2016.12.7(水) 物欲
服の業界は季節を何ヶ月も先取りして動くというけれど、ことコートやジャケットに関しては冬に入ってもなお、ファッション誌は賑やかだ。そんなことを、この11月から感じていた。きのう末広町から地下鉄銀座線に乗ると、その中吊りにはいまだ、コートを特集する雑誌の広告があった。
新しいコートを欲しがる気持ちが自分にはまったく無くて助かっている。なぜコートに興味がないかといえば、買っても着ないと分かっているからだ。僕はほとんど、コートは”SIERRA DESIGNS”のマウンテンパーカしか着ない。「まだそんな季節じゃねぇだろ」とか「もうそんな季節じゃねぇだろ」と感じるときのみ”DANTON”のトップコートを着る。
冬になっても”SIERRA DESIGNS”のマウンテンパーカが見つからない年があって、そのときにはスウェーデン陸軍のタンカージャケットを着た。昨年はほとんど四半世紀ぶりに”HOFER”のチロリアンジャケットを着た。”Harris”のツイードによるジャケットもあれば、”MESCALITO”のダウンパーカもある。これだけあれば、コートは要らない。物欲を刺激されないとは、本当に楽である。
朝飯 五目春雨、昆布の沖縄風炒め、トマトのスクランブルドエッグ、納豆、たまり漬「刻みザクザクしょうが」、胡瓜のぬか漬け、白菜漬け、メシ、揚げ湯波と小松菜の味噌汁
昼飯 鍋焼きうどん
晩飯 千切りキャベツとポテトサラダを添えた豚カツ、“VINA MAIPO Cabernet Sauvignon/Merlot 2015”、パイナップルのチェリーブランデーがけ
2016.12.6(火) 三者択一
ウェブショップは9月2日の改装にともない、買い物カゴも一新した。「買い物カゴの一新」とは、スーパーマーケットでよく見かける黄色いプラスティックのカゴをステンレス製に変える、というような簡単なことではない。ウェブショップの心臓部の入れ替えを意味する。
9月1日まで用いていた決済会社からの振込は、10月末を以て途切れた。それを確認したのは今月1日のことだ。そしてきのうはその決済会社に連絡をし、今後の、月々の費用の発生を無くす方法を確かめた。
その結果を持って、今朝は恵比寿の”Vector H”を訪ねる。そして最後の手続きを外注SEのヒラダテマサヤさんにしてもらう。一方、2012年から出品を始めたamazonからの撤退手続きについてamazonに確認をする。これは、新しいウェブショップにアマゾンペイメントを装備したことによる。これまでウチの品物をamazonで買ってくださっていたお客様には以降、ウチのウェブショップで買い物をしていただき、アマゾンペイメントで決済をしていただければ幸いである。
仕事を終えてのちは、改装のため長く休館をしていた、目と鼻の先の「東京都写真美術館」の扉を押す。「東京・TOKYO」と題された、リニューアルオープンして最初の展覧会は、既にして名を成した写真家と新進写真家との作品を集めたものだった。気に入ったのは中藤毅彦と元田敬三。
池袋に移動をし、62mmのプロテクトフィルターを「ビックカメラ」で買う。午前中の暖かさが、街から急速に失われていく。昼から吹き始めた風はますます強い。
次男と秋葉原で待ち合わせたのは、今夜の食事場所として挙げた湯島天神下のシンスケ、池袋ビックカメラ裏の男体山、秋葉原のかんだ食堂のうち、次男の選んだのが3番目の「かんだ食堂」だったからだ。
甘木庵まで歩いて帰る次男とは末広町で別れた。そして浅草駅20:00発の下り特急スペーシアに乗る。
朝飯 5種のおむすび、焼き海苔、豆腐と三つ葉の味噌汁
昼飯 「神戸屋キッチン」の阿波尾鶏クリームシチューセット
晩飯 「かんだ食堂」のお通しのひじきと薩摩揚げの甘辛煮、トマトサラダ、ハムエッグ、きくらげ玉子炒め、秋刀魚の干物、「光酒造」の麦焼酎「博多小女郎」(ソーダ割り)
2016.12.5(月) 朝の景色
早朝、前夜に降ろされた遮光カーテンには触らないまま、食堂のテーブルであれやこれやする。道路の水を切って走るクルマの音が聞こえてくる。「雨か」と、普段であればとうに外光を入れる時間になってもカーテンはそのままにしている。
いよいよ味噌汁を作る時間になって、ようよう、天井から下がったプラスティック製の鎖をたぐり降ろし、カーテンを巻き上げる。すると外には予期せず、紺色から青に薄れつつある空と朝日があった。夜に降った雨が明け方に上がっていきなり晴れるとは、僕のもっとも好きな朝の景色だ。
普段、店は定時の5分前に開ける。それを今朝は、その30分以上も前から扉を開け放ってしまう。
「朝は、何もかもが澄んでいる」と思いかけて「いや、朝に限るものでもないわな」と、その感懐を覆す。手入れの行き届いた鮨屋や酒場では、開店直後に限るけれど、夕刻であってもその空気は澄んでいる。冬の雨の夜の空気も、また澄んでいるのだ。
濡れたアスファルトと晴れた空、そして店の、朝日を受けて光る白壁をもういちど眺めてから事務室に戻る。
朝飯 なめこのたまり炊きのフワトロ玉子、たまり漬「刻みザクザクしょうが」、昆布の沖縄風炒め、胡瓜と大根のぬか漬け、牛蒡と人参のきんぴら、納豆、メシ、シジミと三つ葉の味噌汁
昼飯 ラーメン
晩飯 蕪とレタスのサラダ、チーズと目玉焼きのスパゲティ魚醤風味、鶏肉の柚ソテー、2種のチーズ、“Chablis Billaud Simon 2014”
2016.12.4(日) 濃い紅色の睡蓮
僕に決まった休日は無い。会社は、ほぼ年中無休である。社員が出社をすれば報告、連絡、依頼。店が開けば来客と電話が相次ぎ、時にはそれぞれ別の用件を持つ3人を相手に話をしなければならない。それだけに、朝の2時台、3時台に起きて6時までの、ひとりの時間は貴重だ。
昨年の2月は外務省の渡航禁止勧告を無視してタイ深南部ナラティワートで数日を過ごした。来年も、年が明け、1月の繁忙が過ぎたらどこかへ行きたい。
生来、薄着が好きだ。名所旧跡に興味は無い。行った先ですることは飲酒喫飯、散歩、本読み、水泳くらいのものである。物価は安い方が有り難い。自分以外の旅行者にはできるだけ遭遇したくない。これらの条件を満たすところといえば、先ずは東南アジアの田舎だ。東南アジアではベトナムもカンボジアもミャンマーも経験はしているけれど、なぜタイばかりに惹かれるのか、その理由が自分でも分からない。
食堂のテーブルに資料を並べ、あれやこれや考える。出かける前の「あれやこれや考える」が、僕の場合には旅の楽しみのかなりの部分を占める。
羽田空港00:20発のタイ航空機に乗れば6時間後、つまりタイ時間の4時台にはスワンナプーム空港に着く。朝の入国審査場は混み合っていない。5時台にタクシーに乗り、6時台にファランポーン駅に着く。そのころ櫛形のプラットフォームには、各地方への”Rapid”が次々と入線をしてくる筈だ。
10時間ほども列車に揺られれば、かなりの田舎まで達することができる。そのくらいの移動時間なら3等車で充分だ。というか3等車がいちばん、その国の空気を感じられるのだ。車窓から眺める青い空、白い雲、赤い土。灌木、水牛、そして濃い紅色の睡蓮。空想は膨らむばかりである。
朝飯 ひじきと人参と揚げ湯波の甘辛煮、牛蒡と人参のきんぴら、たまり漬「刻みザクザクしょうが」、しもつかり、ほうれん草のソテー、納豆、メシ、白菜とトマトの味噌汁
昼飯 弁当
晩飯 3種のキムチ、3種のナムル、春雨炒め、牛肉と浅蜊のスープ、豚ホルモンとニラともやしの炒め、芋焼酎「八幡」(お湯割り)
2016.12.3(土) 週末
暖かい12月である。僕は盛夏から次の盛夏までに以下8回の衣替えをして元に戻る。師走といえばもはや初冬とはいえない。しかし僕の上半身はいまだ盛夏から数えて3番目の、長袖ヒートテック+長袖Tシャツの2枚のみだ。
半袖ポロシャツ
半袖ポロシャツ+長袖Tシャツ
長袖ヒートテック+長袖Tシャツ
長袖ヒートテック+長袖フリース
長袖ヒートテック+長袖フリース+ダウンベスト
長袖ヒートテック+長袖フリース
長袖ヒートテック+長袖Tシャツ
半袖ポロシャツ+長袖Tシャツ
半袖ポロシャツ
午前、その2枚のみで屋内から駐車場に出て、お客様のクルマの駐まり具合などを確かめる。この週末は、今月の週末のなかでは最も忙しくなるだろう。そして今度は事務室ではなく、混み合いつつある店舗に入る。
朝飯 揚げ湯波と小松菜の淡味炊き、ひじきと人参と揚げ湯波の甘辛煮、しその実のたまり漬、しもつかり、トマトのスクランブルドエッグ、納豆、メシ、揚げ湯波と長葱の味噌汁
昼飯 「大貫屋」のオムライス
晩飯 3種のナムル、白菜キムチ、蕪と胡瓜のぬか漬け、蒸し焼売、芋焼酎「八幡」(お湯割り)
2016.12.2(金) 座標
今年8月のことだっただろうか、何の気なしに屋上へ上がり、これまた何の気なしにエレベータの機械室の裏側に回ろうとして、コンクリートのスラブと、その上に敷いた防水幕とのあいだに雨水が溜まって膨らんでいるのを見つけた。数日をおいてふたたび屋上へ行くとその、皮膚の下に漿液の溜まったような膨らみは、更に面積と厚みを増やしていた。見過ごすわけにはいかない。
防水工事を行う業者が決まるころ、季節は秋に変わっていた。工事が始まったのは10月の上旬。手渡された工程表に示されていた竣工は11月30日。途中、思わぬ降雪に見舞われ数日の遅れが出たけれど、今朝から遂に、その足場が外され始める。
ところでウチの屋上には、国土地理院だかどこかから頼まれ設置を許した、真鍮製の座標が埋め込まれている。その座標は今回の工事で防水幕に覆われ、見えなくなった。いつか関係者が来て、これを露出するよう言われることがあるだろうか。そのときには、その費用は先方持ちにしてもらおうと思う。
朝飯 牛蒡と人参のきんぴら、揚げ湯波と小松菜の淡味炊き、しその実のたまり漬、鰯の丸干しの網焼き、昆布の沖縄風炒め、胡瓜と蕪のぬか漬け、メシ、昆布と揚げ湯波と長葱の味噌汁
昼飯 ラーメン
晩飯 “Parrot”のグリーンサラダ、チキンカントリー、“evodia 2015”
2016.12.1(木) 日光の美味七選
極端な早寝早起きにて、今朝は2時24分に目を覚ます。眠気を引きずっているわけでもなく、すぐに起床して食堂へ行く。
12月1日には毎年メールマガジンンで「日光の美味七選」の発売をお知らせする。その文章はきのうまでに最終の確認を終えていた。今朝はそれを”FutureShop2″のシステムに埋め込み、9時の配信時間を設定する。
開店後、8時45分にうっかり電話に出てしまう。その電話が長引けば、やはりきのうまでに万端整え、しかしこの時間まで温存した「日光の美味七選」の注文ページを公開できない。その電話の受話器を置くや否や、これから9時まで自分は電話には出ない旨を周囲に伝える。
「知り合いだから」とか「取引先だから」というような義理は一切関係なく、僕が普段から気に入って食べたり飲んだりしている地元のあれこれを、各々のお店にお願いしてお詰め合わせする、送料税込み10,800円、限定40セットの「日光の美味七選」は結局のところ、メールマガジンンの配信から3時間後の11時59分に売り切れた。
以降はこれに関係する仕事を、今度は紙とペンを使ってしばらくする。
朝飯 牛蒡と人参のきんぴら、納豆、しもつかり、ひじきと揚げ湯波と人参の甘辛煮、たまり漬「おばあちゃんのホロホロふりかけ」、ほうれん草のおひたし、メシ、トマトと揚げ湯波と長葱の味噌汁
昼飯 食堂「ニジコ」のスーラーメン
晩飯 しもつかり、ほうれん草と海苔のおひたし、おでん、芋焼酎「八幡」(お湯割り)、チェリーブランデーをかけ回したアイスクリーム
2016.11.30(水) 取材
百十数年の歴史を持つ生活啓蒙誌「婦人之友」の取材を10時より受ける。2017年2月号の特集「冬こそ、気もちいい朝を」の巻頭カラー6ページにて、ウチの朝食が取り上げられるという。僕は先方の要請により、今回は白菜とベーコンと長葱の味噌汁を作った。
ところでこの取材に先立ち、僕の過去の日記を精査した編集者が、予告に用いるため提供して欲しいと指定してきた画像はすべて、これは僕だけが知っていることだけれど、家内が不在にしている朝に、家内の作り置いた常備菜を並べ、好き勝手に作った味噌汁を真ん中に置いたもの、あるいは冷蔵庫にしなびた野菜を見つけ「しょうがねぇな、ぜんぶ使っちゃえ」と、それを雑駁に刻んで投入した味噌汁によるものだった。
時代はバブルの崩壊から長いデフレーションを経て”gorgeous”や”gimmick”の追求、「高い仕様」や「複雑な仕掛け」の誇示から「これでいいのだ」に変わってきているのではないか。多くの人たちは、これからしばらくは小市民的安寧の中で、それを慈しみつつ生きていくのではないか。
そして明日も僕は味噌汁を作るのだ。今朝のメシはホットドッグではあったが。
朝飯 ホットドッグ、ヨーグルト、コーヒー
昼飯 揚げ湯波と小松菜の淡味炊き、しもつかり、生のトマト、ひじきと揚げ湯波と人参の甘辛煮、「なめこのたまりだき」のふわとろたまご、大根と胡瓜のぬか漬け、メシ、白菜とベーコンと長葱の味噌汁
晩飯 トマトとレタスとモツァレラチーズのサラダ、パン其の一、パン其の二、パン其の三、鶏肉のクリームソース、“Chablis Billaud Simon 2014”
2016.11.29(火) 3つの工事
屋上および2階のスラブの10月から始まった防水工事は、屋上においては既にして終わっている。2階のスラブも、残るは清掃くらいのものだろう。足場は予定では24日に外されることになっていた。しかし当日の降雪に阻まれ、いまだそのままになっている。
今年はじめの積雪期に、その雪が溶けるにつれ水漏れを起こした、店舗と工場を繋ぐ通路の防水工事は、既存の屋根の上に更に屋根を重ねる工法により本日、完了をした。この部分の漏水は、屋根に勾配を設けなかったこと、また店舗の大屋根に降った雨をこの平らな屋根に落とすという、過度に楽観的な設計に因る。
今回の工事では、屋上に屋を重ねることに加え、店舗の大屋根の雨樋を、これまでの狭い銅製から容量の大きな樹種製に換えた。またそれで受けた雨水は通路の屋根には落とさず、直径125ミリの太い、しかも2本の立て樋により地上に逃がすこととした。
一方、今年はじめの夕刻「店、やってるのか、やってないのか分からないよ」とお客様に指摘をされたことについて、夜とおなじ暗さの中で店には明かりが点いているのだから「やってるのか、やってないのか分からない」とは大げさとは思ったけれど、店舗正面の明かりをこれまでの蛍光灯からLEDに換え、また銅製の金看板にはスポットライトを新設する工事を本日、行った。
冬至まで3週間と迫った夕刻、既にして真っ暗な外へ出てみると、取り付けたばかりのスポットライトは看板をしっかりと照らしていた。これでなお「やってるのか、やってないのか分からない」と言われれば、そのときにはアバディーンの水上レストラン並みの電飾を、店全体に施すしかないかも知れない。
朝飯 たまり漬「刻みザクザクしょうが」を薬味にした納豆、小松菜と油揚げと人参のおひたし、牡蠣の煮びたし、トマトのスクランブルドエッグ、五目白和え、メシ、豆腐と揚げ湯波と三つ葉の味噌汁
昼飯 「麺屋ききょう」のねぎ塩ラーメン
晩飯 トマトとレタスのサラダ、マッシュドポテトとケチャップスパゲティとグリーンアスパラガスのソテーとたまり漬「青森県田子町産のにんにくです。」を添えたビーフステーキ、2種のチーズ、”Santa Helena alpaca Cabernet Sauvignon,Merlot 2015″
2016.11.28(月) いちばん大切なのはメシ
「ウチは役付はほとんど、夜10時ちかくまで会社にいますからね」と胸を張った社長がいた。その瞬間、僕の口を突いて出た言葉は「腹、減んねぇすかね」だった。それは思考を伴うものではない。ほとんど反射神経による。「仕事はさっさと定時に上がって、あとは酒とメシだんびゃ」という考えが僕には抜きがたくある。
終業後、退社する社員たちに声をかけている最中に長男から仕事を振られた。それは自分のコンピュータと紙とペンさえあればできるものだった。それならなにも、蛍光灯の青白い光に満たされた事務室にいることはない。その事務室を閉め、4階に上がって食堂の、電球の暖かい明かりの下の木のテーブルにコンピュータを開く。
ドライシェリーを口に運びながらの仕事は長男が夕食を準備するうち、その9割を解決することができた。残りの1割は明日の未明に行うこととし、いそいそとワインの栓を抜く。
朝飯 5種のおむすび、大根のぬか漬け、トマトと揚げ湯波と三つ葉の味噌汁
昼飯 「大貫屋」の天丼
晩飯 トマトとレタスとチーズのサラダ、長葱と鰯のスパゲティ、“Chablis Billaud Simon 2014”

































