2020年11月の日記30本
2020.11.30(月) われ、しののめを呼び覚まさん
枕元に手探りしたiPhoneの時刻表示は2時14分だった。その画面の下方のLINEが何やら賑やかだ。アイコンをタップすると、嫁のモモ君に2番目の子が産まれていた。画像も届いている。モモ君は赤ん坊を肩の横に寝かせて笑っている。「すごいなー」と、思わず声が漏れる。「名前は『晨』にしたいです」と、長男が書いている。正に「われ、東雲を呼び覚まさん」ではないか。
折しもコロナ禍の最中であれば、赤ん坊に対面できるのは来春になるだろう。僕はいわゆる昔の人というか何というか「無事に産まれたなら、それでいいじゃねぇか」くらいのところだから、特に痛痒は感じない。とにかく良かった。
ところでそのモモ君が開発をした「日光味噌のたまり浅漬けの素・朝露」が常に品薄気味とは、何度かここに書いてきた。理由は以下の3点に集約をされる。
1.味噌に微圧を加えつつ長い時間をかけて「たまり」を得る製造方法であること。
2.「たまり」をビーカーから1本ずつ瓶に詰めていく充填方法であること。
3.風味の良さにより作るそばから売れてしまうこと。
そのうちの2番目の問題を解決すべく、ここしばらくは有能な機械を探してきた。しかしそれらすべては大量生産のためのものであり、家内工業的に作られる「朝露」には不向きだ。価格も、必要の無い機能をすべて外しても百数十万円はする。この深刻な問題を、今日は2本の電話により氷解させることができた。かかる費用は一万数千円。
「朝露」の品薄は、旺盛な需要により、年末のうちは改善されないだろう。しかし年明けには一気に解決の方向へ向かうのではないか。製造係との話し合いを密にしたい。
朝飯 焼き鮭、納豆、焼き葱の「朝露」がけ、ピーマンの網焼き、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、メシ、シメジと若布の味噌汁
昼飯 おとといの夜のおかずを流用した弁当
晩飯 「食堂ニジコ」のお通しの胡瓜と蕪の浅漬け、ピータン、あんかけ焼きそば、麦焼酎「二階堂」(お湯割り)、家に帰ってからのエクレア、Old Parr(生)
2020.11.29(日) 4名様をご案内
お釣りとしてお客様にお渡しできないような傷んだ札が金銭登録機の中に溜まってくると、それをいわゆる「並券」と交換する。特に1,000円札は、新券と並券をあらかじめ交互に重ねて準備してあるから、それと交換する。午前に混み合ってきたところで、今日もその作業の1回目に取りかかる。その最中に「隠居、2名様、大丈夫ですか」と販売係のオバタタキコさんから声がかかった。
即、紙幣の交換作業を中断して、そのお客様と外へ出る。そしてお車を、現在の場所から隠居に至近の、より安全な場所へ移していただくよう、先ずはお願いをする。
横断歩道のたもとでお待ちするうち、もう2名様が店の方から近づいていらっしゃった。「隠居でいらっしゃいますか」とうかがうと、そうだとおっしゃる。というわけで、4名のお客様をいちどに隠居の玄関までご案内する。
霜月は恵比須講の時期にて、隠居の床の間には大黒天の軸が掛けられていた。それを僕が不在にしていた金曜日に、長男が下げたと聞いていた。床の間にはそれに代わって今井アレクサンドルの、3点の油彩をひとつの額に納めたものが掛けられていた。
次の模様替えは、鏡餅の置かれる12月の末になるだろう、多分。
朝飯 榎茸のおひたし、大根おろしを添えた油揚げの網焼き、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、メシ、2種の天麩羅の味噌汁
昼飯 「大貫屋」の醤油チャンポン
晩飯 マカロニサラダ、豚肉と白菜と2種の茸の鍋、麦焼酎「むぎっちょ」(お湯割り)、「久埜」の豆大福、TIO PEPE
2020.11.28(土) 山また山
このところ、店の軒先の壊れる事故が相次いだ。
キャンピングカーやマイクロバスなど、屋根の高いクルマが店に後退で近づく。運転者は多く、犬走りの柱や敷石、あるいは右の後輪に注意を払っている。まだまだ余裕があると考えるうち、目の届いていなかったクルマの後方上部が軒先にめり込む、という流れである。
1週間か10日をおいて起きた2件の事故の当事者は、どちらも正直に申し出て下さったから、当方は助かった。そして今朝は、その2ヶ所をニムラ板金のニムラさんが一気に直してくれた。つぶれ、あるいは裏返った雨樋は、部品を交換されて新品同様になった。大いに気持ちが良い。
さて今週末は言うまでもなく今月最後の週末で、来週はいよいよ師走に突入する。元どおり一直線になった軒の下には、良い日を選んで角松も来る。それよりも先ずは、ご贈答の需要をひと山、超えなくてはならない。その山を越えれば次の山、そしてまた次の山。12月は山また山の連続で、これも有り難いことだと思う。
朝飯 焼き鮭、納豆、生玉子、鰹のふりかけ、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、メシ、油揚げと長葱の味噌汁
昼飯 焼き鮭、揚げ玉、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、梅干しによるお茶漬け
晩飯 榎茸と菠薐草のおひたし、マカロニサラダ、刻みキャベツを添えた豚カツ、梅干しと海苔のおむすび、麦焼酎「むぎっちょ」にTIO PPEを浮かべた東京下町風、柿
2020.11.27(金) それを真に受けると
「今日は12月末の水準まで気温が下がります。分厚い上着を着てお出かけください」と、朝のテレビで気象予報士が呼びかけている。それを真に受けると、これは僕だけのことかも知れないけれど、ひどい目に遭う。冬に着ぶくれてかく汗は最悪だ。2枚の長袖シャツにウインドブレーカーを重ね、自転車で下今市の駅を目指す。
幕張メッセへ出向くのは、20数年ぶり2度目のことだろうか。ウインドブレーカーは既にして、背中のザックに格納されている。目星を付けた会社の品物は僕の要望を満たさず、しかし他に2、3の情報を得て会場を去る。
帰りは遠回りをして新橋に寄る。ここでひとつふたつの用事を済ます。日暮里にも用はあったけれど、そこへは年明けに、あらためて訪ねることとする。
北千住まで来ると時刻は17時30分。直近の列車に飛び乗っても家の夕食には間に合わない。駅の西口から旧日光街道まで歩き、初めての店に入る。そこには30分ほどいて、行きつけの店に回る。そうしてカウンターに持参の本を開き、しばしゆっくりする。
朝飯 生のトマト、納豆、榎茸と菠薐草のおひたし、ブロッコリーのソテーを添えたハムエッグ、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、メシ、若布と大根の味噌汁
昼飯 「ゴーゴーカレー」の「ゴーゴーカレー」(並盛り)
晩飯 「おとんば北千住店」のトマトのマリネ、レバ刺し、チューハイ、それを濃くするための「ナカ」、「加賀屋北千住店」のあれこれ、チューハイ
2020.11.26(木) “Spaghetti Pad Keemao”
バンコクの盛り場でしつこく袖を引かれるようなときには「マオレオ」と言ってやり過ごす。「マオ」は「酔う」で「レオ」は「既に」だから「マオレオ」は「もう酔っ払っちゃった」の意味になる。
1982年のはじめにタイからスリランカへ南下し、モルディブ、インド、ネパールと北上して2ヶ月後にタイに戻った。タイに戻ったということは、バンコク中華街の楽宮大旅社に戻った、ということだ。1階の食堂では背中一面に刺青を施した労働者がタイのウイスキー「メコン」をミリンダで割って飲んでいた。僕はもっぱらシンハビールを飲んだ。食堂の経営者スワニーはなぜか「酔っ払い」という日本語を知っていて、しばしば僕はその言葉でからかわれた。
「酔っ払い」はタイ語では「キーマオ」、そしてタイにはパッキーマオという料理がある。酔っ払いが小腹を空かせ、台所にあるありあわせの材料を炒めて食べようとする、それがパッキーマオだ。
チャオプラヤ川を眼下に望む洒落たテラスで、ある昼に冷たい飲物を頼んだ。何かを食べるつもりはなかったもののメニュを繰っていくと、パスタのページに”Spaghetti Pad Keemao”の文字が見えた。僕は静かに驚喜した。「次はコレしかねぇじゃんか」と思った。
今夜のスパゲティにはセルフィーユを盛大に盛ってもらった。パセリの方が似合うことは、重々、承知の上でのことである。
朝飯 牛蒡と人参の煮物、ブロッコリーのサラダ、大根おろしを添えた油揚げの網焼き、焼き鮭、納豆、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、メシ、トマトと小松菜の味噌汁
昼飯 にゅうめん
晩飯 カプレーゼ、TIO PEPE、スパゲティナポリタン、Petit Chablis Billaud Simon 2016、シュークリーム、Old Parr(生)
2020.11.25(水) 十月桜
事務机の左手に提げたカレンダーに「9:45 神社」の文字がある。秋季小祭つまり新嘗祭は10時より始まる。だからその15分前には神社に着いているべしという、それは覚え書きである。
白いシャツにウールのネクタイを締め、ツイードの上着を着て自転車に乗る。総鎮守瀧尾神社には、既にしてほとんどの人が集まっていた。ほとんどの人とは宮司をはじめとして旧市街各町内の自治会総代、神社総代、神社世話人の面々である。
瀧尾神社のお祭りは、少子高齢化の中、これからも長く続けられていくことを最大の目的として、規模の縮小と内容の簡略化が、ここ数年のあいだ続けられてきた。祝詞の奏上こそ正式でも、社務所での直会は省かれ、神事の後は拝殿で猪口1杯のお酒をいただき、お開きになった。
17時30分の閉店後、店に3台ある金銭登録機を締めているところに長男が来る。そして「なめこのたまり炊」の在庫が逼迫してきていることを知らされる。「なめこのたまり炊」は、僕が子供のころから今に至るまで、上澤梅太郎商店の商品の中ではもっとも好むものだ。
「なめこのたまり炊」については今年の春、新型コロナウイルスによる感染者が徐々に増えていく中で、僕は生産調整を提案した。それを覆したのは長男である。今となってみれば、例年どおりの量を製造したことは誤りでなかった。
材料を供給してくれているふたつの組合には年末のうちから、来年初の納品計画を伝えておく必要があるだろう。
朝飯 切り昆布の炒り煮、納豆、温泉玉子、菠薐草のおひたし、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、牛蒡と人参の煮物、メシ、大根と若布の味噌汁
昼飯 にゅうめん
晩飯 蕪のすり流し、ブロッコリーのサラダ、蛸と胡瓜の酢の物、鮪の「日光味噌のたまり浅漬けの素・朝露」漬け、「片山酒造」の「原酒」(冷や)、今週末から「汁飯香の店 隠居うわさわ」でお出しする予定の柿羊羹
2020.11.24(火) 大貫屋リスペクト系
大貫屋の皿には「和洋中」の文字がある。和とは多分、天丼、かつ丼のたぐいだ。洋とはポークソテーやオムライス、そして中はチャーハンやラーメンを指してのものだろう。つまり僕の好きな大衆食堂である。その大貫屋が今年いっぱいで店を畳むと、先日、facebookのどこかで目にした。
たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」をチャーハンの具にすると美味い。上澤梅太郎商店のパンフレットには、調理例の写真が載っている。そのチャーハンは、大貫屋リスペクト系とでも呼ぶべきものだ。
パンフレットやウェブショップに載せる料理はここ数年来、フジムラキミヒロさんに頼んでいる。僕と長男はあるとき、そのフジムラさんを大貫屋に同伴した。そしてチャーハンを食べてもらった。港区南青山のスタジオで調理、撮影をされても、それはナルトの入った大貫屋リスペクト系チャーハンである。
大貫屋で昼食の後、代金を支払いながら、噂の真相を確かてみた。厨房の女の人ふたりはオカミさんの顔を見た。オカミさんは困ったような、曖昧な笑みを浮かべた。そして3人は一斉に、今度はテレビ正面の特等席で焼酎を飲んでいるオヤジさんへ視線を向けた。
オヤジさんは毎日、13時には出前を済ませて店に戻り、ちょっとしたおかずを肴に焼酎の水割りを飲み始める。黄色いタオルで鉢巻きをしたオヤジさんは、齢80を目前にして階段も昇りづらく、出前のできかねるからだになった。若い人の世話になるわけにもいかない。今年いっぱいですっぱり引退をする。長いあいだ世話になったと、上機嫌で語った。
その朱に染まった、このオヤジさんには珍しい晴れ晴れとした顔を目の当たりにすれば「だったら出前だけやめれば」などとは言えない。年内はせいぜい、足繁く通うことにしよう。
朝飯 人参のきんぴら、納豆、春菊の白和え、蓮根のきんぴら、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、蕪の浅漬けゆず風味、メシ、かき揚げと雪菜の味噌汁
昼飯 「大貫屋」のオムライス(ケチャップはかけないでね特注)
晩飯 平貝の刺身、ラーメン鍋、「片山酒造」の「原酒」(冷や)
2020.11.23(月) 冬至まで4週間
ここしばらく、夜半に雨の静かに降ることはあった。しかし日中は常に晴れているような気がする。いつの季節にあっても、雨は夜のみに降って、昼は晴れて欲しい。それはひとえに「商売のため」である。
冬の朝は愉しみが少ない。というか、愉しめる時間が短い。何を愉しむかといえば、空の変わりゆく様である。初夏から夏にかけて、空は3時台から明るくなり始める。今は6時ちかくまで待たなければ、空に青みは差してこない。今朝は屋上へ上がって南東の空を撮ってみた。ISO1600で、シャッタースピードは50分の1秒だった。
朝礼を終え、その後の軽い作業の合間に如来寺のお墓を見に行く。3日前に供えた花の水は、好天と湿度の低さにより、花立ての底の方まで減っていた。その残り水を捨てて、新しい水を満たす。
先週は列島の各地に夏日を記録するところが続出した。台風の後のフェーン現象でもあるまいに、異常な暖かさである。それでも日が落ちると、ここ二日ばかりは急に冷えを感じるようになった。今年の初霜は、いつになるだろう。
朝飯 厚揚げ豆腐と小松菜と榎茸の炊き合わせ、雪菜のおひたし、切り昆布の炒り煮を添えた生玉子、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、じゃこ、メシ、蕪と白菜の味噌汁
昼飯 鰹のふりかけ、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、梅干し、なめこのたまり炊、切り昆布の炒り煮によるお茶漬け
晩飯 トマトとコリアンダーのサラダ、ふかしじゃがいも、菠薐草のソテーを添えたハムステーキ、Petit Chablis Billaud Simon 2016、チーズ、Old Parr(生)
2020.11.22(日) 隠居2名様大丈夫ですか
錦秋の帯は金精峠、湯元、竜頭ノ滝、中禅寺、いろは坂、日光市旧市街と来て、つい1週間ほど前に標高400メートルの日光市今市市街に達した。「今年はどうも冴えない」と考えていた隠居のモミジも、ようやく鮮やかさの頂点を迎えたように見える。
「隠居2名様大丈夫ですか」と、販売係のタカハシカナエさんが店から事務室の扉を開けて半身を現す。時刻は10時30分。即、隠居に電話を入れ、空席のあることを確かめる。お客様には現在の場所から隠居にちかい駐車場へとクルマを移していただき、その場所までお迎えに行く。おなじ「隠居、大丈夫ですか」の声は12時20分にかかり、やはり2名様を隠居の玄関までご案内する。
「有り難うございました」と店でいきなり声をかけらる。声の主は、先ほど隠居にお連れしたお客様だった。汁飯香の料理をお召し上がりいただき、漬物を買っていただき、その上「有り難うございました」などと言われては、当方は大恐縮である。深く頭を下げて、外までお送りをする。
午後になると、名所をめぐり、日光街道を伝って下界に降りてきたクルマ、またこれから鬼怒川、川治の温泉郷へ向かおうとするクルマの列が、目の前の春日町交差点で”jamming”を起こしはじめた。よって道の駅「日光街道ニコニコ本陣」へは、ホンダフィットではなく徒歩で売れ行きを見に行く。連休ともなれば、小まめな検品は必須である。
隠居の調理係である家内を夜は労って、しかし家内のおごりにて、外で食事をする。
朝飯 厚揚げ豆腐と小松菜と榎茸の炊き合わせ、切り昆布の炒り煮、煮奴、納豆、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、2種の天麩羅の味噌汁
昼飯 「カルフールキッチン」の2種のサンドウィッチ、牛乳
晩飯 「ユタの店」の皮蛋、2種の焼き餃子、炒飯、ハムとチーズと菠薐草の春巻き、焼酎「鏡月」(オンザロックス)
2020.11.21(土) 来年のカレンダーお分けします
業務日報をコンピュータで付けるようになった1992年以降、手帳は使っていない。しかし流石にカレンダーは必要だ。
これまで半世紀以上ものあいだ、お客様にお分けするカレンダーを注文し続けてきた問屋が昨年、廃業をした。それを知らされたのは夏だった。即、取り引きのある印刷屋におなじカレンダーを注文した。カレンダーは10月末に届いた。
今年はうっかりして、注文が秋にずれ込んだ。それに伴って納品も遅れ、きのうようやく、台車にして2台分のカレンダーが配達された。僕は早速に、そこから1部を引き抜き、事務机の左手に掛けた。
上澤梅太郎商店のカレンダーは、昔ながらの、ありきたりの意匠のものだ。ただそれだけに、見やすく、予定を書き込む余白も充分にある。「大安」や「先勝」などの六曜や旧暦を知ることもできる。折りたたんで持ち運び、日程管理に使う人もいる。確かにカレンダーは、大判の手帳にくらべればよほど軽い。
「来年のカレンダーお分けします」という表題の、毎年恒例のメールマガジンを昼前に作成する。配信の日時は事務係カワタユキさんの意見を容れて、明日の15時に設定した。ことし最後の祝日の最中、これを読んでくださる方は、どれほどいらっしゃるだろう。多くの応答を戴ければ嬉しい。
朝飯 ベーコンの網焼き、切り昆布の炒り煮、厚揚げ豆腐と小松菜と榎茸の炊き合わせ、納豆、ごぼうのたまり漬、メシ、白菜と若布の味噌汁
昼飯 「ふじや」のタンメン
晩飯 トマトのサラダ、オールドイングランド、カレーライス、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、焼き林檎のヨーグルト添え
2020.11.20(金) 供華
今朝こそは「冬眠不覚暁」を脱し、1時台の、それも前半に目が覚めた。1時台とはいかにも早すぎる。しかし、しばらく静かにしていても、眠気はふたたび訪れない。起きてお茶を淹れたり味噌汁のだしを引いたり、あるいは手にクリームを塗ったり新聞や本を読んだりする。
今日はオヤジの祥月命日だ。2015年の11月20日は快晴だった。病院からはハロルド・メイバーンのアルバム”Kiss of Fire”を聴きつつ会社に戻った。途中「いきなり葬儀場に持ってくっちゃ、ホトケさんが可哀想だんびゃ」と、シバタ鉄工のノーヤンから怒りの電話が入った。そのノーヤンも鬼籍に入って久しい。
9時を過ぎ、銀行などの用事を済ませてから如来寺のお墓に家内と参ずる。どなたが供えてくださったものかは不明ながら、花立てには既にして真新しい花があった。
オヤジが亡くなって以降、その命日には必ず線香を上げに来てくれる方を、今日も家にお迎えする。その方を見送って10分後、所用によりホンダフィットにて宇都宮へ向かう。
朝飯 切り昆布の炒り煮、納豆、厚揚げ豆腐と小松菜の炊き合わせ、「なめこのたまり炊」によるなめこおろし、ごぼうのたまり漬、メシ、揚げ湯波と蕪と蕪の葉の味噌汁
昼飯 「大貫屋」のタンメン
晩飯 ブラッディメリーのソーダ割り、トマトとブロッコリーのサラダ、きのうのシチューによるソーセージ煮込み、Chateau Beauregard Pomerol 2003、“LE COFFRET”のガレットブルトン、Old Parr(生)
2020.11.19(木) 大丈夫
「ステーキだよ」と、夜になってから言われても困る。僕の持つ赤ワインは古いものばかりで、寝かせてある瓶の下側に、帯状に澱が溜まっている。丸1日ほど瓶を立て、底まで澱を沈めないことには飲めないのだ。
きのう会社から上がると、家内はビーフシチューの調理を始めた。明日の夜のためのものだろう。そう考えて僕はワイン蔵へ降りた。そしてボルドー産のあれこれの並ぶ場所を見ていきながら、首に付箋の貼られた1本のあることに気づいた。付箋には「2008.12.26 FROM市本」と書かれていた。
イチモトケンイチ本酒会長は、飲み会の会長にもかかわらず、月に1度の例会日にしか酒は飲まない。4本、5本と飲んでも、その総量は毎回、1合以下である。付箋の貼られらワインは多分、イチモト会長がどこかから贈られ、しかし自分には不要ゆえ、僕に回してくれたものだろう。
底の「ギザ」がテーブルを傷つけないよう、瓶は折りたたんだハンカチに載せる。アルミニウムの封を丸く切り抜き、栓を抜く。ワインを飲まない人から到来したワインは保存の悪さから、既にして死んでいることが少なくない。しかし今日のこれは大丈夫だった。
そうしてトマトソースで煮込まれた牛肉を肴にして、この赤ワインを静かにゆっくりと飲む。
朝飯 納豆、菠薐草と榎茸のおひたし、大根おろしを添えた厚揚げ豆腐の網焼き、切り昆布の炒り煮、温泉玉子、ごぼうのたまり漬、メシ、若布と揚げ湯波と蕪の葉の味噌汁
昼飯 きのう「やぶ定」から持ち帰った豚カツによる弁当
晩飯 トマトのサラダ、Petit Chablis Billaud Simon 2016、トマトと雪菜のスパゲティ、ビーフシチュー、Chateau Beauregard Pomerol 2003、“LE COFFRET”の焼きメレンゲのケーキ、Old Parr(生)
2020.11.18(水) それを知るだけのために
本の「きゃー、かっこいい」と感じる題名は、何と言っても塩野七生の「チェザーレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷」だろうか。この上を行くものは何だろう。あるいは小林秀雄の「様々なる意匠」かも知れない。お酒の名前なら「美酒の設計」は、かなりかっこいい。次にグッと来るのは「聴雪」だ。
「美酒の設計」は、何となく前述の「様々なる意匠」を思わせる。それに対して「聴雪」と聞けば、僕には一茶の詠む冬景色が頭に浮かぶ。「美酒の設計」と「聴雪」とはまったく傾向のことなる酒名ではあるけれど、双方とも齋彌酒造店の品物だ。それぞれの名付け親は誰だろう。それを知るだけのためにこの酒蔵を訪ねてみようとする気持ちが僕にはある。
さて本日は日本酒に特化して月にいちど開かれる飲み会「本酒会」の例会日だ。冷蔵庫には「美酒の設計」もあるけれど、それは新年に回すことにしよう。そしてそれを除く4本を朝、来社したイチモトケンイチ会長の軽トラックに載せる。
朝飯 里芋の淡味炊き、大根の浅漬けゆず風味、小松菜の白和え、菠薐草と榎茸のおひたし、ごぼうのたまり漬、鮭の「日光味噌」漬け焼き、メシ、揚げ湯波と三種の茸と万能葱の味噌汁
昼飯 揚げ湯波と小松菜の炊き合わせ、牛肉のすき焼き風、2種の佃煮、梅干し、ごぼうのたまり漬によるお茶漬け
晩飯 「やぶ定」の酒肴あれこれ、盛り蕎麦、4種の日本酒(冷や)
2020.11.17(火) 配合比
5年前か10年前かは覚えていない。とにかくタイの北の方にいるとき、そこに来た目的について訊かれた。「仕事が半分…」と答える途中で、早くもそのタイ人は笑い出した。「なんだ、あとの半分は遊びか」という、それは笑いだったに違いない。
「仕事が半分」とは、実はとんだ法螺だった。その旅に占める仕事の割合は、実際には2、3パーセントくらいのものだった。「パーセント」という言葉を知らなかったから「半分」と答えたのだ。
午前は日本橋と神田のあいだにいた。銀行から駅へ戻る途中、鞄屋の支店のあることに気づいた。僕の壊れかけている財布は、その鞄屋のものだ。よって扉を押し、こちらでも修理を受けつける旨を確認した。
昼には新橋にいて、ときおり頭に浮かぶ人を訪ねた。この訪問については、仕事とも言えず、趣味とも言えない。
午後から夕刻にかけては恵比寿にいた。仕事の後は、石元泰博の写真を観た。美術館を出ると、空の色は既にして夜のそれになっていたから驚いた。時刻はいまだ、17時を過ぎたばかりだ。そこから移動をした落合でしたことは、仕事半分に遊び半分だったかも知れない。あるいは仕事が2割に遊びが8割か。
泊まりがけの、コンピュータを必要とする仕事は、荷物の重くなるところが難点だ。そして浅草20:59発の下り特急に乗り、23時前に帰宅を果たす。
朝飯 「小諸蕎麦」のたぬき蕎麦、ライス
昼飯 「ドトールコーヒーショップ」のトースト、コーヒー
晩飯 「晴れときどき…」の冷やしトマト、もつ焼きあれや、これや、それや、Podere Pradarolo VEJ Bianco Antico 2019、チューハイ
2020.11.16(月) 物語を舐める
“ROMANEE CONTI”を飲むという行いには、ワインを飲むというよりも、物語を身の内に取り込もうとする色合いが濃いように思う。その物語を、せめてひと舐めする機会はないか。
葡萄の収穫年までは覚えていないけれど、ロマネコンティをひと口5,000円で飲ませる場所があった。今は昔の物語である。とすれば僕のような凡人は、開高健の「ロマネ・コンティ・一九三五年」のページを繰ってみるしか方法は無いかも知れない。
当該の本は本棚の、目星を付けたあたりにすぐに見つかった。そしてこれを、ことし3月にバンコクで読みさした沢木耕太郎の「貧乏だけど贅沢」と共にザックに入れる。そしてそれを背にして自転車に乗り、駅へと向かう。
10時すぎに立ち寄った新橋では、本日新台入替のパチンコ屋に数百名の行列ができていた。創意工夫や試行錯誤を飽きず繰り返す辛抱強さに僕は欠ける。そういう人間は、パチンコは無論のこと、カード、釣り、狩り、運動競技等々、ほとんどすべてのゲームに興味を持てない傾向にあると思うが、どうだろう。
今日の仕事場は南青山。夕刻に日本橋まで戻り、小酌を為す。
朝飯 油揚げと小松菜の炊き合わせ、「なめこのたまり炊」のなめこおろし、納豆、めかぶ、牛肉のすき焼き風、ごぼうのたまり漬、メシ、トマトと揚げ湯波と蕪の葉の味噌汁
昼飯 “crisscross”のクラブハウスサンドイッチ、コーヒー
晩飯 「ふくべ」の鰹の刺身、蛸の酢の物、秋刀魚の塩焼き、納豆、菊正宗樽酒(燗)
2020.11.15(日) 「誰も読まねぇ」
「誰も読まない社史」と山本夏彦は書いた。「誰も読まない」とは、その会社の人も読まない、ということだろう。進呈された方は更に読まないこと必定である。
それほど小さくもない集まりで挨拶をするよう、ある役所に頼まれた。「面倒なことだ」と考えるより先に「挨拶文はこちらで用意しますので」と相手は淡々と説明をしたから、僕は胸をなでおろした。
僕はその、役人の作った文章を壇上で読み上げた。内容は、読むそばから忘れた。会場にかしこまった面々も、僕の口から出たあれこれは、右から左へと抜けただろう。こちらは、いわば音声による「誰も読まない」文章に他ならない。
時候の挨拶だったか何だったかは忘れた。とにかく文章を考えていると「誰も読まねぇ」と、脇からオヤジに言われた。確かに、世の中には、誰にも読まれない文章が山ほど行き交い、浪費され、埋もれ、あるいは消えていく。
「誰も読まねぇ」とは一面の真理ではあるけれど、たまには読む人もいる。だからやはり、何かを書くときには、気は抜けないのだ。
朝飯 油揚げと小松菜の炊き合わせ、牛肉のすき焼き風、生玉子、油揚げと蕪の葉の炒りつけを添えた納豆、ごぼうのたまり漬、メシ、揚げ湯波と三つ葉の味噌汁
昼飯 ラーメン
晩飯 菠薐草のおひたし、おでん、豆腐の玉子とじ、鰤の燻製、ごぼうのたまり漬、麦焼酎「むぎっちょ」(お湯割り)、自家製の蒸し羊羹
2020.11.14(土) 静かな夕食
きのうの夕刻には5日分の日記が在庫されていた。今早朝、そのうちの、おとといの分を選んで「公開」ボタンをクリックする。
「その日にあったことを書くのが日記ではないか」と問われれば、僕のそれに限っては違う。徒然なるままキーボードを叩いて400文字を超えたら日記にする。もうひとつ、3日先、5日先のことでも、その日、何をするかが分かっていれば、あらかじめ文字にしておくことは可能だ。
と、ここまで書いて、ウェブ上に「断腸亭日常」を検索する。荷風は僕とは異なって、起きたことを日ごと忠実に記録している。あるいは忠実に記録しているように見える。大正7年12月25日の「二妓と共に桜木に一宿す」の桜木とは、現在の上野桜木を指している。
余談ではあるけれど、僕は根津から桜木を経て根岸に至る道が好きだ。特に佳いのは、寛永寺陸橋からの眺めである。現代の小村雪岱といえば、誰だろう。
今日はまた、嫁のモモ君が第二子を産む準備のため実家へ戻った。孫のリコも一緒である。というわけで、しばらくは静かな夕食が続くだろう。
朝飯 油揚げと小松菜の炊き合わせ、油揚げと蕪の葉の炒り煮を加えた納豆、干し海老を薬味にした煮奴、めかぶの酢の物、ごぼうのたまり漬、細切り昆布の佃煮、メシ、若布と白菜の味噌汁
昼飯 おでん、ごぼうのたまり漬、メシ、薬味として三つ葉を加えたフリーズドライ味噌汁”with love”
晩飯 蕪のサラダ、オールドイングランド、「日光味噌つぶ味噌」による肉味噌と納豆のスパゲテティ、Petit Chablis Billaud Simon 2016、「久埜」の最中、Old Parr(生)
2020.11.13(金) 冬眠不覚暁
早起きのできない日々が続いていた。「夜に仕事をしているのだから、それでもいいじゃない」と家内は言う。秋までは、僕の製造に関わる仕事は早朝に行っていた。しかしこのところは、それを前夜に早めた方が、何かと良い状況になってきている。
きのうは3時台に目が覚めた。しかし着替えて食堂に来てみれば時刻は5時を過ぎていて、狐につままれた気分だった。今日も目覚めは3時台だった。食堂には4時17分に来られた。やはり僕は、これくらいの時間から活動を始めないと、どうにも損をした気持ちになる。ひとりでいられる時間が欲しいのだ。
昨年の記録とおなじく、紅葉狩りの行楽客は、文化の日の次の週末を境にして減った。しかし道の駅「日光街道ニコニコ本陣」の売場は、冷蔵ショーケースの向きの変更と新しい販売台を得て、特に「らっきょうのたまり漬」の販売量は増えてきたように思う。
いずれにしても、需要の一時的に落ちているここ1週間ほどは、年末に向けて、特に味噌の包装を増やしていく必要がある。たまりの「朝露」に関しては、味噌を搾って作る関係上、どうにも量産の利かないところがもどかしい。売り切れ、売り切れの連続である。
朝飯 納豆、油揚げと小松菜の炊き合わせ、おでん、油揚げと蕪の葉の炒り煮、ごぼうのたまり漬、じゃこ、メシ、若布と大根の味噌汁
昼飯 かつ丼、ごぼうのたまり漬
晩飯 鮎の甘露煮、菠薐草のナムル風、焼き鳥、ごぼうのたまり漬、3種の焼売、白菜のクリーム煮、麦焼酎「むぎっちょ」(お湯割り)、「和久伝」の「西湖」
2020.11.12(木) あたらしい知識
運動はもとより芸にしても仕事にしても「体で覚える」という会得の仕方がある。僕はどちらかというと、言葉で説明をしてもらう方が有り難い。
「気温が5℃下がるごとに服1枚が欲しくなる」と、今朝のテレビで気象予報士が言っていた。「よくぞ教えてくれた」である。気温が30℃なら半袖1枚でこと足りる。それは僕にも分かる。しかし15℃、10℃、5℃のそれぞれの気温にふさわしい服装については、これまで知らずにきた。それが今朝の気象予報士のひと言により、大げさに言えば救われたのだ。
もうひとつ、帽子の保温効果は上着1枚に等しい。これはイヴォン・シュイナードの「アイスクライミング」に書かれていることだ。頭部は球体であり、その表面積は全身のそれの5分の1を占める。つまりこの部分を覆うことにより体温は大きく保護される、というわけだ。
厚着が嫌い、汗をかくことが嫌い、予備の服により荷物の増えることも嫌いな僕にとって、冬は中々に厄介な季節である。「日本が常夏なら良いのに」と、いつも思う。
朝飯 オイルサーディンのチーズ焼き、納豆、油揚げと小松菜の炊き合わせ、油揚げと蕪の葉の炒り煮、大根と胡瓜のぬか漬け、ごぼうのたまり漬、メシ、揚げ湯波と大根の葉の味噌汁
昼飯 にゅうめん
晩飯 めかぶの酢の物、菠薐草のおひたし、らっきょうのたまり漬、薩摩芋の蜜煮、揚げ湯波と白菜の鍋、その鍋で煮た「福島製麺」のラーメン、麦焼酎「むぎっちょ」(お湯割り)、柿
2020.11.11(水) 割れないグラス
「暗闇で吸うタバコは思いのほか美味くない」と書いたのは吉行淳之介だっただろうか。暗闇では空中に漂う煙を目で追うことはできない。それが「美味くない」理由だったように思う。
新型コロナウイルスの蔓延により、人々はアルコールで手を頻繁に消毒するようになった。これによる乾燥から、手荒れに悩む人も多くなったと、あちらこちらの媒体が伝えている。僕は以前よりアルコールを手に噴霧することを常としてきた。僕の手は季節を問わず乾燥し、荒れている。
壊れやすいものほど腫れ物に触るように、軽く持つ癖が僕にはある。乾燥した手にその癖が加わり、そこに最近は加齢による「うっかり」も重なって、陶磁器やガラスの道具を壊すことが増えてきた。
蒸留酒のソーダ割りを飲むための薄いグラスは2客があったものの、1年ほどのあいだに2客とも失った。ブルゴーニュの白ワインを飲むためのグラスも2客があって、こちらも次々と割った。
業を煮やして検索エンジンを頼ったところ、金属製のワイングラスは確かに存在した。しかしそれでワインを飲んで、果たして美味かろうか。暗闇のタバコと同じ理屈である。
朝飯 納豆、おでん、ウィンナーソーセージのソテーを添えた目玉焼き、めかぶ、油揚げと蕪の葉の炒り煮、みょうがのたまり漬、メシ、若布と玉葱の味噌汁
昼飯 にゅうめん
晩飯 オイルサーディンのチーズ焼き、「あづま」から持ち帰ったフライあれこれ、同ぬか漬け、Petit Chablis Billaud Simon 2016
2020.11.10(火) 再登板
「今年は東京オリンピックだし、商売の方も行くぞ-」と気合いが入った直後の、新型コロナウイルスの流行だった。
2月から3月に月が変わった直後より、売上げが激減した。「汁飯香の店 隠居うわさわ」の、開店前のお披露目については、2月の下旬に招待状を投函し、しかし3月はじめには「三密」を避けて、今度は「中止」のお知らせをお送りすることとなった。「隠居」は急遽、その業態を「朝食」から仕出し弁当に変え、特に医療従事者には無料でお届けを続けた。
4月7日から5月6日までを期限とした「緊急事態宣言」は、5月末まで延長をされた。そのあいだの売上金額は、前年度比で9割の減。
国民に移動の自粛が呼びかけられたそのころより、日光や鬼怒川の産品を詰め合わせた、地方発送の商品を充実させた。また、ウェブショップでも、新しい企画を矢継ぎ早に発した。これらはお陰様で少なくないお客様のご支持を得て、荷造りの仕事は現在も高原状態にある。
このまま師走の繁忙期を迎えれば、社内のあちらこちらで混乱が生じることは必至である。それをいくらかでも緩和すべく、勤続33年を以て2015年に退職をしたアオキフミオさんに先日、声をかけた。アオキさんは当方の要請を快諾し、今日から蔵に来てくれた。お客様の需要にお応えをしつつ、どうにか大晦日までこぎ着けたい。
朝飯 細切り人参の炒りつけ、納豆、菠薐草と榎茸のおひたし、蕪の浅漬け柚風味、鮭の「日光味噌」漬け焼き、みょうがのたまり漬、里芋の淡味炊き、メシ、トマトと獅子唐の天ぷらの味噌汁
昼飯 にゅうめん
晩飯 刺身湯波、薩摩芋の天ぷら、菠薐草の胡麻和え、みょうがのたまり漬、豚足入りのおでん、麦焼酎「むぎっちょ」(お湯割り)、今週末に「汁飯香の店 隠居うわさわ」でお出しするものとおなじ和菓子、正体不明のブランデー(生)
2020.11.9(月) 土鍋の初期設定
池波正太郎の「食卓の情景」は、食べものとその周辺に材を取った本の中で好きなひとつだ。これを僕は、20代のはじめから昨年にかけて3度ほど読んだ。池波は私生活において、ことのほか小鍋仕立てのあれこれを食べているように感じられる。それを思い出したわけではないけれど、先日、ひとり用の土鍋を買った。
届いた土鍋には、先ず水に冷や飯を沈めて炊き、1時間ほど放置をして漏れ留めとせよとの注意書きが入っていた。よって今朝は、それを忠実に守って作業をした。そしてその副産物としてできたお粥を朝食とする。
ところで先月31日の日記に書いた、道の駅「日光街道ニコニコ本陣」の販売台が、思いのほか早くできあがってきた。それを現行のものと交換すべく、オタニ建具店のオタニさんとは18時に現場で待ち合わせた。新しい販売台は当然のことながら、向きを変えた冷蔵ショーケースに隙なく収まった。お客様の使い勝手が良くなった分、これまで以上に商品の売れることを期待している。
朝飯 油揚げと蕪の葉の炒り煮、細切り人参の炒りつけ、みょうがのたまり漬、白粥、トマトとカブの葉ときのうのポトフの残りの豚足の味噌汁
昼飯 にゅうめん
晩飯 スパゲティサラダ、TIO PEPE、カレーライス、付け合わせの「らっきょうのたまり漬」と隼人瓜のぬか漬け、Old Parr(ソーダ割り)、メロン
2020.11.8(日) Let’s go anyway.
早朝、食堂で日記を書くうち、階下からトントンと、音が聞こえてくる。長男が、夕食のための仕込みをしているのだ。
社員を迎え入れるため、今朝も7時40分に事務室のシャッターを上げる。朝礼の開始はおおむね7時55分。その数分前に「お客様がいらっしゃっていますが」と、販売係のササキユータ君が教えてくれる。「朝礼が終わるまでお待ちいただきますか」と続けるササキ君に「そうだね」と頷きつつ外へ出る。
ひとりのお客様が、息せき切って近づいていらっしゃる。「できれば今すぐに」と、そのお客様は、なにやらお急ぎのご様子である。そして、GoToトラベルキャンペーンの地域共通券11,000円分を使って即、東京へ向かいたい旨を早口でお伝えくださった。「そうであれば」と事務室の扉から店内にご案内をし、手早く税込11,448円の買い物をしていただく。
オヤジは時間外の商売を嫌った。しかし、お客様には喜んでいただけて、おまけに開店前から売上げが立つのだから、僕は今朝のような仕事は大好きだ。
そうしていつもの時間に3分だけ遅れて朝礼を始める。
朝飯 人参の炒りつけ、生玉子、なめこのたまり炊、めかぶ、みょうがのたまり漬、メシ、天ぷらとレタスの味噌汁
昼飯 にゅうめん
晩飯 レタスと蜜柑のサラダ、パン其の一、パン其の二、ポトフ、Petit Chablis Billaud Simon 2016
2020.11.7(土) 名人
自分以外の乗客は自動小銃を握った兵隊のみ、という列車に揺られて着いた先でひねもす昼寝をしているような野放図なところがある一方、妙に几帳面なところもある。煎茶は60℃のお湯を用いて急須に90秒を置くのが最適と聞けば、その通りにする。沸騰したお湯は、湯飲みに注いで15分で60℃になる。90秒という時間もまた、タイマーで正確に計る。そうして淹れたお茶ではあるけれど、美味いと感じるのは月に2、3度くらいのものだ。
それをきのう夕食の席で話したところ、自分は煎茶の淹れ方を名人から習ったことがあると、長男はその方法を教えてくれた。
茶葉はひとり2グラム。熱湯を湯飲みから急須に移し、それをふたたび湯飲みに戻せば湯温は70℃。それを急須に注ぐ。抽出の時間は特に聞かなかった。
今朝、その方法を試すと、しかしお湯は75℃までしか下がらなかった。そのまま手順を踏んで、仏様の分と自分の分のお茶を淹れる。そうして仏様の分を仏壇に供え線香を上げ、食堂に戻って自分の分を飲むと、それは、特に美味くもなかった。念のために加えれば、茶葉は名人推奨のものである。
人工知能はいまや、将棋の名人に勝つ。お茶の名人より美味いお茶を淹れる機械はどこかにないか。あれば買って、台所に置きたい気分である。
朝飯 蓮根のきんぴら、納豆、小海老を薬味にした煮奴、油揚げと蕪の葉の炒り煮、細切り人参の炒りつけ、みょうがのたまり漬、メシ、若布と三つ葉の味噌汁
昼飯 にゅうめん
晩飯 蕪のすり流し、菠薐草のおひたし、らっきょうのたまり漬、金目鯛の煮付け、3種の天ぷら、麦焼酎「むぎっちょ」(お湯割り)、3種の葡萄、“Chez Akabane”のショートケーキ、Old Parr(生)
2020.11.6(金) 720×12+1,800×2
日本酒に特化した飲み会「本酒会」で、書記を務めている。むかしは「酒長」という酒の取り寄せ係がいたものの、亡くなってしまった。よって今ではそちらの仕事も僕が兼務をしてる。僕が担当になって以降、お酒は秋田の天洋酒店と東京の鈴傳から、時に応じて取り寄せている。一度に送ってもらう量は四合瓶で12本。月に1度の例会で飲むのは3、4本である。
午前、その、今月から新春にかけての12本が、ヤマト運輸により届けられる。即、それらをコンピュータのデータベースに入力する。書記を任された1995年4月24日から、届いたばかりの12本までの本数は2,243本。「飲みも飲んだり」である。
今日の荷物にはまた、他に一升瓶2本も含まれていた。そのうちの1本は、師走16日の夜に隠居で飲む。もう1本は「仏様に」とか「皆さんで」と、何かと菓子を下さる方に、年末にお持ちをする。
ことしも「師走」だの「年末」が、それほど遠くないところに迫るころになってしまった。門松も、そろそろ注文すべきかも知れない。
朝飯 蓮根のきんぴら、納豆、茄子とピーマンのソテー、榎茸と菠薐草のおひたし、細切り人参の炒りつけ、油揚げと蕪の葉の炒り煮、みょうがのたまり漬、メシ、若布と揚げ湯波と長葱の味噌汁
昼飯 にゅうめん
晩飯 鮭と豚三枚肉の鍋、蕪の浅漬け、めかぶの酢の物、麦焼酎「むぎっちょ」(お湯割り)、薩摩芋の茶巾絞り
2020.11.5(木) 花を見に行く
10月20日の、オフクロの祥月命日には墓参りをした。そのとき供えた白いカーネーションの様子は、その後、何度となく見に行った。枯れていたらみっともないからだ。また、しおれた花が乾いて花立てにこびりついては、それをこすって落とすことが面倒だからだ。
そうして花立ての水を換えながら数日前にもお墓を訪ねたところ、カーネーションは既にして無くなっていた。多分、掃除の人が処分をしてくれたのだろう。僕は花立てを水で洗い、線香立てとその周辺も水で洗って次への備えとした。「次」とは今月20日の、オヤジの祥月命日である。そのときには、ゴムの薄い手袋を用意しようと思う。冬の水仕事は一瞬にして、指先にアカギレを生じさせるからだ。
「祝日とおなじ売上げです」と、夕刻、キャッシュレジスターのiPadをタップしながら、販売主任のハセガワタツヤ君が、僕の方を振り向いた。過去の記録も示しているように、文化の日を含む連休が過ぎても、とにかく今週末までは、紅葉狩りのお客様は結構、いらっしゃるのだ。明日から週末にかけての商売も、楽しく続けていきたい。
朝飯 榎茸と菠薐草のおひたし、油揚げと蕪の葉の炒り煮を薬味にした納豆、細切り人参の炒りつけ、めかぶの酢の物、鮭の「日光味噌」漬け焼き、蓮根のきんぴら、みょうがのたまり漬、メシ、揚げ湯波と隼人瓜とトマトの味噌汁
昼飯 にゅうめん
晩飯 スモークトサーモンとパテとレタスのサラダ、パン其の一、パン其の二、トマトと合い挽き肉のスパゲティ、Petit Chablis Billaud Simon 2016、“LE COFFRET”の「八幡山」、Old Parr(生)
2020.11.4(水) 風説
「床暖房の上にベッドを置くと、布団はいつも乾いて暖かい」とは、40年ほど前に、おばあちゃんの姉に教えてもらったことだ。教えてもらっても、それから30年ちかくも僕の寝室に床暖房は無かった。だからそれを試すこともなかった。
2013年秋の改装で、ようやく寝室に床暖房が入った。今年はその電源を10月の上旬に入れた。そして数日前よりようやく、布団にぬくもりを感じるようになった。床からの暖気がベッドマットに蓄えられ、敷き布団を温めるまでにひと月ちかくを要した、ということなのだろうか。あるいは、今年の設定温度が昨年のそれより低かったのかも知れない。
今朝は1時34分にいちど目を覚まし、次に気がつくと4時38分になっていた。遠くで工事の音が聞こえいる。起きて洗面所のカーテンをすこしずらすと、その工事は遠くではなく、目の前の、春日町の交差点で行われている歩道の補修だった。
13時、セキネ耳鼻科のセキネ先生が助手ひとりを伴って来てくれる。そして希望した社員、結局は産前産後休業などに入っている者以外の全員が、インフルエンザの予防接種を受ける。
今春、新型コロナウイルスがはやり始めたころには「気温が上がるにつれて感染力は弱まる」とされ、多くの人がそれを信じた。しかし夏になっても、そのような傾向は遂に現れなかった。「気温が下がればウイルスはふたたび猛威を振るう」という、誰が言い出したか知れない説も、外れてくれれば有り難い。
朝飯 納豆、蓮根のきんぴら、「なめこのたまり炊」のフワトロ玉子、油揚げと蕪の葉の炒りつけ、蕪の浅漬け柚風味、鮭の「日光味噌」漬け焼き、らっきょうのたまり漬、メシ、揚げ湯波と長葱の味噌汁
昼飯 柿の葉鮨
晩飯 うずら豆、細切り人参の炒り煮、榎茸と菠薐草のおひたし、里芋と椎茸の炊き合わせ、大根おろしを添えた肉だんご、「本物のワインで漬けた本物のワインらっきょうリュビドオル」の粒が小さすぎてはねた分、麦焼酎「むぎっちょ」(お湯割り)
2020.11.3(火) 献杯
今秋の紅葉狩りの行楽客は、文化の日を含む飛び石連休にもっとも多くなると予想をしていた。しかしいざそのときを迎えてみれば、それほど混み合う4日間でもなかった。その頂点は、どうやら先週末にあったらしい。
昨年の記録からすれば、それでも今週末までは、ある程度は観光客の往来があるだろう。そして勤労感謝の日を含む連休にまた人が出て、しかし以降は波が引くようにして、街は静かになる。そのころのウチには年末の贈答用や自家用の需要が発生している。店はヒマにみえて、しかし蔵の中では、人は忙しく立ち働くことになる。
午後、4月に急逝したカタヤマタカユキさんのお墓参りに、勉強仲間のカサイセージローさんが三重から来てくれる。カサイさんがはじめて日光に来たとき、僕は駅まで迎えに行き、しかし後のことはすべてカタヤマさんに任せたのだった。
夜はカタヤマさんの、今市中学校柔道部の先輩が経営する店に、カサイさんを含む有志が集まる。そして献杯の後、上出来のあれこれを肴にして、片山酒造のお酒を幾種類も、次々と飲む。
朝飯 温め直したら崩れてしまった焼きおむすび、らっきょうのたまり漬、揚げ湯波と隼人瓜とトマトの味噌汁
昼飯 にゅうめん
晩飯 「杉光」の其の一、其の二、其の三、其の四、其の五、「片山酒造」の純米吟醸ひやおろし(冷や)、大吟醸ほほえみ(冷や)、無濾過生原酒素顔(冷や)
2020.11.2(月) 夜はさっさと
小田実の「何でも見てやろう」を読んで一人旅を目指した人は少なくない。僕の持つそれはオヤジの妹にもらったものだ。奥付には、これが1961年6月23日発行の67版であることが示されている。価格は290円。
小田はインドで「日本の学生は何を食べるか」と訊かれて「カレー」と答え、インド人を喜ばせている。とここまで書いて「何でも見てやろう」の「にわかヒンズー教徒聖河ガンジスへ行く」と「不可触賎民小田実氏」のページを繰ってみた。そのような下りはどこにも見つからなかった。とすれば、僕の記憶は何だったのだろう。
とにかくこのところ、月曜日の夕食はカレーライスが多い。ウチの仕事は年中無休で「休日の晩餐」というものは皆無だ。カレーライスは作り置きができてすぐに食べられる、いわば戦闘食である。
そうしてその戦闘食を食べ終え風呂に入り、食堂に戻ると時刻は19時51分。僕のパジャマ姿に気づいて家内は「はやっ」と驚いた。早いもなにも、僕は夜はさっさと寝たいのだ。
そそくさと寝室に入り、寝台に横になる。そしてiPhoneのgoogleに「夜は千の眼を持つ」と入れてみる。真っ先に現れたのはYouTubeの、ポール・デスモンドとジム・ホールによる西海岸風の演奏だった。
朝飯 牛肉のすき焼き風、めかぶの酢の物、油揚げと蕪の葉の炒りつけを薬味にした納豆、鮭の「日光味噌」漬け、らっきょうのたまり漬、みょうがのたまり漬、メシ、きのうのピエンローの残りと長葱による味噌汁
昼飯 ラーメン
晩飯 トマトとレタスとチーズのサラダ、カレーライス、付け合わせの「らっきょうのたまり漬」と「おばあちゃんのホロホロふりかけ」、Old Parr(ソーダ割り)、柿と林檎
2020.11.1(日) 吃蛋會禿頭我
早朝、iPhoneにTikTokを開く。「マイページ」の最新の動画は先週火曜日の朝食だ。温泉玉子と「なめこのたまり炊」を混ぜ合わせ、ごはんにかけて食べている。その動画に付けられたコメントを上から辿るうち「吃蛋會禿頭我」というものを見つける。
「この人は、オレの頭が禿げていることを知っている」とはじめは考えた。しかしその6文字を検索エンジンに入れてみれば、それは中国語圏だけでなく日本にも流布しているらしい「鶏卵を生を食べるとハゲになる」という、ひとつの説と知れた。
子供のころ、ごはんに生玉子2個をかけて食べていた、という人がオヤジの従兄弟にいる。その人は齢80がちかくなった現在も、髪の毛はふんだんにある。いずれ僕の頭は既にして禿げている。玉子は生で食べても半生で食べても、どうということはない。
エッグベネディクトを朝ではなく、夜に食わせてくれる店はどこかにないか。あれば行って、それを肴に白ワインを飲みたい気分である。
朝飯 鮭の「日光味噌」漬け焼き、牛肉のすき焼き風、冷や奴、蓮根のきんぴら、らっきょうのたまり漬、みょうがのたまり漬、メシ、けんちん汁
昼飯 「やぶ定」の天とじ蕎麦
晩飯 町内の役員会に出かける前の「グルメやまなか」の鶏のパテ、らっきょうのたまり漬、TIO PEPE、町内の役員会から戻ってからのピエンロー、麦焼酎「むぎっちょ」(ソーダ割り)
































































































































