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清閑 PERSONAL DIARY

2026.3.5 (木) タイ日記(4日目)

きのう寝に着いたのは多分、18時30分のころだっただろう。それもあって、目を覚まして手元のiPhoneを引き寄せ見ると、時刻はいまだ22時30分だった。万仏節にてひと晩の休みを挟んだ眼下のバービヤ街は、それほどの客がいるとも思われないものの、重低音の効いた音楽が、ひどくうるさい。

それでも何とか眠れて、次に目を覚ましたのは2時30分。この時間でも、バービヤにはいまだ客が残っているらしく、なにがしかの音は聞こえてくる。

三度寝から覚めた時刻は定かでない。覚えている夢のうちひとつは、タイの、いかにも頼りないペットボトルのフタがいつの間にか外れて、そこに小分けした醤油をどこかの玄関に大量にこぼし、しかし旅先にて雑巾もバケツも持っていないから、なにもできずに焦燥しているもの。もうひとつは、客のためのスツールが二客のみの小さなバーで、スクリュードライバーをひとくち飲んだところで手を滑らせ、そのグラスを床に落として割ってしまうもの。バーテンダーはそのままどこかへ去って、ガラスの破片は自分で拾い集めた。いずれにしても、情けない夢である。

夜が明けるころに曇っていた空は、いつの間にか晴れた。その空をジェット戦闘機が一機だけ飛んでいく。たった一機でも、空気を切り裂く音は随分と大きい。尼さんなのだろうか、女の声によるお経の声が、スピーカーに乗って届いてくる。ベランダから通りを見おろすと、2020年と昨2025年に使った洗濯屋には、既にして人が動いている。時刻は8時50分。ベランダで歯を磨き、初日からきのうまでの洗濯ものをプラスティック袋に入れる。別途、セブンイレブンのエコバッグには、本と財布とiPhoneを入れて部屋を出る。

洗濯屋のオバサンが衣類を逐一あらためて作った伝票の総額は、71バーツだった。コインランドリーでも最低100バーツを要することを考えれば、異常に安い。できあがりは明日の17時と告げられた。

そこからいつもの朝食屋へ出かけると、今日は休みだった。だったらホテルのレストランで野菜を大量に食べる手だ。なお僕は、南の国では外の席を好む。責任者らしい男の人は、頭上の大きな扇風機を回してくれるなど、いろいろと気を遣ってくれた。そしてその席には11時20分までいて、ずっと本を読んだ

それはさておき、今朝、部屋を出ようとしてドアを開けたところ、たまたまメイドのオバサンが用度品の台車を押していくところだった。よって取り急ぎ部屋へ戻り、枕の下の20バーツ札2枚を取り出し、それを手渡しつつ、トイレットペーパーは二巻を置くよう頼んだ。タイのトイレットペーパーは幅が狭く、巻きも少ないため、すぐに使い終えてしまうのだ。オバサンは僕が言いつけたとおり、二巻のトイレットペーパーを洗面台に残しておいてくれた。

タイの最暑期は3月から5月と言われている。今日の気温も35℃は超えそうだ。それは嬉しいことながら、プールサイドで太陽の直射を避けようと、寝椅子を移動させ続けるのも面倒だ。よって今日のところは、本は部屋の寝台で読むことにする。

ところで。チェンライでは、朝にホテルで充分の朝食を摂ると、日の傾くころまで本を読み続けることができる。しかしこの街ではなぜか、昼が過ぎると微妙に腹が減ってくる。今日はカオマンガイが食べたい。しかしホテルの前の通りには白人相手のレストランが並ぶばかりで、タイの軽食を出す店は無い。

ふと、2020年にも2025年にも夜に訪ねて、しかし今回はいまだ足を踏み入れていない、駅へ行く途中のフードコートは昼でも開かれているだろうかと考える。そしてその”Food Place”へ出かけてみれば、果たして多くの店が営業中だった。その中にはたったひとつだが、カオマンガイのブースもあった。あるいは明日の昼も、僕はここに、何かを食べに来るかも知れない。

午後も部屋に引き籠もって本を読んで、15時50分に外へ出る。約束の時間にマッサージ屋へ出かけると、オバサンはいつも外のベンチにいて、僕を見つけると笑顔で手を挙げる。しかし今日に限っては、外のベンチにはオバサンより明らかに年長と思われる別のオバサンがいて、ドアの内側を差した。

サンダルを脱いで中へ入り、安楽椅子に座ってオバサンを待つ。やがて現れたオバサンは「今日は一時間だけにしてくれないか」と言う。その顔色は赤く、何だか辛そうだ。よって「具合が悪いなら明日また来るよ」と答えると、オバサンは安堵をしたようだった。風邪でもひいたのだろうか。

一旦は部屋へ戻り、服を脱いでバスローブを着る。部屋の中では裸同然でいられる、というのも、南の国へ旅をしたときの、嬉しいことのひとつだ。そして17時を大分まわったところで再び服を着て外へ出る。目指すはきのうとおなじ、駅のちかくの屋台街である

それにしても、この屋台街にある焼鳥屋の、1本5バーツの値段はひどく安く感じられる。一方、きのうのソムタムの80バーツや、今日のイカのサラダ120バーツは、屋台としては高い。それでもそれらを肴にしてラオカーオのソーダ割りを飲み、本を読む時間は、僕に無上の喜びを与えてくれる。きのうとおなじオバサンには、きのうに引き続いて20バーツのチップ渡した。

ホテルには18時38分に戻った。そしてシャワーを浴びて、すぐに就寝の体制に入る。


朝飯 “Banbua Grand Udon Hotel”の朝のブッフェ其の一其の二
昼飯 “Food Place”のカオマンガイ屋のカオマンガイ
晩飯 ウドンタニー駅前の屋台街の2種の焼き鳥ヤムプラムックラオカーオ”NIYOMTHAI”(ソーダ割り)


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上澤卓哉

上澤梅太郎商店・上澤卓哉

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