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清閑 PERSONAL DIARY

2026.3.2 (月) タイ日記(1日目)

僕の選ぶ最後部のみのことかも知れないけれど、深夜便の機内は寒い。よって今回は、ユニクロの超極暖ヒートテックタートルネックTにモンベルのULサーマラップジャケットを重ねてきた。しかし駐機中の機内は、やけに暑い。通路を往く女性の客室乗務員は、手にした書類で自分の顔を扇ぐまでしている。そのうち涼しく、更には寒くなるのだろうか。

00:39 Airbus A350-900(359)を機材とするTG661は、定刻に19分おくれて羽田空港を離陸。

「今回も、眠れずに苦労するんだろうな」と考えつつ、今回はオフクロの遺したデパスとハルシオン各一錠を胸のポケットに入れてきたことを思い出し、ペットボトルの水で服用する。

04:20 目を覚ます。

僕の経験上、深夜便の中でデパスとハルシオンが効くと、3時間の熟睡と共に爽快な目覚めが訪れる。今回は、典型的なそれを得ることができたのだ。機は台湾と海南島の間を飛んでいた。取りあえずは、離陸の直後に配られたとおぼしいチーズとポテトサラダを具にした丸パンを食べ、ラバトリーで歯を磨く。

04:48 朝食のためのワゴンが動き始める。
05:32 ダナンの上空を通過。「ここまで来ればこちらのもの」という気分になる。
05:39 朝食は、クロワッサンを除くすべてを平らげる。
06:05 「バンコクまで40分。現地の天気は曇り。気温は28℃」とのアナウンスがある。

06:38 バンコクの灯りが見えてくる
06:40 TG661は定刻より10分はやい、タイ時間04:40にスワンナプーム空港に着陸。以降の時間表記はタイ時間とする。

04:56 機外に出る。
05:13 入国審査場を通過。
05:16 回転台からスーツケースが出てくる

到着階の二階から出発階の四階にエスカレータで上がり、もっとも端にあるタイ航空のカウンターへと向かう。そして近くのオネーサンを「ウドンタニーまで行きます」と呼んで、タイ航空の自動チェックイン機でチェックインをしてもらう。オネーサンはディスプレーに示された空席を差して「どちらがよろしいですか」と訊く。「もう決まっています」と僕は答える。オネーサンは黒変している54Kの席を見て「あぁ、こちらですね」と、すぐに理解してくれた。

そこまでは良かったものの、今朝のバンコク-ウドンタニー便は昨秋のそれとは異なって、随分と混んでいる。気は急いても他に採るべき手は無く、若い人の目立つ列に並ぶ

05:48 スーツケースの預け入れを完了。
05:54 エスカレータとエレベータを使ってすばやく降りた地下一階の、今回はスーパーリッチのブースで両替を完了。日本円とタイバーツの交換比率は遂に、1万円あたり2,000タイバーツを割って、今朝のレートは1,995バーツだった

06:01 何のために設けられているのか、まったく厳しくない検査場を通過。
06:15 保安検査場を通過。

ちかくのトイレの個室に入り、ユニクロの超極暖ヒートテックタートルネックTとモンベルのULサーマラップジャケットを脱ぐ。そして半袖のTシャツに着替え、首にインド綿のスカーフを巻く。これでようやく人心地がつく。僕にとって冬の服は、仕方なしに着るものに他ならない。

06:25 B9ゲートに達する。タイの夜は明けきっていない。ベンチで搭乗を待つあいだに、日本から長めの電話が入る。
06:45 搭乗開始
06:58 沖までバスで運ばれてタラップを上る
07:23 Airbus A320-200(32X3206)を機材とするTG002は、定刻に28分おくれてスワンナプーム空港を離陸。

昨秋のおなじ便は空いていて、ひとつ置いた席には刺青だらけの、沈没組と思われる白人の年寄りが、不気味な咳をし続けていた。しかし今回の機内には英語を話す若い人が多く、ほぼ満席の盛況である

08:13 TG002は定刻に13分おくれてウドンタニー国際航空に着陸。ちなみに「国際」とはいえ実際には、この空港に国際便は発着しない。
08:25 機外へ出て通路を行く。二階から見おろす一階の回転台では、既にして僕のスーツケースが運ばれていた

昨秋のタクシーは、空港内のカウンターでチケットを発行してもらった。今朝も見覚えのあるその場所へ近づき、ホテルと、それのある通りの名をオネーサンに告げた。ところが今回は、オネーサンはちかくに立つオジサンに声をかけ、オジサンは僕を先導して空港から外へ出た。慣れない国や場所であれば頭の中に警戒警報の鳴り響く場面ではあるものの、そのままオジサンに付いていく。

やがてオジサンは駐車場に駐めた車内にいる別のオジサンに声をかけ、僕には「200バーツ」と伝えた。こと料金に限っては、昨秋と変わらない。

08:38 タクシーが空港の駐車場を出る
08:53 昨秋とは異なって、今回の運転手は迷うことなくホテルにクルマを滑る込ませる。

08:55 昨秋も相手をしてくれた女装のオジサンにチェックインの手続きをしてもらう。部屋が準備できるのは12時すぎとのことで諒承する。
08:59 早朝の電話により仕事が発生したため、一階のレストランの外の席にコンピュータを開き、800字ほどの文章を書く

10:20 ロビーに戻ってしばらくするうち、部屋に入れる旨の案内が先ほどのオジサンからある。多いにありがたい。

部屋に入ったら、多すぎる枕や見ることのないテレビのリモートコントローラーを邪魔にならないところへ移す。使わない館内電話は電線を外して遠ざける。逆に、ベッドの両脇にある電気スタンドの片方は、コンピュータを使うテーブルに置く。日常に使う細かいものは、日本から持参したジュエリートレイにまとめてテーブルの端に寄せる。そうして部屋を、自分の好みにしていく

そんなことをするうち昼が近くなる。昨秋になじみになったマッサージのオバサンには、LINEで予約を入れておいた。グラミチの細いパンツはニクロの太いものに、革靴はゴム草履に替えて外へ出る。気温は34℃くらいだろうか。すこぶる気持ちが良い。

マッサージの後は、ちかくのバスターミナルへ行く。5バーツでトイレを借り、券売所に入る。冷房の効いた館内に座るオバサンに声をかけられたため「チェンライへ行く」と伝えると「ソンバッ」と、オバサンは外を指した。ウドンタニーからチェンライへのバスの切符は、やはりソンバットツアーの独占らしい。

昨秋、ソンバットツアーのカウンターには太ったオネーサンがいた。そして今日は、優しそうなオバサンがいた。7日に出るバスの切符を買いたいとオバサンに伝える。オバサンは、切符を買うにはパスポートが必要だという。財布からパスポートのコピーを取り出そうとする僕を制して、本体を持って来るようオバサンは言う。仕方なく300メートルほどを歩いてホテルへ帰り、ふたたび戻ってパスポートをオバサンに手渡す。

壁の時刻表には16:00発と18:30発のスタークラス、そして17:00発と20:45発のスーパークラスがあった。運賃は、スタークラスの655バーツに対してスーパークラスのそれは764バーツだから、大した違いはない。トイレのあることを期待して17時発のスーパークラスに決めると、オバサンは席を選ぶよう言って、コンピュータのディスプレーを僕に向けた。僕は最前列の通路側画を選んだ。眺めはよろしいかも知れないけれど、事故には弱い位置だ。

オバサンに紙幣と硬貨で計1,015バーツを手渡す。オバサンは怪訝な顔をして1,000バーツ札のみを受け取った。お釣りは240バーツ。オバサンの手元には電子卓上計算機があるにもかかわらず、である。タイで使える電話を持たない僕に、16時にはこの券売所へ来るよう、オバサンは言った。切符のの”Platform1″の文字を指して「これは、そこ?」と目と鼻の先のターミナルを差してみる。「だから私があたなを、別のターミナルまで送っていくのよ」と、オバサンはもどかしそうに口を開いた。僕が礼を述べたことは、言うまでもない

「さてこれで一段落」と、ちかくの食堂で汁麺を食べる。頼まなくても出てきたペットボトルの水を含んだ価格は70バーツ。汁麺の美味さと安さは明らかに、ウドンタニーよりチェンライに軍配が上がる。

ホテルへ戻り、シャワーを浴びて、すこしゆっくりする。そして日の陰り始めるころに外へ出て、ウドンタニーの駅へ続く目抜き通りを往く。気温は昼よりも上がって、素晴らしい蒸し暑さだ。そして新型コロナウイルスが蔓延し始めた2020年3月に来たときよりも、更に綺麗になった”UD TOWN FOOD CENTER”に入って行く

飲み残しのラオカーオは、荷物に入れ忘れた。しかも病み上がりの身、である。飲み物を売るブースでチャンビールを注文し、現金で支払おうとすると、支払いはカードでの取り扱いに限られると、オネーサンには言われる。即、納得をして、現金をこのフードコート専用のカードに換える場所を教えてもらう。食べものは、声をかけてきたオニーチャンにカオカームーを頼んだ

そのカオカームーとチャンビールクラシックを肴にして川本三郎の「荷風の昭和」の前編を開く。至福の時間である。それにしても、ビールは腹に溜まるのが難点だ。更には強くない度数にもかかわらず、五日ぶりのアルコールは僕を充分に酩酊させた。

駅を背にした西の空には夕焼けがあった。ホテルに戻ってシャワーを浴び、備えつけのバスローブを身につけても、時刻はいまだ19時を1分だけ過ぎたところだった。「それがどうした」と、即、寝台に上がる。


朝飯 TG661の夜食のパン同機内食TG002の機内スナック、コーヒー
昼飯 バスターミナル1のちかくの食堂のバミーナムトムヤム
晩飯 “UD TOWN FOOD CENTER”のカオカームー、チャンビールクラシック


美味しいおうちごはんのウェブログ集はこちら。

  

上澤卓哉

上澤梅太郎商店・上澤卓哉

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