2019.12.17(火) 料理用の酒
晩に飲むためのワインをきのうワイン蔵に取りに行った。扉を開けると中は暖かかった。設定している10℃を気温が下まわってきたのだ。即、その電源を落とす。暑さ寒さも彼岸まで。とすれば改めて電源を入れるのは、来年の3月になるだろう。
ワインは白い方を飲むことが多い。それはとりもなおさず、ウチでは牛肉や羊肉をあまり食べないことによる。洋食は、炭水化物や豚肉や鶏肉によるそれが多くテーブルには並ぶ。いきおい、赤い方は棚に横たわったまま古くなっていく。
赤ワインを長く横にしておくと、やがて澱が溜まる。飲むときには、その澱を瓶の底に沈める必要がある。ところが夕食のおかずは大抵、急に決まる。「夜はステーキ」と聞いてから瓶を立てても、澱は底に沈まない。よってきのうは数本の赤ワインを棚から降ろして床に立てた。次の牛肉または羊肉はいつになるだろう。
夕刻、料理用の酒を切らしたから何か見つくろってくるよう、家内に言われる。ワイン蔵へ行くと、日本酒は飲みさしの1本があるのみで、しかもそれは、料理に使っては勿体ないものだった。その1本を提げて食堂に戻り、しかし家内には手渡さず、取りあえずはグラスに注ぐ。
朝飯 納豆、人参とピーマンのソテー、大根おろしを添えた油揚げの網焼き、マカロニサラダ、ごぼうのたまり漬、メシ、小松菜の味噌汁
昼飯 うどん
晩飯 刺身湯波の「日光味噌のたまり浅漬けの素・朝露」がけ、薩摩芋の天ぷら、なめこおろし、豆腐と湯波と茸の鍋、大根と胡瓜のぬか漬け、「福禄寿酒造」の「一白水成premium」(冷や)、羊羹、Old Parr(生)
2019.12.16(月) うどんばかりを食べるわけ
このところ昼には家でうどんばかりを食べている。10月は昼に18回も外食をしたにもかかわらず、だ。
11月のはじめ、家の食料品置き場に乾麺を見つけた。以降、同月の8日より、先ずはラーメンの乾麺、続いてうどんの乾麺を煮て食べ続けている。10月の外食の多さに「流石にまずいだろう」と感じたからだ。とはいえ外食が多いとなぜ「流石にまずい」のか、についてはよく分からない。
「オレがヤクザとゴルフしたからって、誰が困るってんだよ」とは、吉田豪が小林旭から引き出した言葉だ。月に18回の昼の外食に後ろめたさを覚えるとは、いかにも小市民らしい。
ところで12月の中日は、ウチでは昔から賞与の支給日と決まっている。102歳まで生きたおばあちゃんには、その晩年に「今月は社員への支払いが2回、あるんだよ、大丈夫かい」と注意を喚起されたことがある。見上げた経営者ぶりである。
そういう次第にて4階の応接間に、先ずはフクダナオブミ製造顧問を呼ぶ。それを振り出しとして、ひとりひとりと面談をしながら賞与の明細を手渡していく。しかし師走には他の用事も少なくない。この仕事には、いまだ数日を要するだろう。
朝飯 人参とピーマンのソテー、マカロニサラダ、納豆、菠薐草のおひたし、なめこのたまり炊、メシ、豆腐と若布の味噌汁
昼飯 うどん
晩飯 マカロニサラダ、TIO PEPE、紅白なますと茹でたブロッコリーと2種のたまり漬によるソースを添えたビーフステーキ、Triennes Reserve 1996、煮林檎、Old Parr(生)
2019.12.15(日) 着たばかりのダウンベストを脱ぐ
冬至まで1週間に迫った現在、東の空が美しい色を帯びるのは、6時15分を過ぎたころだ。「ロクジジューゴフン」と頭の中で反芻しながら、その遅さにしばし信じられない思いを覚える。夏には、空は3時台から明るくなり始めるのだ。先日「一年中クリスマスなら良いのに」と、facebookにコメントを上げた人がいた。僕に言わせれば「一年中、夏至の前日なら良いのに」である。
ほぼ赤道の真下にあるシンガポールでは、一年中、日の出と日の入りの時間が一定している。便利で良かろうと思う。しかしある種の面白みは、その一定さにより失われているような気もする。いっそ白夜を持つ国へ行けば季節の差による面白みは日本のそれより増すかといえば、それは分からない。
「重ね着を嫌う僕も、来春までは、これが手放せなくなるだろう」と、きのうの日記に書いたばかりのダウンベストを事務室に脱ぎ捨てて、ふたたび店に急ぐ。日曜日にはお客様が多く来てくださること、販売係のタカハシリツコさんが今日は道の駅「日光街道ニコニコ本陣」の催しに試食販売員として出かけていること、家内は事務室で年末ギフトの伝票処理に追われていること、その他もろもろあって、大変に忙しいのだ。
特に11時から13時30分までは、キャッシュレジスターに溜まる「これをお釣りに使ったらお客様に失礼でしょう」と思われる傷んだ紙幣をまともなそれに交換することもままならない忙しさだった。
夜は、いつもよりすこし大きめのグラスでドライシェリーを飲む。
朝飯 人参とピーマンのソテー、油揚げと蕪の葉の炒り煮、納豆、油揚げと小松菜の炊き合わせ、切り昆布と豚三枚肉の炒りつけ、菠薐草のおひたし、しその実のたまり漬、メシ、揚げ湯波と大根の葉の味噌汁
昼飯 うどん
晩飯 刻みキャベツとマカロニサラダを添えた牡蠣フライ、TIO PEPE、Petit Chablis Billaud Simon 2016、羊羹、Old Parr(生)
2019.12.14(土) どうしても見つけられない歌
むかし同級生のヨネイテツロー君と、銀座のホテルで待ち合わせたことがある。エレベータを降りて廊下を歩いて行くと、やがて、はた迷惑な大音響が聞こえてきた。ヨネイ君が先に着いていることは、その音で分かった。ヨネイ君はホテルの便せんをロート状に巻いて簡易の拡声装置とし、それを、CDプレイヤーから延びたイヤフォンの先に取り付けていたのだ。ヨネイ君の息子は、泳ぐときもゴーグルのベルトにiPhoneをはさみ、音楽を聴いているという。
ヨネイ父子のように、のべつまくなしに音楽を聴く趣味は、僕には無い。しかしきのうの集まりの福引きで当たったスピーカーには興味を惹かれた。今朝は早速、それをコンピュータに繋いでみる。
「俺の話を聞け」と、横山剣が唸っている。「誰の言うことも聞くな」と、竹原ピストルが叫び、ささやいている。ウェブ上に見つけようとして、どうしても見つけられないのは、石井敦子の”Mas que nada”と青山テルマの”LA・LA・LA LOVE SONG”だ。
これまで我慢を続けて来たが、午後より遂に、ダウンベストを着る。流石に暖かい。重ね着を嫌う僕も、来春までは、これが手放せなくなるだろう。
朝飯 菠薐草のおひたし、納豆、切り昆布と豚三枚肉の炒りつけ、油揚げと蕪の葉の炒り煮、しその実のたまり漬、人参とピーマンのソテー、メシ、きのうの天ぷらの残りを具にした味噌汁
昼飯 うどん
晩飯 蕪とキャベツのスープ、ウィンナーソーセージのパイ包み焼き、レタスと人参のサラダ、グリーンアスパラガスのソテー、鶏とマカロニのグラタン、TIO PEPE、Petit Chablis Billaud Simon 2016
2019.12.13(金) イサーンを目指して
航空券はいつも、宇都宮の馴染みの旅行社にメールで注文する。早くに頼めば、格安航空券で有名な会社より安く買える。
羽田とバンコクを往復する深夜便は、最後尾にできるだけ近い通路側の席を指定する。バンコクと東北部を往復する朝の便は、窓側の席を指定する。誰にでも経済観念というものがある。僕は、エコノミー席以外は選ぶ気がしない。大幅な遅延や欠航は避けたいから、格安航空会社は使わない。
ホテルは、交通の便の良いこと、wifiが飛んでいること、スイミングプールがあること、この3つの条件を満たしていれば、他に多くは望まない。
東北部のホテルはagodaを通じて予約をした。1泊3,589円と表示のある部屋に4泊。注文確定ボタンをクリックすると、18,460円の合計金額が現れた。18,460円÷4泊=4,615円。最初の値段が決済時には3割ちかく高くなる、このあたりがagodaの不思議である。
バンコクのホテルは楽天トラベルから予約をした。表示は1泊5,702円。注文確定後の合計金額は23,074円。23,074円÷4泊=5,769円。4泊目がなぜかすこし高くなっていたが、agodaに較べれば限りなく正札に近い。
来年の3月1日までは、ほぼ無休で仕事、である。
朝飯 「なめこのたまり炊」のフワトロ玉子、油揚げと蕪の葉の炒り煮、「しその実のたまり漬」と鰹節を薬味にした冷や奴、油揚げと小松菜の炊き合わせ、大根のぬか漬け、メシ、トマトと若布の味噌汁
昼飯 弁当
晩飯 「玄蕎麦河童」の酒肴盛り合わせ、だし巻き玉子、ポテトサラダを添えた豚のスペアリブ、天ぷらの盛り合わせ、鴨南蛮蕎麦、焼き林檎とアイスクリーム、7種の日本酒(冷や)
2019.12.12(木) 忘年会スルー
朝、テレビのニュースを見ながら「忘年会スルー」という言葉のあることを知る。自分が忘年会に出ないことを周囲、あるいは不特定多数に示すため、これにハッシュタグを付けてSNSに上げることさえ流行っているという。
気持ちは分かる。気持ちは分かるけれど、僕には忘年会を忌避する気持ちは無い。ひとつは、その忘年会を避けたくなるような組織にはハナから属さないからだ。もうひとつ、集まりに出たくなくなるような組織に属さざるを得なかった場合には、その組織を楽しく苦の無い方向に変えてきたからだ。
「忘年会スルー」にハッシュタグを付けてSNSに上げる人には、年末に限らず、気の進まない集まりはたくさんあるだろう。その組織は好きでも、本来の活動から離れた、例えば飲み会などは好まない、ということもある。更には、出たい、出たくないには、他の要素も絡む。
僕は、いわゆる二次会を好まない。集まりは早々に切り上げて早々に帰るべし。もうひとつ、海外にいるときには、日本料理屋で開かれる集まりには出ない。「集まりの意義は、人と顔を合わせ、言葉を交わすところにあって、何を飲み食いするかは関係ない」と家内は言う。ところが僕には「何が悲しくて」という気持ちが先に立ってしまうのだ。その気持ちに無理を強いて参加をして、体調を崩したこともある。
ことしの僕に、忘年会はふたつ。ひとつは5日に完了した。もうひとつは22日。どちらも好き好んで行く集まりである。
朝飯 生玉子、白菜漬け、ごぼうのたまり漬、きのう「炉心庵」から持ち帰った茸と秋刀魚の炊き込みごはん、小松菜の味噌汁
昼飯 うどん
晩飯 小松菜と油揚げの炊き合わせ、ポテトサラダ、筑前煮、うずら豆の蜜煮、ごぼうのたまり漬、豚の味噌漬けとトマトのソテー、麦焼酎「むぎっちょ」(お湯割り)、アップルパイ、Old Parr(生)
2019.12.11(水) 謎の普通酒
夜、嫁のモモ君の運転するマツダデミオの後席に収まって、山道を往く。黄色の地に鹿の黒く描かれた「動物が飛び出す恐れあり」の標識が、ヘッドライトにしばしば浮かぶ。10キロほど走るあいだにすれ違ったクルマは1台。「熊に注意」の看板も出てくる。
渓流に架かった橋の先、右手の大きな門の奥にクルマを駐める。外へ出ると、手が届きそうなほど近い山の稜線には、夜目にも白く雲が迫っている。玄関の、どこから切り出したものか、羊羹の1000倍ほどの大きさの石の上に靴を脱ぐ。富農の屋敷を改造した屋内には大型のストーブが燃えて、とても暖かい。
酒の品書きに見慣れないものがあって、女将に質す。その説明の済んだところで「それ、美味いよ」と、長男は口を添えた。だったら今夜の酒は、それで決まりである。
この家には孫とおなじ齢の、やはり女の子がいる。食事中に大人しくしていられない孫はその子と遊ぶから、当方としては、とても気が楽だ。
「酒、呑め」は、英語なら”Let’s roll SAKE!”だろうか。次々と運ばれる料理が、僕にそうけしかけているような気がする。外は森閑として、とても静かだ。
朝飯 「しその実のたまり漬」を含む5種のおむすび、ごぼうのたまり漬、若布と三つ葉の味噌汁
昼飯 うどん
晩飯 「炉心庵」の其の一、其の二、其の三、其の四、其の五、其の六、其の七、其の八、フツウじゃない普通酒(燗)
2019.12.10(火) クリスマスプレゼント
先週の金曜日、10分か15分ほど留守にしているあいだに、いきなりテレビの取材が入った。その番組を製作している会社の人が、きのうはふたたび複数で訪れた。彼らは、先ず隠居の一角に恰好の場所を見つけ、そこで建物と庭の撮影をした。夕刻からは場所を店に移し、ここでは商品の写真を、長い時間をかけて、丁寧にカメラに納めた。放映は、今月の24日だという。
一方、ウチの商品「おうちたまてばこ」が関西地方のテレビ番組で紹介されたのは10月31日のこと。放映中から電話は鳴り続け、当日は受注係が、翌日からは製造係がしばし仕事に忙殺をされた。
今日は、そのテレビ局の担当者から電話が入った。番組の下半期に紹介された品のうち「おうちたまてばこ」が問合せの多さベスト3に入ったことから、総集編でも採り上げたいという。放映は、奇しくも前述の在京キー局と同じ24日。
ウチは「ほぼ年中無休」により、社員はみずから休日を定める。事務係は話し合って、24日は全員が出勤することを決めた。製造係もまた、充分な準備の上で、当日を迎える必要がある。「クリスマスプレゼントだ」と家内は言った。「なるほど」と、僕は思った。
朝飯 油揚げと蕪の葉の炒り煮、納豆、「なめこのたまり炊」のフワトロ玉子、春菊の胡麻和え、ごぼうのたまり漬、メシ、南瓜と若布と三つ葉の味噌汁
昼飯 ラーメン
晩飯 蕪とカリフラワーのスープ、パン、羊とジャガイモの玉村豊男風、アップルクランブル、TIO PEPE、Cateau Puygueraud Haut Cote de Bordeaux 2010
2019.12.9(月) あたらしい仕事の始まり
首尾良く3時台に目が覚める。すぐに起きれば二日分の日記を書き、製造現場に降りて少々の仕事をこなし、更には味噌汁の準備までできる。冷蔵庫には、いまだ揚げ湯波が残っていた。即、電子ポットにいつもより多く水を入れ、スイッチを押す。
インドやその周辺の国々では、少女からお婆さんまで、食事の前には長い時間をかけて、石臼で香辛料を擂りつぶす。それにくらべれば、味噌汁はとても簡単に作れるスープだ。ダシは前夜のうちに、水を張った鍋に適当量の煮干しを投げ込んでおけば、それで済む。
ザルに取った揚げ湯波に熱湯を注ぎ、油を抜く。それを鍋に入れて弱火にかける。若布は塩を流水で洗い、粗く刻む。三つ葉も刻む。若布を鍋に入れるのは、ダシに味噌を溶かした後だ。三つ葉は汁をお椀によそった後に、生のまま浮かべる。味噌汁をお椀の縁まで満たすのは、これが少なければ悲しいからだ。
朝食は僕の場合、腹を満たすために、あるいは仕事に必要な糧として食べるものではない。生きていく上での楽しみのひとつとして食べる。特に家にいる限り、これを欠かすことはできない。
ウチの蔵の裏手には、築百数十年の木造建築が動態保存されている。ここで来春の彼岸より朝食屋を始める。店の名は「汁飯香の店 隠居うわさわ」とする。今朝の、瀧尾神社タナカノリフミ宮司の朗々とした修祓の、特に「さきわえたまえ」は有り難かった。
朝飯 茹で玉子の醤油煮、五目ぬた、納豆、ベーコンとピーマンのソテー、ごぼうのたまり漬、メシ、若布と揚げ湯波と三つ葉の味噌汁
昼飯 朝のおかずを流用した弁当
晩飯 胡瓜と蕪の浅漬け、春菊の胡麻和え、筑前煮、しその実のたまり漬を薬味にしたジーマミー豆腐、鰆の西京焼き、浅蜊の味噌汁、麦焼酎「むぎっちょ」(お湯割り)、柿
2019.12.8(日) しばらくは高原にいる
おとといの金曜日は、事務係に交じって僕も頻繁に受話器を取った。年末の需要による、地方発送のお受け付けである。
自分の、きのうの留守が気になっていた。確かめると、おとといの金曜日が繁忙の頂点にちがいないと家内は答えた。ところが長男によれば、きのうこそが山だったという。何のことはない、家内は受注について語り、長男は荷造りについて言っているのだ。
昨年12月の、地方発送の受注金額を振り返ると、その最大値も、また最初の金曜日にあった。しかしそこから右下がりに、とはならず、27日までは高原状態が続く。それはまた、27日まで人は日常の中にあり、28日からは多く年末の休みに入ることを示している。
今年の12月28日は土曜日。来年1月の第1日曜日は5日。つまり来るべき年末年始の休みは、長いところでは9日間に及ぶ。人が休んでいるときに仕事をすることを僕は好む。年末年始の天気の穏やかなことを、僕は望んでいる。
朝飯 鮭の昆布巻き、五目ぬた、揚げ湯波とオクラとブロッコリーの淡味炊き、納豆、ごぼうのたまり漬、メシ、蕪と蕪の葉の味噌汁
昼飯 うどん
晩飯 牛蒡と人参のきんぴら、刻みキャベツと茹でたブロッコリーと生のトマトを添えたコロッケ、TIO PEPE、Petit Chablis Billaud Simon 2016、“petite bleu”のカヌレ、Old Parr(生)









































