2020.11.6(金) 720×12+1,800×2
日本酒に特化した飲み会「本酒会」で、書記を務めている。むかしは「酒長」という酒の取り寄せ係がいたものの、亡くなってしまった。よって今ではそちらの仕事も僕が兼務をしてる。僕が担当になって以降、お酒は秋田の天洋酒店と東京の鈴傳から、時に応じて取り寄せている。一度に送ってもらう量は四合瓶で12本。月に1度の例会で飲むのは3、4本である。
午前、その、今月から新春にかけての12本が、ヤマト運輸により届けられる。即、それらをコンピュータのデータベースに入力する。書記を任された1995年4月24日から、届いたばかりの12本までの本数は2,243本。「飲みも飲んだり」である。
今日の荷物にはまた、他に一升瓶2本も含まれていた。そのうちの1本は、師走16日の夜に隠居で飲む。もう1本は「仏様に」とか「皆さんで」と、何かと菓子を下さる方に、年末にお持ちをする。
ことしも「師走」だの「年末」が、それほど遠くないところに迫るころになってしまった。門松も、そろそろ注文すべきかも知れない。
朝飯 蓮根のきんぴら、納豆、茄子とピーマンのソテー、榎茸と菠薐草のおひたし、細切り人参の炒りつけ、油揚げと蕪の葉の炒り煮、みょうがのたまり漬、メシ、若布と揚げ湯波と長葱の味噌汁
昼飯 にゅうめん
晩飯 鮭と豚三枚肉の鍋、蕪の浅漬け、めかぶの酢の物、麦焼酎「むぎっちょ」(お湯割り)、薩摩芋の茶巾絞り
2020.11.5(木) 花を見に行く
10月20日の、オフクロの祥月命日には墓参りをした。そのとき供えた白いカーネーションの様子は、その後、何度となく見に行った。枯れていたらみっともないからだ。また、しおれた花が乾いて花立てにこびりついては、それをこすって落とすことが面倒だからだ。
そうして花立ての水を換えながら数日前にもお墓を訪ねたところ、カーネーションは既にして無くなっていた。多分、掃除の人が処分をしてくれたのだろう。僕は花立てを水で洗い、線香立てとその周辺も水で洗って次への備えとした。「次」とは今月20日の、オヤジの祥月命日である。そのときには、ゴムの薄い手袋を用意しようと思う。冬の水仕事は一瞬にして、指先にアカギレを生じさせるからだ。
「祝日とおなじ売上げです」と、夕刻、キャッシュレジスターのiPadをタップしながら、販売主任のハセガワタツヤ君が、僕の方を振り向いた。過去の記録も示しているように、文化の日を含む連休が過ぎても、とにかく今週末までは、紅葉狩りのお客様は結構、いらっしゃるのだ。明日から週末にかけての商売も、楽しく続けていきたい。
朝飯 榎茸と菠薐草のおひたし、油揚げと蕪の葉の炒り煮を薬味にした納豆、細切り人参の炒りつけ、めかぶの酢の物、鮭の「日光味噌」漬け焼き、蓮根のきんぴら、みょうがのたまり漬、メシ、揚げ湯波と隼人瓜とトマトの味噌汁
昼飯 にゅうめん
晩飯 スモークトサーモンとパテとレタスのサラダ、パン其の一、パン其の二、トマトと合い挽き肉のスパゲティ、Petit Chablis Billaud Simon 2016、“LE COFFRET”の「八幡山」、Old Parr(生)
2020.11.4(水) 風説
「床暖房の上にベッドを置くと、布団はいつも乾いて暖かい」とは、40年ほど前に、おばあちゃんの姉に教えてもらったことだ。教えてもらっても、それから30年ちかくも僕の寝室に床暖房は無かった。だからそれを試すこともなかった。
2013年秋の改装で、ようやく寝室に床暖房が入った。今年はその電源を10月の上旬に入れた。そして数日前よりようやく、布団にぬくもりを感じるようになった。床からの暖気がベッドマットに蓄えられ、敷き布団を温めるまでにひと月ちかくを要した、ということなのだろうか。あるいは、今年の設定温度が昨年のそれより低かったのかも知れない。
今朝は1時34分にいちど目を覚まし、次に気がつくと4時38分になっていた。遠くで工事の音が聞こえいる。起きて洗面所のカーテンをすこしずらすと、その工事は遠くではなく、目の前の、春日町の交差点で行われている歩道の補修だった。
13時、セキネ耳鼻科のセキネ先生が助手ひとりを伴って来てくれる。そして希望した社員、結局は産前産後休業などに入っている者以外の全員が、インフルエンザの予防接種を受ける。
今春、新型コロナウイルスがはやり始めたころには「気温が上がるにつれて感染力は弱まる」とされ、多くの人がそれを信じた。しかし夏になっても、そのような傾向は遂に現れなかった。「気温が下がればウイルスはふたたび猛威を振るう」という、誰が言い出したか知れない説も、外れてくれれば有り難い。
朝飯 納豆、蓮根のきんぴら、「なめこのたまり炊」のフワトロ玉子、油揚げと蕪の葉の炒りつけ、蕪の浅漬け柚風味、鮭の「日光味噌」漬け焼き、らっきょうのたまり漬、メシ、揚げ湯波と長葱の味噌汁
昼飯 柿の葉鮨
晩飯 うずら豆、細切り人参の炒り煮、榎茸と菠薐草のおひたし、里芋と椎茸の炊き合わせ、大根おろしを添えた肉だんご、「本物のワインで漬けた本物のワインらっきょうリュビドオル」の粒が小さすぎてはねた分、麦焼酎「むぎっちょ」(お湯割り)
2020.11.3(火) 献杯
今秋の紅葉狩りの行楽客は、文化の日を含む飛び石連休にもっとも多くなると予想をしていた。しかしいざそのときを迎えてみれば、それほど混み合う4日間でもなかった。その頂点は、どうやら先週末にあったらしい。
昨年の記録からすれば、それでも今週末までは、ある程度は観光客の往来があるだろう。そして勤労感謝の日を含む連休にまた人が出て、しかし以降は波が引くようにして、街は静かになる。そのころのウチには年末の贈答用や自家用の需要が発生している。店はヒマにみえて、しかし蔵の中では、人は忙しく立ち働くことになる。
午後、4月に急逝したカタヤマタカユキさんのお墓参りに、勉強仲間のカサイセージローさんが三重から来てくれる。カサイさんがはじめて日光に来たとき、僕は駅まで迎えに行き、しかし後のことはすべてカタヤマさんに任せたのだった。
夜はカタヤマさんの、今市中学校柔道部の先輩が経営する店に、カサイさんを含む有志が集まる。そして献杯の後、上出来のあれこれを肴にして、片山酒造のお酒を幾種類も、次々と飲む。
朝飯 温め直したら崩れてしまった焼きおむすび、らっきょうのたまり漬、揚げ湯波と隼人瓜とトマトの味噌汁
昼飯 にゅうめん
晩飯 「杉光」の其の一、其の二、其の三、其の四、其の五、「片山酒造」の純米吟醸ひやおろし(冷や)、大吟醸ほほえみ(冷や)、無濾過生原酒素顔(冷や)
2020.11.2(月) 夜はさっさと
小田実の「何でも見てやろう」を読んで一人旅を目指した人は少なくない。僕の持つそれはオヤジの妹にもらったものだ。奥付には、これが1961年6月23日発行の67版であることが示されている。価格は290円。
小田はインドで「日本の学生は何を食べるか」と訊かれて「カレー」と答え、インド人を喜ばせている。とここまで書いて「何でも見てやろう」の「にわかヒンズー教徒聖河ガンジスへ行く」と「不可触賎民小田実氏」のページを繰ってみた。そのような下りはどこにも見つからなかった。とすれば、僕の記憶は何だったのだろう。
とにかくこのところ、月曜日の夕食はカレーライスが多い。ウチの仕事は年中無休で「休日の晩餐」というものは皆無だ。カレーライスは作り置きができてすぐに食べられる、いわば戦闘食である。
そうしてその戦闘食を食べ終え風呂に入り、食堂に戻ると時刻は19時51分。僕のパジャマ姿に気づいて家内は「はやっ」と驚いた。早いもなにも、僕は夜はさっさと寝たいのだ。
そそくさと寝室に入り、寝台に横になる。そしてiPhoneのgoogleに「夜は千の眼を持つ」と入れてみる。真っ先に現れたのはYouTubeの、ポール・デスモンドとジム・ホールによる西海岸風の演奏だった。
朝飯 牛肉のすき焼き風、めかぶの酢の物、油揚げと蕪の葉の炒りつけを薬味にした納豆、鮭の「日光味噌」漬け、らっきょうのたまり漬、みょうがのたまり漬、メシ、きのうのピエンローの残りと長葱による味噌汁
昼飯 ラーメン
晩飯 トマトとレタスとチーズのサラダ、カレーライス、付け合わせの「らっきょうのたまり漬」と「おばあちゃんのホロホロふりかけ」、Old Parr(ソーダ割り)、柿と林檎
2020.11.1(日) 吃蛋會禿頭我
早朝、iPhoneにTikTokを開く。「マイページ」の最新の動画は先週火曜日の朝食だ。温泉玉子と「なめこのたまり炊」を混ぜ合わせ、ごはんにかけて食べている。その動画に付けられたコメントを上から辿るうち「吃蛋會禿頭我」というものを見つける。
「この人は、オレの頭が禿げていることを知っている」とはじめは考えた。しかしその6文字を検索エンジンに入れてみれば、それは中国語圏だけでなく日本にも流布しているらしい「鶏卵を生を食べるとハゲになる」という、ひとつの説と知れた。
子供のころ、ごはんに生玉子2個をかけて食べていた、という人がオヤジの従兄弟にいる。その人は齢80がちかくなった現在も、髪の毛はふんだんにある。いずれ僕の頭は既にして禿げている。玉子は生で食べても半生で食べても、どうということはない。
エッグベネディクトを朝ではなく、夜に食わせてくれる店はどこかにないか。あれば行って、それを肴に白ワインを飲みたい気分である。
朝飯 鮭の「日光味噌」漬け焼き、牛肉のすき焼き風、冷や奴、蓮根のきんぴら、らっきょうのたまり漬、みょうがのたまり漬、メシ、けんちん汁
昼飯 「やぶ定」の天とじ蕎麦
晩飯 町内の役員会に出かける前の「グルメやまなか」の鶏のパテ、らっきょうのたまり漬、TIO PEPE、町内の役員会から戻ってからのピエンロー、麦焼酎「むぎっちょ」(ソーダ割り)
2020.10.31(土) 去年のモミジと今年のモミジ
「30代、40代のころは仕事の関係でこっちの方によく来て、そのときには必ずここに寄って、漬物を買って帰ったんだよ。いやぁ、懐かしい。味、変わらないねぇ」と、80歳代のはじめくらいだろうか、試食を口にされた紳士がお声がけをくださった。
上澤梅太郎商店のたまり漬は、年に1度しか収穫されない露地物の野菜を、発酵という、微生物の精妙な働きにより完成させる品物である。去年の紅葉と今年の紅葉が同じでないように、おととし生まれた長男と今年生まれた次男が同じでないように、数十年前のたまり漬と今のたまり漬の味が同じわけは無い。しかし今日のお客様のお声は褒め言葉として、僕は素直に受け取った。多いにありがたい。
それはさておき黄金週間、お盆、また現在のような道の混み合うときには、店は時間どおりには閉められない。渋滞により予定どおりに動けなかったお客様が、定時を過ぎても途切れないからだ。その店を社員に任せて外へ出る。そして売場に「蛍の光」の流れる道の駅「日光街道ニコニコ本陣」へおもむき、ウチに割り当てられた冷蔵ショーケースの、位置替えに立ち会う。
ショーケースが90度回転されれば、それに向かうお客様の立ち位置も、これまでとは異なってくる。それに合わせて商品の配置も変えなくてはならない。新たな商品台は、数日前にオタニ建具店に発注をした。お客様のご不便は、なるべくはやく解消したい。
朝飯 牛肉のすき焼き風、めかぶの酢の物、焼き鮭、蓮根のきんぴら、みょうがのたまり漬、メシ、けんちん汁
昼飯 けんちんライス、らっきょうのたまり漬、みょうがのたまり漬
晩飯 人参と玉ネギのスープ、トマトとレタスとルッコラのサラダ、パテを塗ったパン、鮭とブロッコリーとマカロニのグラタン、Petit Chablis Billaud Simon 2016、「はつせ」の「白玉」、Old Parr(生)
2020.10.30(金) 玄妙な味
午前、東京からおふたりが商談のためお見えになった。先ずは隠居にご案内をし、あれこれの話の後、蔵に入っていただく。案内役は僕と長男が務めた。事務室へ移動をして後は、より具体的な打合せをした。時刻は11時50分。その時間であれば「昼食でも」ということになる。
わが町が「蕎麦のまち今市」と地域を売り出し始めたのは、いつごろのことだっただろう。2市3町村が合併して新しい日光市ができて以降は「蕎麦のまち日光」と改められて今に至る。
フランス人はワインをよく女の人に喩えるという。蕎麦は僕には篠田桃紅の感じがする。ラーメンやスパゲティの美味さは分かりやすい。それらにくらべて蕎麦の玄妙さは中々に解釈が難しい。こと蕎麦においては、僕の舌は子供並みなのかも知れない。
街の真ん中に渋滞が起きている。今秋のそれは多く、日光宇都宮道路の今市I.C.から鬼怒川へ向かう会津西街道に発生している。加えて今日は日光から宇都宮へ向かう日光街道も、また流れが渋くなっている。つまりウチの目の前で交わる2本の国道が詰まっている。そのため日に何度も売場を見に行く道の駅「日光街道ニコニコ本陣」へは、自転車で往復をした。
平日がこの有様であれば、飛び石を含む明日からの4連休には、渋滞はどれほど長くなるだろう。「毎日が日曜日」という方は特に、紅葉狩りは連休明けになさるのが賢明である。
朝飯 納豆、菠薐草のおひたし、目玉焼き、油揚げとカブの葉の炒め煮、みょうがのたまり漬、鮎の甘露煮、メシ、けんちん汁
昼飯 「玄蕎麦河童」の北海道産と栃木産の二種盛り、天ぷらの盛り合わせ
晩飯 めかぶの酢の物、蓮根のきんぴら、菠薐草のナムル風、鯛の煮こごり、生のトマト、「ふじや」から持ち帰って家で焼いた餃子、麦焼酎「むぎっちょ」(お湯割り)
2020.10.29(木) 誠実さはしばしば相手を満足させない。
先日、地元の小学生の蔵見学で、案内役を務めた。蔵見学では最後のところで質問を受けつける。子供のそれは大人の意表を突くところが面白い。その日、僕が答えに窮したのは「商品は手作りですか」という問いに対してだった。
畑のらっきょうは、手で土の中から引き抜いて収穫することもあれば、機械で掘り出すこともある。らっきょうはニラより長い葉を持ち、白い髭根も長い。この葉と根を畑で切るのは人が手に握った鋏だ。そうして袋に詰められたらっきょうは、トラックで工場に運ばれる。土の付いたらっきょうを洗うのはドラム式洗浄機だ。水洗いされたらっきょうは、大きなミキサーで塩をまぶされ、ベルトコンベアに運ばれてコンクリート製のタンクで塩漬けにされる。
やがて乳酸発酵したらっきょうは、人の手により包丁でその頭と尻の余分なところを切り落とされる。外側の皮2枚を剥くのも人の手による。それから甘酢や「日光味噌のたまり」により幾度も付け替えをされる。漬け込みに使う甘酢や「たまり」はポンプにより漬け込みタンクまで圧送をされる。
完成した「らっきょうのたまり漬」は人の手で計量され、機械で袋の口を留められ、最後は人の手により店に運ばれて、人の手により冷蔵ショーケースに並べられる。
これらの人、微生物、機械による行程が頭の中を走馬燈のようによぎったから僕は「商品は手作りですか」と訊かれて一瞬、絶句をしたのだ。そして「まぁ、商品は、手と機械と、両方を使って作りますね」と、ようやく答えを絞り出した。
僕の観察によれば、商売の上手な人は、たとえば「商品は手作りですか」と訊かれれば「はい、手作りです」と。単純、明快に即答する傾向にある。それは、どのように答えたら相手が満足するかを心得ているからだ。逆から言うと、誠実さはしばしば相手を満足させない。難しい問題である。
朝飯 納豆、小松菜のおひたし、「なめこのたまり炊」のフワトロ玉子、牛肉のすき焼き風、みょうがのたまり漬、メシ、3種の茸とトマトの味噌汁
昼飯 ラーメン
晩飯 蕪のサラダ、刻みキャベツを添えたコロッケ、Petit Chablis Billaud Simon 2016、「すや」の栗きんとん、Old Parr(生)
2020.10.28(水) 楽に楽しく
「一億総…」という言い回しは大宅壮一の発明だろうか。国民全体のうちどれほどがその仕組みを使って旅をしているかは不明ながら「GoToトラベルキャンペーン」が賑やかだ。上澤梅太郎商店では9月より、県の「とちぎ応援プレミアムチケット」および市の「日光とくとく商品券」が使えていた。そして今月からはそれに加えて「GoToトラベルキャンペーン」の地域共通クーポンも、お使いいただけるようになった。
しかしまさか、クーポン券で買掛金や給与は支払えない。クーポン券のまま銀行に預け入れをすることもできない。よってこれらが現金化されるまでの数十日間は、店側に立て替えの必要が生じる。
会社の小口現金はこれまで一度に20万円を用意していた。クーポン券の立て替えも、この20万円からしていた。しかし錦秋の帯が戦場ヶ原から竜頭ノ滝、中禅寺湖からいろは坂と徐々に下界に近づくにつれて、その金額ではやり繰りが忙しくなってきた。よって今日は、平時の5倍にあたる100万円を、銀行から降ろした。
今週末から文化の日までの連休は、この秋で一番の人出になるだろう。楽に楽しく紅葉狩りをされたい方には、11月4日からのお出かけをお勧めします。
朝飯 菠薐草のおひたし、大根煮、牛肉のすき焼き風、納豆、焼き鮭、みょうがのたまり漬、蕪の浅漬けゆず風味、揚げ湯波と蕪の葉の炒り煮、メシ、豆腐と長葱の味噌汁
昼飯 ラーメン
晩飯 「魚登久」のうなぎ松たけ弁当、麦焼酎「むぎっちょ」(お湯割り)、柿、自由学園のクッキー、Old Parr(生)