも、おなじビルの1階にある薬局での待ち時間の方が、よほど長かった。
持参した傘はmont-bellのもっとも軽いのもので、開いたときの面積は狭い。よって特に、脚の後ろ側が濡れやすい。折りたたみ式のため、外ではカバーから出して開き、建物に戻れば畳んでカバーに入れる。それが今日のような日には、なかなか面倒だ。
それほどの用事もなければ、いつもより早い北千住18:33発のリバティけごん43号に乗り、20時30分より前に帰宅をする。
朝飯 いんげん豆の胡麻和え、目玉焼き、大根おろしを薬味にした納豆、蕪の葉と油揚げの炒り煮、なめこのたまり炊、たまり漬「七種刻み合わせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、豆腐と若布とズッキーニの味噌汁
昼飯 「ドトール」のチーズトースト、コーヒー
晩飯 「加賀屋北千住店」のあれや、これや、それや、他あれこれ、チューハイ、それを濃くするためのナカ
2026.6.25(木) 知らないところの動画
2時55分に目を覚まして3時12分に起床する。夜の雨は止んだらしく、道を行くクルマはワイパーを動かしていない。おとといの日記は一昨日のうちに、きのうの日記は昨日のうちに書いてしまった。だから早く起きても、するべきことは特に無い。そのような時間が、僕には貴重なのだ。
朝の天気予報は、列島の南西海上に発生したふたつの台風について、かまびすしく伝えていた。それによるものか「汁飯香の店 隠居うわさわ」を今週末に予約してくださっているらしいお客様から「臨時休業の可能性はあるか」とのお問い合わせが電話であった。
それをお受けした事務係のツブクユキさんが、僕を振り向く。「そのようなことは、絶対にありません」と、僕は彼女に伝える。3.11の大地震による計画停電の日々にも、また新型コロナウイルスの蔓延により一定以上の床面積を持つ店舗が休業を促されたときにも、僕は店は休まなかった。それが上澤梅太郎商店の、方針である。
夕刻に、長野県からいらっしゃったという女性のおふたりが、揃って「なめこのたまり炊」と「日光味噌のたまり浅漬の素・朝露」を買ってくださった。YouTubeで僕の朝食の動画をご覧になってのことと、そのお客様は教えてくださった。朝食の動画はTikTokでのみ視られるとばかり考えていたが、そうでもないのだろうか。
閉店後、コンピュータにYouTubeを開く。そして「上澤の朝食」で検索をかけてみる。するとその動画は果たして本当に、YouTubeに上がっていた。
周囲のことはすべて知っていなければ気がすまない、という性格の人がいる。僕はその逆で「良きにはからえ」というところがある。それにより、YonTubeの動画については、これまで知らずにいたのだ。
夜は、明日の東京行きに備えて持ち物を整える。5月のバンコクで読み始めた本の、残りのページは少なくなっていた。活字が枯渇をすれば焦燥は必定にて、予備の本を棚に探す。
朝飯 たらこ、法蓮草の胡麻和え、茄子とパプリカの味噌炒り、牛蒡と人参のきんぴら、なめこのたまり炊、たまり漬「七種刻み合わせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、かき揚げと若布の味噌汁
昼飯 にゅうめん
晩飯 モロッコインゲンの胡麻和え、肉じゃが、焼き鮭、胡瓜と蕪のぬか漬け、「齋彌酒造店」の「雪の茅舎秘伝山廃純米吟醸」(燗)、プリン、Old Parr(生)
2026.6.24(水) ほとんどが古書
漢詩の教室の宿題をこなすため、教科書の帯に推薦してあった辞書を一昨日amazonに注文した。それが早くも届いて即、包みを開ける。「非常に良い」と出品者が太鼓判を押していただけあって、その状態は、カバーを除けば「ほぼ新品」だった。
本はほとんど古書でしか買わない。そのあたりについては、僕は非常にケチである。
「他のことについてもケチじゃねぇか」と言われれば、まぁ、そうかも知れない。航空券はエコノミー席のそれしか買う気はしない。”trippen”の短靴”sheet pull”は23年のあいだ履き続けてる。おなじくショートブーツ”scooter wax”は16年のあいだ履き続けている。すこし値の張る服は、買っても惜しくて着ることができない。それが分かってきたから、このごろはユニクロの品か、ぜいぜいTシャツしか買わない。
amazonの古書に戻れば、しばらく前までは「可」に分類をされた、もっとも安いものばかりを買っていた。しかし「ヤケ」により、あるいは傍線だらけで読む気のしないものが届くに至って、最近は「ほぼ新品」か「非常に良い」と評価のあるものしか買わなくなった。2011年に本体価格1円、送料250円の計251円で買った近藤紘一の「サイゴンのいちばん長い日」もヤケがひどかったから、いつかは買い直そうと考えている。
「サイゴンのいちばん長い日」をはじめて読んだのは1980年代のことで、その文春文庫版は紛失をした。状態の良いものを手に入れたら、それはサイゴンで読みたい。ホテルはマジェスティック。夕食は屋上のブリーズスカイバーか、ベンタイン市場の裏の貝焼き屋台。しかし足はどうしても、タイの最北部へ向いてしまうのだ。次は9月のウドンタニー。持参する本は、いまだ決めていない。
朝飯 スペイン風目玉焼き、納豆、小松菜の淡味炊き、胡瓜のぬか漬け、なめこのたまり炊、たまり漬「七種刻み合わせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、蕪とズッキーニと若布の味噌汁
昼飯 にゅうめん
晩飯 玉子焼き、茄子とパプリカの味噌炒り、胡瓜と蕪のぬか漬け、薩摩芋の茶巾しぼり、モロッコインゲンのソテーを添えた鳥のつくね団子、グリーンアスパラガスの豚薄切り肉巻き、「齋彌酒造店」の「雪の茅舎秘伝山廃純米吟醸」(燗)、ヨーグルトムースのブルーベリーソースかけ、Old Parr(生)
2026.6.23(火) 新しい甑
大豆を蒸すための甑、この漢字を読める人は多くないだろうから「こしき」と平仮名で書くべきだろうか。とにかく数週間ほども前に、ステンレス製の新しい甑が製造現場に置かれた。今日はそれを初めて使う日である。日光産の大豆「さとのほほえみ」はきのうから水に浸漬し、それは一晩で充分に水を吸って、大きく膨らんでいる。
甑の下の槽に湯が湧き始めたのは10時45分。大豆が蒸し上がったのは14時45分。大豆を適温まで冷ましたら擂砕機に入れ、適当な大きさに大豆を潰す。そうしたら今度はそれを、既にして塩切り、この塩切りとは塩を混ぜることを意味する専門用語だが、それをしておいた、日光産の「こしひかり」による麹と混合機で混ぜ合わせる。仕上げは、桶に盛り上がったそれに人力で圧力をかけて内部の空気を抜き、表面を平らにならして適当な重石を乗せる。これで味噌の仕込みは完了。
新しい甑を使うに当たっては不安もあったものの、製造係の全員は定時に退社をすることができて良かった。2回目と3回目はちかいうちに行い、それで5年後に蔵出しをする日光味噌「梅太郎赤味噌」については安心、ということになる。
味噌の風味は蔵に漂う酵母によって左右されると伝えられている。それが「蔵ぐせ」というもので、科学的な根拠については不明ながら、上澤梅太郎商店の味噌は、いつ造っても上澤梅太郎商店の味になるのが不思議といえば不思議である。
今日の大豆と麹は、夏を過ぎるころには盛んにアルコールの香りを発するようになるだろう。それを我々は「噴く」と言う。今から楽しみでならない。
朝飯 生のトマト、グリーンアスパラガスのソテーを添えたベーコンエッグ、納豆、胡瓜のぬか漬け、なめこのたまり炊、たまり漬「七種刻み合わせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、若布と玉葱とズッキーニの味噌汁
昼飯 にゅうめん
晩飯 生の胡瓜、キクラゲともやしの牡蠣油炒め、厚揚げ豆腐と小松菜の炊合せ、鶏もも肉とパプリカの醤油炒め、「齋彌酒造店」の「雪の茅舎秘伝山廃純米吟醸」(燗)
2026.6.22(月) 夏至のころに
角部屋の食堂の、南東と南西に面した窓を、今年はじめて朝に開け放つ。暗くて寒い冬の日々にはいつも、半袖シャツ一枚で過ごせる季節、朝に外の空気を部屋に通すことのできる季節に思いを馳せていた。その季節がようやく来たのだ。
僕の仕事は体を動かすたぐいのものばかりではない。それでも月曜日は、日曜日よりも、何にでも使える時間は多い。事務室にいて家内の机に目を遣ると「汁飯香の店 隠居うわさわ」のお客様にいただいた感想カードが積まれている。そのうち赤いボールペンでチェックを記していないものは、僕がいまだ目を通していない一群だ。その束を自分の机に持ち来てコンピュータにデータベース化する。その勢いに乗じて、きのうとおとといにいただいたご感想まで入力を済ませる。
上澤梅太郎商店が運営する朝食の専門店「汁飯香の店 隠居うわさわ」に、現在いただいている最も先のご予約は11月のものだ。残された写真などから推し量れば150年は経っているだろう伝統家屋の席数は少なく、満席の常体化しているところが悩みといえば悩みである。
販売係のササキセーラさんと二人で店番をしていた16時40分に、長男と入れ替わりで自宅へ戻る。服装を整えて革靴を履いたらホンダフィットの運転席に着き、県南を目指す。オヤジが亡くなったときにはとことん良くしてくれ、その後もオヤジの祥月命日には花を供えに来てくれる人のお母さんが亡くなったのだ。
新型コロナウイルスの蔓延以降は随分と簡単になったお悔やみではあるけれど、今夜の通夜式には最後までおつきあいをした。そしてまた、東北道、日光自動車道と、高速道路を戻る。その時間になっても、空はいまだ明るさを残している。
「願わくは花の下にて春死なむ」と西行は詠んだ。「しかし夏至のころに死ぬのも悪くはねぇな」と、その空を真正面に望みながら思う。
朝飯 豚薄切り肉ときくらげの中華風炒め、冷奴、納豆、なめこのたまり炊、たまり漬「七種刻み合わせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、トマトとズッキーニと若布の味噌汁
昼飯 にゅうめん
晩飯 ベビーリーフを添えたスパゲティボロネーゼ、Cono Sur Bicicleta Reserva Cabernet Sauvignon 2018









































