2018.11.24(土) 冬耕
このところ気温が急に下がってきた気がする。その気温はしかし、冬のものではない。からだで感じる季節はいまだ晩秋である。とはいえやはり、暦に従わなければならないことは、いくつもある。
店の入口に掲げた季節の書は「秋惜」で、立冬を過ぎた今にはいかにもそぐわない。これを冬のものに換えなくてはと考えつつ、いつの間にか数週間が経ってしまった。「今日こそは」である。
鉄製の広い階段を昇って2階の倉庫に入る。高いところにある窓からは、空の色を映しているのか、青みを帯びた光が差し込んでいる。奥の左手の棚には巻いて袋に収めた書がいくつも納められている。そこから「冬耕」という札の貼られた1本を抜き出し、これを「秋惜」と交代させる。
店の入口から下ろされた「秋惜」をゆるく巻いて袋に入れ、2階の倉庫へ運ぶ。そうして事務室に戻って「冬耕 季語」と検索エンジンに入れてみる。「冬耕や峡に日の差す三時間」という、杉良介による句が目に留まる。盆過ぎから初秋にかけて「みょうがのたまり漬」の原料が採れた日光の畑にも、今はそのような日が差しているのだろう、多分。
朝飯 切り昆布の炒り煮、納豆、揚げ湯波と小松菜の炊き合わせ、人参のきんぴら、じゃこと大根の葉の乾煎り、蕗のとうのたまり漬、メシ、揚げ湯波と白菜の味噌汁
昼飯 「麺屋ききょう」の塩麹ラーメン
晩飯 山芋の摺りおろしを添えた鯛と鮪の刺身、油揚げと小松菜の炊き合わせ、きのこと万能葱の味噌汁、厚焼き玉子、紅白なますを添えたにんにくの芽の豚三枚肉巻き、「山本合名」の純米吟醸「潤黒」(冷や)、自由学園のクッキー、”Old Parr”(生)
2018.11.23(金) つぎあて
昭和30年代から40年代前半にかけての日本はいまだ貧しく、継ぎ当てのある服を着ている子供は珍しくなかった。僕もその例に漏れず、手持ちの服にはかなりの割合で継ぎが当てられていた。ただし嫁に来る前は洋裁店を経営していたオフクロが継ぎを当てた服は、新品のときより却って格好良く見えた。
ものはできるだけ長く使うことが好きだ。よって継ぎ当てのある服は、いまでも好きだ。
普段、ズボンはユニクロのヴィンテージレギュラーフィットチノを穿いている。これを使ううち先ずすり切れてくるのは裾まわりだ。あるとき、すり切れたここをグルリと厚い布で覆ったところ、隨分と長持ちをした。
次は新品のうちにこの補修を施した。そうしたところ、裾まわりこそビクともしなかったものの、膝のすこし上のところがすり切れてきた。よって「だったら今度は新品のうちに、裾と膝の双方に継ぎを当ててしまえ」と考えた。
ユニクロ今市店で3本のヴィンテージレギュラーフィットチノを買う。それを目と鼻の先のイオン今市店1階にあるリフォーム屋「マジックミシン」に持ち込む。布は前回の残りでは足りなかったため、2階の手芸屋で買い増した。
1週間を経て完成した3本のズボンを食堂のテーブルに並べ、眺めてみる。これらを交互に使いまわせば2年以上は楽に保つだろう。ズボン3本の価格は6,445円。買い増した布と継ぎ当てにかかった代金は6,988円。
「だったら先ずは3本。それがすり切れたところで3本を買い足してもお釣りがくるじゃねぇか」という意見はもっともである。しかしまぁ、自分の中では、そういうことでもないのだ。
朝飯 納豆、揚げ湯波と小松菜の炊き合わせ、トマトのソテーを添えた目玉焼き、切り昆布の炒り煮、めんたいこ、蕗のとうのたまり漬、メシ、揚げ湯波とズッキーニの味噌汁
昼飯 「金谷ベーカリー」の2種のパン、コーヒー
晩飯 じゃこと大根の葉の乾煎り、細切り人参の甘辛煮、モツ鍋、その鍋で作るラーメン、芋焼酎「赤霧島」(お湯割り)、自由学園のクッキー、”Old Parr”(生)
2018.11.22(木) 新しい意匠
昨年から今年にかけて、商品の、主に包装形態についての見直しを進めている。
新しい商品については、これまでに無かったものだけに、いきなり世に出しても、違和感を覚えるなどの意見はどこからも聞かれない。それらとは異なって、既存の商品における形態の変更には、より慎重になるべきと考えている。
本日は13時よりデザイナーふたりが来社をして、現在進行中の新しいデザインが、ウチのこれまでの商売と乖離することの無いよう、またこれまでのお客様にできるだけ受け入れていただけるよう、店舗ですり合わせをした。しかし、いまだ模糊とした部分も残る新しい意匠が、本日午後の数時間で固められたわけではない。
来月は1年の中で最も繁忙の月ではあるけれど、今度はこちらからデザイナーの方に出向いて根を詰める仕事が僕には残された。その日のうちに帰ることができるのか、あるいは泊まり込みになってしまうのか、今のところは予見、不可能である。
朝飯 切り昆布の炒り煮、生玉子、揚げ湯波と小松菜の炊き合わせ、納豆、蕗のとうのたまり漬、らっきょうのたまり漬、メシ、豆腐とほうれん草の味噌汁
昼飯 「カルフールキッチン」のおむすび、蕗のとうのたまり漬、日光のHIMITSU豚と日光味噌梅太郎赤味噌によるフリーズドライ味噌汁
晩飯 ハムとトマトのスパゲティ、ほうれん草のソテーと”neu frank”のコーンビーフ、ナッツのパン、りんご、“TIO PEPE”、“Almaviva 1997”
2018.11.21(水) 無駄にした特急券
ホテルの朝食会場では、昨夜に引き続いてヨネイ君から、非常に興味深い話を聞くことができた。そのヨネイ君とは池袋の駅まで一緒に歩き、JRの改札口を入ったところ別れた。僕の乗った埼京線は何かの理由により遅れ、オーミヤナナサト眼科には、診療予約表に指定された9時30分の1分前に着いた。
前にも書いたけれど、僕の目には散瞳薬、つまり瞳孔を開ける薬が効きづらいらしい。目の屈折力と眼圧の測定の後に、先ずは1回目の散瞳薬が注される。僕の瞳孔が検査に必要な大きさまで開くまでには3回の注薬が必要だった。術後の経過は良好とのことで、次の診察日は来月の10日に決まった。
七里から春日部まで乗った東武野田線の車内から、春日部11:33発の下り特急リバティの特急券を買う。時間調整のため春日部駅構内の喫茶店でコーヒーを飲み、11時25分に席を立つ。跨線橋から3番線へのエスカレータを降りつつあるとき、僕の乗るリバティが、北千住での車両点検のため5分ほど遅れる旨のアナウンスが流れた。プラットフォームのベンチは、3番線に背を向ける側のみ空いていた。そこに座って本を開く。
ふと振り返ると、遅れて来た特急リバティは既にして3番線に停まっていた。立ち上がってベンチを回り込み、小走りに近づくと、しかしドアは無情にも目の前で閉まった。「もう乗れません」と、赤い旗を手にした駅員は僕を横目で見ながら告げた。
しかたなく次の12:03発の特急券を買う。そうして薄ら寒いプラットフォームのベンチで更に数十分を待つ。下今市には13:09に着いた。あと10日で師走。とはいえ駐輪場から自転車を乗り出しても、帽子や手袋が必要なほどには、いまだ空気は冷えていない。
朝飯 “Ashirwad”の朝のブッフェ
昼飯 「食堂ニジコ」のマーボー丼
晩飯 マカロニサラダ、刻みキャベツと生のトマトを添えたメンチカツ、“Almaviva 1997”、自由学園のクッキー、”Old Parr”(生)
2018.11.20(火) お互いに好都合
社内にいるときには携帯電話を携帯しない。よって事務机の引き出しからそれを取り出し見ると、着信記録の残っていることがある。先日は同級生ヨネイテツロー君からの着信を認めてこちらから折り返した。
「訊きたいことがある。20日の夜に東京で会えないだろうか」というのがヨネイ君の用件だった。翌21日は、白内障の手術をしてから4回目の診察を、オーミヤナナサト眼科で受けることになっている。その前夜であれば、日程に無理は無い。
18時に池袋で落ち合ったヨネイ君と、僕の行きつけの店に入る。僕は酒には弱くないが、強めの酒を短時間で飲むことを好むため、酔いは早い。そしてハシゴはほとんどしない。それを伝えるとヨネイ君は、自分も長々と飲むことはしないという。
「だったらお互いに好都合だ」と、それほど長くない時間に有意義かつ濃い意見の交換をし、僕が2部屋を予約をしておいたホテルに共に戻って即、就寝する。
朝飯 蓮根のきんぴら、納豆、巻湯波と人参の炊き合わせ、ほうれん草の卵とじ、秋刀魚の梅生姜煮、ふきのとうのたまり漬、メシ、若布と揚げ湯波と万能葱の味噌汁
昼飯 ラーメン
晩飯 「男体山」のあれや、これや、それや。チューハイ、そのチューハイを濃くするためのキンミヤ焼酎
2018.11.19(月) ころもがへ
春:長袖ヒートテックシャツ+長袖フリースセーター
晩春:長袖ヒートテックシャツ+長袖Tシャツ
初夏:半袖ポロシャツ+長袖Tシャツ
盛夏:半袖ポロシャツ
初秋:半袖ポロシャツ+長袖Tシャツ
秋:長袖ヒートテックシャツ+長袖Tシャツ
初冬:長袖ヒートテックシャツ+長袖フリースセーター
真冬:長袖ヒートテックシャツ+長袖フリースセーター+ダウンベスト
「仕事場では半袖のポロシャツの上に木綿の長袖のTシャツを重ねて、ときどき寒いこともある」とは、今月13日の日記に書いたことだ。これは上記によれば「初秋」の組み合わせである。そこでこの日記を検索してみると、昨年は10月16日に、早くも「秋」の衣替えをしていた。今年は紅葉時に暖かかったため、立冬を過ぎるまで「初秋」の組み合わせで来てしまったのだろう。
そこで今早朝は、日ごろ使うチェストから半袖ポロシャツと長袖Tシャツのすべてを出し、押入の、夏用の衣裳ケースに仕舞った。続いて冬用の衣裳ケースから長袖ヒートテックシャツと長袖フリースセーターのすべてを出し、これをチェストの、おなじ引き出しに収めた。
そういう次第にて、今回の衣替えは「秋」をおろ抜いて「初秋」から「初冬」へ一足飛びの、ということになった。
朝飯 蓮根のきんぴら、大根の酢漬け、刺身湯波、秋刀魚の梅生姜煮、ほうれん草の胡麻和え、蕗のとうのたまり漬、メシ、大根と万能葱の味噌汁
昼飯 ラーメン
晩飯 蓮根のきんぴら、巻湯波と人参と絹さやの炊き合わせ、大根おろしと「生姜のたまり漬」を添えたハンバーグステーキ、大根の酢漬け、きのこ汁、芋焼酎「赤霧島」(お湯割り)
2018.11.18(日) 夜は静かに
ウチでは「隠居」と言い習わしている味噌蔵のある庭の旧宅で、今朝は月に一度の朝食の会が開かれる。家内は昨夜、というか朝がちかくなるまで、この会に供するおかずを作っていた筈だ。家内が忙しいときには長男も、そのおかず作りを手伝う。僕は味噌汁の出汁を引く係だったが、これは誰にでもできることだから、ここ2ヶ月ほどは遠ざかっている。
その朝食の会の日に重なるようにして、道の駅「日光街道ニコニコ本陣」ではきのうから試食販売が行われている。ここへの納品を終えて9時にホンダフィットで日光街道を上ってくると、販売係のフジタヨーコさんがちょうど、本日分の試食をたずさえ、道の駅へと向かう姿が見えた。
店に戻るとホンダフィットを玄関に後退で近づけ、用意されていた味噌汁の材料や洗い米や土鍋を載せる。そしてこれを隠居に運ぶ。朝食の会のごはんは土鍋で炊くのだ。築150年は経ているだろう旧宅の座敷は既にして清められ、卓上には人数分のお盆が揃えられていた。
昼に店の混み合う時があり、作業台に置いたiPhoneが鳴っていることは分かっているものの、それに応答しているヒマは無い。小一時間ほども後にそのディスプレイを見てみると、着信は家内からのものだった。多分、朝食の会の食器の片づけの要請だろう。
13時に予約の入っていた蔵見学のご一行は、15分ほどはやくお見えになった。うかがったところによれば、埼玉県から福島県の温泉に泊まりにいらっしゃる途中だという。数時間前までは朝食の会のお客様のいらっしゃった座敷にご一行をご案内し、そこで種々の説明ののち、蔵に入っていただく。皆様には満足をしていただけたように思う。
本日の売上金額は、11月中の最高を記録した。紅葉狩りによる人出は収束に向かいつつあるというのに、不思議なこともあるものだ。夜はひとり小倉町の「和光」へ向かい、飲酒活動と共に、町内役員の忘年会の予約を完了させる。
朝飯 生玉子、大根の酢漬け、ほうれん草の胡麻和え、納豆、ふきのとうのたまり漬、メシ、なめこと万能葱の味噌汁
昼飯 「大貫屋」のチャーハン
晩飯 「和光」のお通しの野菜とこんにゃくの煮物、鯖の刺身、生牡蠣、なめこおろし、チキンカツ、サービスの煮豆、麦焼酎「吉四六」(お湯割り)
2018.11.17(土) 引き潮と上げ潮
日光および鬼怒川における観光客の動きに詳しい人によれば、今週末が、紅葉狩りで賑わうの最後のところだという。なるほど確かに、日光の旧市街から5kmを下った今市の中心部でも、木々の葉はかなり落ちてきている。その週末に試食販売をして欲しいとの要請が、道の駅「日光街道ニコニコ本陣」から数週間前に入った。
土曜日は平日の倍、日曜日は平日の3倍、ウチは忙しい。そこに何とか折り合いをつけて、その試食販売には協力をさせていただくことにした。
冷蔵ショーケースの掃除や販売促進物の持ち込みは、きのうの閉店後に長男が済ませていた。商品は今朝、搬入口の開く7時30分に、やはり長男が運び込んだ。僕はおなじ「日光街道ニコニコ本陣」でも普段の売り場を掃除し、本日納めるべき商品の数を決めた。
紅葉狩りのお客様が日光鬼怒川から引き潮のように去ると、いよいよ年末ギフトの季節である。繁忙が続くことは有り難い。
朝飯 ズッキーニのソテー、納豆、生のトマト、目玉焼き、なめこの醤油煮、めんたいこ、大根のたまり漬、メシ、揚げ湯波と大根の葉の味噌汁
昼飯 「カルフールキッチン」の舞茸の炊き込みごはん、大根のたまり漬、豆腐と白菜の味噌汁
晩飯 芥子菜とトマトとモッツァラレラチーズとコーンビーフのサラダ、ガーリックパン、ナッツと干し葡萄のパン、ソーセージを添えたクリームシチュー、”Petit Chablis Billaud Simon 2015″
2018.11.16(金) 開通
外へ食事に出るときには、少なくとも財布、カメラ、携帯電話の3点をISUKAのギヤバッグに入れて持参する。この3点のうち、なぜかサイフだけをときどき忘れる。支払いの段になって財布のないことに気づき、それを店の人に伝えても、大抵は行きつけの店だから「あー、次のときで良いですよ」と許してくれる。そうは言われても、甘えるわけにはいかない。家または会社にとって返すと即、財布を掴んでふたたびその店に戻り、借りは返してきた。
本日は、僕が書記を務める日本酒に特化した飲み会「本酒会」の例会日にて、鰻の「魚登久」へ行く。定刻の19時30分が近づいたためバッグの中身を探ると、今夜に限っては珍しく、カメラを事務机の中に置き忘れてきた。
カメラを欠いてもiPhoneで代用できる。代用はできるが、iPhoneで撮った画像をケーブル経由でコンピュータに取り込むことが、なぜか数ヶ月前からできなくなっている。「画像をクラウドで共有すれば済むではないか」と言われれば、それも手ではあるけれど、ケーブル経由の方が話は早い。
帰宅をしてから「駄目で元々」とばかりにiPhoneとコンピュータをケーブルで繋ぎ、酔った頭であれこれするうち、画像は呆気なくコンピュータに吸い込まれた。シラフのときにはなぜ上手くいかなかったか。
とにかくこれで、今日の日記に晩飯の画像を欠くことは無くなった。終わりよければすべて良し、である。
朝飯 めんたいこ、なめこの醤油煮、トマトとサラダ菜のサラダ、ほうれん草の胡麻和え、大根のたまり漬、メシ、トマトと若布とサラダ菜の味噌汁
昼飯 2種の佃煮、すぐき、めんたいこ、焼き海苔、大根のたまり漬、梅干しによるお茶漬け
晩飯 「魚登久」の酒肴あれや、これや、それや。鰻重。4種の日本酒(冷や)
2018.11.15(木) ガンバロー会
10月から11月のはじめにかけての日光は紅葉狩りの観光客により賑わう。それが収まりつつあるところに今度は贈答の需要が高まってくる。1月2日の初売りからしばらくは、初詣やお正月休みのお客様で店は混み合う。つまり体育の日の絡む10月の連休から新年の第一日曜日までの2ヶ月間は高原状態で繁忙が続く。というわけで夜は社員たちと4階の応接間に集まって「ガンバロー会」を催す。
あれだけ酒を好んだ志ん生も、会合の酒は嫌ったという。「えー、一体に酒てぇものは、好きなときに、好きに飲むところがいいんですな」というのがその理由である。僕も同感。しかし社員と飲む酒は美味い。
今回は忙しい週末を避けたため、子供のいるパートさんたちが来られなくて残念だった。新年会は繁忙の去った1月なかば、土曜日に設定をすることにしよう。
朝飯 納豆、大根と豚三枚肉の淡味炊き、トマトと莢隠元のソテーを添えた目玉焼き、めんたいこ、大根の酢漬け、大根のたまり漬、メシ、肉団子と白菜の味噌汁
昼飯 ラーメン
晩飯 グリーンサラダ、牡蠣とマッシュルームのアヒージョ、ポテトグラタン、ポトフ、オムレツ、ガーリックパン、赤飯のおむすび、たまり漬「刻みザクザクしょうが」のおむすび、牛ロース肉のソテー「日光味噌のたまり浅漬けの素・朝露」がけ、”THE LAST STAND CHARDONNAY”、パイナップルのシャーベット、アップルケーキ、”Old Parr”(生)