2022.1.17(月) 教室
起床は3時21分。今朝は製造現場での仕事が無いため、時間は大余裕である。きのう忙しくて読めなかった日本経済新聞の、きのうの朝刊を食堂のテーブルに開く。そして特に第40面の、群ようこによる「紙の本と電子書籍」を興味深く読む。
僕の、コンピュータやインターネットを使ってのあれこれをかいつまんで並べれば以下になる。
1992年04月14日 RICOH LXN20によりモバイルコンピューティングを始める。
1996年06月20日 NIFTYのHome Partyに電子会議室”Banyan-Bar”を開く。
1996年11月01日 パソコン通信によるオンラインショップ”tamari”を開く。
1998年02月14日 西順一郎著「21世紀は感受性の時代だ」を仲間と電子化する。
1998年10月15日 個人のウェブページ「清閑PERSONAL」を開く。
1999年03月29日 上澤梅太郎商店のウェブショップを開く。
2000年09月01日 ウェブ上に「清閑日記」を書き始める。
上記は、世間一般にくらべれば、隨分と先を行くものではなかったか。ところがいわゆる電子書籍には、いまだ手を出しかねている。理由は3つ。
1.自分が本を読む場所は、飲み屋やプールサイドがほとんどだ。酒瓶を倒したりコンクリートの床に落とせば、端末は呆気なく壊れるに違いない。
2.自分の読みたい本は多く、電子化されていない。
3.マニュアルを読むのは苦手だから、電子書籍の買い方、読み方は講師に教わるしかない。しかにそのような教室などは見たことも聞いたことも無い。
群ようこは冒頭「60代の男性で、ずいぶん前に、持っていた書籍のすべてを電子版に買い換えた人がいた」と書いている。しかしこれは流石に無理筋の話ではないか。僕の本棚にある本は、その大部分が電子化されていない。
中盤最後の「文字が詰まった新刊の文芸書」をコンピュータのディスプレイで読み始めたところ「文章がまったく頭に入ってこないのには自分でも驚いた。ただ目が字面を追っているだけなのだ」には気持ちが引き寄せられた。
「目が文字を追うだけで、内容がまったく頭に入ってこない」は、ビジネス書に向かったときの僕に起きる現象とまったく同じで「読めない」と同義である。
「だったらオレも、電子書籍はしばらくお預けか」と考える。しかし「キンドル教室」があれば、ぜひ参加をしてみたい。図鑑や旅行ガイドは電子書籍の独擅場と考えるからだ。「自分が教えてもいいよ」という人がいれば、是非、連絡をください。もちろん、受講料は、お支払いします。
朝飯 たまり漬「ホロホロふりかけ」を薬味にした納豆、揚げ湯波と小松菜の炊き合わせ、温泉玉子、めかぶの酢の物、塩らっきょう、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、豚肉とトマトと万能葱の味噌汁
昼飯 「食堂ニジコ」のラーメン
晩飯 レタスのサラダ、3種の茸のマリネ、カレーライス、塩らっきょう、Old Parr(水割りのお燗)、林檎と梨
2022.1.16(日) そんなことをいつまでも考えていては
3時台に起床すると「得した感」を覚えることができる。何を得したかといえば、それは時間、である。しかし今朝は3時台とはいえ、洗面を済ませて食堂に来ると、時刻は4時が近かった。こうなると「得した感」も、それほどのものではない。
昨晩、長男の焼いた鰯が1尾あまったので、今朝のおかずとしてもらってきた。丸干しの鰯に中国の西方を思わせる香辛料を利かせ、フライパンで焼き、牡蠣油で味をつけて、香菜を飾ったものだ。西方風の香辛料と牡蠣油では、何やら地方性を無視した料理のように思われるけれど、それを作り、食べているのが日本人であれば、それこそどうでも良い話だ。
ところで今朝は、一汁一菜の朝食に向かいながら「熱した鉄板の上で焼くことを、中国語ではどう書くのだろう」と考えた。日本語には、調理に関する動詞が少ない。網で焼いても鉄板で焼いてもおなじ「焼く」で、どうにも面白くない。そうして「この鰯の焼き方は、中国では『煎』かなぁ」と考えるものの、ソースにまみれたその姿に「煎」はそぐわない気もする。
しかし、そんなことをいつまでも考えていては仕事にならない。「まぁ、いいや」と席を立って、エレベータのある廊下へと向かう。
朝飯 鰯の牡蠣油焼き、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、塩らっきょう、ごぼうのたまり漬、メシ、大根と人参と牛蒡と椎茸と揚げ湯波の味噌汁
昼飯 たまり漬「ホロホロふりかけ」と塩鰹のふりかけのスパゲティ
晩飯 豆腐とキャベツの味噌汁、白菜と人参と昆布のたまり浅漬け、蛸とトマトとピーマンのサラダ、鶏手羽の唐揚げ、TIO PEPE
2022.1.15(土) 結構、皆さん、のんびり
「新型コロナウイルスワクチン追加接種(3回目接種)のご案内」と印刷された封筒が、きのう日光市から届いた。
ワクチンの接種については昨年の5月10日、当該のウェブページが日光市のサイトに開かれた瞬間にログインをして、1回目は5月24日、2回目は6月14日と、それぞれもっとも早い日に受けられた。
その新型コロナウイルスの感染者数は、東京オリンピックのころに最大値を記録して以降は漸減し、昨年末に至っては本当に静かだった。しかし年が明けると同時にオミクロン株が第6波として鎌首をもたげ始めた。栃木県の、おとといの新規感染者は196名、ひとりの感染者が何人に染すかをあらわす実行再生算数は2.63。なかなかの数字である。とはいえ接種も3回目となれば、それほど急ぐ気も起きない。
終業後に市役所のサイトにアクセスをすると、どなたも僕と変わらずのんびりしているのだろうか、どの接種会場も、どの日も、選び放題だった。僕はかかりつけの耳鼻科を選択し、2月10日の予約を入れた。薬液はモデルナ。ファイザー、ファイザーと来て3回目をモデルナにすると効き目が強いと、どこかで読んだ記憶により、それを選んだ。
さて3回目の副反応は、どうだろう。それまでに、腰の不具合は治しておきたいところである。
朝飯 揚げ湯波と小松菜の炊き合わせ、生玉子、たまり漬「ホロホロふりかけ」を薬味にした納豆、広島菜漬け、じゃこ、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、セロリと人参とベーコンの味噌汁
昼飯 「金谷ホテルベーカリー」の2種のパン、ミルク焙じ茶
晩飯 生のトマト、棒々鶏、スープ、白菜の黒酢炒め、鰯の牡蠣油焼き、紅星二鍋頭酒(生)
2022.1.14(金) 隠居のお雑煮
「汁飯香の店 隠居うわさわ」は今年から、1月に限ってお雑煮をお出ししている。雑煮は地方色の極めて高い料理、とはいえ隠居で供するそれは、日光に特有のものではない。
出汁は、あご、かつお節、椎茸、昆布で引く。調味に使うのは酒と塩と微量の醤油。具はお餅のほかには海老の天ぷら、大根おろし、なめこのたまり炊、三つ葉などで、吸い口は柚。このお雑煮が、極めて美味い。海老を苦手とされる方には、海老天を鶏天に替えさせていただく。ご希望のお客様には「替え玉」ならぬ「替え餅」も、焼いて席へお持ちする。
なお、せっかく隠居にお出かけくださるお客様に、お雑煮だけというわけにはいかない。そこには正月らしいおかず、または箸休めとして、たまり漬、紅白なます、たたき牛蒡、そしてきんとんが添えられる。
大根おろしは、天ぷらの衣の溶け出した汁を含む。この大根おろしとなめこのたまり炊を上手い具合に箸に乗せ、口へ運べば、えも言われない肴になる。地酒のご用意は、もちろん、万全である。
上澤梅太郎商店が運営する朝食専門店「汁飯香の店 隠居うわさわ」は毎週、土、日、月の営業。開店は8時30分、閉店は14時で、13時がオーダーストップ。電話番号は0288-25-5844(日光ごはん良し)。本店の電話番号0288-21-0002(08:30~17:30)なら毎日、ぐるなびなら24時間、ご予約をお待ちしています。
朝飯 ブロッコリーの玉子とじ、紅白なます、揚げ湯波と小松菜の炊き合わせ、納豆、広島菜漬け、ごぼうのたまり漬、塩らっきょう、メシ、揚げ湯波とレタスの味噌汁
昼飯 ラーメン
晩飯 めかぶの酢の物、揚げ湯波と小松菜の炊き合わせ、3種の蒲鉾、田作り、広島菜漬け、黒豆、松かさ焼き、「山本合名」の山廃純米「天杉」(燗)
2022.1.13(木) 繁閑
「腰の調子は幾分かは快方へ向かっているような気がする」と、きのうの日記に書いた。しかし一夜が明けてみれば、咳やくしゃみをするたび、その衝撃が腰に強烈に響く。今にもギックリ腰になりそうな具合にて、却って悪くなっているのではないか。
以前、それはいつ頃のことだっただろうかと小遣い帳を検索してみれば、2014年までは、腰がおかしくなるたび、栃木市まで鍼を打ちに行っていた。カイロプラクティックだけでなく鍼についても、治療法として考慮に入れるべきかも知れない。
商売の方は、週末と平日の、繁閑の差がいよいよ開いてきた。今週は特に火曜日が静かだった。販売係は、他の部署の仕事を手伝っている。包装主任のヤマダカオリさんは、売れる数を予想しながら、日々、その分だけを慎重に完成させている。先日のテレビの放映、それに続いてラジオの放送があって、地方発送に関わる事務係と製造係は、来週の火曜日まで繁忙の予定。
午前と午後にそれぞれひとつずつウェブ会議に参加をするが、僕はまぁ、立会人のようなもので、ほとんど口は挟まない。
16時前に街へクルマを乗り出す。あまりの暗さにスモールランプを点灯する。17時が近づくころには雪も降ってきて、いささか慌てる。しかしその雪はすぐに止んだ。明日は曇り、週末には晴れの予報が出ている。
朝飯 じゃこ、納豆、トマトの玉子とじ、牛蒡と人参のきんぴら、広島菜漬け、塩らっきょう、メシ、若布と大根の味噌汁
昼飯 ラーメン
晩飯 ブロッコリーとニンニクのソテー、じゃがいものグラタン、パン、シュトーレン、ポトフ、Chablis Saint Jean Louis Max 2020、苺を添えたロールケーキ、Old Parr(生)
2022.1.12(水) ポストイット
すべきことを記したポストイットは、緊急度に応じて貼る場所を変える。数日の余裕がある場合はカレンダーに、本日すべきことは電子卓上計算機に、「コレをし忘れたら本当にマズイ」というものはコンピュータのディスプレイに貼る。今朝はそのポストイットの数が多い。
10時より、入社を希望する人の面接。履歴書の写真を除いては、相手の顔の鼻から下はマスクに覆われて窺えない。先方から見る当方の顔も、それは同じ。まるでイスラムの戒律の厳しい国の、女の人同士の顔合わせのようだ。引き続いて10時30分より場長会議。本日の受験者には入社をしてもらうことと決める。
13時に会社を出発して宇都宮のカイロプラクティックへ。16時に戻ってしばらく仕事ののち、17時に黒い背広に着替え、事務室へ降りたところで今日の分のポストイットすべてが剥がされる。
明日から来週にかけても、何やかやと用事が重なっている。腰の調子は幾分かは快方へ向かっているような気がする。
朝飯 牛肉の生姜煮、牛蒡と人参のきんぴら、生玉子、じゃこ、紅白なます、塩らっきょう、ごぼうのたまり漬、広島菜漬け、メシ、レタスの味噌汁
昼飯 「丸亀製麺」のワカメうどん
晩飯 長芋のたまり浅漬け、大根のたまり漬、きゅうりのたまり漬、豚肉と白菜と長葱の鍋、「山本合名」の山廃純米「天杉」(冷や)
2022.1.11(火) 観光しない人、観光地へ行く(上)
女優M.M.と海外に遊んだ日のことを吉行淳之介は文章にした。本の名は「湿った空 乾いた空」という。
「宿泊している大きなホテルは、五番街のはずれでブロードウェイまで歩いて十分くらいのところにあった。(中略) 私は昼過ぎまで眠り、野球のテレビを見たりしている」(新潮文庫版49ページ)
ローマに滞在中「ここまで来たのだから、ナポリへ行きましょう」とM.M.が言い出す。「地図を調べると、ローマの南三百キロほどの海沿いにあって、大きな都会らしい。ナポリ湾を船で走って、火山のある風景を眺めることになりそうで、億劫さが強くなった」(新潮文庫版110ページ)
「十日マドリードにいたあいだ、私が晩飯のため以外に外出をしたのは、二度だけであった。昼まで眠って、あとはホテルの部屋でぼんやりしている」(新潮文庫版118ページ)
観光はおろか街歩きにもまったく興味関心を持たないのだ。そういう人間が、それから20数年を経て世界の大観光地ヴェネツィアへ行った。
往路、アンカレッジ、アムステルダム、パリを経由した飛行機がアルプスを越えると、イタリア半島の海岸線が見えてくる。「長い旅が一応終わる安堵感だけがあって、目的地にたいしての心の弾みは出てこない」と吉行は書く。そして息も絶え絶えにマルコポーロ空港に着くと、待ち受けた通訳の若いイタリア女は泣いている。
その「ヴェニス 光と影」を僕は3度、読んだ。1度目は1991年10月21日。2度目は2003年10月。3度目は2020年12月14日だった。
観光に一切の興味を持たない人間の書いたヴェネツィア紀行を、たとえば旅行業、観光業の人が読んだとして、それは勉強の足しになるだろうか。優れた人なら何ごとにも敏感、貪欲だから、多分、役に立つだろう。
朝飯 牛蒡と人参のきんぴら、じゃこ、「なめこのたまり炊」のフワトロ玉子、納豆、広島菜漬け、蕪と胡瓜のぬか漬け、メシ、豆腐と三つ葉の味噌汁
昼飯 ラーメン
晩飯 トマトとレタスとキウイのサラダ、じゃがいものチーズ焼き、カレーライス、らっきょうのたまり漬、らっきょうのたまり漬「浅太郎」、Old Parr(水割りのお燗)
2022.1.10(月) いずれ明日には落ち着く
きのう、らっきょうのたまり漬となめこのたまり炊をテレビでご紹介いただいた。直後より電話が鳴り始めたことは言うまでもない。
早朝、恐る恐るメーラーを回す。いくつかのメールアドレスを巡回するそれが、いよいよ会社の代表アドレスへのメールを取り込み始める。ウェブショップへの受注が次々とダウンロードされる。その、上から下へと流れ落ち続ける数に圧倒される。事務係は今日中に仕事を終えることができるだろうか。
朝礼の後より長男と本日出勤の事務係2名が話し合いをする。その結果、ウェブショップにいただいたご注文は、今日から13日までの4日のあいだにすべて出荷することが決められた。また、ご来店や電話、ファクシミリによるご注文は、通常の納期を守ることとした。
午後、しばらく店番をしてくれと、販売主任のハセガワタツヤ君が事務室に顔を出す。「なめこのたまり炊14本その他を配達せよ」と、ちかくにお住まいのお得意様からご注文をいただいたのだという。そのお得意様もまた、きのうのテレビをご覧になったのだろうか。
「子供のころから今に至るまで、上澤梅太郎商店の商品で自分がもっとも好むのは、なめこのたまり炊」と何十年も言い続けているにもかかわらず、なめこのたまり炊は相変わらず、月見草のようなマイナー商品である。今回の特需も、明日には落ち着くことだろう。
朝飯 めかぶの酢の物、鶏のカレー煮、納豆、広島菜漬け、ごぼうのたまり漬、メシ、トマトと小松菜と揚げ湯波の味噌汁
昼飯 ラーメン
晩飯 サラダニソワーズ、2種のパン、「グルメやまなか」のパテあれこれ、Chablis Billaud Simon 2015、チョコレート、Old Parr(生)
2022.1.9(日) 水神祭
今日の「汁飯香の店 隠居うわさわ」の仕事は多い。母屋から運ぶものも多ければ、それを持って家内を隠居まで送る。あたりはいまだ暗いものの、東の空には紅みが差しはじめている。
隠居のお盆の敷物にはむかしの写真がモザイクのようにちりばめてある。そのうちのひとつに、今は客席になっている六畳間での、宴会の風景がある。大人に囲まれるようにして中央にいる、オヤジの、昭和5年生まれの従姉妹の年ごろからして、時代は戦前に違いない。その写真は水神祭の夜の直会と、僕は聞かされてきた。
蔵のほぼ中央に建つ水神の碑が、いつからあるかは知らない。とにかく水神祭は今なお続いていて、今年は二黒赤口みずのえ戌の本日を、その日と決めた。
総鎮守瀧尾神社よりタナカノリフミ宮司を迎え、9時より水神祭を催行する。参列したのは包装主任のヤマダカオリさん、製造係のイトーカズナリ君、販売主任のハセガワタツヤ君、長男に僕の計5名である。水神祭は10分ほどで無事に完了した。直会は今はしていない。
ところで昨年10月29日にテレビの取材を受けた。制作の担当者はその後も来て動画を撮り、東京へ帰った後も数え切れないほど連絡を寄こしながら詳細を固めていった。その「所さん お届けモノです!」の「日光街道 100年以上続く老舗の新名物」の放映が17時より始まる。
この放映に備えて今日は、いつも17時30分に留守番電話に切り替える回線を、18時まで開放することとした。最初の電話は17時18分に鳴った。以降は18時まで、ほとんど切れ目なくご注文をいただいた。
電話は2本の回線が埋まれば「お話し中」になる。「お話し中」の無いウェブショップは、放映直後から18時までの数十分だけでも大変な数のご注文をいただき続けている。
正月の賑わいの去ったいま、地方発送の特需は、とても有り難い。納期については明朝、事務係と話し合って決めることになるだろう。
朝飯 納豆、焼売、大根おろし、広島菜漬け、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、レタスの味噌汁
昼飯 カレーライス らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」
晩飯 酢締めのサヨリ、「日光味噌のたまり浅漬けの素・朝露」で漬けた松前漬け、三つ葉とお麩の吸い物、小鯛と鱚の押し鮨、「宇都宮酒造」の「四季桜貴酒特別本醸造生酒」(冷や)、最中、Old Parr(生)
2022.1.8(土) 好みは人それぞれだろうけれど
上澤梅太郎商店が運営する朝ごはん専門店「汁飯香の店 隠居うわさわ」は、本日より今年の営業を始める。きのうまでにご予約をくださったお客様は11名様。そのうち8名様は、昨年の8月19日にお問い合わせをいただいていた。正月の賑わいも少し落ち着いたころに、鬼怒川の温泉と日光の二社一寺を2泊3日で巡る、その途次に隠居で朝食という、いかにも楽で楽しそうな企てである。
人に訊かれるたび「日光は、真夏と真冬が良い」と、僕はお伝えをしている。ゴールデンウィークや紅葉狩りの季節では決してない。「人の行く、裏に道あり、花の山」なのだ。
そういえばある夏には、隠居で朝食をお召し上がりになり、午後は日光の川のほとりにテントを張って、たったひとりで早めの晩酌を始めたお客様がいらっしゃった。肴はコンビニエンスストアの総菜だったかも知れない。しかしそこにオマル・ハイヤームがいれば「心は王侯の栄華にまさるたのしさ」と嘆じたに違いない。
とかく日本人の旅行は「短い日程で、できるだけ遠くへ出かけて、できるだけ多くの場所を見物」しようとする。それが楽しいか否かは別として、そうしなければいけないという、脅迫観念のようなものがありそうだ。
「汁飯香の店 隠居うわさわ」にいらっしゃってくださったお客様からもっとも多くいただくお言葉は「ゆっくりできて良かった」というものだ。時間こそ、一番の贅沢ではないか。「人間らしくやりたいナ」である。
朝飯 牛肉の生姜煮、めかぶの酢の物、生玉子、広島菜漬け、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、トマトと揚げ湯波と若布の味噌汁
昼飯 ラーメン
晩飯 ブロッコリーのマヨネーズ和え、「日光味噌のたまり浅漬けの素・朝露」で漬けた松前漬け、カツ煮、広島菜漬け、メシ、「山本合名」の山廃純米「天杉」(燗)