2022.1.4(火) 未知の土地
クリスマスを過ぎるころより小口現金の残高を普段の倍にした。それでも「日光の美味七選」の仕入れ、店舗犬走りに飾る鉢植えの万両、鏡餅や柱飾り、師走20日に退職して以降は大晦日までアルバイトとして働いてくれたフクダナオブミさんへの賃金、初売りとその翌日に支給した昼食代などにより枯渇、というより立替が発生した。
銀行は今日から営業を再開する。即、現金を下ろしてくる必要がある。とはいえ新年ひとり目の客が小切手による払い戻しでは、銀行の人も「ゲンが悪い」と感じるのではないか。そう考えて、銀行へは朝一番ではなく、しばらく間を置いてから出かける。
午後はお取引先様への新年の挨拶のため、長男と県央へ向かう。宇都宮の南部には平地が広がり、長屋門を持つ大きな農家が目立つ。そのような農家の母屋は多く、北側に杉に代わって巨大な欅を背負っている。おなじ栃木県内でも、まるで未知の土地に来たような気持だ。
来た道を夕刻に戻れば、日光の山々は朝と変わらず雪雲に覆われていた。しかし雲はその部分を除いては見えない。明日も良い天気になるだろう。
朝飯 お雑煮、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」
昼飯 「すき家」のカレーライス
晩飯 めかぶの酢の物、白菜キムチ、蒸し鶏の中華風サラダ、青椒肉絲、麦焼酎「こいむぎやわらか」(お湯割り)、苺
2022.1.3(月) 正月の飾り
むかし正月は15日の成人の日まで賑わった。いまはせいぜい、最初の週末までだ。その最初の週末が、今年は元旦と2日である。その分、人の引きも速いだろう。とにかく今日までは、臨戦態勢でいることとする。
前の年にくらべて商品の売れ方が違うとは、短期決戦においてしばしば見られることだ。昨年は売り切れを懸念して多めに納品し、しかし予想したほどでもなかった品が、今年は並べるそばから売れてしまう、ということが道の駅「日光街道ニコニコ本陣」で起きている。それに気づくたび会社に飛んで戻り、包装主任のヤマダカオリさんに増産を頼む。これをきのうから何度、繰り返したことか。
「賞味期限を長くして、それを大量に納めておけば良いではないか」と言われれば、新鮮な品ばかりをご提供することを旨としている上澤梅太郎商店に、それはできない相談でる。
社員へのお年玉は、昼のうちに家内に袋詰めしてもらっていた。それをパートタイマーには夕刻に、正社員には修業後に手渡す。
鏡餅は11日に降ろし、門松をはじめとする正月飾りは15日に下げる。店舗奥の活花は、これが保つ限り、飾っておこうと思う。
朝飯 お雑煮、なすのたまり漬のからし和え
昼飯 「やぶ定」の会社支給の親子丼
晩飯 蒲鉾、田作り、松かさ焼き、めかぶの酢の物、「朝露」で漬けた松前漬け、蛸とピーマンのマリネ、黒豆、「久埜」の栗きんとん、牛肉と豆腐と芹と水菜の鍋、「山本合名」の「天杉山廃純米」(燗)
2022.1.2(日) 初売り
きのうの午後は昼寝をしたにもかかわらず、そして夜は早く寝に就いたにもかかわらず、今朝は6時まで眠ってしまった。まるで幼稚園生なみの睡眠時間である。からだが何かを取り戻そうとしているのかも知れない。即、製造現場へ降りて、朝飯前の仕事に取りかかる。
朝礼には、後から来るパートタイマーを除いてズラリと社員が輪になる。みな無事に新年を迎えられたようで嬉しい。いつの頃からか毎年、新春最初のお客様に地酒の4合瓶を進呈するようになった。その進呈係として開店前に店に呼ばれる。今年のお客様も、意外なプレゼントに驚き、喜んでくださった。
夜が明けたときにはうっすらと雪の積もっていたきのうとは異なって、今日の空は晴れ上がった。「日本の正月は、やはりこうでなくては」と思う。正月といえば、むかしは凧揚げ、独楽まわし、羽根突きが遊びの代表だった。今それをする人は、どれほどいるだろう。「雑煮にだけは無くなってもらいたくねぇな」と心から思う。
道の駅「日光街道ニコニコ本陣」への納品のついでに如来寺のお墓に寄る。花立てに水を足すためだ。しかしきのうの朝に供えた白菊はその全体が凍り、花弁は薄茶色に固まっていた。よって叔父のお墓の分も含めて4基の花立てを水場に運び、氷を溶かすため、水を満たした閼伽桶に沈める。ここから先は、素手では無理だ。ゴム手袋を取りに会社へ戻り、ふたたび水場に立つ。そして「オレの日常には、神仏に関係することが多いなぁ」と感じる。
夜はいま家にいる全員、すなわち僕と家内と長男の3人にて街のフランス料理屋を訪ねる。市場が休みになる正月は、カレーライスとハヤシライスに限って食べさせてくれるのだ。
この店も含めた日光の優れたあれこれについて「鄙には希な」とする僕に対して「冗談ではない、これを語りて平地人を戦慄せしめよ、だ」と長男は言う。まぁ、その通りなのだろう。
朝飯 お雑煮、なすのたまり漬のからし和え
昼飯 「コスモス」の会社支給のハンバーグデミグラス弁当
晩飯 “Finbec Naoto”のポテトサラダ、ごぼうのスープ、牛頬肉のハヤシライス、らっきょうのたまり漬、きゅうりのたまり漬、チーズの盛り合わせ、ワインリストのブルゴーニュのページでいちばん安かった赤ワイン、ダークチェリーのタルト、コーヒー
2022.1.1(土) 元旦
7時に家内、長男、きのう帰省した次男、孫のリコに僕を加えた5人で如来寺のお墓へ行く。昨年の元旦には水場が凍りついて水が出ず、供華のための水はコンビニエンスストアで買った。それを家内が覚えていてくれたため、今朝は瓶に詰めた水を持参した。
雪の積もる朝は、昨月28日から数えて今日で3日目になる。マッチを擦ろうとする指先はかじかんで、蝋燭の火はすぐに消える。仕方なく新聞紙をもやし、そこに近づけてようやく線香に火を点ける。
道の駅「日光街道ニコニコ本陣」への、開店前の納品は長男と行う。これが思いのほか長引いて、家の仏壇、神棚、お稲荷さん、水神、地神の5個所に雑煮を供えることは、次男に電話で頼んだ。
1月1日の朝は、いつもひもじい。9時がちかくなるころに、ようやくお雑煮にありつく。道の駅への本日2回目の納品を済ませて後は、寝室に入ってしばし休む。
10時45分に家族全員、数えてみれば総勢7人にて、先ずは瀧尾神社へ赴く。そして昇殿をして祈祷を受ける。そこから今度は追分地蔵尊に回り、こちらでも無病息災を祈る。昼食は抜いて、午後はまた寝室で休む。
16時に起きて、道の駅に本日3回目の納品をする。要冷蔵の新鮮な商品は、小まめな補充を必要とするのだ。17時30分より製造現場に降りる。そして明朝、包装係が出勤するなり仕事に取りかかれるよう、段取りをする。
世間の大部分が休んでいるときに働くことを、僕はいとわない。医療や介護の従事者、人の命を救うために働く公務員、また宿泊業の人たちにくらべれば、僕の今日の仕事など、どうということもない。
18時すぎに食堂へ戻り、ことし初めての酒にありつく。風呂の湯は夕食の前に溜めておいた。そして21時すぎに就寝する。
朝飯 蒲鉾、鯛の酢締めの昆布巻き、伊達巻き、たぐり湯波の淡味炊き、田作り、黒豆、「久埜」の栗きんとん、お雑煮
晩飯 蛸のマリネ、蒲鉾、鯛の酢締めの昆布巻き、伊達巻き、すき焼き、「松瀬酒造」の「松の司特別純米酒」(冷や)、苺、「鶴屋安藝」の「利休饅頭」、Old Parr(生)
2021.12.31(金) 大晦日
ひとつの夢から覚めると次の夢が始まる。いくつもの夢を見ながら、眠りという水の中から明るい上の方を目指して浮かび上がっていく。時刻は4時48分。5時を過ぎての起床は「損した感」が強い。即、寝台から起き上がって服を着る。
応接間の、チークの長椅子に作り付けられた小さな机には、白菊6輪の花瓶と鏡餅一対があった。それを仏壇に飾り、更に水とお茶を供える。線香に火を着けるための蝋燭は短くなっているものの、新しく差し替えることはしない。食堂に戻り、きのうのうちに書けているおとといの日記を公開する。
年末にすべきことのほとんどを終えて迎える大晦日は、きのうまでより幾分かは気が楽だ。店や蔵や隠居の正月飾りはすべて、僕以外の人たちがしてくれた。曜日の並びからして正月の人出は数日に限られるだろう。店では既にして、福袋や「日光味噌のたまり浅漬けの素・朝露」による松前漬けの販売を始めている。
日中は、その回数を覚えていられないほど道の駅「日光街道ニコニコ本陣」に通う。新鮮な品を、小まめに売場に並べるためだ。最後の納品を終えて後は如来寺に寄り、今月9日に四十九日の法要をした叔父のお墓を見まわる。
17時50分に場内放送にて、仕事を終えたら作業着のまま事務室へ集まるよう言う。本日、定時まで残った社員は12名。その全員によるジャンケン大会をして、すき焼き用の牛肉からコーヒーに至る賞品を配る。
大晦日の夕食は、いつも決まって鴨鍋と蕎麦。これらを肴に冷えた日本酒を飲み、21時前に就寝する。
朝飯 冷や奴、壬生菜漬けを添えた納豆、温泉玉子、厚揚げ豆腐と小松菜の炊き合わせ、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、なすのたまり漬のからし和え、メシ、揚げ湯波と長葱の味噌汁
昼飯 「大貫屋」のオムライス(ケチャップかけないで特注)
晩飯 めかぶの酢の物、蒲鉾、塩らっきょう、「日光味噌のたまり浅漬けの素・朝露」で漬けた松前漬け、鴨鍋、盛りそば、「松の司」の生酛純米酒(冷や)
2021.12.30(木) 日光の美味七選
製造現場から4階の食堂に戻る。例幣使街道の、杉並木の向こうの空を、いまだ姿を現す前の朝日が赤と金色に染め始めている。好天はいつでも有り難い。
先月27日や30日の日記に書いた「日光の美味七選」の、今日は出荷日だ。地元で優れた品々を作り続けている方たちが朝から続々と、品物を届けてくれる。そのたび小口現金の手提げ金庫から支払いをする。年末のこの時期には特に、充分な現金が欠かせない。
午後1番にて荷作り場へ行く。先ずは蕎麦と蕎麦つゆの器をひとつの袋にまとめていく。そしてそれらが確かに40組あることを確かめる。そこに嫁のモモ君と研究開発係のマキシマアキコさんが手伝いに来る。彼女たちには先ず、他の諸々が確かに40ずつあるか数えてもらう。そのうち長男がそこに加わる。僕は他の仕事に従うべく、その場を離れる。
かつて僕がしていたことを、若い人たちが次々と担ってくれる。この状況はすごく楽だ。「腑に落ちないのは酒を売る人々のこと」と、オマル・ハイヤームは詠んだ。院政を敷こうとする人、自分の仕事を手放すまいとする人こそ僕は不思議でならない。
数時間を経て「日光の美味七選」はすべて荷作りを終えた。これらの品物が、お客様の年末年始の食卓を、より楽しくしてくれることは間違いない。今年もいよいよ残り1日と半分、である。
朝飯 揚げ湯波と蕪の葉の炒り煮、納豆、スクランブルドエッグ、壬生菜漬け、千枚漬け、胡瓜のぬか漬け、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、なすのたまり漬のからし和え、メシ、豆腐と長葱の味噌汁
昼飯 梅干、揚げ湯波と蕪の葉の炒り煮、壬生菜漬け、ごぼうのたまり漬、なすのたまり漬のからし和え、塩鰹のふりかけのお茶漬け
晩飯 厚揚げ豆腐と小松菜の炊き合わせ、大根おろしを添えた鰤の照り焼き、上澤梅太郎商店の松前漬け、2種の蒲鉾、上澤梅太郎商店の塩らっきょう、麦焼酎「こいむぎやわらか」(お湯割り)、「鶴屋安藝」の「利休饅頭」、Chablis Billaud Simon 2015
2021.12.29(水) 14時54分の紅茶
2013年の秋に、箪笥を中味ごと幾竿も捨てるような断捨離をした。同時に住まいを改装し、建築誌の写真に見られるような、片付いた環境が実現した。翌年の秋にオフクロが亡くなった。それを期に業者には2トン車で5台分のものを引き取ってもらい、また家具の一部は欲しいと言ってくださる方にお譲りをした。
断食をして、からだの中の余分なものが消えると神経が研ぎ澄まされ、しまいにはカーテンを降ろした外の様子まで知ることができると、経験者に聞いたことがある。身のまわりを簡潔にすることにより自分の中に散らばったあれこれが整理統合されていくことも、それに似ているかも知れない。
自分のもっとも好きなことは何かと、そのころ考えた。そしてそれは美味い食べものと酒、本読み、日本語が通じないところへの旅の3つに集約をされた。「だったらクルマはどうか」と問われれば、クルマは一握りのイタリア車とブガッティにのみ興味がある。そのブガッティも35系の、更に過給機を積む以前の型こそ好きだ。
オヤジの死後、2006年から参加をし続けた「阪納誠一メモリアル走行会」は昨年「コロナ」で中断を余儀なくされた。しかし1年を置いたのみで、今年は見事に復活をした。
“BUGATTI 35T”のエンジンの、本日の最高回転数は3速で4500。第1と第2の複合コーナーをもっとも速く抜けたときの記録は、進入時が3速3300回転、脱出時は3400回転。第1コーナー、第2コーナー、バックストレッチ、シケイン、下りのS字コーナーから最終コーナーを駆け上がってホームストレッチに戻る西コース1,490.361メートルの周回時間は1分03秒。平均時速85.14Km。
来年も元気にこの日が迎えられれば有り難い。
朝飯 「ホテルルートイン宇都宮ゆいの杜」内「和み」の朝食ブッフェ
昼飯 「ツインリンクもてぎ」内「グランツーリズモカフェ」のカレーライス
晩飯 2種のキャベツのナムル、牛肉と薄切り大根のたまり鍋、Chateau Leoville Las Cases 1984
2021.12.28(火) 慎重に、正確に
部屋の中がほの明るい。「まさか」と飛び起き、カーテンを少しすかせて外を見る。雪は、地表の温度の特に低かったところのみを白くし、道路も、走るクルマの風圧に吹き飛ばされたのだろう、センターライン付近と路肩に残るのみだった。
2022年の元旦は土曜日で、2日は日曜日。そのような並びから、正月休みは例年より短く終わるに違いない。雪が降るなら、その短い休みの過ぎた後にしてもらいたい。
銀行の、ことし最後の営業日は12月30日。新年の営業再開は4日。年内最終日に頼むことは憚られるため、釣り銭の準備は今日のうちに済ませておく。
現在、蔵の脇の駐車場で、鉄の扉を新しくする工事が行われている。その駐車場はまた、重油の納品場所も兼ねている。工事の様子を見かけたのだろう、アンザイ商店のムラカミマコトさんから電話が入る。僕は工事の責任者に声をかけ、タンク車が入るなら今日のうちが良いと、教えられる。そのことを折り返しムラカミさんに伝える。正月中にボイラーの燃料が切れたら、それこそ「油断」である。ムラカミさんには感謝をしなければならない。
何年前のことになるか、菊五郎の、屋根の上での立ち回りを歌舞伎座で観た。「弁天娘女男白浪」の一幕だったに違いない。菊五郎の動きに名優の「慣れ」は窺えなかった。その所作は慎重にも慎重を重ね、正確にも正確を期そうとするものだった。
今年も残すところ今日も含めて4日間。手順を踏み、遺漏を避け、慎重、正確に正月を迎えようと思う。
朝飯 菠薐草の胡麻和え、ハムエッグ、ポテトサラダ、納豆、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、なすのたまり漬のからし和え、メシ、キャベツと若布の味噌汁
昼飯 ごぼうのたまり漬、なすのたまり漬のからし和え、壬生菜漬け、揚げ湯波と蕪の葉の炒り煮、塩鰹のふりかけ、梅干のお茶漬け
晩飯 「ホテルルートイン宇都宮ゆいの杜」内「和み」のトマトサラダ、串揚げ盛り合わせ、「八代不知火蔵」の麦焼酎「白水」(お湯割り)
2021.12.27(月) SMS
パスワードだけでなく、SMSに送られてくる、二重認証のための数字を必要とするウェブショップがある。そのようなサイトに入るときにのみ、僕はSMSを開く。するとそこには過去に届いたおびただしいショートメッセージがあって、しばし驚く。
それらの中には〇月〇日の〇時に訪問してもよろしいかと問うもの、当方の家族の様子を訊ねるもの、あるいは人の死を報せるものなども混じっている。「申し訳の無いことをしたな」と思う。そして「取りあえずは、今年のうちに返事をしておこう」と決める。
オヤジの死後も、ながく社用の年賀状を送り続けてくれた人がいた。あるとき意を決してその会社に連絡を入れ、支社長だったその人と面談の約束を取り付けた。
それから7年が経って用事ができ、電話をすると、その人は既にして会社を退いていた。携帯電話の番号は知っているものの、それは会社から与えられたものかも知れない。ウェブ上を探すうち、その人はfacebookにアカウントを持っていることが分かった。メッセンジャーを読むか否かは不明なものの、しばらくしたら、また「意を決して」みようと思う。
朝飯 千枚漬け、納豆、菠薐草のソテーと目玉焼き、若布と玉葱の酢の物、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、なすのたまり漬のからし和え、メシ、若布と長葱の味噌汁
昼飯 「大貫屋」の味噌ラーメン
晩飯 トマトとサラダ菜と蛸のサラダ、カレーライス、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、Chablis Billaud Simon 2015、ケーキと苺の盛り合わせ、Old Parr(生)
2021.12.26(日) これ以上は
終業後、誰もいない事務室で焦燥を深めている。電話が鳴る。受話器を取り、先方の意図や望むところを紙に覚え書きする。会話を終えて更に要点を書き足そうとしているところに次の電話が鳴る。その繰り返しにて、どれもこれも中途半端なまま、また電話が鳴る。そして「先ほどのことはどうなったか」と訊かれる。訊かれても、何もできていないのだから、何も答えることはできない。
日光市今市の中心部が、どこの国から来たとも知れない人たちに制圧され、異様に静まりかえっている。用があって近所のお宅を訪ねようとする、ただそれだけのことに、異常に神経を研ぎ澄ます。目をつけられれば、どこに拉致をされるか分からない。その静かな街を、僕はひとりで歩いている。
これらふたつの、あまり面白くない夢から覚めると時刻は0時40分だった。いまだ4時間も眠ってはいないだろう。そのまま静かにしていても、眠気は訪れない。そして3時11分に起床する。
目覚めは良くなかったものの、日中は穏やかに過ぎた。ただし気温は急降下だ。いよいよ冬らしくなってきた。今月18日の日記に書いたような雪の予報が、また出されている。数年に1度の強烈な寒波が特に日本海側を襲い、東京にも初雪が舞ったと、テレビは伝えている。北へ15キロ離れた鬼怒川温泉の方から来るクルマはおしなべて、屋根やボンネットに雪を載せている。「これ以上は降らないでくれ」と祈るばかりだ。
朝飯 鶏の蒸し焼き、揚げ湯波の甘辛煮、トマトとブロッコリーのバター蒸し、壬生菜漬け、納豆、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、なすのたまり漬のからし和え、メシ、けんちん汁
昼飯 納豆、揚げ湯波の甘辛煮、揚げ玉、壬生菜漬け、なすのたまり漬のからし和え、ごぼうのたまり漬のお茶漬け
晩飯 トマトとレタスとモッツァレラチーズのサラダ、パンあれや、これや、ポトフ、Chablis Billaud Simon 2015