2020.10.26(月) ふたつの不思議なクリーム
先日、手の手入れについての記事を新聞の片隅に見つけた。それを読んではじめて、というか読むまで気づかなかった僕もとんだウツケ者ではあるけれど、物に触れる頻度の高い利き手の指先が、手の中ではもっとも湿度を失うという。道理で僕の手も、アカギレはほぼ右手の指先に限られるわけだ。
「両手に10本ある指のうちの8本には、アカギレにより絆創膏が巻かれている」と、21日の日記に書いた。絆創膏の巻かれた指は現在、2本まで減っている。しかし今朝現在で、新たに巻かなくてはならない指が2本、また出てきてしまった。きのうの朝、手にクリームを塗り忘れたせいかも知れない。
優れた焼き菓子を作る工房の女主人に教えられた2014年から、冬の手の保護には「日本ケミファ」の「モイスポリアホワイト」と「野口医学研究所」のエミューオイルを使っている。
前者は適量を超えて塗ると、そのベタつきがなくなるまで15分間ほど手と手をこすり合わせていなければならないところが欠点だ。しかしひとたび馴染めば頑丈な皮膜となって、朝から夜まで手を守ってくれる。後者は一瞬にして肌に浸透するのか、塗って手をこすり合わせた直後よりベタつきは一切、無い。寝る直前とか「今すぐ手を滑らかにしたい」というときに用いるには最適である。
利き手の指先、特に親指と人差し指と中指に絆創膏が巻かれていると、様々な場面で不便が発生する。今日からはまた、朝には「モイスポリアホワイト」を、寝る前にはエミューオイルを忘れず塗ろうと思う。
朝飯 春菊の胡麻和え、揚げ湯波とカブの葉の炒り煮を添えた納豆、焼き鮭、めかぶ、みょうがのたまり漬、メシ、揚げ湯波と蕪とトマトの味噌汁
昼飯 ラーメン
晩飯 カブの浅漬け柚風味、柿の白和え、韮のおひたし、里芋の煮ころがし、焼き餃子、麦焼酎「むぎっちょ」(お湯割り)、餡パン、Old Parr(生)
2020.10.25(日) ニッケイ・ザ・スタイル
5時をまわったところで「そろそろだろうか」と1階に降り、外へ出る。そして新聞受けから日本経済新聞を引き抜き、それを手に4階の食堂へと戻る。
上澤梅太郎商店のたまり漬、および朝ごはん事業「汁飯香の店 隠居うわさわ」の記事は、”NIKKEI The STYLE”の今週の特集「いまこそ漬ける 時がもたらす美味しさ」第11面に、間違いなく見つかった。その600文字ほどの記事を、丹念に読む。日本経済新聞社には、自由学園の同窓生が多く勤めている。今回の記事は、そちらからのご縁ではなく、初見の記者様の独自の取材に拠る。同紙を購読していらっしゃる方は、ぜひご一読ください。
14時に蔵見学のご予約をいただいていたお客様は、13時20分にいらっしゃった。即、ご一行を隠居へご案内する。「汁飯香の店 隠居うわさわ」の最後のお客様は、既にしてお帰りになっていた。よって常にはしないことながら、今日の見学者様には座敷に上がっていただく。そして仕込み水を飲んでいただきつつ、先ずは図上にて上澤梅太郎商店の歴史からご説明をする。
きのうより販売係がひとり多いこともあって、きのうのような、補助のため僕が店に急ぐような状況には、今日はならなかった。しかし売上げの金額は、きのうのそれを超えた。明日も忙しくなるだろう。
終業後は下野新聞の書評欄を読みつつ食前酒を飲む。
朝飯 鯛の煮こごり、揚げ湯波と蕪の葉の炒り煮、大根おろしを添えた油揚の網焼き、みょうがのたまり漬、生のトマト、メシ、豆腐とキャベツの味噌汁
昼飯 「やぶ定」の割子蕎麦
晩飯 「グルメやまなか」のロースハム、オールドイングランド、鶏笹身肉とレタスと林檎のサラダ、トマトとオリーブとアンチョビのスパゲティ、Petit Chablis Billaud Simon 2016、2種の焼き菓子、Old Parr(生)
2020.10.24(土) ご予約最強
家内は5時前に食堂に現れるとそそくさと朝食を済ませ、6時前に「熊が出たらどうしよう」と笑いつつ隠居へと去った。如来寺の周辺に出没していた熊は確か、猟友会の人たちが捕獲をしたはずだ。
7時45分、販売係のササキユータ君が出勤をするなり「もう渋滞してますね」と言う。事務室から外へ出て、道向こうに立つ電光掲示板を見る。そこには「日光宇都宮道路 今市-清滝 渋滞8km」の文字があった。
「汁飯香の店 隠居うわさわ」の、朝いちばんのご予約は8時30分。そのお客様がご来店になったのは9時20分。長男がうかがったところによれば、朝4時すぎに東京をお出になって、中禅寺湖畔には7時半すぎに着。しばし散策の後、いろは坂を下まで降りられたときには既にして、これからいろは坂を登ろうとする車線に長大な渋滞が発生していたという。
「汁飯香の店 隠居うわさわ」に12時の予約を入れてくださっていたお客様からは、現在、日光の神橋付近で渋滞に閉じ込められている旨の電話が11時40分に入る。そのお客様の席は、畳の「杉の間」に確保されている。よって、どうかお急ぎにならず、安心していらっしゃるよう、お伝えをする。
14時を過ぎたころより、販売係だけでは手の足りない状況が店に発生する。即、僕も補助に入る。ラグビーのモールではないけれど、お客様が作ってくださるこの賑わいが、僕は大好きだ。そして先ずは、接客に追われるうち目が届きづらくなる給茶器の紙コップやくず入れを点検する。
本日、席が足りないため「汁飯香の店 隠居うわさわ」の入店をお断りせざるを得なかったお客様は、僕が知る限り8組様。申し訳ないことこの上ない。
上澤梅太郎商店が運営する朝食専門店「汁飯香の店 隠居うわさわ」は毎週、土、日、月の営業。開店は8時30分、オーダーストップは12時30分、閉店は14時。電話番号は0288-25-5844(日光ごはん良し)。本店の電話番号0288-21-0002(08:30~17:30)なら毎日、ぐるなびなら24時間、ご予約を承れます。
朝飯 揚げ湯波と蕪の葉の炒り煮、納豆、メカブの酢の物、焼き鮭、みょうがのたまり漬、メシ、豆腐と菠薐草の味噌汁
昼飯 「金谷ホテルベーカリー」の2種のパン、牛乳
晩飯 「コスモス」のトマトとモッツァレラチーズのサラダ、牡蠣フライ、ドライマーティニ、TIO PEPE、家に帰ってからの「久埜」の最中、Old Parr(生)
2020.10.23(金) 貴重な瞬間
「秋は夕暮れ」と清少納言は書いた。僕は年がら年中、朝が好きだ。今朝は「枕草子」は昼については特に触れていないことに、この齢になって初めて気づいた。強いて言えば冬の最後のところだけれど、それは「わろし」で結ばれている。
テレビの天気予報は今日までの雨、そして明日からしばらくは好天が続くことを伝えている。つい先日までは週末が雨でも「どうせコロナだ、いずれ人は家に閉じこもったままだろう」と、特に心が動くことはなかった。しかし急に忙しくなってきたこのところは、週末の晴れを喜ぶ気持ちが戻ってきた。
日光の紅葉は、11月の下旬までは保たない。しかし例年、紅葉見物の車列は11月の、勤労感謝の日を含む連休までは途切れない。これからの特に週末は、晴れて欲しいと思う。
夕刻に、道の駅「日光街道ニコニコ本陣」への本日最後の納品を終える。小倉町から春日町へ向けてホンダフィットを走らせながら、雨が急ぎ足で上がりつつあることを知る。気温は低いものの、肌は暖かさを感じている。年に幾度もない、貴重な瞬間だった。
朝飯 揚げ湯波と蕪の葉の炒り煮、納豆、豆腐の餡かけ、茄子の炒りつけ、秋刀魚の梅煮、ごぼうのたまり漬、メシ、なめこの味噌汁
昼飯 ラーメン
晩飯 鯛の煮こごり、柿の白和え、飛び魚の丸干し、牛肉のすき焼き風、人参のぬか漬け、麦焼酎「むぎっちょ」(お湯割り)、明日より「汁飯香の店 隠居うわさわ」でお出しする和菓子、Old Parr(生)
2020.10.22(木) 何とかして乗り切らなくては
「お中元が終わったと思ったら、すぐにお歳暮ですから」とは、40年ちかく前まで勤めていたヨシオジローさんの言ったことだ。
当時、ウチのパンフレットには「年末の地方発送のご注文は11月15日までにお願いいたします」の一文があった。以降のお受け付けはすべてお断りだった。当時の作業手順では、製造も荷造りも間に合わなかったのだ。それをどうにかこうにか工夫をしながら社員の協力も得ながら、現在は年末の受注分まで年内の出荷が可能になった。
ところが昨年は、晩秋から師走にかけて上澤梅太郎商店の商品が3度もテレビで紹介をされ、大いに混乱を来した。「なめこのたまり炊」は売り切れ、「おうちたまてばこ」の包材については、それを確保するため、12月28日に東京までホンダフィットを走らせることになった。
さて今年は大丈夫かといえば、やはり心配はある。先ずはコロナ禍により、家に居ながらにして商品を手に入れたいお客様が増えた。他にも地方発送の需要を喚起するあれこれが予想されている。何とかして乗り切らなくてはならない。
朝飯 茄子の炒りつけ、納豆、揚げ湯波と小松菜の炊き合わせ、揚げ湯波と蕪の葉の炒り煮、秋刀魚の梅煮、ごぼうのたまり漬、メシ、揚げ湯波と蕪の味噌汁
昼飯 ラーメン
晩飯 「高橋商店」の鮎の甘露煮、菠薐草と榎茸のおひたし、キャベツの梅肉和え、みょうがのたまり漬、エリンギのソテーを添えた和風ハンバーグステーキ、「福禄寿酒造」の「一白水成純米大吟醸」(冷や)
2020.10.21(水) 「それ以上」の更に上
「鮨は指でつまんで食べる。しかしてその指は、これまで散々、汚いものに触れてきた。だから自分は鮨は食べない」と書いたのは團伊玖磨だ。
僕も鮨は指で食べる。しかしその、両手に10本ある指のうちの8本には、アカギレにより絆創膏が巻かれている。特に利き腕の指に絆創膏があっては、鮨は食べられない。
冬のスキーを目指して夏から走り込む人がいる。夏のサーフィンに備えて冬のうちからジムに通う人もいる。僕は走り込みもジムに通うこともしない。しかし冬の鮨を食べるために手の手入れをする、くらいのことはしなければならないと思う。
15時30分、らっきょうのたまり漬が売り切れそうだと、販売主任のハセガワタツヤ君が事務室に来る。売り切れたら売り切れたで仕方ないとするか、と訊くので「それは絶対にダメだ」と答える。先ずは、荷造りのため蔵の冷蔵庫に保管してあるうちの予備を店に運ばせる。包装係は追加で袋詰めを始めているものの、作業が完了するのは16時50分だという。
らっきょうのたまり漬は幸いなことに売り切れを免れた。新鮮な商品をお客様に提供したい気持ちは分かるけれど、明日からはギリギリの線は狙わないよう、包装主任のヤマダカオリさんに注意をする。彼女によれば、今日の分も余裕をみたつもりが、それ以上に売れてしまったのだという。だったら明日からは「それ以上」の更に上を見なければならない。
鴨志田穣の「遺稿集」の、伊集院静による解説「鴨志田穣の文章」を読んでから夕食の席に向かう。
朝飯 揚げ湯波と小松菜の炊き合わせ、めかぶの酢の物、茄子の炒りつけ、菠薐草と榎茸のおひたし、大根と人参のぬか漬け、ごぼうのたまり漬、メシ、椎茸とブナシメジと菠薐草の味噌汁
昼飯 にゅうめん
晩飯 根菜とレンズ豆のスープ、カジキマグロとトマトのスパゲティ、Petit Chablis Billaud Simon 2016、「自由学園食事研究グループ」のフルーツケーキ、Old Parr(生)
2020.10.20(火) そのうち高くなる
午前0時をとうに過ぎ、夜のいよいよ深まっていく静かな時間が大好きだ、と言った人がいる。僕は深更には縁がない。その時間にはいまだ眠っている。しかしてまた、その人のその時間は僕の大好きな未明と重なっている可能性も、無いわけではない。
未明には多く、日記を書いている。調べものをすることもあれば、本を読むこともある。先ほどメールやメッセージを送った人から、早くも返事が戻ったりすることもある。
今朝は、製造現場から上がって後は、鮭を焼いた。ちかくのスーパーマーケットで買った鮭は、日本酒に漬けてひと晩を冷蔵庫に置いた。それを日の昇るころより天火に入れ、表裏を返しながら急がず焼いた。6切れのうちのひと切れは早速、朝のおかずにした。残りの5切れは、明日からひとつずつ消化していくことになるだろう。
ところで鮪のトロは、江戸時代には捨てられていたと聞いたことがある。大正時代までは、吉田兼好が若いころの鰹とおなじく、貴顕の口にするものではなかったという。
鮭の頭やカマは、鮪のトロなどとは較べるべくもない下物に違いない。下物には違いないけれど、あるとき道場六三郎は鮭の部位を美味い順に「一鰭、二皮、三頭」と並べてみせた。僕の好きなカマのあたりも、そのうち高くなってしまうような気がする。
朝飯 菠薐草と榎茸のおひたし、めかぶの酢の物、煮奴、焼き鮭、胡瓜のぬか漬け、ごぼうのたまり漬、メシ、大根と万能葱と揚げ玉の味噌汁
昼飯 にゅうめん
晩飯 ピーマンの揚げびたし、里芋の煮ころがし、蓮根の梅肉和え、刺身湯波の「日光味噌のたまり浅漬けの素・朝露」かけ、生のトマト、らっきょうのたまり漬「ピリ太郎」、豚肉の「日光味噌」漬け焼き、揚げ湯波と蕪の葉の味噌汁、「福禄寿酒造」の「一白水成純米大吟醸」(冷や)
2020.10.19(月) 71年7月4日
手の指先に巻く絆創膏の数が増えてきた。アカギレの季節である。今朝は4枚を貼り足した。そうして早朝の仕事に向かうべく食堂を出る。仏壇では1時間以上も前に供えた線香が、いまだ火を保っている。
家族が亡くなるたび、その初彼岸や初盆に線香を戴いてきた。線香はひとところに保管をして、日々、大切に使っている。その線香の引き出しの底に先日、見慣れないひと箱を見つけた。商標は向陽牌つまりヒマワリ。線香の名は「檀香衛生香」。住所は北京市宣武庁内。箱の底に赤く押された「71年7月4日」は、いつを表すものだろう。細く長い線香はその本数からして、今年いっぱは使い続けられるかも知れない。
午前、仕事の合間に如来寺のお墓を訪ねる。「熊出没のため、墓地内には入らないでください」の注意書きが、相変わらず随所に貼られている。墓地には何かの対策のためか、市の職員がたくさんいた。これだけ人の気配があれば、熊も出ては来ないだろう。
15日の、オフクロの祥月命日に供えた白いカーネーションは、小倉町の「花一」で求めたときとおなじくらい瑞々しかった。花立ての水は、いささかも減ってはいなかった。その水を新しいものに替えて、墓前を去る。
朝飯 茄子の炒りつけ、揚げ湯波と蕪の葉の炒り煮、菠薐草の胡麻和え、生玉子、みょうがのたまり漬、ごぼうのたまり漬、メシ、トマトと玉葱の味噌汁
昼飯 ラーメン
晩飯 根菜類とセロリのスープ、ピーマンの素揚げ、若布の揚げバンと米のコロッケを添えた鮪のソテー、「グルメやまなか」のレバーペーストを塗ったパン、Petit Chablis Billaud Simon 2016、日光と宇都宮のあいだの山で採れた栗による菓子、Old Parr(生)
2020.10.18(日) 朝日派
小泉八雲は夕陽をことのほか愛し、書斎には西向きの部屋を充てたほどだったという。僕は断然、朝日派、である。
早朝の仕事から上がって食堂に戻り、東の方角を眺めれば、空にはこのところ久しくなかった晴れの気配が兆してきた。きのうの日記を整えながら、その様子を眺める。そして頃合いを見計らって屋上へ上がる。
地表ちかくに低く横たわる雲から、いよいよ日が顔を覗かせようとしている。空は、先ほどまでの青から水色に変わりつつある。その様子をカメラに納めて今度は背後の、つまり北西にきびすを返す。日光の山々は、その頂部を朱に染めながら、徐々に明るくなりゆくところだった。
屋上から階段を下って食堂に戻り、いましがたの山の景色を反芻する。そして「初冠雪か」と、ようやく気づく。
この日記に「初冠雪」で検索をかけてみる。家から見える山に限っての「その日」については以下が見つかった。
2004年11月22日
2010年11月16日
2013年11月11日
2017年10月31日
もちろん僕は気象庁ではないから、上記が正確か否かについての自信は無い。それでも今年のそれは、夏に異常な暑さを記録した年としては、いささか早いように思われる。
昨冬は雪が少なかった。それゆえの水不足が心配をされた。しかし関東以北の米の作柄は、平年にくらべて「やや良」を記録するところが多かった。「汁飯香の店 隠居うわさわ」に「ゆうだい21」を提供してくれているヤギサワヒロシさんの棚田は大豊作だったという。
今年の冬は、例年にくらべて寒くなるのだろうか。
朝飯 秋刀魚の梅煮、揚げ湯波と小松菜の炊き合わせ、焼き鮭、納豆、みょうがのたまり漬、ごぼうのたまり漬、メシ、蕪の葉の味噌汁
昼飯 ラーメン
晩飯 トマトと人参とキャベツのサラダ、らっきょうのたまり漬「ピリ太郎」、カレー南蛮鍋、麦焼酎「むぎっちょ」(お湯割り)
2020.10.17(土) 「どうなんでしょう」
朝、目を覚まして枕頭からiPhoneを拾い上げる。facebookの中で、顔を見知った幾人かが大阪の「たこ梅」でおでんを食べている。「たこ梅」と聞けば、からだのどこかが反応しないわけにはいかない。
1986年から現在までの「10年間に食べた中でもっとも美味かったもの」を、僕は覚えている。それは以下だ。
1986~1995年の10年間では「たこ梅」の「さえずり」
1996~2005年の10年間では、ある晩の、家の湯豆腐
2006~2015年の10年間では「鮨よしき」の飛竜頭
こうして並べてみると、玉村豊男の「料理の四面体」を紐解くまでもなく、これらすべては「火に水の働きが介在してできる料理」つまり煮物である。だったら自分は焼き物、煮物、揚げ物、生ものと、4種に大別される調理法の中で、特に煮物を好むかと自問をすれば、そのようなことは無い。不思議な合一と考えるべきだろうか。
ところで今日は、隠居の床の間の絵を替えた。「常連様もいらっしゃることであれば、月に1度は替えるべし」という、長男の意見を容れたことによる。折しも恵比須講の季節である。よって少ない選択肢の中から、僕は大黒天の軸を選んだ。
軸の桐箱には「羅漢山人大黒天之圖 門外不出 上澤家什寳」と、物々しく書かれている。「オタカラなんですか」とお客様に訊かれたら「どうなんでしょうねぇ」と、曖昧に笑うしかないだろう。
朝飯 納豆、めかぶ、生玉子、みょうがのたまり漬、ごぼうのたまり漬、メシ、玉葱と人参の天麩羅の味噌汁
昼飯 ラーメン
晩飯 里芋の煮ころがし、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、たまり漬「おばあちゃんのホロホロふりかけ」、生のトマトと刻みキャベツを添えた豚ロース肉の「日光味噌」漬け焼き、豆腐と浅蜊と長葱の味噌汁、栗焼酎「十三天狗の伝説」(お湯割り)、“BAKE”の”OIMON”、Old Parr(生)