2025.8.13(水) むかえ盆
仏壇の中のものはきのうの早朝にすべてを取り出し、乾いた布で拭き、あるいは化学繊維製のはたきでほこりを払って元に戻した。扉の内外は、ほこりの積もりがちなところを中心として濡れ布巾で清めた。よって気分は清々としている。
きのうの日記にひと区切りをつけると時刻は4時30分。東の空にはひさかたぶりに、紅い色が見える。それを更に広く望もうとして屋上へ上がる。安全壁の縁を飾るかまぼこ形の瓦にiPhoneを置く。すると右腕に何かの気配を感じたため視線を落とすと、そこには小さな蜘蛛がいた。「朝の蜘蛛は殺すな」だったか「夜の蜘蛛は殺すな」だったかは定かではなかったものの、その蜘蛛の右腕にうごめくまま、北東の空に狙いを覚めてホームボタンを押す。
5時30分、白と黄色の大量の菊を抱えて家内と外へ出る。そして如来寺のお墓に参る。新旧および叔父と叔母のお墓には計9対の花立てがある。菊は茎の長いままだったから、これを家内に切ってもらい、逐一、それらを線香と共に供えていく。
朝礼の後、道の駅「日光街道ニコニコ本陣」への納品から戻ると、店には今日から発売の、日光の畑で採れたらっきょうを塩と酢だけで漬けた「夏太郎」が、既にして朱のお盆に載せられ、冷蔵ショーケースに置かれていた。今月9日に試食をしたところでは、いまだ中心に生の部分があったものの、それからの3日間で急速に仕上がった。「夏太郎」の在庫は、9月の末までは保つらしい。
日中の店舗は客足が閑散とする時間もあったものの、閉店後にキャッシュレジスターを締めてみれば、売上金額は10日、11日のそれより、更にはきのう12日のそれよりも多かった。今年のお盆の売上げは10日と11日の連休が双耳峰のように高くなり、以降は漸減して次の突出は15日としていた僕の予想は丸外れ、である。
17時50分、如来寺のクワカドシューコー住職と4階の応接間にいたところに長男と孫のシンとカコがロウソクの点った提灯を持ってお墓から戻ってくる。小さな子供に迎えられたとあれば、ご先祖様もさぞやお喜び、かどうかは不明ながら、良い景色ではあると思う。
朝飯 茄子の油炒め、きのうの夜の残りのキャベツ炒めと豚の生姜焼き、揚げ湯波の甘辛煮、なめこのたまり炊、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、揚げ湯波と隠元豆の味噌汁
昼飯 玉葱と擂り胡麻のつゆで食べる素麺
晩飯 枝豆、春雨サラダ、沢庵、夏太郎らっきょう、焼き餃子、麦焼酎「こいむぎやわらか」(生)
2025.8.12(火) 虫の声
目を覚ましたのは3時51分。そのまましばらく休む手もあったものの、3時台の起床は「得した感」が強い。洗面所から廊下を伝って食堂の扉を押す。棚の電波時計は3時57分を差していた。
その食堂に風を通すべく、南東と南西に面した窓を開く。すると南東の側から虫の声が聞こえてきた。それははじめ、国道121号線を隔てた駐車場の、松の根元から発せられているように思われた。よって窓の、腰の高さほどの下枠にもたれて、その声の主のいそうなところを、いまだあたりは真っ暗ではあるものの、凝視する。盛んに鳴く一匹の虫は、どうやら松の木より数十メートルほども向こうで羽根を震わせているらしかった。
「断腸亭日常」が秋に近づくと、虫の声のことがしきりに出てくる。荷風は虫の声を「虫語」と書いた。まさか「むしがたり」ではないだろうから「ちゅうご」と読むのだろう。
タイには「何もしない」ということをするために行く。あるいは本を読むために行く。5月から携えているライオネル・バーバーの「権力者と愚か者」を読み終えたら次は岩波文庫の「断腸亭日常」全9巻、と行きたいところではある。しかしルビが振られていないため、手は出しづらい。百年以上も前の、しかも漢籍に通じた人の文章は、いくら流麗でも素では読みづらい。何とも切ないことである。しかしてまた、書店にて立ち読みをして、飛ばし飛ばしでも読めるようなら購うべしと、未練の心は、ある。
さて、きのうの日記には「お盆の繁忙は、今日で一旦は収束。昨年の記録によれば、次の山は15日に来そうではあるけれど」と書いた。しかし今日の売上金額は、きのうのそれを超えた。短期決戦の「読み」は何とも難しい。お盆やすみの終わる17日までは、品切れに注意を払いつつ、何とか乗り切っていきたい。
朝飯 刻みオクラの鰹節かけ、茄子とトマトのソテーを添えた目玉焼き、大根おろしを薬味にした納豆、隠元豆の胡麻和え、なめこのたまり炊、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、揚げ湯波と若布の味噌汁
昼飯 炒めた茄子のつゆで食べる素麺
晩飯 玉子焼き、菠薐草の胡麻和え、茄子の揚げびたし、甘唐辛子の炒り煮、キャベツのソテーを添えた豚の生姜焼き、夏太郎らっきょう、「山本合名」の山廃純米「天杉」(冷や)
2025.8.11(月) 見覚えのあるシャツ
きのう道の駅「日光街道ニコニコ本陣」に、朝から数えれば3回目の納品をした15時30分に「どれが好きですか」と、若い男の人に声をかけられた。店側の者に「お勧めは何か」とか「どれが好きか」とお訊きになる方は、すなわち当方を信用してくださっている、ということだ。「上手なお客様」とも言える。
よって僕は、らっきょうのたまり漬、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、ごぼうのたまり漬を次々と指して「この三つは毎朝、食べています」とお答えをした。また併せてスマートフォンを取り出しTikTokを開いて「こんな感じです」と、証拠と言っては何だけれど、僕の朝食動画をご覧に入れた。
するとその男の人は「食べものの動画には興味があるんです。フォローしても良いですか」とおっしゃったため「もちろんです」とお答えをして「梅太郎」のアカウントのトップに戻り、その画面がよく見えるよう、お客様の視線の先に差し出した。
配達から戻って事務室にいると、先ほど道の駅で見かけた、中南米の壁画を思わせるアロハが目に入ったため、店に行ってみた。果たしてそのシャツをお召しになった方は、さきほど道の駅で声をかけてくださった男の人を含む一団でいらっしゃった。そして皆様は各々が買い物をしてくださって、どこかへとお帰りになった。有り難いことである。
さてお盆の繁忙は、今日で一旦は収束。昨年の記録によれば、次の山は15日に来そうではあるけれど、こればかりは未来のことにて、僕の予想が当たるかどうかは分からない
朝飯 なめこのたまり炊、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、玉葱とじゃがいもとトマトとウインナーソーセージの味噌汁
昼飯 玉葱と擂り胡麻のつゆで食べる素麺
晩飯 「コスモス」のトマトとモッツァレラチーズのサラダ、ドリア、ドライマーティニ、TIO PEPE、家に帰ってからのエクレア、Old Parr(生)
2025.8.10(日) 強気の予想
きのうは20時過ぎに寝に就いた。にもかかわらず今朝、目を覚ました時刻は4時30分だった。8時間以上も眠り続けたのは、きのうの寝不足を身体が取り戻そうとしたのだろう。夜来の雨は止んだものの、道は濡れている。7日の立秋からこのかた、暑くない日々が続いている。しかしこのまま秋になることは考えづらい。というか、夏はかならず戻ってくるだろう。
九州南部から中国地方の西部にかけて線状降水帯が発生し、テレビには、注意を促すニュース速報がしきりに浮かび続けている。一方、日光には弱い雨が断続的に降って、気温はそれほど上がらない。目の前の春日町交差点には、きのうは見られなかった渋滞が発生した。今年のお盆の人の出は、どうやら今日から始まったらしい。
上澤梅太郎商店は繁忙に際しても商品の作り置きはせず、お客様には、いま食べごろの品のみをご提供することを旨としている。夕刻、明日に備えて店の冷蔵ショーケースを「らっきょうのたまり漬」で満たそうとして販売主任のサイトーミホコさんが包装主任のヤマダカオリさんに連絡をしたところ、本日の製造分はすべて店に運ばれて、バックヤードの在庫は皆無との返事が戻った。そういう次第にて、明日に売る「らっきょうのたまり漬」は、明日の8時前から包装係が全力で準備し、9時より店に並べることとなった。
ヤマダカオリさんにはその場で伝えたものの、明日の朝礼でも、日々の製造数量は、17日までは強気の予想で望むよう、あらためて皆に注意を促そうと思う。
朝飯 生玉子、納豆、豚肉そぼろの「日光味噌ひしお」添え、なめこのたまり炊、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、トマトと玉葱と若布の味噌汁
昼飯 玉葱と擂り胡麻のつゆで食べる素麺
晩飯 刻みオクラの鰹節かけ、沢庵、ブロッコリーのソテーを添えた牛肉のタレ焼き、麦焼酎「こいむぎやわらか」(生)、カステラ、Okd Parr(生)
2025.8.9(土) むべなるかな
きのうは19時50分に寝に就いた。今朝と言っては語弊があるかも知れないけれど、1時すぎに目が覚めた。起床は1時30分。あれこれをしながら2時間ほども経つと眠気を覚えたため、お茶を淹れなおし、そこに梅干をひとつ沈める。
8時の朝礼が済むと、いつもは道の駅「日光街道ニコニコ本陣」へ、その日、最初の納品に出かける。しかし今朝はそれよりも先に、隠居に味噌汁用の「日光味噌梅太郎白味噌」を届け、同時に庭の様子を見る。日除けの朝顔の種は、あちらこちらから複数年に亘って寄せ集めたものだったという。それが功を奏してか、色とりどりにたくさんの花が開いていた。辰巳に面した門から庭へ入り、玄関への踏み石を辿るお客様の多くは、ここで写真をお撮りになるという。「むべなるかな」の、素朴な美しさである。
さて、きのうの日記には「明日からの3日間は覚悟を以て店番に徹する必要がある」と書いた。しかし全時間、全席の埋まった「汁飯香の店 隠居うわさわ」を除いては、店にも道の駅の売場にも、いまだお盆の繁忙は訪れなかった。とすれば、勝負は明日からの2日間になるだろうか。
食堂に家内と二人であれば、夕食は簡単に済ませて20時すぎに就寝をする。
朝飯 塩鮭、フライドオニオン、明太子、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、なめこのたまり炊のお茶漬け
昼飯 玉葱と擂り胡麻のつゆで食べる素麺
晩飯 「カルフールキッチン」と「金谷ホテルベーカリー」のパンあれや、これや、Chablis Billaud Simon 2018
2025.8.8(金) 少年時代
「山の日」のからむ連休へ向けて、忙しさの予感のようなものを、きのうから覚え始めた。たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」は、在庫が自転車操業の状態になっていて、今朝、道の駅「日光街道ニコニコ本陣」へ納めることができたのは、予定の半数のみだった。不足は本店の分も含めて、今日これから作ると、朝礼の際には包装係のヤマダカオリさんから報告があった。
昨年の数字を振り返ってみれば、8月の売上げは祝日がらみの2日間が双耳峰のかたちで高くなり、次は終戦の日のそれが次の山になって、以降は漸減している。今年もそうなりそうであれば、明日からの3日間は覚悟を以て店番に徹する必要がある。
10時が近づくころ、ことし初盆を迎える親戚へ来客用のお茶を届けるべく、ホンダフィットにて日光街道を南下する。その最中に長男から電話が入り、それは応接間の、何十年も日にさらされて千切れ放題だったカーテンを新品に交換すべく、カメダインテリアのカメダさんが来社したことを知らせるものだった。
事務机には「10:00 カメダさん」と、きのうから忘備のポストイットを貼っておいた。それにもかかわらずその時間に外へ出てしまう、というところが僕にはある。長男には適切に対応するよう伝えて電話を切る。
親戚の家は周辺の大木が切り払われて、特に北側の眺望が開けていた。そして裏手の草いきれの向こうには、井上陽水の「少年時代」の聞こえてきそうな空があった。その静寂を楽しむ間もなくきびすを返し、会社に戻る。
カメダさんの仕事は「カーテンだけでこれほど部屋の印象が変わるものか」と驚くほどの出来映えだった。僕は「へーっ」と感嘆の声を腹の中で上げつつそれに近づき、手を触れてみる。レースのように透けてはいるものの、その感触はいかにも丈夫さを感じさせるものだった。
夜は栄養補給のため、否、栄養は充分に足りているだろうけれど、今夏はじめての鰻を食べる。
朝飯 揚げ湯波と小松菜の炊き合わせ、万願寺唐辛子の「日光味噌のたまり浅漬けの素・朝露」炒め、グリーンアスパラガスのソテーを添えた目玉焼き、なめこのたまり炊、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、大根と若布の味噌汁
昼飯 納豆と玉葱のつゆで食べる素麺
晩飯 「魚登久」のお通しの茹で烏賊、胆焼き、鰻重、漬物、肝吸い、「片山酒造」の酒粕焼酎「粕華」(生)
2025.8.7(木) 立秋
立秋。とはいえおととい5日の日記に書いたように、夏は残暑も含めて来月の下旬までは続くと、僕は期待をしている。
今朝の日本経済新聞の「春秋」には、立秋を過ぎても半月ほどは暑くて秋を感じられないことにより、この日を15日ほど繰り下げれば「かへつて善きかと思はるるなり」と正岡子規も「墨汁一滴」に書いている、とある。
「墨汁一滴」が新聞「日本」に連載されたのは、1901年の1月から7月にかけてのこと。つまり124年前の立秋も、名ばかりの、季節感を伴わないものだったことが分かる。とにかく秋は、寂しくて、いけない。
9月17日(水)から同23日(火)まで、新宿高島屋の11階で開かれる「美味コレクション・グルメフェス」に参加をさせていただく。10月には、お得意様に季節のご挨拶をする。そのふたつのご案内のお送り先を顧客名簿から特定すべく、9時30分よりコンピュータと10キー、複数の筆記用具と作業手順書を手に4階の食堂へ上がる。
この手のアプリケーションは、星の数ほどあるだろう。僕が長年に亘って練り上げた方法は、それらのソフトの実力を軽く超えるものと考えている。難点は手順が複雑すぎること。だから電話が鳴ったり人が来たりする事務室では、この仕事はできない。
「高島屋」と「年末ギフト」のふたつのお送り先は、2時間を経て専用のフォルダに格納された。以降は3名の事務係の目視により洗いをかけられ、あらためて僕に戻されることになっている。
さて立秋の今日の天気は秋の爽やかさとは裏腹に、雨がちで湿度も高かった。しかし午後も遅い時間になると空は晴れ始め、明日から数日は晴れることを予感させた。せめてお盆のあいだは、好天に恵まれてほしい。
朝飯 切り昆布の炒り煮、隠元豆の胡麻和え、納豆、沢庵、なめこのたまり炊、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、豆腐とブロッコリーの味噌汁
昼飯 納豆と万能葱のつゆで食べる素麺
晩飯 万願寺唐辛子の「日光味噌のたまり浅漬けの素・朝露」炒め、蛸と玉葱のマリネ、なめこのたまり炊、鶏もも肉の網焼き「日光味噌ひしお」のせ、「山本合名」の山廃純米「天杉」(冷や)、クッキー、Old Parr(生)
2025.8.6(水) やし酒のみ
上澤梅太郎商店書籍部の棚が、だいぶ空いてきた。ひとえに、本をお買い上げくださったお客様のお陰である。本の在庫の少なくなったことを長男に伝えると、間もなく長男は僕との同報メールにて、新規に本を注文した。添付されたエクセルには13の書名が、それぞれ2冊や3冊の注文数と共にあった。
むかし家の本には後ろの見返しに「上澤蔵書」と、判を捺されたものが見受けられた。高校生になると、自分の蔵書印が欲しくなった。頭の中に浮かべたそれは、猿が椰子の木の上で、椰子の実を半割にした器で酒を飲んでいるもので、そこに漢字で「猿酒文庫」と添える。そこまで考えたものの、作るには到らなかった。
前述のエクセルには、エイモス・チュツオーラ著、土屋哲訳の「やし酒のみ」が含まれていた。この岩波による文庫本は、果たしてどなたかの目に留まり、どなたかにお持ち帰りいただけるだろうか。
パートタイムの社員が家路に就こうとする17時がちかくなるころ、空がいきなり暗くなる。そして予想した通りに激しく雨が降ってくる。しかしそれは意外や早く上がり、今しがたまでしぶきを上げていたアスファルトの表面は、平滑な水の幕になった。その水の幕が、いつの間にか明るさを取り戻した空を映している。夏はすべてが美しい、ような、気がする。
朝飯 隠元豆の胡麻和え、納豆、揚げ湯波と小松菜の炊き合わせ、トマトのスクランブルドエッグ、なめこのたまり炊、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、大根と若布と万能葱の味噌汁
昼飯 納豆と万能葱のつゆで食べる素麺
晩飯 生のトマトと刻みキャベツとブロッコリーのソテーを添えたコロッケ、Old Parr(ソーダ割り)
2025.8.5(火) 汁麺なら54杯
目を覚ましたのは2時35分。起床は3時45分。早く目を覚ますことができたのは、夕食後に食堂の椅子でうたた寝をすることなどなく、すぐに入浴をし、すぐに寝たことによる。
洗面を済ませて食堂に来て、南東と南西に面した2枚の窓を開ける。そして北西に延びる廊下を歩いて風呂場の脱衣所の窓を開ける。風は期待したほどは流れない。予報によれば、今日の気温は随分と上がるという。激しい夕立も、あるかも知れない。よって開けたばかりのガラス戸を閉めて食堂に戻る。
4時30分に屋上へ上がる。西の遠い森からヒグラシの声が聞こえてくる。ヒグラシには「夏の終わり」という印象がある。しかし今は、8月も始まったばかりだ。夏は残暑も含めて、来月の下旬までは続くのではないか。
既にして書き上げてあったおとといの日記に画像を添えて公開し、きのうの日記を完成させても時刻はいまだ5時30分。そこで、ホテルの予約サイトAgodaから幾度となく届いていたメールを開き、今年これまでにタイで泊まったホテルのキャッシュバック特典を受けることにする。
コンピュータのブラウザのQRコードをスマートフォンで読み取り、人差し指を動かして必要事項を打ち込むこと5分。するとブラウザには即「ウワサワ様、送金が開始されました、送金は火曜日までに着金完了予定です」の文字が現れた。戻る67.85米ドルは、日本円にして9,976円、タイバーツでは2,185バーツ。田舎であれば足マッサージが11時間も受けられ、汁麺なら54杯も食べられる大金である。めでたし、めでたし、である。
朝飯 刻みオクラ、切り昆布の炒り煮、揚げ湯波の甘辛煮、目玉焼き、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」。ごぼうのたまり漬、メシ、豆腐となめこと若布の味噌汁
昼飯 納豆と玉葱のつゆで食べる素麺
晩飯 揚げ湯波と小松菜の炊き合わせ、茄子の揚げびたし、南瓜の甘煮、トウモロコシのすり流し、刻みキャベツを添えた「しょうがのたまり漬」による豚の生姜焼き、ごぼうのたまり漬、メシ、「山本合名」の山廃純米「天杉」(冷や)、メロン
2025.8.4(月) 喞筒
ことし日光の契約農場でらっきょうの収穫が始まったのは7月21日だった。そのらっきょうは塩とお酢だけで漬けられて「夏太郎」の名で売り出される。この「夏太郎」への問い合わせがひきもきらない。今日は店頭で、毎年これを楽しみにされているお客様が遂に「何度も来られない」と、漬け上がったら送るよう、地方発送の申込みをされた。実は事務室には、おなじく「漬け上がりしだい出荷」の発送伝票が、専用の箱に積み上がっている。蔵出しの時期は今のところお盆過ぎを予想しているものの、それより遅れる可能性も小さくはない。
「夏太郎」は、それが蔵出しをされ次第、僕も買う。そうしたらそれを中国の古い高台や、サワンカロークの疎林で拾ってきた陶片に載せて、酒の肴にするのだ。
きのうの朝顔も涼しさを感じさせるものなら、塩と酢で漬けた若々しいらっきょうも、また涼しさを感じさせる。皮膚に感じる温度は変わらないにもかかわらず「涼しさを感じさせる」とは不思議なものだが、風鈴の音とおなじく、まぁ、そういうことは確かにあるのだ。
朝は曇っていたものの、午前の早いうちから晴れ始め、北東の空には積乱雲さえ湧き上がった。その頃合いを見計らって手水の水をジョウロに汲み、坪庭に打ち水をする。
その坪庭から事務室へ戻って「打水 子規」と検索エンジンに入れてみる。すると「三階の屋根に水打つ喞筒哉」という句が出た。「そくとうかな」では字余りだ。よって今度は「喞筒 」を、これまた検索エンジンに入れてみる。するとそのふた文字は「ポンプ」と読むことが分かった。それにしても、この「三階」とは、どちらの三階だろう。子規の家は、平屋だったではないか。
朝飯 刻みオクラ、納豆、切り昆布の炒り煮、なめこのたまり炊、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、豆腐となめことオクラの味噌汁
昼飯 納豆と玉葱のつゆで食べる素麺
晩飯 胡瓜と茗荷の酢の物、南瓜の甘煮、沢庵、カツ煮、麦焼酎「こいむぎやわらか」(ソーダ割り)