2025.12.16 (火) 松といえば
上澤梅太郎商店が運営する朝食の専門店「汁飯香の店 隠居うわさわ」は、推定築150年の伝統家屋にあり、席数が限られるところから、満席をいただくことが多い。ところが次の営業日である今週末から来週の月曜日にかけては、珍しく空席が目立っていた。
ここでふたたび「ところが」ではあるけれど、きのうの夕刻にいただいたお電話により、その三日のあいだの23席が一気に埋まった。
恵比寿講は今月の9日に催した。床に掛けた恵比寿と大黒の軸は翌朝に降ろし、谷文晁による「福神恵比寿之圖」は隠居の床に移した。年の最後はめでたい室礼で締めようと考えたからだ。しかし床脇にはここしばらく乾漆の文殊菩薩を置いている。神や菩薩とはいえ双方とも人の姿をしている。床も床脇も人、というのは少々うるさい。よって恵比須の軸は、他の何かに替えようかどうしようか、迷っていたところだった。
きのうのご予約により、気持ちが動いた。今年さいごの三日間は、別の軸で行こうではないか。だったら何を選ぶべきか。
こういうときにはすぐに、家にある軸から幾分かマシなものを選んでまとめだデータベースを見に行く。冬、且つめでたいものとしては諸星成章の「松上鶴圖」がある。しかしこれは新年のところに分類をされている。そしていま飾るべきは、軸ではなく柏木弘の”UNTITLED 08-III”と、その資料は示している。「だったら掉尾の一振はそれでいこうか」と、決める。
松といえば、今日から道向こうの駐車場の松が剪定をされはじめた。木の大きさからして、作業は一日では終わらないという。この松の次は、隠居の庭に実生から育った、本職の意見によれば「お金をかけるのは勿体ない」という松が伐られる。今年のうちに清々すれば、有り難いことだ。
朝飯 切り昆布の炒り煮、菠薐草のソテーを添えた目玉焼き、納豆、白菜漬け、なめこのたまり炊、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、豆腐と若布と玉葱の味噌汁
昼飯 にゅうめん
晩飯 めかぶの酢の物、揚げ湯波の甘辛煮、菠薐草の胡麻和え、白菜漬け、玉子焼き、椎茸と甘唐辛子のソテーを添えた鶏の照り焼き、「松瀬酒造」の「松の司生酛純米酒」(燗)













