2026.2.4 (水) しもつかり
「しもつかり」は、海を持たない栃木県の、食の貧しさ象徴するような郷土食だ。大根とニンジンを鬼おろしでおろし、そこに塩鮭の頭と煎った大豆を加えて煮て、最後に酒粕を加える。見た目は何やら分からないごった煮状で、とてもではないけれど、食欲をそそるようなものではない。
僕は27歳まで食わず嫌いを通してきたが、ある日、並木蕎麦の今は亡きオヤジさんに「こういうものを食わねぇから、しばしば熱を出すんだ」と、無理強いをされた。仕方なく口に運ぶと、これが存外に美味かった。以降は、朝はごはんのおかずとして、夜は燗酒の肴として、いそいそとみずから器に盛っている。
今年はこの「しもつかり」を、家内は1月31日の夜に作った。それは大鍋にいまだ残っているものの、早くもその二番手を、孫のリコが小学校から帰るのを待って、午後より作り始めた。使う大根は、日光市足尾が原産の唐風呂大根である。
「しもつかり」は家の最も寒いところに置いて保存する。むかしは凍ることもあったらしく、しかしそのまま小鉢に盛って食卓に載せたという。「しもつかり」は不思議なことに、温かいと美味くない。というか、気味が悪い。冷たいそれを口に含み、間髪を入れず温かいご飯を頬張ると、得も言われない幸福が訪れるのだ。
さて今年はいつまで「しもつかり」を楽しむことができるだろう。今夜の酒はワインでも、明日は燗酒にしようかと考える。
朝飯 ブロッコリーとマッシュルームのソテーを添えたスクランブルドエッグ、納豆、しもつかり、なめこのたまり炊、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、大根と人参と牛蒡と椎茸と小松菜の味噌汁
昼飯 にゅうめん
晩飯 トマトとベビーリーフのサラダ、パン、ポトフ、Chablis Billaud Simon 2018、チョコレート、Old Parr(生)













