2016.12.2(金) 座標
今年8月のことだっただろうか、何の気なしに屋上へ上がり、これまた何の気なしにエレベータの機械室の裏側に回ろうとして、コンクリートのスラブと、その上に敷いた防水幕とのあいだに雨水が溜まって膨らんでいるのを見つけた。数日をおいてふたたび屋上へ行くとその、皮膚の下に漿液の溜まったような膨らみは、更に面積と厚みを増やしていた。見過ごすわけにはいかない。
防水工事を行う業者が決まるころ、季節は秋に変わっていた。工事が始まったのは10月の上旬。手渡された工程表に示されていた竣工は11月30日。途中、思わぬ降雪に見舞われ数日の遅れが出たけれど、今朝から遂に、その足場が外され始める。
ところでウチの屋上には、国土地理院だかどこかから頼まれ設置を許した、真鍮製の座標が埋め込まれている。その座標は今回の工事で防水幕に覆われ、見えなくなった。いつか関係者が来て、これを露出するよう言われることがあるだろうか。そのときには、その費用は先方持ちにしてもらおうと思う。
朝飯 牛蒡と人参のきんぴら、揚げ湯波と小松菜の淡味炊き、しその実のたまり漬、鰯の丸干しの網焼き、昆布の沖縄風炒め、胡瓜と蕪のぬか漬け、メシ、昆布と揚げ湯波と長葱の味噌汁
昼飯 ラーメン
晩飯 “Parrot”のグリーンサラダ、チキンカントリー、“evodia 2015”
2016.12.1(木) 日光の美味七選
極端な早寝早起きにて、今朝は2時24分に目を覚ます。眠気を引きずっているわけでもなく、すぐに起床して食堂へ行く。
12月1日には毎年メールマガジンンで「日光の美味七選」の発売をお知らせする。その文章はきのうまでに最終の確認を終えていた。今朝はそれを”FutureShop2″のシステムに埋め込み、9時の配信時間を設定する。
開店後、8時45分にうっかり電話に出てしまう。その電話が長引けば、やはりきのうまでに万端整え、しかしこの時間まで温存した「日光の美味七選」の注文ページを公開できない。その電話の受話器を置くや否や、これから9時まで自分は電話には出ない旨を周囲に伝える。
「知り合いだから」とか「取引先だから」というような義理は一切関係なく、僕が普段から気に入って食べたり飲んだりしている地元のあれこれを、各々のお店にお願いしてお詰め合わせする、送料税込み10,800円、限定40セットの「日光の美味七選」は結局のところ、メールマガジンンの配信から3時間後の11時59分に売り切れた。
以降はこれに関係する仕事を、今度は紙とペンを使ってしばらくする。
朝飯 牛蒡と人参のきんぴら、納豆、しもつかり、ひじきと揚げ湯波と人参の甘辛煮、たまり漬「おばあちゃんのホロホロふりかけ」、ほうれん草のおひたし、メシ、トマトと揚げ湯波と長葱の味噌汁
昼飯 食堂「ニジコ」のスーラーメン
晩飯 しもつかり、ほうれん草と海苔のおひたし、おでん、芋焼酎「八幡」(お湯割り)、チェリーブランデーをかけ回したアイスクリーム
2016.11.30(水) 取材
百十数年の歴史を持つ生活啓蒙誌「婦人之友」の取材を10時より受ける。2017年2月号の特集「冬こそ、気もちいい朝を」の巻頭カラー6ページにて、ウチの朝食が取り上げられるという。僕は先方の要請により、今回は白菜とベーコンと長葱の味噌汁を作った。
ところでこの取材に先立ち、僕の過去の日記を精査した編集者が、予告に用いるため提供して欲しいと指定してきた画像はすべて、これは僕だけが知っていることだけれど、家内が不在にしている朝に、家内の作り置いた常備菜を並べ、好き勝手に作った味噌汁を真ん中に置いたもの、あるいは冷蔵庫にしなびた野菜を見つけ「しょうがねぇな、ぜんぶ使っちゃえ」と、それを雑駁に刻んで投入した味噌汁によるものだった。
時代はバブルの崩壊から長いデフレーションを経て”gorgeous”や”gimmick”の追求、「高い仕様」や「複雑な仕掛け」の誇示から「これでいいのだ」に変わってきているのではないか。多くの人たちは、これからしばらくは小市民的安寧の中で、それを慈しみつつ生きていくのではないか。
そして明日も僕は味噌汁を作るのだ。今朝のメシはホットドッグではあったが。
朝飯 ホットドッグ、ヨーグルト、コーヒー
昼飯 揚げ湯波と小松菜の淡味炊き、しもつかり、生のトマト、ひじきと揚げ湯波と人参の甘辛煮、「なめこのたまりだき」のふわとろたまご、大根と胡瓜のぬか漬け、メシ、白菜とベーコンと長葱の味噌汁
晩飯 トマトとレタスとモツァレラチーズのサラダ、パン其の一、パン其の二、パン其の三、鶏肉のクリームソース、“Chablis Billaud Simon 2014”
2016.11.29(火) 3つの工事
屋上および2階のスラブの10月から始まった防水工事は、屋上においては既にして終わっている。2階のスラブも、残るは清掃くらいのものだろう。足場は予定では24日に外されることになっていた。しかし当日の降雪に阻まれ、いまだそのままになっている。
今年はじめの積雪期に、その雪が溶けるにつれ水漏れを起こした、店舗と工場を繋ぐ通路の防水工事は、既存の屋根の上に更に屋根を重ねる工法により本日、完了をした。この部分の漏水は、屋根に勾配を設けなかったこと、また店舗の大屋根に降った雨をこの平らな屋根に落とすという、過度に楽観的な設計に因る。
今回の工事では、屋上に屋を重ねることに加え、店舗の大屋根の雨樋を、これまでの狭い銅製から容量の大きな樹種製に換えた。またそれで受けた雨水は通路の屋根には落とさず、直径125ミリの太い、しかも2本の立て樋により地上に逃がすこととした。
一方、今年はじめの夕刻「店、やってるのか、やってないのか分からないよ」とお客様に指摘をされたことについて、夜とおなじ暗さの中で店には明かりが点いているのだから「やってるのか、やってないのか分からない」とは大げさとは思ったけれど、店舗正面の明かりをこれまでの蛍光灯からLEDに換え、また銅製の金看板にはスポットライトを新設する工事を本日、行った。
冬至まで3週間と迫った夕刻、既にして真っ暗な外へ出てみると、取り付けたばかりのスポットライトは看板をしっかりと照らしていた。これでなお「やってるのか、やってないのか分からない」と言われれば、そのときにはアバディーンの水上レストラン並みの電飾を、店全体に施すしかないかも知れない。
朝飯 たまり漬「刻みザクザクしょうが」を薬味にした納豆、小松菜と油揚げと人参のおひたし、牡蠣の煮びたし、トマトのスクランブルドエッグ、五目白和え、メシ、豆腐と揚げ湯波と三つ葉の味噌汁
昼飯 「麺屋ききょう」のねぎ塩ラーメン
晩飯 トマトとレタスのサラダ、マッシュドポテトとケチャップスパゲティとグリーンアスパラガスのソテーとたまり漬「青森県田子町産のにんにくです。」を添えたビーフステーキ、2種のチーズ、”Santa Helena alpaca Cabernet Sauvignon,Merlot 2015″
2016.11.28(月) いちばん大切なのはメシ
「ウチは役付はほとんど、夜10時ちかくまで会社にいますからね」と胸を張った社長がいた。その瞬間、僕の口を突いて出た言葉は「腹、減んねぇすかね」だった。それは思考を伴うものではない。ほとんど反射神経による。「仕事はさっさと定時に上がって、あとは酒とメシだんびゃ」という考えが僕には抜きがたくある。
終業後、退社する社員たちに声をかけている最中に長男から仕事を振られた。それは自分のコンピュータと紙とペンさえあればできるものだった。それならなにも、蛍光灯の青白い光に満たされた事務室にいることはない。その事務室を閉め、4階に上がって食堂の、電球の暖かい明かりの下の木のテーブルにコンピュータを開く。
ドライシェリーを口に運びながらの仕事は長男が夕食を準備するうち、その9割を解決することができた。残りの1割は明日の未明に行うこととし、いそいそとワインの栓を抜く。
朝飯 5種のおむすび、大根のぬか漬け、トマトと揚げ湯波と三つ葉の味噌汁
昼飯 「大貫屋」の天丼
晩飯 トマトとレタスとチーズのサラダ、長葱と鰯のスパゲティ、“Chablis Billaud Simon 2014”
2016.11.27(日) 明かり取り
オフクロは、性格こそ明るかったけれど、生活のための空間においては、サンルームと台所を除いては光を避けるきらいがあった。
オフクロのその好みは玄関にもおよび、ここでは昼でも、灯りを点けなければ何も見えない。外から玄関に入るきには、外光を頼りに靴を脱ぐ。しかし油圧式のドアクローザーにより扉はすぐに閉まる。その瞬間、あたりは真っ暗になるから、数歩を歩いて壁のスイッチを手探りし、天井の明かりを点けるまでは何もできない。
外からお客様をご案内するときには、お客様を玄関の前でお待たせし、当方は裏玄関から玄関に遠回りして、やはり壁のスイッチを手探りしつつ天井の明かりを点けてのち、内側から扉を開く。そんなことを40年ものあいだ続けてきたのだ。
オフクロが亡くなって2年以上が経ってしまったけれど、その玄関の扉にようやく、明かり取りのガラスを嵌めることができた。そこからの光は遠目に見るぼんぼりのようなかそけさながら、これまでの暗黒を知る者にとっては、大きな道しるべのように頼りがいのある光になった。とても嬉しい。
朝飯 なめこの醤油煮、納豆、ほうれん草のソテー、ウィンナーソーセージとピーマンのソテー、昆布の沖縄風炒め、明太子、白菜漬け、メシ、昆布と揚げ湯波と大根葉の味噌汁
昼飯 朝飯のおかずを流用した弁当
晩飯 おでん、大根と胡瓜と茄子のぬか漬け、芋焼酎「八幡」(お湯割り)、シュークリーム、BEEFEATER GIN(生)
2016.11.26(土) 日光牡蠣まつり
道の駅「日光街道ニコニコ本陣」で今日から始まり、来月の19日まで続く「日
11時30分に会場を訪ねる。入口には早くも人があふれ、大盛況の有様である。関係者然として行列の脇をすり抜けていく。ファミリーレストランや回転寿司屋でよく見かける、お客が自分でその名を記入する順番表が、上から下まで埋まっている。奥には焼肉屋のそれのように、真ん中に焼き台の仕組まれたテーブルで、殻ごとの牡蠣を楽しそうに焼く人たちがたくさんいた。
このような状況下、昼休みに海鮮味噌汁だけ飲んで帰るなどは到底、できない。また、折角なら焼き牡蠣も食べたい。来週の平日に捲土重来を期すこととして即、きびすを返す。
悩ましいのは18時のオーダーストップである。ウチの閉店は18時。つまりそれから来たのでは何にもありつけない、ということだ。上手い手があるかどうか、考えてみることにしよう。
朝飯 刺身湯波のあんかけ、トマトのスクランブルドエッグ、昆布の沖縄風炒め、明太子、納豆、胡瓜のぬか漬け、メシ、豆腐と昆布と万能葱の味噌汁
昼飯 「食堂ニジコ」のラーメン
晩飯 肉鍋、その鍋で作るラーメン、芋焼酎「八幡」(お湯割り)
2016.11.25(金) 秋季小祭
総鎮守瀧尾神社の秋季小祭とはすなわち新嘗祭のことである。朝、あれこれの仕事に時を忘れるうち、この秋季小祭が本日に行われることを思い出す。しかしてまた、その始まる時刻はことによると9時ではなかったかと、一瞬、背筋が寒くなる。履いていた靴をもどかしく脱いで事務室に上がり、自分の机の左に掛けたカレンダーを確かめると、そこには「神社 9:45」の覚え書きがあったから、胸をなで下ろす。
「雪のあしたの裸の洗濯」という言葉があると、長野県諏訪地方出身の人にむかし聞いたことがある。雪の降る朝の気温はそれほど低くない、ということだ。今朝は見事に晴れ上がったけれど、それほど寒くもない。よって素肌に木綿のシャツを着、ネクタイを締め、そこにウールの一重のジャケットを重ねたのみで、日影はいまだ凍っている歩道に気を配りつつ神社へと向かう。
春季大祭とは異なって、秋季小祭はいたって簡素だ。拝殿でかしこまっている時間も長くはない。そうしてこの神社の責任役員として社務所での直会に連なり、11時前に帰社する。
朝飯 昆布の沖縄風炒め、アスパラ菜の振り分け味噌炒め、トマトのソテー、ベーコンエッグ、納豆、メシ、揚げ湯波と若布と万能葱の味噌汁
昼飯 朝飯のおかずを流用した弁当
晩飯 “TIO PEPE”、レタスとジャガイモと人参のサラダ、豚の心臓と肝臓と2種のキノコのスパゲティ、“Chablis Billaud Simon 2014”、クレームブリュレ
2016.11.24(木) 雪の予報
目覚めて枕の下のiPhoneを取り出し見ると、時刻は2時34分だった。この時間の起床はいかにも早すぎる。よって布団の中で静かにしているものの、眠気はいつまでも訪れない。
関東地方には今未明から雪が降ると、きのうの天気予報は伝えていた。11月の初雪は、東京では1962年から数えて54年ぶりのことだという。「だったらその雪の降り始めを見てやろうじゃないか」と起き出し、食堂へ行く。雪は結局のところ、八王子など東京の西部に遅れて6時前から降り始めた。
暗い朝はいつもそうしているように、今日も早くから店の灯りすべてを点ける。そうしてすこしでもあたりを明るくするようにする。
午前、店の駐車場に積もった雪を長男がかく。しかし雪は止む気配を見せない。雪は昼から雨に変わるとの予報だった。しかし昼が過ぎても雪は止まない。そうしてその勢いがようやく弱まった14時すぎから、今度は僕が雪かきを始める。すると販売係のオバタタキコさんとサイトーミホコさんも出てきて、計3名で雪をかく。
本日の積雪は大したこともなく、駐車場は、数十分の後には綺麗になった。明日、空が晴れれば、あたりには美しい景色が浮かび上がるだろう。
朝飯 昆布の沖縄風炒め、白菜漬け、納豆、生のトマト、豆腐の卵とじ、大根おろしを添えたなめこの醤油煮、メシ、若布と揚げ湯波と三つ葉の味噌汁
昼飯 鍋焼きうどん
晩飯 「魚登久」のあれや、これや、それや。6種の日本酒(冷や)
2016.11.23(水) 調理手順
お客様にお配りする新規のチラシを作っている。そこに含まれる情報のうち「なめこのたまりだきのフワトロたまご」の画像は、きのうの朝から撮り始めた。
地震さわぎに撮影の邪魔をされたわけではないけれど、きのうの画像にはいまひとつ得心がいかなかった。よって今朝もまた食堂兼台所に三脚を立て、そこに”NIKON D610″を固定する。「なめこのたまりだきのフワトロたまご」を作るのは家内、それを撮るのは長男。僕はおなじ場所にいて彼らの様子を眺めているだけ、である。
2度目ともなれば画角も決まり、今朝は遂に使える画像を得ることができた。
長男は午後、その画像を、あらかじめ編集してあった型枠に納め、全体を整えた。僕は紙に出力されたその表裏を子細に眺め、また読み、いくつかの場所に朱を入れる。長男はそれを元のデータに反映させ、セイブンシャ印刷に送る。
この現物はいつ、納品をされるだろう。今からその完成が楽しみである。
朝飯 ほうれん草のソテー、ウインナーソーセージのソテー、白菜漬け、鮭の親子漬け、「なめこのたまりだき」のフワトロたまご、メシ、なめこと貝割れ菜の味噌汁
昼飯 朝飯の中身を流用した弁当
晩飯 鮭の親子漬け、鶏肉団子鍋、「松瀬酒造」の「松の司生酛純米」(冷や)




































