2026.3.9 (月) タイ日記(8日目)
2時28分、次いで5時43分に目を覚ます。南の国ではあたりの明るくなる時間が僕の感覚からすると遅いから、つまり早朝の美しい空を愛でることはできないから、たとえ早く起きても、あまり面白いものではない。あるいは朝の空は、タイでも、春よりは秋の方が綺麗なのかも知れない。
机の前の壁には、毎日すべきことを記した日程表を貼っている。それによれば洗濯は今週の水曜日にすれば良いことになっているものの、既にして着た衣類を数えてみれば、今朝にも洗濯をすべきではないか、という考えが浮かんだ。どうも、日程表と実際の着替えとがずれているような気がするのだ。
そういう次第にて、きのうまでに身につけたものをプラスティック袋に入れて、ホテルを出て右に数軒のところにあるコンランドリーへ出かける。この店は2024年の9月にも使った。しかし2025年の2月にはおなじチェンライでも別のホテルに泊まり、コインランドリーも別の店を使った。店が違えば洗濯機や乾燥機の使い方も変わる。よって今朝はまた、壁や洗濯機の説明を、まじまじと見ることから始める必要があった。
僕の持ち込んだ衣類はたかだか数日分だから、洗濯機は9キログラム用の、もっとも小さなもので済む。その代金は冷水による洗濯で40バーツ。その前に壁の自動販売機にて、液体洗剤を5バーツで買う。そして洗濯機に衣類を入れ、ガラスのドアを閉め、上のフタを開けて液体洗剤を流し入れる。しかして後に10バーツ硬貨4枚を次々と所定の場所に入れ、スタートボタンを押すと、洗濯機はただちに回り始めた。
ひと息をついたところで係のオネーサンが出勤してくる。時刻は8時だった。そういえば、前回は既にしてオネーサンがいて、洗剤の買い方、洗濯機の使い方を、次々と説明してくれたのだった。今日も数分を遅れて来れば、楽ができたのだ。
さて洗濯の時間は30分間だから、洗濯物はそのままにしてホテルへ戻り、朝食を摂る。この食堂はプールサイドに位置していて、壁はない。一日中、壁のないところで食事のできる南の人が、僕は羨ましくて仕方がない。寒くないとは、素晴らしいことである。
洗濯機は、コインランドリーに戻って1分の後に止まった。次は乾燥機。設定はデフォールトで”High”になっていた。こちらの料金は50バーツ。ドアの完全に閉まらないことを心配しつつ、とにかくスタートボタンを押す。
24時間営業のコインランドリーは通りに向かって開け放たれていて、先ほどの食堂とおなじく気持ちが良い。よって部屋へ帰ることはせず、乾燥は本を読みつつ待つことにする。
途中でふと振り返ると、僕が衣類を入れた乾燥機のスイッチを、オネーサンが入れ直しているところだった。「大丈夫ですか」と訊くと「ソーリー、エラー」と、オネーサンは振り向いて笑った。僕のドアの締め方が、悪かったのかも知れない。
洗濯を終えた衣類は、コインランドリーのテーブルで畳んだ。おととし今のホテルに泊まっているときに、ベッドの上に広げた衣類を畳んでいて「すわ、ギックリ腰」という瞬間を経験しているため、もはやその姿勢はとりたくないのだ。部屋に持ち帰った衣類は、今度は混乱しないよう、そこらへんに出しておくことはせず、すべて圧縮袋に収めた。
さてこのホテルを予約した日の日記に書いたことだが、部屋の椅子はスツールで、これに座って机に向かい続けると腰が痛くなる。よって背もたれの付いた椅子をフロントで借りようとしていたものの、それも面倒だ。ここでは日記はすべてロビーの丸テーブルと籐椅子を使うこととして、一階に降りる。
移動日の日記はどうしても長くなる。「タイ日記(7日目)」を書き終えると、ロビーの、ふたつの錘と長い振り子を持つ大きな時計は13時20分を指していた。”PAI”に予約したマッサージの時間は15時。だったら自分はそれまでに何をするべきか。
部屋へ戻って水着に着替え、プールサイドへ降りる。南の国に旅して最もしたいことは、プールサイドでの本読みに他ならない。川本三郎著「荷風の昭和」前編の全567ページは、13時56分に読み終えた。そして即、セブンイレブンのエコバッグから、その後編を取り出して開く。
“PAI”の、顔を見知ったオバサンのオイルマッサージは、押される場所によってはかなり痛かった。バスでの長旅により、からだのあちらこちらが凝っていたのかも知れない。「このマッサージを二日つづけて受けるのはきついな」と考えて、女将には明日午後4時の足マッサージを予約した。
さて今日はいまだ自転車に乗っていない。乗らなければ1日分の貸料100バーツは無駄になる。そして夕刻の街に自転車を乗り出し、先ずはチェットヨット通りを北上する。昨年はじめて食べてその美味さに驚いた洋食の”Surf & Turf”は、残念なことに店を閉じていた。だからといって「そこいらへんの店」に入って不味ければ悲しい。ワインの飲める店は明日に調べることとして、ハンドルをナイトバザールへと向ける。
ナイトバザールの、鉄製の黄色い椅子とテーブルを並べた広場では、持ち込んだ食べものや飲み物は摂れないことになっている。それを知りながらペットボトルのラオカーオを飲んでいて、昨年は酒売り場のオバサンに言いつけられたガードマンに注意を受けた。そういう面白くない思い出があるため、今日は”Special Rum”とレッテルにはある”Sang Som”の小瓶とソーダとバケツの氷を酒売り場で買った。料理は顔見知りのオバサンの店にラーメンサラダを頼んだ。酒一式の価格は255バーツ。料理は120バーツだった。
すっかり酔って自転車を駐めた場所まで歩いても、空は昼と変わらず明るい。戻った部屋のシャワーは、今日は燈刻に到っても、寒くないくらいの水しか出なかった。そうしてSNSに情報を上げたり返信をつけたりして、19時20分に寝に就く。
朝飯 “BLUE LAGOON HOTEL”の朝のブッフェのパン、カフェラテ、目玉焼きとハムを添えたサラダ
晩飯 ナイトバザール奧のフードコートのヤムママー、ラム”Sang Som”(ソーダ割り)













