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清閑 PERSONAL DIARY

2019.6.25 (火) タイ日記(6日目)

早朝に目を覚ましてから朝食までの、日記を書く以外の時間はほとんど荷造りに費やす。スーツケースは機内持込可能の大きさのため、よほど几帳面に詰めていかないことには、すべてのものが収まらない。「だったらスーツケースを大きすればいいではないか」と言われれば、スーツケースは冷蔵庫と同じく、大きくすると、不要の中身も増える。本当に必要なものは、実際にはそれほど多くないのだ。

プールサイドには8時59分に降りた。まさかバンコクのことだから寒くはないものの、今日は珍しく暑くもない。本は1冊目を終えて2冊目に入った。日傘の下でそれを読んでいると「失礼ですが、これはあなたがお使いになりますか」と丁寧な英語で訊ねられた。相手は30代くらいの東洋人で、視線は前の客が放りだしていったキックボードを指している。「いえ、どうぞお使いください」と返事をする。

ふたたび顔の上に本をかざして続きを読む。遠くから聞こえてくる、その東洋人の娘らしいふたりの子供のはしゃぐ声は、日本語によるものだった。行儀の良さは、他者への心地よさをもたらす。まぁ、当たり前のことだ。

昼前にサパーンタクシンへ行く。アイコンサイアムへの渡し舟は、これまでの、この桟橋のもっとも下流側ではなく、もっとも上流側、つまり対岸に渡るフェリーボートとおなじところに発着の場所を変えていた。しかも混み合ったときの雨除けとして、テントまで用意されている

アイコンサイアムで先ずは、3月にも来た6階の”FaLLabeLLa”でひと休みをする。最初に案内されたソファから眺めの良い手すり沿いの席に移ると「そこは日が差して暑いでしょ」と、お運びのオネーサンは笑った。南の国の人と、そうでない人は、日差しについての感覚に異なるところがある。あるいは「南の国の人と観光客とでは」と言い換えるべきだろうか

眺めの良い席でマンゴージュースを干してから、5階、4階、3階と、エスカレータを使ってグランドフロアに降りる。アイコンサイアムで混み合っているのはグランドフロアの、それも古き良きバンコクの運河や屋台、ランナー朝の建物を模した売り場のある”sook SIAM”のみだ。「タイには富裕層がいるから」とはいえ、高級店はおしなべて、ショールームとしてしか機能していないように思われる。しかも賑わう”sook SIAM”の中にも、3月にはあった店が早くも消えていたり、あるいはテナント待ちのようにして空いている売り場もあった。昼食はそのグランドフロアの、3月にも来た繁盛屋台で摂る

サパーンタクシンに戻る舟から望むマンダリンオリエンタルホテルは、大規模に改装中だった。このホテルは進化を怠らない。そしてますます高嶺の花になっていくのだろう。サパーンタクシンからホテルに戻り、地下1階に入るトップスマーケットで最後の買い物を済ます。レジ袋は廃止をされて、キャッシュレジスターのかたわらには大口の客のための段ボール箱が積み上げてあった

アイコンサイアムとトップスマーケットで買った社員への土産をスーツケースに納めて荷造りを完了する。チェックアウトをしてロビーを横切っていくと「タクシーはお呼びしますか」とかならずベル係に訊かれるが、答えはいつも”No thank you”だ。外へ出て、しかしここで魔が差す。チャルンクルン通りを渡り、サトーン通りでタクシーを拾う。そして100メートルもいかないうちに渋滞に巻き込まれる。

乗ってから40分が経ったところで、しかしタクシーはいまだクロントイで渋滞の中にいる。「トンローまで、あと10分じゃ無理かな」と、年老いた運転手に身振り手振りで訊く。「とてもとても。あと45分はかかるかな」と、運転手は自分の腕時計を示しつつ苦笑いを浮かべる。ふと気づいてザックからiPhoneを取り出しgoogleマップを開く。そして最寄りのMRTの駅を親指と人差し指で拡大し、そのタイ語の表記を運転手に見せる。「オー、シリキッ」と運転手は「そうか」という顔で頷く。僕は「チャーイ、シリキッ」と答える。

シリキットコンベンションセンターから乗った地下鉄をスクムビットで降り、アソークでBTSに乗り換える。そして日曜日までいたトンローで降りる。最初からBTSを使っていれば30分もかからず、かつタクシー代も不要だった。今後、バンコクで平日の夕方にタクシーに乗ることは控えよう。

「九段下寿司政のしんこを食べないと、私の夏が終わらない」と山口瞳は言った。僕の場合「トンロー55ポーチャナーのオースワンを食べないと、僕のバンコクMGは終わらない」のだ。これが食べたくても、トンローにいるあいだは会食があって、それが果たせなかった。その55ポーチャナーの、外の席に着く。近づいて来たお運びのオネーサンに開口一番「オースワン」と告げると、オネーサンはにっこりと笑った。

その牡蠣の卵とじを待つあいだに、持ち込んだラオカーオをソーダで割る。今日から読み始めた、1986年の小さな活字による分厚い文庫本を開く。気持ちが一気にほどけていく。スクムビット通りの排気ガスさえ香しい。そして「オレがタイでしたかったことはこれなんだ」と、深々と息を吸う。

20:31 エアポートレイルリンクの車両がスワンナプーム空港に着く。
20:48 チェックインを完了。
21:10 保安検査場を抜ける。
21:45 指紋認証を採用して一気に能率の落ちたパスポートコントロールを抜ける。
21:59 C2Aゲートに達する。

22:20 空港ビルからバスで運ばれで搭乗席は2割ほどしか埋まっていない
23:02 “BOEING 740-400″機材とする”TG682″は定刻に17分おくれて離陸。


朝飯 チャルンクルン通りソイ46を西に入って右側のクイティオ屋台のセンヤイナム(トッピングのルアットムーは特注)
昼飯 “sook SIAM”のカノムチーン屋のカノムチーンゲーンキヨワーン
晩飯 「55ポーチャナー」のオースワンラオカーオ”BANGYIKHAN”(ソーダ割り)


美味しい朝食のウェブログ集は、こちら。

  

上澤卓哉

上澤梅太郎商店・上澤卓哉

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