2020.6.26(金) 冷暖房機の交換
早朝の仕事には白衣やゴム手袋などの一式が必要だ。よって先ずは、それらの置かれている事務室に入る。すると部屋の3分の1ほどの面積を占める作業台から一切の物が消えていたから驚いた。今日は天井に埋め込んだ冷暖房機の交換が予定されている。そのための整理だろう。
事務室の2台に加えて店舗の天井にも吊り下げられた計3台の冷暖房機は、共通の室外機を持つ。設置から四半世紀を超えようとしているそれらは、数年前から正常に動かなくなっていた。以降はだましだまし使っていたものの、その命脈も遂に、昨年、尽きた。夏の暑さは扇風機で凌いだ。冬の寒さは石油ストーブで凌いだ。その不便をいつまで放置するわけにはいかない。
工事には2日間が予定されていた。しかしその後、人員を一気に投入して1日で終わらせることになった。8時30分から始められた作業は16時に完了した。業者に使い方を教わった真新しい機械からは、これまた真新しい冷気が吹き出した。この、環境の改善された事務室にて、今夏は精一杯、ご注文を承りたい。
朝飯 油揚げと小松菜の炊き合わせ、納豆、茄子のソテー、生のトマト、冷や奴、胡瓜のぬか漬け、らっきょうのたまり漬、メシ、胡瓜と若布の味噌汁
昼飯 「食堂ニジコ」のスーラーメン
晩飯 パン、茹でたグリーンアスパラガスとトマトのスパゲティを添えた鮭と帆立貝のクリームソース、Petit Chablis Billaud Simon 2016、メロン、「共働学舎新得農場」のチーズ「ラクレット」、Old Parr(生)
2020.6.25(木) 久しぶり
タイから帰国して以来、およそ3ヶ月ぶりに県境を南下し
浅草から乗った地下鉄銀座線が日本橋に差しかかる。時刻は9時55分。目的地は銀座だが、途中下車をしてみる。買い物をしようとした高島屋はしかし、10時の開店が10時30分になっていた。よってそのまま銀座まで歩き、喫茶店でしばらく本を読む。そして10時45分に、本日の最初の目的を果たすべく中小企業会館の8階へ上がる。
1時間後に外へ出て、ポケットからメモを取り出す。そこにはすべきこと、訪ねるべき場所が7つ書いてある。それよりふたつ多い9ヶ所を回るうち夕刻になる。
今回の上京に先だって、きのうは、なじみの店に恐る恐る電
朝飯 ムースーロー丼、らっきょうのたまり漬、菠薐草と若布の味噌汁
昼飯 「よし田」のカレー蕎麦
晩飯 「鮨よしき」の酒肴あれこれ、鮨あれや、これや、それや。「亀の海」の純米吟醸「蝉しぐれ」(冷や)、「山本合名」の純米吟醸「和韻」(冷や)
2020.6.24(水) ムースーロー
大きなボウルの水に、梅の実が浸してある。今週末に「汁飯香の店 隠居うわさわ」で甘味になるものだ。ことし紀州の梅は壊滅的な不作と伝えられている。とすればこの立派な梅は、どこの産だろう。
山下洋輔の文章が滅法おもしろいと教えてくれたのは、後に同級生の中でいちばん早く亡くなることになるハセガワヒデオ君だった。面白ければ、その人の本はほとんどすべて舐め尽くすのが僕の流儀だ。同級生コバヤシヒロシ君の家の、野尻湖にある別荘にはじめて泊めてもらったときには「インド即興旅行」を持参した。
当時の山下の随筆には新宿の中華料理屋「石の家」のムースーローがやたらと出てくる。僕が生まれてこのかたもっとも満腹になったのは、この店でムースーローとライスと野菜スープを平らげたときだ。腹が満ちすぎると人は直立できないということを、僕はそのとき初めて知った。
特に目立った風味は持たないものの、その食感には不思議なものがある、という食材が好きだ。キクラゲももちろん、そこに含まれる。今朝はそのキクラゲが到来した。よって夜は家内にムースーローを作ってもらった。梅雨寒にて麦焼酎をお湯割りにしたが、白酒の方が似合ったかも知れない。
朝飯 茹でたブロッコリー、スペイン風目玉焼き、ごぼうのたまり漬、大根と人参と胡瓜のぬか漬け、メシ、鯖の水煮と玉葱の味噌汁
昼飯 「やぶ定」のカレー南蛮蕎麦
晩飯 胡瓜とオクラのナムル、白菜キムチを載せた冷や奴、菠薐草と海苔のおひたし、なめこの味噌汁、ごぼうのたまり漬、ムースーロー、麦焼酎「むぎっちょ」(お湯割り)、「久埜」の栗饅頭、Old Parr(生)
2020.6.23(火) 自分ごのみ
きのう道の駅「日光街道ニコニコ本陣」で、地元の農家によるらっきょうを買ってきた。それを漬物にすべく、早朝より下ごしらえを始める。
先ずは無香料の石鹸で入念に手を洗う。その手が乾いたらアルコールを吹きかけて消毒をする。
らっきょうはざるにとって流水で洗い、皮を剥く。次にその頭と尻を包丁で落としてキッチンペーパーで水を切る。それを今度はボウルにとり、塩で揉む。いまだ余計な皮が残っていれば、ここで自然に剥ける。塩もみしたらっきょうはジップロックの袋に収め、冷蔵庫の野菜室に格納する。明日からは、そのときどきに応じて別の手を加えていく。
「らっきょうなら売るほどあるではないか」と問われれば、今朝のらっきょうは、お客様の好みではなく、自分の好みに合わせたらっきょうである。酒の肴になるまでに、ひと月くらいはかかるかも知れない。
今日はまた、2013年に102歳で亡くなったおばあちゃんの、祥月命日である。よって9時すぎに家内と如来寺のお墓を訪ね、お参りをする。帰社してからは、好きな「マイツール仕事」に取りかかる。僕はコンピュータにはからきし弱い。しかし稀代のデータベースソフト「マイツール」については、すこしばかり詳しいのだ。
朝飯 キャベツとベーコンのソテー、納豆、牛蒡と人参のきんぴら、菠薐草の胡麻和え、だし巻き玉子、ごぼうのたまり漬、胡瓜のぬか漬け、メシ、ブナシメジと万能葱の味噌汁
昼飯 胡麻だれの冷やし中華
晩飯 ベビーリーフと鶏笹身肉のサラダ、茹でたブロッコリーと炒めたエリンギを添えた鯛のムニエル、Petit Chablis Billaud Simon 2016、「共働学舎新得農場」のチーズ「レラ・ヘ・ミンタル」、Old Parr(生)
2020.6.22(月) 迂闊にも
“Happy Summer Solstice!! I do a party alone at the mini balcony.”と、僕より何十歳も若い人が、ドイツの下宿での様子をfacebookに上げていた。それを目にしてはじめて、今年の夏至は既にして去ってしまったことに気づいた。
暗鬱な冬が峠を越し、その日を境として昼の長くなり始める出発の日が冬至だ。クリスマスは、この冬至の祝いが形を変えたものと言う人がいる。とすれば夏至は、それから半年後にようやく至る、ひとつの頂点だ。だからこれを”Happy Summer Solstice”と喜ぶ人がいるのは当然だろう。
日本にはそれを祝う風習が無いから誰も言わずにいるけれど、1年のうちで僕がもっとも嬉しく感じる日は多分、夏至だ。その夏至を迂闊にも気づかず過ごしてしまったのは、きのうの朝の空が雲に覆われていたせいだ。
ところで今は梅雨の最中にある。今年の降雨量は平年にくらべて多いのだろうか、少ないのだろうか、あるいは平年並なのだろうか。梅雨入りから10日ほどしか経ていないところからすれば、そのような比較は、いまだする時期ではないのかも知れない。
「汁飯香の店 隠居うわさわ」の庭にはいま、紫陽花が盛んに咲いている。梅雨が去ってむせかえるような夏が来たときに咲く花は何だろう。
朝飯 牛肉と玉葱のすき焼き風、納豆、グリーンピースの玉子とじ、冷や奴、生のトマト、ごぼうのたまり漬、胡瓜のぬか漬け、メシ、大根と胡瓜の味噌汁
昼飯 「金谷ホテルベーカリー」の2種のパン、ホットミルク
晩飯 春雨サラダ、山芋の「日光味噌のたまり浅漬けの素・朝露」漬け、焼売、鶏の唐揚げ、麦焼酎「むぎっちょ」(お湯割り)
2020.6.21(日) 行方不明
ある社長がたまさかの休暇を利用して海外へ飛ぼうとしていた。同行した人によれば、社長は斜めに遠ざかりつつある地上を窓外に一瞥するなり「飛行機のタイヤが滑走路を離れると、ホッとするな」と独りごちたという。その気持ちは痛いほどよく分かる。
幾人ものアナウンサーの自己紹介を、テレビ番組の案内本だったか何かで読んだことがある。その「趣味」の項目に「行方不明になること」と書いた男のアナウンサーがいた。その気持ちもまた、僕には良く分かる。
もっとも簡単に行方不明になれる場所として最初に浮かぶのは、僕の場合、サウナ風呂である。泡の沸き立つ風呂に入り、着替えて休憩所の寝椅子で週刊誌を読む。落ちついたところで食堂へ移動し、注文するのは冷やしトマトとハムエッグとチューハイで決まりだ。
その、トマトとハムエッグとチューハイに、きのうはようやくありつくことができた。なぜ「ようやく」かといえば「夜にハムエッグも無いものだ」と、家内に拒まれ続けてきたからだ。きのうのハムエッグは自分で焼いた。そして今日の夜も、僕はハムエッグで構わないと考えている。現在時刻、2020年06月21日05時03分。
朝飯 だし巻き玉子、納豆、キャベツとパプリカのソテー、菠薐草の胡麻和え、生のトマト、ごぼうのたまり漬、メシ、胡瓜と若布と揚げ湯波の味噌汁
昼飯 ざるラーメン
晩飯 冷やしトマト、塩豆のソテーを添えたスパムエッグ、胡瓜のぬか漬け、麦焼酎「むぎっちょ」(ソーダ割り)
2020.6.20(土) 一瞬にして
きのうは20時過ぎに風呂を済ませ、早めに床に就いた。その暗い寝室の戸を孫がふざけて開けたので、大仰にいびき立ててみせた。孫はキャッと笑ってそのまま走り去った。戸は誰かが閉めてくれたのだろう、以降の記憶は無い。その甲斐あって、まぁ、それを甲斐というかどうかは不明ながら、今朝は1時台に目が覚めた。指折り数えてみれば、5時間以上は眠っている。よって即、起床する。
「梅雨寒」ということばもあるくらいで、今の季節は思わぬ低気温に見舞われることがある。きのうの夕食時には分厚いスエットパーカを着た。今朝もそれを羽織れば寒さは感じずに済む。しかし着ぶくれたくはない。自然環境保全の立場からすれば褒められないことながら、天井に埋め込んだ暖房機の、リモートコントローラーのスイッチを押す。その暖房機の様子が、今朝はどうにもおかしい。仕方なく食堂に脚立を立てる。そして機械の型番を紙に写したり、あるいは修理を頼む場所の電話番号を調べたりする。
いまだ3時台にもかかわらず、空は今日が晴れになることを明確に示している。日記の1日と半分を書いて、サーバに保存する。以降は製造現場へ降りる時間まで本を読む。製造現場から上がってからも、しばらくは本を読む。冷凍庫から取り出したごはんを電子レンジで温め、水で洗う。これを煮て、きのうの夜に余らせた香り野菜を投入する。食堂の空気は一瞬にして、インドシナの屋台街のそれに変わった。
朝飯 雑炊、しょうがのたまり漬
昼飯 「ふじや」の味噌ラーメン
晩飯 冷やしトマト、菠薐草のおひたし、ハムエッグ、麦焼酎「むぎっちょ」(ソーダ割り)、プリン、Old Parr(生)
2020.6.19(金) ハラハラと
インドシナのどこの国からだったかは忘れた、とにかく結婚して日本へ来た人が夫と蕎麦屋に入った。その女性は目の前に運ばれたものをひと目見るなりハラハラと涙を落としたという。
蕎麦の薬味は長葱の薄い小口切りか三つ葉くらいのものだ。彼女はそれをいかにも粗末と感じて泣いたのだ。「とんでもないところに来てしまった」と嘆いたのだ。
「だし」の複雑玄妙さを味わうために薬味や吸い口は敢えて単品を小さく盛る。あるいは日本には引き算の美学というものがある。そんなことを説明されても、亜熱帯のむせかえるような豊穣さの中からいきなり異文化にたたき込まれた人には通じない。彼女は今も日本にいるだろうか。
夕食が冷たい素麺ということはきのうから知らされていた。今日の気温は冷たいものを食べるにはいささか低い。夕食の席には分厚いスエットパーカを羽織って着いた。
卓上には幸いと、酒に合いそうな2皿があった。素麺が茹で上がるまでは、それらを肴に日本酒を飲んだ。
ウチの冷や素麺は、日本の標準に照らせば添えられる野菜の量は多いかも知れない。それでも風味はあくまで淡泊だ。その、深めの皿に山盛りの素麺が残り3分の1ほどになったところで、いしると酢で風味づけしたモヤシとパクチーと唐辛子とニンニクをバサリと投入する。
香りの一変したそれを一気に頬張れば、蕎麦屋で泣いた女の人の気持ちも分かろうというものだ。梅雨が明けたらいきなり暑くなって欲しい。
朝飯 茄子と獅子唐のソテー、納豆、大根おろしを添えた油揚げの網焼き、揚げ湯波と小松菜の炊き合わせ、「しいたけのたまり炊」と長葱の玉子焼き、メシ、大根と若布の味噌汁
昼飯 ラーメン
晩飯 茄子とピーマンの味噌炒り、蛸の鬼おろし和え、冷や素麺、別添えの薬味、「渡邉佐平商店」の「日光誉ゆめささら55%磨き純米吟醸」(冷や)
2020.6.18(木) 知らないままに
「鮨は白身の魚が好きだ」と言った人がいる。「鮨屋で出される白身魚の逐一を判別できるか」とその人に訊いたら「それはできない」と、素直な答えが戻った。
伊集院静が京都に住んでいたときの随筆には、いつも茶花が紹介されていたような気がする。しかもそのほとんどすべては、僕の知らないものだった。僕はほとんどあらゆることに疎い。植物については特に、だ。
先般、強力な武器を手に入れた。スマートフォンで花の画像を撮ると、数秒後にその名を教えてくれるアプリケーションである。それによれば、隠居の梅の木の根元にいつの間にか繁殖した、丸く広い葉を持つ花は大葉擬宝珠だった。そして今、店のモミジの根元に盛んに咲いている白い花はドクダミとのことだった。
ところでこのアプリケーションが、アヤメとショウブとカキツバタの区別をしてくれるかどうかについては、隠居には花菖蒲しか咲かないから試せない。そしてこの日記を書きつつアヤメとショウブとカキツバタについて調べるうち「アヤメを菖蒲とするのは間違い」という説明に行き当たった。
僕の使うワードプロセッサは「あやめ」を「菖蒲」と変換する。よって即、辞書からこの変換を削除する。「アヤメを菖蒲とするのは間違い」が本当のことかどうかについては知らないままに。
朝飯 納豆、揚げ湯波と小松菜の炊き合わせ、目玉焼き、冷や奴、隠元のおひたし、たまり漬「おばあちゃんのふわふわ大根」、メシ、揚げ湯波と胡瓜の味噌汁
昼飯 玉葱の熱いつゆで食べるざるうどん
晩飯 大根と胡瓜とハムのサラダ、カレー南蛮鍋、麦焼酎「むぎっちょ」とNoilly Prat Dryの東京下町風、“da Luciano”の柚と山椒のジェラート、Old Parr(生)
2020.6.17(水) 1日も早く
「密集、密閉、密接を避けよ」との、新型コロナウイルスへの集団感染を避けるために厚生労働省が出した達しに従って、出勤する社員の数を通常の半分に絞ることを始めたのは4月21日のことだ。
日記が長くなることを避けるため、誰もが知っていることは書かない。とにかく日本政府は、コロナウイルスによる感染者数および死者数を、世界の各国に照らして珍しいほど少なく保ってきた。人口からして当然のことではあるけれど、47都道府県の中でもっとも多い感染者を抱えていた東京都は、あさって19日を以て、様々な規制を解除する。そのような世の流れを眺めつつ、ウチの出勤調整は、今週末の20日を以て終わらせることを決めた。
人の移動が制限されたこの数ヶ月のあいだ、ウチでもっとも忙しい思いをしてきたのは、地方発送の注文を承る事務係だった。現在、ウェブショップのすべての商品ページには、1週間前後の納期をいただく旨のお知らせを載せている。この文章も、数日の後にはその内容を更新することになるだろう。事務係も21日の日曜日からは、いくらか楽になるかも知れない。
製造係のイトーカズナリ君は、4月に勤続20年の表彰を受けることになっていた。その、延び延びになっている表彰式も、いずれ行わなくてはならない。日光市にコロナウイルスによる感染者はいなくても、いまだ宴会を憚る空気は存在する。社員のみなとは、1日も早く、一緒に飲み食いをしたい。
朝飯 生のトマト、納豆、揚げ湯波と小松菜の炊き合わせ、牛蒡と人参のきんぴら、薩摩芋の蜜煮、胡瓜の「日光味噌のたまり浅漬けの素・朝露」漬け、メシ、トマトとズッキーニの味噌汁
昼飯 冷やし中華
晩飯 ブラッディマリー、ベビーリーフとレモンのサラダ、生のトマトと刻みキャベツを添えたコロッケ、らっきょうのたまり漬、「渡邉佐平商店」の「日光誉ゆめささら55%磨き純米吟醸」(冷や)








































