2025.10.11 (土) 隠居の室礼
上澤梅太郎商店が運営する朝食の専門店「汁飯香の店 隠居うわさわ」の床の軸を、きのうは高久隆古の「秋景山水之図」から田崎草雲の「巌菊之図」に掛けかえた。
我が家には大した掛け軸が無い。そのうち幾らかマシと思えるもののみが、コンピュータにデータベース化してある。「巌菊之図」の次は羅漢山人の「大黒天の図」が控えているものの、これは保存状態が極端に悪い。それでも掛けるのは恵比寿講がちかいからだ。その次は谷文晁の「福神恵比寿之図」で、骨董商の見立てによれば、真物ではあるものの、金銭的な価値は取るに足りないものとのことだった。
床の軸を替えたときにはそれを、お客様の目に入るだろう様々な角度から眺めてみる。そして感じるのは何とはなしの寂しさ、あるいは子供のころに覚えたと同じ、おどろおどろしさだ。
ここ数十年のあいだに日本人が触れてきた美術品は、東洋のものより西洋のものの方が圧倒的に多かったような気がする。そうして西洋のものに慣らされた結果、特に掛け軸などは色彩の乏しさから寂しく思われてしまうのではないか。しかしまさか、床の間に年がら年中いわゆる”abstract”を掛け続けるわけにもいかない。
そして僕は、早くも年の明けることを望んでいる。その理由のひとつには「床の間が賑やかになるから」ということも、含まれているような気がする。
朝飯 納豆、筑前煮、鮭の焼きほぐし、秋刀魚の梅煮、なめこのたまり炊、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「つぶより」(四つ割り)、ごぼうのたまり漬、メシ、大根と若布の味噌汁
昼飯 にゅうめん
晩飯 “Finbec Naoto”の其の一、其の二、其の三、パン其の一、其の四、パン其の二、其の五、其の六、コーヒー