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お買い物かご

清閑 PERSONAL DIARY

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2025.12.31(水) おおつごもり

起きて食堂に来ると、食器棚の電波時計はみずから時刻合わせをしているのか、3本の針はグルグルと回り続けて、今が何時なのか分からない。よってテーブルに置いたiPhoneに触れると”4:00″の数字が太く白く現れた。上々の起床時間である。

毎日の例に従ってきのうの日記を書いたり、あるいはあれこれと空想をめぐらせたりするうち、南東の空には今日の好天を約束するような、紅い色が見えはじめる。ことし最後のあけぼのを画像に残そうかどうしようかと考えて、しかし屋上へは上がらない。

ことし最後の営業日に、社員はむかしから伝えられてきた仕事を、あるいはみずから身につけた仕事をこなしてくれている。僕は自分の領分を粛々と進めていく。上澤梅太郎商店の年末年始の休みは1月1日のみ。出勤する社員は皆無のため、その日に僕がすべき仕事については、製造係のイトーカズナリ君が教えてくれる。

社員がいて、家内がいて、長男がいて、嫁のモモ君もいるから、とにかく僕はとても楽だ。各々の時間に従って退社をするパートタイマーとは、それぞれの時間に、終業時まで仕事をしてくれる正社員とは、18時を過ぎたところで年末の挨拶を交わす。

日本に於ける聖夜は大晦日のそれ、という気がする。ことし最後の酒は、冷えた日本酒だった。「日本人ですもの」である。


朝飯 梅干、糸切昆布の佃煮、鮭の焼きほぐし、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、なめこのたまり炊のお茶漬け
昼飯 にゅうめん
晩飯 鴨鍋盛り蕎麦、「本田商店」の「龍力米のささやき奥谷純米大吟醸」(冷や)、洋梨といちご


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2025.12.30(火) こつごもり

樋口一葉の小説は読んだことがないものの「おおつごもり」という言葉は知っていた。しかしその前日を意味する「こつごもり」は、浅学にして今日が初耳だった。

今朝の日本経済新聞の第一面「春秋」では、漢字で書けば小晦日となるらしい「こつごもり」について「大みそかを前に、昔も今も、しばし人の気持ちがゆっくりするいっときだ」とある。僕としては「ホントですかぁ」である。

12月28日は、神様関係の掃除の日と決めている。事務室の神棚の掃除は、僕もすこしばかり長男を手伝った。坪庭の稲荷社については、外と中のものをステンレス製のお盆に載せて事務室へ戻し、狐の置物は、お湯で洗って真新しい布巾に並べた。

稲荷社の掃除は、僕の長年の経験により、濡れ布巾で拭くよりは水で丸洗いをした方がよほど綺麗になり、長年の風雪に耐えた木部を傷めることもない。その稲荷社がすっかり乾くには二日間を要する。僕がおととい取り出したあれこれを元に戻すことは、長男に任せた。

昼がちかくなるころ先週末から休みに入っている「汁飯香の店 隠居うわさわ」へ行き、柏木弘の”UNTITLED 08-III”を降ろす。そして河合寛次郎の「喜者開扉」を、正月のものとして掛ける。その床の間には家内の手によるものと思われる鏡餅が、既にして飾られてあった。

隠居の柴折り戸から出ると、28日のうちに飾られたのだろう、製造現場の大木戸の外には一双の三階松があった。店にはカワムラコーセン先生が来て、新年のための花の下ごしらえをしてくれた。この活花は、1月2日の初売りの直前に仕上げられることになっている。

そういう次第にて、品物を作り、売る会社の「こつごもり」は「しばし人の気持ちがゆっくりするいっとき」には、ほど遠い。今日の売上金額は、今月の最高を記録した。

閉店後、事務室の大テーブルに赤い幣束が残されていることに気づく。「これはいけない」と即、外へ出て、それを稲荷社の中に収める。明日はいよいよ「おおつごもり」である。


朝飯 小松菜のおひたし、二種の蒲鉾、目玉焼き、納豆、なめこのたまり炊、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、トマトと若布の味噌汁
昼飯 にゅうめん
晩飯 めかぶの酢の物、ザーサイ、らっきょうのたまり漬、中華風焼きそば、「松瀬酒造」の「松の司小仕込みの会限定純米酒」(燗)


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2025.12.29(月) 阪納誠一メモリアル走行会(第38回)

「阪納誠一メモリアル走行会」の案内が届けば、自分はまるで機械になったように、自動的ともいえる手の動きを以て申し込みをする。今年の11月はじめにも、例年の通り、そうした。その案内書を一週間ほども前にいまいちど読み返したところ、今回はモビリティリゾートもてぎのレーシングコースがアスファルトの敷き直しにより使えず、会場は南コースになるとあった。

「人は文字が読めない」とか「人は文字を読まない」ということが、よく言われている。僕もその例に漏れなかった、というわけである。

取り急ぎモビリティリゾートもてぎのウェブページを開き、当該のコースを調べたことは言うまでもない。するとそこは、アスファルトに白線を引いたのみの、全長1,102メートルの短いサーキットということが分かった。

「しっかり読んでいれば、今回の走行会には参加しなかったかも知れない」という思いと「しかし古いクルマを二年も置いたままにするのは、やはり問題だろう」という考えが交差し、結局は後者に傾いた、この一週間だった。

8時30分からのドライバーズミーティングで主催者側から伝えられたところによれば、この南コースは、鈴木亜久里の要請により、ヨーロッパの荒れたサーキットを再現したものだという。参加車両は予想を超えて、60台に達していた。

僕の”BUGATTI 35T”は、Vintageクラスに分類をされている。20分から30分の走行を繰り返す持ち時間の合計は2時間。そしていざこの南コースへ出てみれば、ふたつのS字カーブの半径は短く、もっとも長い直線も、4速で3,000回転まで速度を上げると第一コーナーが迫る狭さだった。その第一コーナーの手前で4速から3速に落とし、連続するS字カーブの入口では、発進のときにしか使わない2速へ更に変速機を落とすことが必要ということも分かった。

この時代のブガッティの変速機は、前進が4速ある。3速と4速のあいだの上げ下げは楽。2速から3速へ上げることも割合に楽。しかし3速から2速に落とすことは少しく難物である。そして今日は、その3速から2速に、できるだけ滑らかに落とすことを練習をしようと決めた。

高橋義孝の「能のすがた」に、だっただろうか、謡のある一ヶ所のみを、繰り返しさらうことに意味を見いだした記述のあった気がする。顔はガソリンの匂いに包まれ、耳には様々な轟音、左手でハンドルを、右手で車体の外に突き出たギヤレバーを握り、冬の風を切って疾走しつつ「能のすがた」はいかにも不似合いではあるものの、とにかく練習、である。

結論としては、今日はひとつのことに集中をすることができて良かった。そして来年は、ぜひまたレーシングコースに戻ってきたい。そのとき1926年製の”BUGATTI 35T”は100年目、僕は70歳になっている。スポーツは、真剣にしないことには、面白くない。限界を試さないことには、満足を得られない。それができなくなる前に、この走行会からは引退をする予定である。


朝飯 「ホテルルートイン宇都宮ゆいの杜」の朝のブッフェ
昼飯 「グランツーリズモカフェ」のオリジナルカレーライス
晩飯 二種のキノコとパンチェッタのスパゲティChablis Billaud Simon 2018


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2025.12.28(日) 年の瀬の空気

店の犬走りのつくばいには、一年中、井戸の水が竹の筒から細く落ちている。ここに数日前より、いただいた南天を飾っている。その南天の茎に、きのうの朝から水のしぶきが凍りつくようになった。暖冬とはいえ、いよいよそこまで気温が下がってきたことを、その氷が否応なく教えてくれる。

店には、きのうから年の瀬の空気が濃くなってきた。具体的にいえば、お客様の数がいきなり増え、そのお客様にはご家族連れが目立つ。帰省客というよりも、年末年始を温泉やスキー場で過ごそうとされている方々なのだろう。

販売主任のサイトーミホコさんや嫁のモモ君の調整により、これから新年最初の週末までのあいだに出勤をする販売係の数は多い。人員の薄くなる昼の時間帯には店に立つこともある僕ではあるけれど、この年末年始においては、どうやらすこしは楽ができそうな雰囲気である。それでも店にはたびたび顔を出して、お客様には感謝をお伝えしようと思う。

閉店と同時に三台のキャッシュレジスターを締める。月曜日は売上金の銀行への入金日だから、閉店後はこの一週間の売上金をまとめておく。また明日のための釣銭も、準備をしておく。

18時45分に店の前にクルマを付けておくよう頼んだEBエンジニアリングのタシロジュンイチさんは、それよりも早く来ていたらしい。そしてその、トレーラーを曳いたホンダ車に乗って、18時38分に駐車場を出る。


朝飯 豆腐の玉子とじ、菠薐草のソテー、納豆、なめこのたまり炊、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、蕪と蕪の葉と若布の味噌汁
昼飯 にゅうめん
晩飯 “THE FLYING-GARDEN”のマッシュルームサラダ(小)「洋食屋のデミグラスハンバーグ」デカンタの赤ワイン


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2025.12.27(土) 何もしなくてもよい時間

起きて食堂に来たときの時刻は4時10分。「めでたさも、中くらいなり…」の気分である。それでも今朝は「何もしなくてもよい時間」が1時間10分ほどは確保できた。そういう時間が、僕には必要なのだ。あるいは誰にも必要かも知れない。

今月13日の日記に書いた町内公民館の修理費、および今週に三日間を要した松の伐採の費用は、各々の社長にきのう現金で支払った。いまどき現金は時代遅れという気もするけれど、しかしてまた「気持ちの問題」という気もする。

むかしフランスに「現金には手を出すな」という映画があった。「現金」は「げんなま」と読む。原題は”Touchez pas au Grisbi”で、この”Grisb”をグーグル翻訳に頼れば「戦利品」と出る。映画に於ける戦利品は金塊ではあるものの、その「戦利品」を「げんなま」と訳した惹句師がいたのだろう。

映画の題名といえば「唇からナイフ」が思い出深い。こちらは1966年の英国の映画で、日本でも同年に公開をされた。その立て看板を、当時10歳か11歳だった僕は、今は道の駅「日光街道ニコニコ本陣」ができている場所の、日光街道を隔てた向かい側の歩道で目にした。当時は「唇」とを「尻」と読み違え「尻からナイフを出したら尻の穴が切れるな」と、不思議に感じていた。

と、まぁ、「何もしなくてもよい時間」には、こういうことを頭に巡らせていることが多い。そして6時30分が近づいたら味噌汁の準備に取りかかるのだ。


朝飯 目玉焼き、菠薐草ともやしのソテー、納豆、なめこのたまり炊、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、大根と若布の味噌汁
昼飯 にゅうめん
晩飯 トマトとベビーリーフとキャベツのサラダフライドポテトとフライドチキンChablis Billaud Simon 2018いちごのショートケーキ、Old Parr(生)


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2025.12.26(金) 日本の役所は優秀だから

今月20日の日記に書いた早起きが、いまだ続いている。しかしまぁ、寝に就く時間が早いのだから、2時台に目を覚まして3時台に起きられるのも、道理かも知れない。

冬至の22日こそ晴れたものの、以降は雨がちの日が続いている。それでも予報によれば、これから大晦日までは、まぁまぁの天気が復活するという。この年末年始の休日の並びは悪くなく、お勤めの人の休みは長くなるらしい。「良いこと」とは思うものの、店が賑わうのはせいぜい4日の日曜日までではないか、という気もしている。

ところで「日本の役所は優秀だから、過ぎた分は戻ってくるに違いない」と考えて、そうと知りつつ過分な都税を納めた、ということがこの秋にあった。

それについては綺麗さっぱり忘れていたものの、今日になって、東京都主税局からは「都税還付金等還付(充当等)通知書」が、またゆうちょ銀行からは「払出通知票」が届いた。両者に記載された数字は都税の四半期分と思われるもので、一致をしていた。そういう次第にて即、いそいそと郵便局へ出かけ、当該の金額を受け取って戻る。

夕刻、大晦日の終業時に準備されているべき、道の駅「日光街道ニコニコ本陣」へ納める品の数を、包装主任のヤマダカオリさんに手渡す。1月1日に売り切れが発生した場合、追加の品を作ってくれる社員はいない。そのための措置である。


朝飯 カマボコ、目玉焼き、納豆、春菊のおひたし、なめこのたまり炊、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、蕪と蕪の葉の味噌汁
昼飯 にゅうめん
晩飯 三種のカマボコ、松前漬け、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、肉団子と白菜と椎茸の鍋、「松瀬酒造」の「松の司小仕込みの会限定純米酒」(燗)、「松之助」のハミングバードケーキ、Old Parr(生)


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2025.12.25(木) 灰がちになりて

クリスマスは12月25日。それは分かっているものの、12月24日の夜が過ぎてしまえば「灰がちになりてわろし」という気持ちになる。タイ語にすれば「セッ(t)レーオ」だろうか。2026年も残すところ6日。とはいえその実感は湧かない。

「9時」と来社の時間を伝えてられていたEBエンジニアリングのタシロジュンイチさんは、何の用事があったか30分ほど遅れて来た。整備の必要のあるクルマの収められている車庫の鍵を作業着姿の彼に手渡してから銀行へ向かう。そして町内公民館の屋根の修理費のうち前金を除いた金額を引き落とし、更には年末年始に必要になるだろう個人のお金も引き落とす。

隠居には三日続けて植木のヤマカ園が入り、そのあいだに伐られた二本の松は裁断をされて、二台のトラックに載せられた。屋根と雨樋と冷蔵庫の室外機に枯れ葉を落とすばかりだった松は、ヤマカ園の社長によれば、樹齢は六十年ほどではないか、とのことだった。

冬の庭は寂しい。椿の紅い色が見られるまでには、いまだしばらくはかかりそうだ。隠居の梅と桜は、東京のそれよりひと月ほど遅れて咲く。「まだ、ちょっと、かかるなぁ」と、一日千秋の思いでいる。


朝飯 ブロッコリーのソテーを添えたトマトのスクランブルドエッグ、豚挽き肉と春雨の中華風炒め、切り昆布の炒り煮、なめこのたまり炊、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、若布と長葱の味噌汁
昼飯 にゅうめん
晩飯 ベビーリーフのサラダマッシュドポテトブロッコリーとニンジンのバターソテーミートボールのケチャップ煮飲みさしの赤ワインと白ワインブドウとイチゴ「松之助」のハミングバードケーキ


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2025.12.24(水) ショヴォ

三杯目のお茶がぬるくなったため、食堂のテーブルに開いたコンピュータを離れ、席を立って湯飲みを電子レンジに入れる。そこから席へ戻りつつ時計に目を遣ると、時刻は既にして6時22分。そろそろ朝食の準備を始めるころだ。しかし驚いたことに、窓の外はいまだ夜を脱していない。冬至の翌日とはいえ、これほど暗い6時22分があるだろうか。

ところで月に一度の店休日の、12月のそれは半年前に本日と決められた。店休日とはいえ、上澤梅太郎商店のそれは社内のメンテナンスや会議に充てられて、社員は出勤をする。

今日のメンテナンスは、ビジネスフォンの主装置の修理、店舗バックヤードへの大きなホワイトボードの設置、および床の補修、お客様用トイレの電線の引き直し、製造現場の雨漏りの原因の特定と、盛りだくさんだ。それでも店の床の補修を除いては、昼すぎにはおおむね完了した。

会議の一部は隠居で行われる。そこから社屋へ戻る前に、庭にまわる。きのう伐られた松が、雨の中に横たわっている。その様子はまるで、斃れた鰐のようだった。鰐から連想するのはレオポール・ショヴォ。今は長男の本棚にあるかも知れない。


朝飯 山芋のすりおろし、納豆、切り昆布の炒り煮、白菜漬け、なめこのたまり炊、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、トマトとズッキーニの味噌汁
昼飯 にゅうめん
晩飯 ベーコンと根菜類のスープ「進々堂」のブドウとクルミのパン三種のムース生のトマトとブロッコリーのソテーを添えた鶏のスパイス焼き「進々堂」のシュトーレンChablis Billaud Simon 2018


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2025.12.23(火) 下弦の繊月凄然として

朝、店の前から隠居の方に目を遣ると、植木の「ヤマカ園」のトラック2台が門の前に横付けされていた。それを見て「遅れてはいけない」と、そちらへ向けて走る。アルミニウム製の裏門は、既にして開かれている。「なせだろう」と、踏み石を辿る。すると表門も開いていて、何人もの本職が出入りをはじめていた。社長のカシワギさんの姿も見えたため問えば、事務室にいた社員から鍵を預かったとのことだった。

今日はちょうど一週間前の日記に書いた、実生から育ち、今や屋根と雨樋、そして冷蔵庫の室外機に枯れ葉を落とすばかりになっている、本職によれば「お金をかけるのは勿体ない」という松が伐られるのだ。

その、いささか太い幹を目にしてきびすを返し、事務室の神棚から御神酒を降ろす。そしてそれを手に隠居へ戻り、まぁ、ただの縁起かつぎ、あるいは厄除けのつもり、あるいは気休めに過ぎないものの、当該の松に御神酒を注ぐ。つまり僕も、アミニズムの信奉者、というわけである。

パートタイマーの販売係が次々と退社をし、残るはササキセーラさんのみ、となった17時すぎに、三たび隠居へ行く。冬至を過ぎたばかりの庭は既にして暗く、地面に横たえられた松は、いくつにも分けられていた。

昭和20年3月9日の夜、米軍の空襲により偏奇館を焼け出された断腸亭は、スペイン公使館ちかくの空き地まで逃げたところで空を見上げ「下弦の繊月凄然として愛宕山の方に昇るを見る」と記している。僕は和漢洋に通じた文豪ではないから「下弦の繊月凄然として」などは、とても書けない。しかし桜の梢を透かして見る旧暦11月4日の月はいかにも美しく、店の棚にiPhoneを置いてきたことを、いささか悔いた。


朝飯 菠薐草のソテーを添えた目玉焼き、蓮根のきんぴら、納豆、切り昆布の炒り煮、なめこのたまり炊、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬、メシ、若布とズッキーニの味噌汁
昼飯 にゅうめん
晩飯 南瓜のすり流し、菠薐草の胡麻和え、蓮根のきんぴら、ザーサイ、豚挽き肉と春雨の中華風炒め豚肉とニラともやしの「コモトリケー君行きつけの総菜屋のソース」炒め炒飯、「紅星」の「二鍋頭酒」(生)


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2025.12.22(月) 冬至

きのうまで七日のあいだ着続けたパタゴニアのフリースのセーターは、きのう洗濯袋に包んだ上で、カゴに入れた。これを数十年前に手に入れたときには「この一年でもっとも優れた買い物だった」と感じ入ったものだ。そして今日からは、おなじパタゴニアの「R1エア・クルー」に袖を通す。

小遣い帳に検索をかけてみれば、僕はこのセーター二着を昨年の2月9日に買っている。フリースのセーターと同じく、僕はこれにも大いに感心をしている。二着を交互に着まわせば、いまだ数年は保つだろう。

それはさておき、きのう今日と「今の季節にしては」という前置きは必要ながら、暖かい日が続いている。それを受けて隠居の不凍栓は閉めていない。よってこれを早朝に開く必要はないものの、今朝も隠居へ家内を送る。上澤梅太郎商店が運営する朝食の専門店「汁飯香の店 隠居うわさわ」は、今日が仕事納めである。

午前の中ごろに、銀行から司法書士事務所を回って会社に戻る。午後は別の銀行へ赴いて、奥の部屋で数名と歓談をする。

今日が冬至ということは、朝、家内が食堂に来て、テレビの電源を入れ、ニュースのアナウンサーがそれを口にして初めて気づいた。「これからは昼が短くなるばかり」と、夏至をひどく嫌う後輩がいる。彼などは、今朝は快哉を叫んだのではなかったか。

そういう次第により、夜は柚風呂に浸かる。


朝飯 納豆、梅干、糸切昆布の佃煮、鮭の焼きほぐし、なめこのたまり炊、たまり漬「七種きざみあわせ・だんらん」、らっきょうのたまり漬「小つぶちゃん」、ごぼうのたまり漬のお茶漬け
昼飯 にゅうめん
晩飯 「ガスト」の「大人のお子様ランチプレート」SANTA CAMPANILLA LIMITED EDITION ROSSO


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上澤卓哉

上澤梅太郎商店・上澤卓哉

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